2026/06/19 18:00

浮 『私』

アコギやクラギでの弾き語りを行うソロ・アーティストは数多く存在するが、浮のアルバム『私』は、その中でも力強く美しい存在感を放っている。

浮が紡ぐ歌とギターには、どこか日本民謡に通じるような、私たちの潜在意識に直接語りかけてくる響きがあるように感じる。現代的で複雑なサウンドではなく、日本人が無意識のうちに心地よいと感じる「間」や「自然の匂い」のようなものを、アルバムとして作品にしているのが素敵に思える。

シンプルな弾き語りでありながら、日本人が歌う「歌」として、聴く人を深く落ち着かせてくれる。そんな世界観を、作品を通して13曲も聴けることがとても嬉しく感じるアルバム。

Shinichi Atobe 『Silent Way』

Shinichi Atobeの作品はいつも、確かにイヤホンで聴いているのに、聴き手から絶妙な距離をおいてパーソナルな静寂を持った音楽を鳴らしている。

『Silent Way』は一見するとミニマルで低体温な電子音楽に思えるが、無機質な音の背景に、常に有機的な動きをしている音がある。ビートが反復している部分も気づかないうちに変化し、シンプルではあるが聴き飽きない。

電子音に懐かしさや優しさを感じることの理由はわからないけれど、同作はそうさせられてしまうような気がする。人間の低体温な部分を優しい電子音で増幅させて感じることができるアルバム。


Orchid Mantis 『sincerity』

音楽はネガティブな感情に寄り添う道具になる。特にスロウコアというジャンルは、深く私に寄り添ってくれている気がする。

スロウコアというジャンルの中で多くのリリースがある中、あえてこの『sincerity』を選んだ理由は、タイトルの「誠実(sincerity)」にとても共感するから。同作は、作品を通して、本当に真摯で誠実なアルバムに感じる。

ドラムのリズムが前に出て楽曲を引っ張ることはなく、輪郭がぼやけたアンビエントな音像の深いところで、ため息をするように鳴っている。同作のドラムは、音楽に対して誠実に向き合っている優しさを感じる。

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