ディストーションを踏まない、独自のダイナミクスの生み出し方
──この流れで聞いちゃいますが、川本さんが好きなバンドは?
川本:ギターを弾き始めたきっかけはニルヴァーナですね。めちゃくちゃやるじゃないですか、カート・コバーンが。それを見て「だったら俺もやりたいな」っていう感じです。でも実際に自分たちがやってる音楽はグランジじゃなくて、わりとポスト・パンク寄りなんですよ。ジョイ・ディヴィジョンとか、ストーン・ローゼズ、ポリス、ピクシーズ、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインとか、そこらへんの雰囲気。
──ニルヴァーナは好きだけど、音楽性をそのままフォローするわけではない。
川本:そうですね。サビでディストーションを踏むじゃないですか。あれ、実際に自分がやる立場になったら「うるさいな」って(笑)。パワー・コードばっかり弾いてるのもなんか違うなと思ったし、聴くのは好きなんですけど、自分がやるなら別のことやるわ、という感じですね。
──別のことというのは……。
川本:ニルヴァーナから遡っていったんですよ。ライナーノーツを読んだりして。で、ソニック・ユースとかダイナソー・ジュニアとかペイヴメントに行き着いて、サビで毎回ディストーションとかファズを踏まなくてもダイナミクスを出せる方法があるんだなと思ったんです。今やっているのは、どちらかというとそっちですね。
ニルヴァーナの『Unplugged』を聴くと、「Smells Like Teen Spirit」をやってないんですよ。かなりディストーションに頼ってる曲だから、アコースティックになると、間抜けな感じになるのでやらなかったというのを聞いて「この方法は限界があるな」と(笑)。だったら音色に頼るより演奏でダイナミクスを作るほうが、自分には合っているなと。
──いま挙げたバンドの中で、僕がいちばんくぎ式との共通点を感じたのがペイヴメントでした。
川本:ああ、「意外とポップだな」っていうところですかね。
島津:僕は、川本のメロディの良さはかなり大きいと思いますよ。
川本:メロディ、ちゃんとあるよね。
島津:あるし、人を惹きつける感じがある。さっき春香も言ってたように、耳に残るようなメロディというか、ちゃんとポップさがあるんですよね。そこがいいところだと思います。
──ポップさは僕も聴いていてすごく感じました。
川本:一応、「ヘンテコ・ポップ」って自分たちで呼んでますからね。
──これまではライヴより音源制作に力を入れてこられたと思いますが、4人組になって、これからライヴもどんどんやっていこうと?
川本:そうですね。実はついさっき、とあるライヴハウスから出演オファーの連絡が来たんですよ。8月23日。メンバー、どうなの?
清水、島津、春香:(口々に)いま初めて聞いた(笑)。
川本:だって本当にさっき連絡が来たんだもん。日曜日のお昼だから清水さんも来れるんじゃない?
春香:私はスケジュール大丈夫です。
島津:俺も。
清水:俺も大丈夫だな。
川本:じゃあ出ますか。出ましょう。決まりました(笑)。
──インタビュー中にライヴが決まったのは初めてですよ。
春香:しかも初ライヴですから。
──あ、4人での初ライヴになるんですか?
春香:4人どころじゃないです。くぎ式として初ですよね。
川本:そうですね。3人のときはやったことなかったんで。
──じゃあ本当に初ライヴじゃないですか。それはぜひ記事で宣伝しましょう。これは愚問の部類ですが、『兎に角』のなかで特に「自分たちらしい」と思う曲、あるいは気に入っている曲はどれですか?
川本:メンバーによって違うと思いますけど、自分たちらしいという意味では“歯軋り” かな。
島津:自分も “歯軋り” ですかね。
春香:私も最初に送ってもらった音源で気に入ったのが “歯軋り” でした。
清水:俺は “有耶無耶” です。
──僕はちなみに “各駅停車” が好きです。初めて聴いたとき笑いました。
川本:おー。いいですよね、あの意味のなさが(笑)。「何言ってんの? この人。何も言ってないじゃん」みたいな。
──意味のないものが世の中には足りないと思うので、くぎ式のご活躍に期待しています。最後に、みなさんから言っておきたいことはありますか。
川本:来年の春前、寒い時期にはセカンド・アルバムを出しますんで、よろしくお願いします。

編集 : 石川幸穂
40曲あまりのストックから厳選された9曲を収録。
くぎ式の初手にして、今後の展開を期待させる一作
LIVE INFORMATION
くぎ式の初ライブが決定!

2026年8月23日(日)
下北沢LIVEHOLICK『GOODDAY』
出演:
サンサロサンセット
がつぽんず
Dolly Varden
くぎ式
12:00open 12:15start
ADV2,000 / DOOR2,500(+1Drink)
※各アーティストにて取り置き予約受付中
PROFILE
2019年9月結成、逗子発のローファイ・オルタナティブロックバンド。 90年代USオルタナ/ポストパンクに影響を受けたギターサウンドに、日本語詞による独特なポップネスを融合。 ノイズとメロディ、静寂と爆発を行き来する“ヘンテコポップ”を鳴らす4人組。 女性ベースを含む編成も特徴。楽曲では“意味”や“メッセージ性”を過度に重視せず、日常の些細な出来事や、どうでもいいような感情をそのまま切り取るスタンスを貫いている。 「子供達が何気なく歌う鼻歌のような、純粋な歌」を理想に掲げ、洋楽的な感覚をベースにした自由な表現を追求している。
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