2022/04/21 17:00

REVIEWS : 043 洋楽ロック / ポップ・ミュージック(2022年4月)──宮谷行美

"REVIEWS"は「ココに来ればなにかしらおもしろい新譜に出会える」をモットーに、さまざまな書き手がここ数ヶ月の新譜からエッセンシャルな9枚を選びレヴューする本コーナー。今回はReal Soundなどの音楽メディアでも活躍中のライター、宮谷行美がロック、その他のポップ、さらにエレクトロニック・ミュージックまで、洋楽のいま聴くべき作品9枚をレヴュー。


OTOTOY REVIEWS 043
『洋楽ロック / ポップ・ミュージック(2022年4月)』
文 : 宮谷行美

Beach House 『Once Twice Melody』

Cocteau Twins直系のフィーリングを持った、甘美で儚げなドリーム・ポップ・サウンドを軸に、アコギやスペイシーなシンセ・サウンド、生音のストリングのアンサンブルといった多彩な音色を取り入れ、ロックにもポップにも、サイケにも転じる珠玉の16曲は、最高傑作とも評された前作『7』のハードルを見事に越え、2000年代ドリーム・ポップの代表格としての貫禄を見つける。在るべき場所に在るべき音があり、そのすべてが絶妙なタッチで溶け込んでいるのは、セルフプロデュースならではの妙だろう。持ち前の柔らかさや浮遊感だけではなく、力強さが感じられるのもまた良い。シューゲイザーから民族音楽的な要素まで取り込んだ壮大なサウンド・スケープを描く「Modern Love Stories」は圧巻!

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HEALTH 『DISCO::PARTⅡ』

LAの実験的ノイズ・ロック・バンドである彼らの新作アルバムは、インダストリアル・ロックの雄Nine Inch Nails にUSメタルの最高峰Lamb of God、そして“謎の美少女”として一躍話題となったPoppyなど豪華ゲストをジャンルレスに迎えた超大作に。特異的なエクスペリメンタル・エレクトロに、ブラック・メタル、ダンス・ミュージック、シンセ・ウェイブまで飲み込んだ12曲は、凶暴さのなかにダークな美しさを放っている。このダイナミックな躍動感や地鳴りのようなノイズは、ぜひとも爆音で堪能したい。また、近年はゲーム作品との繋がりも深い彼ら。本作にある「NO ESCAPE」は、ステルスゲームの金字塔『メタル・ギア・ソリッド』から影響を受けて制作されたというのもおもしい。

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Mitski 『Laurel Hell』

無期限の活動休止中にあったMitskiが、再び表舞台に舞い戻る。“リアルな人間関係を語るラブソング”を求めて製作に挑んだ本作は、暗雲を晴らすかの如く、アップテンポでダンサブルな楽曲が集う。歌謡曲の影響をダイレクトに表すキャッチーなメロディに、80年代を思わせるレトロなシンセ・ポップ、さらにはドローン・サイケやR&B的なニュアンスを取り入れて極上のポップ・ミュージックを開拓するも、どろりとした重たさを感じさせるあたりが実に彼女らしい。根深い葛藤や苦悩、深い愛、そのすべてを曝け出し、鋭利な言葉としたたかな歌声で訴える。“インディー・ロック界のスター”という壇上から降り、“どこにも属さない”という彼女の初期のマインドを再提示する一作。

この記事の筆者
宮谷 行美 (Pikumin)

音楽メディアにてライター/インタビュアーとして経験を重ね、現在はフリーランスで執筆活動を行う。坂本龍一『2020S』オフィシャル・ライターを務めたほか、書籍『シューゲイザー・ディスクガイドrevised edition』への寄稿、Real Sound、日刊サイゾーなどのWebメディアでの執筆、海外アーティストの国内盤CD解説などを担当。

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