2021/06/21 19:00

KAGAMI smile 『Ghost Dream』

イリノイ州出身、深圳在住アーティスト、Ryan Hillのソロ・プロジェクト。アンビエント・テクノな本作はUKアンダーグラウンドの重要カセットレーベル〈Opal Tapes〉からのリリース。全てのトラックにドローンが含まれていてじっくりと展開していき、シューゲイザーを思わせるファズがタイトルに忠実な音像を作りあげる。「Intangible Mirror」はノイズとドローンのみのミニマルな構成で、一方「Whisper In The Void」はローファイなテクノとなっている。中国のエクスペリメンタルミュージックが編纂された『Anthology Of Experimental Music From China』の周辺に位置づけられる作品。また彼は約1年ほど前からHKCR内の番組レジデントを任され、国内外のアンビエントを紹介するDJとしても活躍している。

Utena Kobayashi 「6 roads」

スティールパン奏者であり、エレクトロニカ・ユニットBlack BoboiやMIDI Provocateurとしても活動する小林うてな、ソロのニューアルバム。BPM、ビートの有無や密度の高低など自由に行き来し、クラシックの持つ荘厳ささえも感じさせる幻想的なエレクトロニック・ミュージック。絵本とともにリリースされ、昨年配信のEP3作品と本作が合わさって一つの物語となるコンセプチュアルな作品だ。楽曲のみでもRPGのようにファンタジックな物語が展開していく雰囲気があるのだが、絵本の場面と楽曲とが対応しているため合わせて鑑賞することで、それぞれの楽曲が表現するシーンが明確になるだろう。また仏教の六道輪廻の教えをベースとしつつも自身の哲学を反映させており、彼女が生み出した新たな宗教を提示しているかのようでもある。

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Rui Ho 「Horror Pop Barbie」

上海出身プロデューサー、Rui Ho。活動拠点はベルリンだがCovid-19の影響で2020年に中国に帰国。本作は中国のファッション・ブランドWindowsenのデザイナーSensen Liiとコラボし、上海ファッションウィーク2021AWのショーのために制作された。ショーのテーマ「Barbie and the Chinese Zodiac」にちなんでユーロポップの名曲「Barbie Girl」をサンプリングしたテクノ、レイヴ / ハードコアなトラックに、スポークンワードが入り交じった作品になっている。ホラー映画のキャラクターからインスピレーションを得たデザインに合わせて、悲鳴や笑い声もサンプリングしておりウィアードな雰囲気だ。また、2020年に〈Planet μ〉よりリリースしたLPからオートチューンをかけた自身の声を用いるようになっており、同時に、以前の作品にみられた東洋調の旋律や民族楽器の音色がぐんと減ったのは、Rui Hoの自己との向き合い方の変化を表出しているのかもしれない。

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