2026/02/20 18:00

REVIEWS : 115 ヒップホップ (2026年2月)──アボかど

"REVIEWS"は「ココに来ればなにかしらおもしろい新譜に出会える」をモットーに、さまざまな書き手がここ3ヶ月の新譜からエッセンシャルな9枚を選びレヴューする本コーナー。自身のnoteを中心に、その他、各音楽メディアなどでヒップホップ〜R&Bについて執筆中、今回はもちろんヒップホップの、ここ3ヶ月のエッセンシャルな新譜を9枚レヴューしてもらいました。


OTOTOY REVIEWS 115
『ヒップホップ(2026年2月)』
文 : アボかど

Bushy B 『Lifestyle』

フロリダのブッシー・Bは、レゲエからの影響を感じさせるメロディアスなスタイルを聴かせるラッパー。本作では穏やかでメロウな路線を中心に据え、その沁みる歌心を存分に味わえる。トラップ系の手数の多い808を用いた曲もあるが、随所でダンスホールっぽい跳ねたドラムも使用。客演にもメジャー・ナインやキッド・マーヴら近いスタイルのラッパーを迎え、ヒップホップとレゲエのクロスオーバーの現代的な形を提示している。また、「Hype Me Up」には地元レジェンドのフロー・ライダーを召喚。ダンスホール風味のエモーショナルなビートに乗る彼のキレキレのラップは目が覚める格好良さだ。MVも素晴らしいので是非チェックを。

Deniro Farrar, Child Actor 『Raw Materials』

エレクトロ・ポップ・デュオからブーンバップのプロデューサーに不思議な転身を果たしたチャイルド・アクターは、近年ではアール・スウェットシャツやビリー・ウッズらも手掛けるその界隈での重要人物だ。本作は彼とエレクトロ・ポップ時代から共作していた、元クラウド・ラップ系ラッパーのデニーロ・ファラーとのタッグ作。今のチャイルド・アクターらしい埃っぽいソウルフルでドラムをそこまで強調しないビートに、ディープな低音のラップを乗せた硬派な一枚となっている。多くの曲ではフックらしきものもないシンプルな作りで、ビートとラップそれ自体の魅力で聴かせる。作風が変わっても変わらないコンビネーションを発揮した快作だ。

.idk. 『e.t.d.s. A Mixtape by .idk.』

トラップやダンス・ミュージック風味など自由なサウンドを聴かせてきたラッパーのIDKこと.idk.だが、本作はいつになくブーンバップ・モード。ノー・IDやコンダクター・ウィリアムスといったプロデューサー陣、ブラック・ソートやMF・ドゥームらも客演陣ともにオールスター的な布陣を揃えている。しかし、硬派なスタイルに振り切るのではなく、ハイファイなシンセを入れたり歌ったりとあの手この手で「チャラさ」を注入。.idk.の柔軟でスキルフルなラップの魅力を華やかに示している。なお、.idk.はアメリカのメリーランド育ちだが生まれはUK。異彩を放つジャングルの「STiGMA」ではそのルーツも垣間見える。

[連載] xaviersobased

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