エレクトロ・スウィングを続けている人って実はあまりいないんです
――そして3枚のシングルを経て、遂にアルバム『FAKE LAND』をリリースするわけですけど、どうやって作っていたんですか。
トップハムハット狂:DYESが見つけた「エレクトロ・スウィング」と「トラップ」というスタイルを表現することが1つ。あとは、先ほども話しましたけど、物語性のある曲よりも自分の考えや思いを存分に吐き出したいのはありました。とはいえ、流石に全曲怒鳴り散らしてたら、そういう人間だと思われかねないので、綺麗な曲も1曲くらいあった方が良いかなぁって(笑)。
――綺麗な曲っていうのは、「はじまりの背中」ですね。
トップハムハット狂:そうですそうです。活動休止前に出した曲が「終わりの先」ってタイトルなんですよ。それの続編みたいな曲を作りたくて「はじまりの背中」にしたんですよね。
DYES:それ以外はめちゃめちゃ尖ってるよね(笑)。
トップハムハット狂:改めて完成したアルバムを聴くと、3年も休止してたから暴れたがっていたんだなと思いましたね。
――まあ、それだけ発散してるアルバムっていう。
トップハムハット狂:そうですね、はい。一応出し尽くせたかなって。
――曲順が前後してしまうんですけど、表題曲「FAKE LAND」はどうやって作ったんですか。
DYES:4つ打ちのエレクトロ・スウィングをめちゃめちゃ早回ししたような曲をFAKE TYPE.で作ったことがなかったので、変なBPMで作ってやろうと。
トップハムハット狂:BPM146という「誰が使うの!?」みたいなスピードで、ちょっとおちゃらけているような愉快で邪悪な曲調なんですよね。そもそもDYES が「遊園地みたいな曲が欲しい」と言ってたんですよ。そのことを覚えていたので、この曲調なら合いそうだなと思って。「FAKE LAND」というキーワードのもと「もしもFAKE TYPE.が遊園地を運営するとしたら、どんな世界観になるんだろう?」と模索した1曲ですね。個人的にアルバムの中では一番好きな曲ですね。
DYES:そうだね。今までのFAKE TYPE.の正統進化が表れているから、アルバム全体の軸となっている曲かもしれないですね。
――改めて思ったのが、FAKE TYPE.って「この音楽に、もろ影響を受けてるな」というのが見えないから面白いですよね。
DYES:誰のワナビーなんだろう?みたいなことですよね(笑)。まあでも、エレクトロ・スウィングは大事な要素になってますね。
――初歩的な質問なんですけど、エレクトロ・スウィングのスタイルって、どういう経緯で行き着いたんですか。
DYES:AOは綺麗めなラップをするときは「AO」、狂った感じのラップをするときは「トップハムハット狂」と名乗って、それぞれ使い分けているんです。そこで俺がAOをプロデュースするなら、トップハムハット狂の狂った部分を引き出したいなと考えました。当時はエレクトロ・スウィングが流行っているタイミングだったので、こういう曲調ならAOの音楽が映えるんじゃないかなと思って。そこから見様見真似でエレクトロ・スウィングの曲を作り始めました。……とはいえ『FAKE STYLE』を作ったら思った以上に反響が大きくて、その後もエレクトロ・スウィングを作っていかないといけない感があったんですよね(笑)。
――エレクトロ・スウィングが流行ったのって、2000年代始めとか?
DYES:そのぐらいですよね。最初にCaravan Palaceの「Suzy」という曲を聴いて「なんだ、このカッコいい音楽は!」と衝撃を受けたのが興味を持ったきっかけです。そこからSWINGROWERSとかTape Fiveとか聴いて……というかTape FiveはFAKE TYPE.の由来になったバンドなんですよ(笑)。いざ自分でも作ろうと思った時に、俺もAOもMovits!にハマってて「俺らもこういうのをやろうよ」と話したのを覚えてます。
――改めてエレクトロ・スウィングの魅力って、何だと思います?
DYES:分かりやすく盛り上がれるところかな。
トップハムハット狂:あと、大人も好きだと思う。
DYES:そうだね。エゴサーチをしてると5、60代の人も聴いてくれているのがわかったんですよ。だから年代を問わずに好まれる音楽なんだろうなって。
――今、ジャンルそのものはどうなってるんですか?盛り上がっているとか、やっている人が少ないとか。
DYES:大御所のアーティストさんたちでも、コンスタントにやっている人が少なくて。やっててもディープな方向に進んでいるので、従来のエレクトロ・スウィングを続けている人って実はあまりいないんですよね。なので俺たちがやっていけたらイイのかなって。
トップハムハット狂:渋くなりすぎないでね。
DYES:うん。みんな渋い方向へ行っちゃったので、俺らがちゃんと大きな層に届けられるようなエレクトロ・スウィングを作り続けたいです。
編集 : 片野妃茉里&西田健
FAKE TYPE.過去作もチェック!
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LIVE INFORMATION
FAKE LAND Release Tour
4月2日(金)愛知:名古屋クラブクワトロ OPEN/START:18:15/19:00
4月25日(日)大阪:梅田クラブクワトロ OPEN/START:17:15/18:00
4月27日(火)東京:渋谷クラブクワトロ OPEN/START:18:15/19:00
PROFILE
2013年8月東京にてMCのトップハムハット狂とTrackMakerのDYES IWASAKIで音楽ユニットFAKE TYPE.を結成。 自らニセ物を語るニセ者が作り上げたニセ物は、果たしてニセ物なのだろうか?キャッチーでメロディアスなトラックに、ポップかつトリッキーなラップでリスナーに問いかける。
【INFO】
■FAKE TYPE.オフィシャルHP
https://www.faketype.net/
■FAKE TYPE.オフィシャルTwitter
https://twitter.com/faketype?s=20
■トップハムハット狂Twitter
https://twitter.com/2z2z?s=20
■DYES IWASAKI Twitter
https://twitter.com/DYES_IWASAKI?s=20/