2025/11/06 18:00

UMI 『people stories』

〈Epic Records〉からのデビュー作『people stories』は、彼女がジャンルではなく「感情」で音楽を創造するアーティストであることを高らかに宣言する作品だ。アムステルダムでファンから聞いた恋物語は甘酸っぱい“MANGO STICKY RICE”に、友人の失恋は80sシンセポップ調の”THE LIMIT”へと昇華された。ある日は感情を「青色」と捉えてそれに合う音を探し、またある日はレゲエのリズムで遊び、パンクの衝動さえも取り込んでみせる。このジャンルレスな自由さは、一人ひとりの物語を最もふさわしい音で表現するための誠実なアプローチの賜物だ。自身のセラピー音声を挿入し、生活ノイズをあえて残すプロダクションは、UMIがスターではなく、リスナーと同じ世界を生きる一人の人間であることを示している。メジャーというフィールドに移ってもなお、パーソナルな表現を貫く彼女が生み出す音の色彩は、かつてないほど豊かで鮮やかだ。(Cookie)

Mariah the Scientist『HEARTS SOLD SEPARATELY』

本作はまるで一本の名作映画だ。愛という名の戦場で傷つき、それでも戦い続ける兵士の姿を描いた、痛々しくも美しい物語。そしてそのサウンドトラックを手掛けるのがDVSNのNineteen85だ。彼が作り出す80年代を再解釈したシンセ・ポップやパワー・バラードは、各シーンに壮大なスケールと切ないノスタルジーを吹き込み、リスナーを深く物語へと没入させる。アートワークに描かれたおもちゃの兵隊は、まさにこの映画の主人公といえるかもしれない。ヒットシングル”Burning Blue”に象徴されるように、彼女は恋人としての脆さと、戦士としての強さの二面性を解剖し、正直に演じきる。プロダクションとコンセプトが見事に融合し、一つの強固な世界観を築き上げた、コンセプチュアルR&Bの新たな金字塔と言える。(Cookie)


Mariah Carey『Here For It All』

〈The era of Mi〉 = 〈本当に自分のやりたいことをやる〉を掲げたマライア通算16枚目のアルバム。先行シングル“Type Dangerous”や冒頭曲"Mi"の歌詞でその意思を表し、“Sugar Sweet”は現行トレンドに軽く目配せもしつつ、恋仲が噂されるアンダーソン・パークがシルク・ソニック風のレトロサウンドで愛らしく背中を支える。以前から切望していたクラーク・シスターズとのゴスペルを含む終盤では激動の私生活を乗り越えた彼女のパーソナルな想いが色濃くあふれ、ラストを飾るタイトル曲にすべてが集約される。マライアがマライアたる所以ここにあり!今の彼女の声を生かしたプロダクションにも拍手。(Yacheemi)

[連載] Elmiene, Joy Crookes, MARIAH CAREY, Mariah the Scientist, UMI, Yerin Baek

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