2022/11/11 18:00

一生を終えたあと、貴方のなかに残る音──死生観と向き合いながら、前進したmollyの現在地

molly

2019年に結成されたバンド、mollyがセカンド・ミニ・アルバム『メメント・モリ』をリリース。今年3月に発表されたファースト・ミニ・アルバム『moment』は初の全国流通版でありながら、第一の集大成となったという。その前作を踏まえて制作された今作は「前進」をキーワードとし、楽曲を物語風にするなど、またひとつ進化を感じる作品に仕上がっている。またタイトル『メメント・モリ』の意は、死を想う大切さ。「死なないで」という呼びかけではなく、死を意識することでみえるものがあるという、死生観に対するひとつの見解が本作には込められている。「前進」と「死」、相反するふたつをコンセプトに選んだ理由とは一体。バンドのフロントマン、近藤芳樹(Vo/Gt)にきいた。

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INTERVIEW : 近藤芳樹(molly)

近藤芳樹(Vo/Gt)

名古屋発のバンド、mollyがリリースした、セカンド・ミニ・アルバム『メメント・モリ』は「死を想う」との意味を持つ言葉を冠する作品である。その通り「死」を想起させる楽曲が並ぶが、決してネガティヴな意味での想いが込められている訳ではない。終わりを想うからこそ、いまを生きることができる。そういった、慈愛深く温かな願いが込められた今作についてや、バンド活動について、近藤芳樹(Vo/Gt)に話をきいた。

インタヴュー・文 : 峯岸利恵

楽曲ごとのアレンジに合った歌い方ができたらいいんじゃないか?

──mollyは、2019年の春に活動を開始したバンドですが、結成当初の楽曲、例えば“グッバイ“などは、いまよりももっとエネルギッシュで、疾走感のある楽曲だなと感じました。

近藤芳樹(Vo/Gt)(以下、近藤):僕自身、名古屋出身ということもあって、大先輩の04 Limited Sazabysが大好きなんです。フォーリミを知ってライヴハウスに行きはじめましたし、ずっと憧れの存在で。なので、大学の軽音部内でバンドを組んだ時も、ドラムでツー・ビートを踏める人、ベースもゴリゴリ弾ける人を集めて、mollyを結成しました。その頃に作ったのが、“グッバイ“ですね。でも、ライヴ活動や楽曲制作を経ていくうちに、自分の好きなことを突き詰めたいという気持ちよりも、自分に合ったものをやってみたいという想いの方が明確になってきたんです。そのタイミングで考えた時に、自分の声はツー・ビートには合わないと思えたので、もっと聴かせる楽曲で歌いたいと思って、いまのような曲調やテンポ感になりました。

──転機が訪れたのはいつ頃ですか?

近藤:サード・デモ『lucky』をリリースした頃なので、2020年初旬くらいですかね?ショートチューン2ビートにめちゃくちゃ憧れて、ファースト・デモ『moment of lucky life,yes』でそこに挑戦したんですけど、やっぱりライヴでやるとみんな盛り上がってくれるし、こっちもテンション上がったんです。でも、『lucky』に収録されている“tonight”という曲をライヴでやった時に、泣いてくれているお客さんがいたんです。自分的にはガツガツした曲だと思っていたんですけど、その光景を見て、盛り上がり方や魅せ方って、自分が思っているよりももっと色々あるんだなということに気付きました。そこからライヴの仕方について冷静に考えられるようになりましたね。

──既発のデモ作品から選りすぐりの楽曲を収録したファースト・ミニ・アルバム『moment』(2022年3月リリース)も、盛り上がり重視というよりは、聴かせる楽曲がメインになっていますもんね。

近藤:そうですね。自分が少しでも迷うような曲は入れたくなかったので。バンドの方向性としてもかなり変わってきたとは思いますが、そこに対する不安はなかったです。やりたいことを見つけられたことで、気持ちとしては「もっとやっていきたい!」と思う一方、それに慣れていくことには時間はかかりましたが……。

──曲の作り方やインスピレーションを受けるものも全然違うでしょうしね。

近藤:そうですね。いままではメロコアやポップ・パンクを中心に聴いていましたが、なるべく聴かないようにしました。その時聴いている音楽から、めちゃくちゃ影響を受けやすいタイプなので、危ういなと思って……(笑) 。あとは最近、勉強も兼ねて洋楽を聴くようになりました。

──色々と身の回りの環境も変わってきているんですね。mollyとしては、近藤さんも自覚されているように、やっぱりいちばんは歌心のある楽曲を作っていきたいと考えていますか?

近藤:メンバーやお客さんからも、「やっぱりmollyは声がいちばん大事なバンドだよね」と言われることが多いんですけど、個人的には、最近アレンジに凝っています。いままでは、歌い方を最重要項目として色々と試行錯誤や練習をしていましたけど、歌に合わせるのではなく、楽曲ごとのアレンジに合った歌い方ができたらいいんじゃないか?と思っていて。本当に最近芽生えた意識ではあるので、今作『メメント・モリ』に関しては、その試みは半々くらい詰まっています。

この記事の編集者
梶野 有希

1998年生まれ。誕生日は徳川家康と一緒です。カルチャーメディア『DIGLE MAGAZINE』でライター・編集を担当し、2021年1月よりOTOTOYに入社しました。インディーからメジャーまで邦ロックばかり聴いています。

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