2025/08/26 18:00

Jon Connor, KLC The Drum Major 『24』

元〈アフターマス〉所属でエミネム的な迫力ある高速ラップが持ち味のジョン・コナーと、ニューオーリンズ出身でセカンドラインの影響下にあるバウンスビート職人のKLCによる異色コラボ作。同じヒップホップ畑でも全く異なるふたりが本作で聴かせるのは、お互いに合わせるのではなく真っ向から激突するようなスリリングな面白さだ。ちょっとチープなシンセやブラスなどの音を使った癖の強いKLCのビートはサウス色濃厚だが、ジョン・コナーの超絶技巧はどんなビートであっても強引に自分のものにするような強靭さがある。そして、逆にKLCのビートによって「上手すぎる」ラップが曲芸っぽくならずに運ばれてくる。意外なほどの名タッグだ。

Mr. Muthafuckin’ eXquire 『Vol. 2 The Y.O.Uprint』

太い声でどっしりとしたラップを聴かせる、NYのミスター・マザファッキン・エクスカイア。共演経験もあるダニー・ブラウンあたりと方向性が近い、刺激的なビートを柔軟に乗りこなす一方で王道サンプルベースのビートも好んで用いるラッパーだ。本作はブーンバップ中心の東海岸マナーに沿った一枚。ソウルフルな歌声と太いドラムを合わせたオープニングの「Desire Y.O.U」から重厚な魅力が味わえる。しかし、メンフィス・ラップ風味を取り入れた「It Iz what it iZ」、SEのような硬質なシンセをループした「borderline」のような路線も導入。一種の優等生的な作りを拒否する捻くれた一枚だ。

Sækyi 『LOST IN AMERICA』

サーキーはガーナにルーツを持つヴァージニアのラッパー。ザ・ルーツのブラック・ソートとリル・ウェインを足したようなスタイルのラッパーで、本作では生演奏と思しき音を多用したサウンドでそのラップを聴かせる。特にドラムがほぼ全曲で生々しい躍動感を放っており、主役の歌心と前のめりな勢いを持つラップを強力にバックアップ。タイトル曲などでの唾が耳に飛んできそうなパワフルなラップとドラムの絡みは一聴惚れを誘う格好良さだ。男声シンガーのエリック・ペンが歌う「THE HYPOCRITES PRAYER」、同じヴァージニアのラッパーのマッキンリー・ディクソンを迎えた「WITNESS」など客演陣との絡みも良い。

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