10秒で変えてしまう若者にも最後まで聴いてもらえるんじゃないかな
──まったく真逆なことしていますよね。最初、インスト曲? と思うくらい。あの長いイントロを冒頭にもってきたのも鳥居くんのディレクション?
鳥居:そうです。トーキング・ヘッズのライヴ映画『ストップ・メイキング・センス』(1984年)の“Crosseyed and Painless”みたいにだらっとジャムセッションを始めて、途中でテンポを一気にあげるみたいなことをしたかったんです。その場合、ジャムセッションが長ければ長いほど、テンポ上がったときに盛り上がる。
大垣:デモのときから(イントロは)この長さでした。
──“相席屋”というワードもイントロで溜めたからこそ光りそうです。
吉田:結果的にですけど、“相席屋に行きたい”というタイトルだと、インスト曲だと思わない。10秒で変えてしまう若者にも最後まで聴いてもらえるんじゃないかなと。
──たしかに(笑)。そして最後の“ギフテッド”は意味深な楽曲ですよね。
吉田:この曲は、普通に気に食わない文化エリートの目線というだけです。自分がそうなりたかったという気持ちもあるし。
山本:これは古き良き吉田マインド。
──でも、昔だったら笑い飛ばされるものだった歌詞が、説得力を持って妙に身につまされるなと思いました。アルバムとしてもそういう楽曲が揃った印象です。
大垣:いままではあんまり(歌詞に)現実感がないから気持ちが入ってなかったけど、今回は気持ちが入っている気がしますね。
吉田:前は哲学書とか読んで、脳がキレキレになった状態で書いていたんですけど、いまは寝起きとかに書いてます。
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──聴きやすくなんないまま、心に飛び込んでくる感じがすごく好きです。
大垣:踊りながら戸惑ってほしいですね。
──アルバムタイトルの『EXTRA』は、誰が決めたんですか?
鳥居:これは当時マネージャーだった増本さんが考えてくれました。
──そうだったんですね、それも7年かかったが故というか(笑)。
鳥居:最初は『BONUS STAGE』っていうタイトルがいいなって思っていたんですけど。
山本:『FIRE』で1回終わって、「その後」というイメージ。
鳥居:2018年くらいに、バンドやっていても面白くないよねみたいなモードになったことがあって、みんなで高田馬場のBIGBOXの上で昼から飲んでいたことがあったんです。1回バンド休むか、みたいな話になって。
吉田:僕が、「しばらく休まない?」って言ったんです。最初は真面目に聞いてくれていたんですけど、いつの間にか「吉田がまた変なこと言ってるよ」みたいな雰囲気になってきて。
山本:「休みたいっていうほど、そんなガンガンやってないだろ」って(笑)。
──つまり1回バンド活動を休止するつもりだったから、次は『BONUS STAGE』にしたかったと。でも『EXTRA』も近い意味ですよね。
鳥居:『BONUS STAGE』を踏まえて考えてくれました。
──個人的には、『EXTRA』はボーナスステージという意味合いより、ひとつ脇道にそれたアルバムで、次に続くきっかけをくれる意味なのかなと解釈していました。
鳥居:そういうニュアンスも、含まれていると思います。
──そして、『EXTRA』というタイトルにちなんで、各メンバー秘蔵の余計な私物をプレゼントしてくださるそうで。今日は持ってきていただきましたかね。
吉田:僕はマグカップです。カラオケ屋のキャラみたいなものが描かれています。
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鳥居:ビートルズのリボルバーのジャケ図柄が入った時計です。うるさすぎて使えない(笑)。
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大垣:実際使っていたの?
鳥居:1日だけ。
山本:僕はバンド漫画を集めるのが好きで。岡田ユキオの名作『THE 13TH STREET レィディオクラブ』を。ずっと1巻だけしか見つからなかったんですが、後々Amazonで全巻セット買ったので、1巻が余りました。
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大垣:僕は、バリ島で買った灰皿です。去年新婚旅行で行きまして。初めての海外だったので、お土産を買いすぎちゃったんです。だから余った灰皿をこの機会に......。吸わない人はアクセサリー置きにでもどうぞ。
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──ありがとうございます。最後に言っておきたいことはありますか?
鳥居:お待たせしてしまって申し訳ありませんでした。
吉田:いいアルバムになったと思うので、今までよりは自信をもって聴いてくださいと言えます。
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編集 : 高木理太、草鹿立
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DISCOGRAPHY
LIVE SCHEDULE
アルティメットパーティー11
2024年8月19日(月)@渋谷クラブクアトロ
OPEN 18:30 / START 19:30
前売¥4500 / 当日¥5000 (別途ドリンク代¥600)
Under 19 (要ID) TICKET FREE (別途ドリンク代¥600)
PROFILE
トリプルファイヤー
![](https://imgs.ototoy.jp/feature/image.php/2024073101/main_A.jpg?width=1200)
吉田靖直(vocal) / 鳥居真道(guitar) / 山本慶幸(bass) / 大垣翔(drums)
2006年結成、2010年に現在の編成となる。2012年5月「エキサイティングフラッシュ」2014年2月「スキルアップ」2015年9月「エピタフ」2017年11月「FIRE」を発表する。2024年には7年ぶりとなる5th AL「EXTRA」をリリース予定。
アルバムは全くリリースされなかったが勢力的なライブ活動は続けており、温かいお客さんに見守られ人気がある。
近年はポスト・パンクやロックからも逸脱し、ファンク、ブラジル、アフロビートなどなどさまざまな音楽を吸収した摩訶不思議でかっこいいサウンドに加え、おかしくも、聞き手になにか熱い想いを届け、家路につかせる吉田の歌詞とフロウでより病みつき成分が増している。
昔よりもすこし歌っているのも"グッとポイント"である。
メンバーはみな性格が良く、友達が多い。
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