2025/06/06 19:10

irukanotane 『felt』

irukanotaneによるEP『felt』。ぬくもりを感じるフェルト・ピアノの音像にナースロボ_タイプTの声が乗った、irukanotaneの優しい音世界に包み込まれるようなエレクトロニカ作品になっています。ですが、3曲目の"nicgh9-"では上記の音像にブレイクビーツとガバキックが乗せられており、安らぎたい気持ちと荒ぶった心情が混ざり合ったような感覚を味わうことができます。6曲目の"took"でも終盤にグリッチとノイズが差し込まれ、壊れていくかのように終わる締め方も心地よい。フェルトのような質感のアンビエント / エレクトロニカが好きな方はもちろん、IDM / ブレイクコアなどが好きな方も必聴です。

BANDCAMPでの配信

V.A. 『iNsomNia』

Label :夜間同好会

〈夜間同好会〉による『iNsomNia』の配信が開始。楽曲名が時刻で統一されたこのコンピは"pm06:00"から"am06:45"まで各時間帯の心情や情景を描きながら進んでいきます。日没から日出まで、つまり深夜帯を軸に構成されていることは『iNsomunia』(=不眠症)というタイトルにも結びつきます。ですが、ただ陰鬱な風景を描くのではなく時折り光の差し込むような描写も描かれ、眠れない夜のお守りになるような作品になっています。サウンド面ではマス / ポストロックとエレクトロニカやダンス・ミュージックが交差していくようで心地良い。一つのコンセプト・アルバムとして各時間帯の情景に浸りながら聴いてほしい作品です。

daniwellP 『ゆるやかな存在』

Label :KARENT

"Nyan Cat"の作曲者としても広く知られるdaniwellPによる、花隈千冬を中心に小春六花、鏡音リンをフィーチャーしたEP。曲調は一聴しただけでdaniwellPによるものとわかる"らしさ"爆発の作風になっています。ですが表題曲の"ゆるやかな存在"は、アニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』を観終わった後にロックを作りたいと思い作り始めたとのことで、ギターの音色を使用したリフとロック寄りのミックスバランスによる音像が普段の作風と少し違う印象を与えてくれます。3,4,6曲目は意味を排除した歌詞とループによる構成で展開される"Nyan Cat"系譜の曲。こうやって長年自分らしさを捨てずにリリースを続けてくれるのはとてもありがたいですね。

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