2021/08/18 16:00

Ground 「Ozunu」

2003年から大阪でDJ活動を始め、近年はヴードゥーホップ一派との交流などを経て国外でも積極的に活動するGround。自身のレーベルである〈Chill Mountain〉からの最新作は、大阪南部から南米のエレクトリック・フォルクローレを再解釈したような個性溢れる12曲を収録している。世界各地のハードな現場を生き抜いてきたDJだけあって、いずれの楽曲にもダンス・トラックとしての機能性が追求されているが、そこには混沌とした大阪ディープ・サウスの土着性も盛り込まれている。アクの強いダンス・トラックには、ここ20年間の関西アンダーグラウンド・クラブ・シーンが積み上げてきたものも確かに反映されている。ジャケットのアートワークを手がけているのは、シンガポール出身のレザ・ハスニ。「90年代のインターネットポップとクラブカルチャー、アジアのスピリチュアリズムのマッシュアップ」という彼のテーマは、Groundの音世界とも共通するものだろう。

Mamazu 「Rensou」

〈HOLE AND HOLLAND〉の中心メンバーとして東京のアンダーグラウンド・クラブ・シーンで長年活動してきたDJ/プロデューサー、Mamazu。ここ数年は海外での活動を活発化させており、ベルリンの〈シカ・シカ〉やブラジルの〈トロピカル・トゥイスタ〉などのレーベルから自身の音源およびリミックスを発表。〈HOLE AND HOLLAND〉からリリースされたEP『New Light』にニコラ・クルーズとラファエル・アラゴーンというシーンの顔役ふたりのリミックスが収録されていたように、北南米~ヨーロッパを超えて形成されるアンダーグラウンドなダンスミュージックのネットワークに(GROUNDやShhhhhと共に)加わっている日本人DJのひとりだ。本作は〈HOLE AND HOLLAND〉傘下に立ち上げた新レーベルからのEP。南米のフォルクローレをモチーフとするダンス・トラックを作ってきたインティチェとのコラボ曲「Yayay」、さまざまな民族的モチーフが散りばめられた「Rensou」というオリジナル2曲のほか、Akira Arasawa、ジュリアーノ・ゴメス、オーシャラという3組のリミックスを収録。いずれの楽曲にも架空の都市の部族性が立ち上がるかのような感覚があり、こうした楽曲が国籍を超えた形でリリースされるのも興味深い。

harikuyamaku 「島DUBPLATE for Tokyo 2021」

沖縄のダブ・ミキサー/クリエイター、harikuyamakuはディープなダブを駆使しながら沖縄民謡に新たな息吹きを吹き込む注目の人物である。これまでに2013年の『島DUB』など自身名義の作品リリースしているほか、CHURASHIMA NAVIGATORやODODOAFROBEATの音源にも参加。自身名義の2020年作『Subtropica』ではアンビエント調の音世界も展開し、CHOUJI&ネーネーズ「No Woman No Cry」のビートメイキングを手がけるなど、活動フィールドをぐんぐんと拡張させている。本作は2021年夏の東京でのパーティーに合わせて制作されたダブプレート集。普段の緻密な作品に比べると、重量級のワンドロップ・リディムにさまざまな沖縄民謡の歌声を散りばめた一筆書き的な音源集ではあるが、随所で強烈なダブワイズが炸裂する現場向けの作品ということもあって、かえって民謡の節回しのおもしろさやトラックのヘヴィーネスがくっきりと浮き上がる。沖縄民謡とダブのなんたるかを深く理解し、地道な作品作りを続けてきたharikuyamakuだからこそのディープな音世界が広がっている。

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