「こうやって、こうやって、ダッダッ、ダダスパッパパン!」
──ドラムがすごく表情豊かだなと思いました。
島津:ありがとうございます。川本は音楽理論というより直感で曲を作るタイプなので、僕もあまり考え込みすぎず、インスピレーションが湧いたものを形にしたいなと思っています。経験上、考えすぎちゃうとかえって良いものができないことが多いんですよ。
川本:一応、「この曲はドラムをフィーチャーしたい」といったことは考えていますね。
──制作はどう進めるんですか? すべて川本さんの曲ですが、デモを作って聴かせたり?
川本:デモはないです。僕の頭の中でできたものをちょっとメモしてベース(春香)に渡して、ギター(清水)とドラム(島津)には口伝ですね。「こうやって、こうやって、ダッダッ、ダダスパッパパン!」みたいな(笑)。
清水:自分はもう、ネガティヴな意味じゃなく、本当に言われたまま弾いてるだけなんです(笑)。ちなみに、今回のアルバムの音源は、僕と春香が参加する前に録ったものなんですよ(清水は2023年に加入)。いま作ってるアルバムには参加してますけど。
──じゃ、『兎に角』に入っているのは……。
清水:川本、島津、前任のベースです。
──録音自体もちょっと前なんですか?
清水:そうですね。僕が参加したのはいま録ってる音源からですけど、制作のプロセスは一緒です。聴いて、覚えて、弾く。川本のなかでギター・パートまで出来上がってるんですよ。だから僕の持ち味を前面に出すというより、川本の作った世界を再現する感じに近いですね。エゴはあまりないです。細かい弾き方やキレみたいな部分で自分らしさが出ればいいな、という程度で、「俺がこのアレンジを」みたいな感覚はないですね。

──『兎に角』は3人で録った音で、いまの4人での音源は制作中と。それはぜひ聴きたいですね。
川本:9月にまた3曲録って、来年、2枚めを出す予定です。今回と同じく、小泉由香さんのオレンジ・スタジオでマスタリングしてもらって。
──いま作っているアルバムは最近の曲ですか? それともむかしの?
川本:それもむかしのやつです。けっこうストックがあって。
──何曲ぐらいあるんですか?
川本:えーっと、今回1枚出して、来年2枚めを出して……4枚めぐらいまではいけますね。
──じゃあ40曲ぐらいはあるんですね。……春香さんがめちゃくちゃ笑っていらっしゃいますけど、どうしました?
春香:毎月1回スタジオに入って、だいたい5時間ぐらいみっちりやるんですけど、川本さん、毎回新しい曲を1曲ずつ持ってくるんですよ。早くて早くて、ペースが。「40曲か……」と思ってました(笑)。
──その40曲のなかには春香さんが知らない曲もあると。
春香:もちろん、もちろん。私が最初にいただいた音源は『兎に角』に入ってるいくつかの曲でしたし、今はこのアルバムと次のアルバムの曲を練習してるところなので、たぶん40曲中30曲ぐらい知らないんじゃないかと思います(笑)。
──歌のハーモニーも面白かったですが、あれも前の3人で?
川本:あれはレコーディング・スタジオでシュガーフィールズの原(朋信)さんが、僕の声をもとにハモりを生成してくれてるんです。ライヴのときはハモりがかかるエフェクターを僕が踏んでるんですけど、その雰囲気を再現したくて原さんに頼みました。なので、生で聴けるハモりとはちょっと違いますね。
──ライヴでは他のメンバーがハモることはない?
川本:ないです。あえてそうしてるとこもあって、他の人がハモったら普通のバンドじゃないですか。普通のことならもっとうまくやる人がいるんで、あえてテクノロジーに振ることで、B級でチープだけど妙に目立つ、みたいな方向を狙っています。
──他の3人は、彼の曲についてどんな印象がありますか?
清水:僕は実はオルタナティヴ・ロックをちゃんと通っていなくて、世代的にはど真ん中なんですけど、むしろちょっと距離を置いていたくらいなんですよ(笑)。でも川本の曲は、むかしからわりと好きでした。音楽性がどうこうというより、「誘われたし、仲もいいし、曲も好きだし、じゃあやろうかな」という感じですね。島津はどう?
島津:付き合いも長いですし、ずっと川本のオリジナル曲をやってきたので、新しい曲を持ってくるたびに「らしいな」というか、すごい独特なものを感じますね。ドラムに関して細かい指示をされることはほとんどないんですけど、彼のなかでちゃんと鳴ってるんでしょうね。それを口頭で伝えられて、こちらで形にしていくのが面白いですね。

春香:川本さんの曲って、すごくいい意味で依存性があると思うんです。ずっとこのへん(頭のななめ上あたり)に残っているというか、つい口ずさんじゃうような、ある種の中毒性がある。
スタジオに毎回新曲を持ってきて、口頭で「ズクダン、ズクダン」みたいに口で説明するんですよ(笑)。それを本当に叩いちゃう島津さんがいて、「そうそう、そんな感じ」みたいな阿吽の呼吸を第三者目線で見てるのもけっこう好きで、「面白い人たちだな」と思っています。
──それができちゃうのは長年の付き合いの賜物ですかね。
島津:あるんでしょうね、何か共通してるものが。聴いてきた音楽が完全に同じというわけではないんですけど、根底に流れるビートのパターンとかを共有してるのかもしれないです。僕も実はそんなにオルタナは通ってなくて、どちらかというとメロコアから入って、そこからエモコアに派生して、だんだんディープな音楽を聴くようになったんですけど。

















































































































