V.A.『One Hundred and Fifty Steps VEP』
LABEL:Bait
昨年6月からローンチした、フランスの新興レーベル〈Bait〉。ダブステップなどの乾いたスネアが響くベース・ミュージックと、瞑想的なテクノを混ぜたような、レーベル・オーナー曰く「ダブテック」なるジャンルを提唱しているらしいが、このようなサウンドと共鳴するアーティストを国内外から招聘した最新コンピがなかなかにかっこいい。L.Aで〈Fast At Work〉というパーティー/レーベルを運営するCarréの“plotting smth”や、ベルリン拠点〈Fast Castle〉のボス・Gent1e $oulのトラックなど、ミニマルで引き締まった150BPM帯ダブステップが4つ収録。先の〈Fast Castle〉といった、サウンドが近しいレーベルがここ1~2年で誕生したり、DJでもKeep Hushなどのチャンネルをぼんやり観ていると、ダブステップを150BPMで流してブレイクビーツと合わせるミックスを最近しばしば見かけたりするが、あちらではちらほら流行ってるのかもしれない。
DJ POLO 『If The Glove Fits E.P.』
LABEL:Livity Sound
ブリストル・カルチャーの先頭を走り続ける〈Livity Sound〉に、地元のDJ POLOがお久しぶりの登場。2021年リリースのTribal BrothersとのスプリットEPはUKファンキー主体という印象だったが、今作はゴム(Gqom)がベース。ゴムがイギリスのベース・ミュージック・カルチャーにおいて、市民権を獲得した1つの証左といっても過言ではないだろう。特有のサウンドを構築しているScratcha DVAとも通ずるようなダークなUK産ゴム“Bloodhound”ももちろん、キックの配置が独特の、ゴム式(?)高速ベース“If The Glove Fits”がピンときたところ。フロアに目を向けつつ、常に果敢にサウンドのアップデートを試みる〈Livity Sound〉、それでいて「でもやっぱり〈Livity Sound〉っぽいな」と思わせてくるあたり、まだまだ恐るべしです。
Phelimuncasi & Metal Preyers 『Izigqinamba』
LABEL:Nyege Nyege Tapes
ウガンダから、興味深いリリースをハイペースに重ねる〈Nyege Nyege Tapes〉。4月リリースの本作は、南アフリカ・ダーバン拠点のPhelimuncasiと、Metal Preyers(Jesse HackettとMariano Chavezによるコラボ・プロジェクト)という、レーベルからのリリース経験をもつ2組によるコラボ作。2022年に同レーベルから出た『Ama Gogela』の続編という立ち位置らしいが、この内容を〈Nyege Nyege〉のスタジオにて3日間で仕上げるのは恐ろしい。作品全体を上手く形容するのは難しいものの、歪んだトラックを軸とした、ちょっぴりダビーな低速グルーヴ“Khala Ngiyabaleka”と、スクリューさせたようなドロドロのビートに、Phelimuncasiのラップが乗っかる異色作“Like A Corpse”は特にお気に入り。一聴してみてはいかがでしょうか。