6月1日、キセルが念願の日比谷野外大音楽堂でワンマン・ライヴを開催することを祝して、その日をもっと楽しみにしてもらえるようなことができないかと思い、OTOTOYが考えたのがこの企画。

その名も『お風呂でキセル』!

お風呂の天然リヴァーブのなかで響く、キセルの伸びやかな歌声とハーモニー。それをOTOTOYが今年2月に解禁した5.6MHzのDSD でネイティヴ録音&ネイティヴ・ミックスを行い、まるでそこにいるかのような体験をしてもらいたいと思いました。

左からエンジニアの奥田泰次、辻村豪文、辻村友晴、みなと湯の物井宏介

DSDってなんだろう? という人でも、「お風呂」というキーワードには思わず「おっ」となった人が多いはず。それはきっと誰もが一度はお風呂のなかで歌う、あの響きの気持ちよさを知っているからだろう。何度も思ったのは、キセルの音楽はその場の空気に織りまざってともに響きとして感じることが、とっても似合うということ。結果として日比谷野外音楽堂という野外での演奏を楽しみにするものにもなったのは本当によかった。

録音した音源は、OTOTOYと6月1日の日比谷野外大音楽堂のワンマン・ライヴでの会場限定販売となる。さらに内容が少し異なることに注目だ。OTOTOYでは「春」「夕焼け」「庭の木」の3曲のDSD音源に加え、銭湯での録音風景の写真をまとめた歌詞入りブックレット付きで配信。野音では「春」「おなじみの短い手紙」「庭の木」の3曲に加え、本来使われないはずだった「ペラ子の唄」がボーナス・トラックとして入ったCDが、6月1日のみ会場限定発売される。これを逃したらもう手に入らない貴重な音源だ。ぜひ野音に足を運んで買っていただきたい!

>>ワンマン・ライヴ「野音でキセル」の詳細レポートはこちら<<

今回、特集ページでは銭湯で行った録音の現場レポートに加え、キセルの2人に野音ワンマンと銭湯でのDSDネイティヴ録音についての話を伺ったインタビューをお届けします。音源とあわせて場の空気感をお楽しみください。

OTOTOYでは収録曲が異なる超高音質音源を配信!


キセル / KICELL EP in みなと湯(5.6MHz DSD+HQD ver.)

【配信形態】
DSD 5.6MHz+HQD(24bit/48kHzのwav) まとめ購入のみ 800円
※銭湯での録音風景の写真をまとめた歌詞入りブックレット付き

【Track List】
1. 春 (作詞 : 辻村豪文 作曲 : 辻村豪文)
2. 夕焼け (作詞 : 吉野弘 作曲 : 高田渡)
3. 庭の木 (作詞 : 辻村豪文 作曲 : 辻村友晴)

Recorded & Mixed by 奥田泰次(studio MSR)
Recorded at 横浜 みなと湯
Mixed at studio MSR
みなと湯

Mastered by 木村健太郎
Mastered at kimken studio
Clarity operator 大澤康祐(G-ROKS)

All photos by 雨宮透貴
Logo Design by ステンスキ

Produced by OTOTOY & カクバリズム
OTOTOY 飯田仁一郎、櫻井希、梶山春菜子
カクバリズム 角張渉、藤田塁

Special Thanks to 物井家

Supported by KORG INC.


>>DSDの聴き方はこちら

※本パッケージには楽曲のDSFファイルとDPPファイル、全曲のHQD(24bit/48kHzのwav)トラック、ブックレット(PDFファイル)が同梱されております。
DSDの再生環境がない場合も、HQD(24bit/48kHzのwav)の高音質でお聴きいただけます。

※5.6MHz DSDの音源は、ご使用の再生環境によっては再生できない可能性もありますので、ご購入の前にご確認ください。
※DSD DISCでお聴きになる場合は、DSD(2.8MHz)にダウン・コンバートしてご使用ください。

※ダウンロードしたファイルに不備や不明点がありましたら、info(at)ototoy.jpまでお問い合わせください。

6月1日(土)@日比谷野外大音楽堂ワンマン・ライヴ 「野音でキセル」


6月1日(土)@日比谷野外大音楽堂
OPEN / START
16:45 / 17:30

TICKET
前売 4,500円 (自由席/整理番号付)
※雨天決行 ※入場者特典有り!

3月9日(土)〜各プレイガイドにて発売中!
・ぴあ(P : 192-888)
・ローソン(L : 78841)
・e+
・岩盤


日比谷野外大音楽堂ワンマン・ライヴ 会場限定販売!!
『KICELL EP in みなと湯』

【Track List】
1. 春 (作詞 : 辻村豪文 作曲 : 辻村豪文)
2. おなじみの短い手紙 (作詞 : Langston Hughes 訳詞 : 木島始 作曲 : Herbert kingsley)
3. 庭の木 (作詞 : 辻村豪文 作曲 : 辻村友晴)
4. ペラ子の唄(ボーナス・トラック) (作詞 : 辻村豪文 作曲 : 辻村友晴)

>>野音ワンマンに対するキセルと角張社長のコメントをチェック!!

誰もが「いいなあ」とつぶやいた : お風呂でDSDネイティヴ録音 現場レポート

DSDは「音質が…」ということ以上に、この場で起こった言葉にしづらい体感を「このまま誰かに伝えたい!」と興奮した人がつくったのではないかと、のんびりとした銭湯のなか、そんなふうに思いました。この音を誰かに聴いてもらえるそんな文化の発展に万歳です。

録音は行われたのは、雨がパラパラと降りつつも暖かい陽気の5月初旬。今回このためにお借りした銭湯は、横浜にある「みなと湯」さん。なんと昭和35年に建設以降、一度も建て替えられていない歴史ある建物だ。

大浴場は水色の壁に、淡いピンク色のタイル。女湯には西洋画のような絵が、男湯には鷲の絵が細かなタイルで描かれている。

宮大工によって総ヒノキ造りで建てられたというこの建物は、まさに神社のような三角屋根だ。女湯と男湯は高い壁で区切られているが天井部分は吹き抜けになっており、人の声も、真裏に通る電車の音も、そして外で鳴く鳥の声も、高い天井の上へ上へと伸びて建物全体に広がるように響いていく。

銭湯に似合わないゴツい機材が運ばれ、着々と準備が進むうちに、いつのまにか雨は上がりぴかぴかの晴天に。なんだか今日がうまくいきそうな予感を覚えたころ、リハーサルがはじまった。

大浴場のドアを閉めて脱衣所から様子を見守っていたところ、「中と外じゃ全っ然音が違うから中に入ってきな!」と興奮を隠せないOTOTOYスタッフに促され浴場の中へ。入ってすぐにその興奮を理解して、しかしなんだかしばらく惚けてしまった。ぶわあああっと広がる音の振動のなかにぽーんと放りこまれたような、それこそ湯気に包み込まれたかのように音が響く。なのに、ぐっと自分のなかに入ってくる。今まで体験したことのない気持ちよさだったのだ。

まず演奏されたのは2ndアルバム『近未来』に収録された、この季節ぴったりの「春」。ピアニカの音とともにふんわりと溶けていく。2曲目、3曲目はフォーク・シンガー高田渡の楽曲から「おなじみの短い手紙」と「夕焼け」。この「夕焼け」は電車に乗った少女の歌なのですぐ裏を走る電車の音が聞こえるのがまたいい。4曲目は長いイントロが印象的な「庭の木」(4thアルバム『旅』収録)。このイントロから2人のデュオへと展開しコーラスへと流れていくうつくしさは本当に必聴だ。そして最後に演奏したのが野音ワンマンで販売されるCDのボーナス・トラックとなった「ペラ子の唄」(7th single『君と旅』収録)。「ペーラペラペラペラペー」と思わず一緒にくちずさんでしまいそうな陽気さは、もしかしたら1番銭湯っぽいのかもしれない。

そうして録音のあいだ、聴いている誰もが「いやー、本当にいいなあ」と、何度も何度も口にしてしまうほどのうれしいできあがりとなった。いや、録音の間だけではない。ミックスからマスタリングの間も何度もその良さをみんな口にしていた。そしてマスタリング中、「うおっ、本当にすぐそこで歌ってるみたいだな」と言った角張社長の言葉が印象的だった。広々とした大浴場のなかですぐそこで2人が歌っている。それをぜひ一緒に体感してもらいたい。(text by 梶山春菜子)

INTERVIEW : キセル

インタビュー : 飯田仁一郎(OTOTOY編集長 / Limited Express (Has gone?))

どんどん変わって夜になってく、そのなかで聴く演奏ってちょっと格別な感じがある

――6月1日の日比谷野外大音楽堂ワンマン。おめでとうございます。いまはどんな気持ちですか?

辻村豪文 (Vo, G, Key) : むちゃくちゃ楽しみやけど、ちょっとびびってるとこもあります。10年ぐらい前から野音でワンマンやれたらいいなみたいな話はしてて。

――野音になにか思い入れがあるんですか?

豪文 : 京都にいるときは全然知らなかったんですけど、こっちに来てから人のライヴとかイベントとか観にいくことが何回かあって。野音って外で、自由に酒飲んだりしながら、だいたい夕暮れ前からやってライヴ中に時間がどんどん変わって夜になってく、そのなかで聴く演奏ってちょっと格別な感じがあるなあと思って。自分的にはお客さんとして観にいってて毎回楽しいから、キセルもあうんじゃないかなっていう、妄想が。

――妄想が(笑)。

豪文 : ビクターにいるときに「目標とかないの?」って言われて、そのときぱっと思ったのが野音だったんですよね。キセルって座って観たい人が結構多いと思うんですよ。でも完全にみんな座ってもらうのばっかりやるのもあれだし、踊りたい人もいるはいるから。野音やと座っても見れるし、自由で、それがワンマンでできる場所って最初に思ったのは野音で。

――今回の野音はどんなライヴにするつもりですか?

豪文 : 今回はわりとベスト的な。お客さんが、キセルのライヴめっちゃひさしぶりみたいな人だったり、はじめての人も多そうやから、内容はキセルの代表曲というか、わりと鉄板な感じの曲でやろうかなと思ってます。


キセル「ビューティフルデイ」

――今回のメンバーは?

豪文 : いつものエマさん(エマーソン北村)と、ドラムでLAKEってバンドの北山ゆう子さん。あとがっつり一緒にやるのは今回はじめてなのがグッドラックヘイワの野村卓史とCINEMA dub MONKSの曽我大穂くんですね。

――じゃあこの4人+キセルで6人編成ですか。

豪文 : そうですね。最大で。

こういうことをキセルでやりたいってなったときに表現できる力がほしい

――ではちょっと話は変わりますが、13周年というのはどんな重さですか?

豪文 : う~ん。あんまり…。ああ、でもちょっとやばいな、みたいな気分はあります。

――やばいな? それは具体的にどういうことですか。

豪文 : ビクターを離れたときもそんなに焦ったりしなかったんですけど。年齢的なものもあるのか、自分らが思ってたところよりもまだ遠いというか、もうちょっといっとかなあかんのちゃうか、みたいな。音源やライヴも、いろんなことを含めて。状況がすごい変わったり、悪くなったりしてるわけではないんですけど。

――それは作品とか、自分の能力としてですか?

豪文 : 基本的にはそうです。13年やってるけど、「まだ足りひんなあ」みたいな。ここ1、2年で掴まなあかんことがあるんちゃうかな、って。

――それは音楽的に、っていう意味ですか?

豪文 : 音楽的にっていうか、このままやっていくとして、長く続けたいって考えたときに、能力的な部分もそうやし、キセルとしても自分としても、コアにあるものとか、なるものっていうのを、もうちょっと固めておかんとなあ、みたいな。13年もやってて(笑)。ここ3、4年、ベスト盤っぽいのを出したりとか振り返ることが多くて、野音もずっとやりたいって言ってて今回やれるから、「あれ、終わってまう」って(笑)。そんなつもりは全然ないんですけど。

――そのあたり、友晴さんはどうですか?

辻村友晴 (Vo, B) : 焦るっていうか…。自分らの世界観っていうのは良くも悪くもこの2人でやってる限り大きな変化はないと思ってて。技術面の話をしてましたけど、こういうことをキセルでやりたいってなったときに表現できる力がほしいから、練習したりとかいろんな音楽聴いたりとか、そういう普通のことになっちゃうんですけどね。

豪文 : でもそれが1番大事なところやんね。

――やっぱりそこに帰するものですか。練習と、聴くのと。長くやってると浮気したくなるじゃないですか? マンネリ化するっていったらあれですけど、ある程度までいくとどの曲作っても80点で、120点の曲が作れないみたいな。

豪文 : それは思ってて、いまでも良くも悪くも天然でつくってる部分が多くて。「これでもう完璧」みたいのがあんまりないんですよ。「いつもいけてるかな~?」って。でも前よりは進んでるって自分ら的には思える部分があるから、飽きるっていうのはあんまないですけど。

――つまり進むというのは、感覚的な、良い曲になるってことですかね。

豪文 : そうですね。自分らが思ってる「これはええんちゃう?」っていう。

友晴 : 5年前に録ってたら、それはそのとき自分らにあってたものとして良いと思って出してるから、それはいいんですけど。例えば聴く音楽もちょっとずつ変わったし、普段思ったりしたことが、ようやく3、4年後とかにみんな固まってきて演奏やアレンジに出せるようになったなって、最近思いますね。

――風呂(でのレコーディング)のときはそれを感じましたね。

友晴 : 僕も今回やった曲とかも、もちろん当時やったときはその曲つくって、アレンジも考えてやってみてすごく納得して、良いのが録れたと思ってるんですけど。また今やってみると、曲もちょっと違って聴こえるし、歌詞も伝わり方がもっとストレートに聴こえてくるっていうか。それが良いか悪いかはわかんないんですけど。表現としてはすごいわかりやすくなってて「おお~!」と思いましたね。

真面目に聞こえるかもしれないんですけど、いいものつくりたいです。

――以前、曽我部さんが「3枚目からミュージシャンだ」って言ってたのがものすごく印象的で。1枚目は刺激だけでつくれる。2枚目はそれの完成系としてつくれる。で、全部を1回出したあとからが勝負なんだって言ってるんですよ。で、実際にやれることとかが見えてしまってから、そこからどう更新していくかっていうのがありますよね。ある年配のバンドのインタヴューを読んでたら、私たちはもう外からの刺激をやめたって言ってたんですね。なるほど… でも外からの刺激をやめてしまうっていうのはどうなんだろうみたいなのもちょっと思ったりしました。

友晴 : そういう時期が来たりとかもね。長年やってるとあるんだろうなあ。

――そんなときにキセルが次やろうとしたことはなんなのかなと思って。それが結局練習って言われると、すごい勇気づけられるなって。

豪文 : でも壁みたいなのがあるんすけどね。その場合外からの刺激とかで急に風通しが自分のなかで良くなってうまくいくときと、逆に煮詰まるなあっていうときがある気はしますね…。人にもよると思いますけど。

――でもクリエイティヴってそういうもんですよね。

友晴 : 特に僕とか知識がなさすぎるから、新鮮なものが多いですよね。

――でももうミュージシャンやって長いじゃないですか(笑)。

友晴 : 長いけど。普通の人ほど、情報っていうか音楽雑誌読んで新譜チェックするとかはしてないし、機材とかも身の回りの人が使ってる良いやつを取り入れるとか。単純にレコード屋さん行ってジャケ買いしてよかったのをずっと聴いてたりとか。偏ってる良さっていうのはあるとは思うんですけど。

――いま、友晴さんにとって刺激っていうとなんですか? レコ屋とか、身近な人?

友晴 : そうですね。外の刺激って人と話してはっとすることやったり、レコードやったり。

――豪文さんは何に刺激を受けますか?

豪文 : 聴いてなかった音楽を聴くだけでもそうですし、人のライヴとかもそうですし。あとなんとなく自分のなかで避けてたりとか、曲で「こういうことはやらんとこー」と思ってることを、年を取ってくると感じ方とかが変わってきたりするところもあるじゃないですか。音楽の趣味とかも。前は全然わからへんかったけど、あれ、なんか良いんじゃないかなあみたいな。

――例えばどんなの?

豪文 : ソウルとかボサノヴァとかのジャンルにくくられる人とかでみんな良いっていうアルバムを持ってたりするんですけど、「持っとかなあかんのかな」ぐらいであんまり聴いてなかった(笑)。そういうのがいまになってハマるとか。刺激とはまた違うかもしれないんですけど地味に変わっていくことは変わってく。それは自分的には新鮮じゃないですか。わからなかったことの良さがわかるっていうのは。長くやってないとなかったことだと思うんですけど。

――13年経ってまだ音楽に刺激を得るっていうのは幸せなことが気がしますね。アップデートというのは30歳越えた人たちにとってのスーパー・テーマじゃないですか。

豪文 : ねえ。どんどん地味なアップデートになってく(笑)。はたから見てもいっさいわからないみたいな。

――状況的にキセルは自分たちの立ち位置とか、もっと貪欲に売れたいっていうのはありますか?

豪文 : 真面目に聞こえるかもしれないんですけど、いいものつくりたいです。でも「いいものってなんなん?」といったらやっぱり自分らが心底いいと思うしかなくて。あと昔からなんですけど身近な人の評判が1番で、そこから先は結果というか。たくさんの人に聴いてほしいっていう気持ちは大切やと思うんですけど、核の、友だちの「これいいやん!」みたいのを置いて、売れたい、作戦立てて売れたいみたいのは向いてなくて。

――ですよね。

友晴 : ですよね(笑)。

――なんかすごい安心したというか(笑)。

豪文 : いや、でもおもんないなあと思うんですけどね、はたから見ると。

友晴 : しっかり練習というか、渋みみたいなのを築き上げてはいきたいんですけど、でもフレッシュさみたいなものも絶対ありつづけたい。僕も陥りがちなんですけど、そういうおもんなくなってしまうときとか、兄さんに聴かしたときに「普通やな」とか「勢いないね」とか。僕的にはコードとか、ちょっと覚えたてのを入れてなんか良い感じにできたと思って聴かしたら「おもんない」って。だから自然にそういうのが入って、しかも勢いがある、フレッシュさがあることが、なんか生き残るなあみたいな。

――フレッシュさってほんとむずかしいですよね。「おもろい」「おもんない」とかは兄弟同士で逆もあるんですか?

友晴 : ありますね。「おもんない」とか、「さむい」とか。でもそのさむいっていうのは兄さんがさむいことを避けてたのをやるようになって。

豪文 : え、さむいのしてる?

友晴 : いや、どフォークみたいのつくってきたときに、これキセルではどうなんやろ? みたいなとか。で、説得されて、あと多数決とか。

――多数決にならないじゃないですか(笑)。

友晴 : スタッフの人とか(笑)。

よりシチュエーションとか音の良さみたいのをちゃんと選んで録った良さ

――大変ですよね。2人でやるの。

友晴 : でもやっぱり信頼してる人に良いって言ってもらえるんやったら、まあそのほうがいいんかな、みたいな。音楽のフレッシュさとかは自分らでつくったりとかして、見え方とかは角張くんとかがいるから、もちろん自分らでも考えなきゃいけないことだけど、角張くんがこういうふうに見せようぜとか言ってくれるのはすごい重要な役割ですね。

――どうなんですか? 角張大先生は?

友晴 : 大先生(笑)。いやなんか忙しそうですね。

豪文 : ちょっと忙しすぎるかもしれない。経理もやってるし(笑)。

――キセルとカクバリズムはうまくいってます?

豪文 : うん。でも角張さんは大変なんじゃないかなあ、キセル。のんびりすぎて(笑)。

友晴 : 付き合ってもらってるかもね。

――今回は角張さんも一緒に来てくれましたね。風呂で録音してみてどうでした?

豪文 : 楽しかったです。気持ちよかった。

友晴 : 気持ちよかったー。

豪文 : カセットで録っても、銭湯は銭湯だと思うんですけど、DSDのあの感じは独特で。俺らは音を録るっていうのは、もともとカセットとかで録る音が好み、っていうのがあるんですよね。録音技術が発達して良くなってそのまま撮れるのが良し、みたいな部分って、結局ライヴのほうがいいんじゃない? みたいな考え方がちょっとあって。例えばライヴ盤とかやったらきれいに録るよりも、カセットとかで録ったほうがライヴ感ある気がするし、録って聴くってやっぱ違うもんだと思ってて。でも今回DSDで録ってみておもしろかったですね。そのまま録れるっていうのがウリだと思うんですけど。ほんまに奥行き加減とかが、聴いたことない感じで、ああいうふうな場所で録るとか、特殊な場所で録ったりするときとかは特にいいんじゃないかなあって。

――それはエンジニアの奥田泰次さんもこだわってて。最初、普通のスタジオで録りたいって言ったら、それは嫌だってはっきり言ったんですよ。それは何故かというと、スタジオで録ったら録れすぎるからおもしろくないって。それならマルチでオーヴァーダビングしてったほうがおもしろいと。

友晴 : 違うかもしれないんですけど、映像とか昔白黒でセットとかがちょっと粗くても、白黒のフィルムやからめっちゃ本物に見えて良かったって。今はハイビジョンになって、持ってるわけじゃないんで電気屋さんとかで見てて(笑)。粗があるとかはめっちゃわかったりするじゃないですか。今回とかも、粗っていうか、ごまかしがきかないのが出てきたりしてると思うから、よりシチュエーションとか音の良さみたいのをちゃんと選んで録った良さが、そのまま伝わるからクオリティが高いというか。ハイビジョンですごい絶景をめっちゃきれいにとったら合成とかじゃなくて、そのままのあるきれいな景色を撮れて見えるみたいな。

豪文 : それ楽しかったりするやろな。

友晴 : その良さみたいのが今回のやつにもあるんじゃないかなと思います。

OTOTOYで配信中のキセルの 過去作品はこちら

8th アルバム『凪』
1. うぶごえ
2. 朝顔
3. 夜の名前
4. 島
5. 遠い友達
6. ひみつ
7. 見上げる亀
8. 星のない夜に
9. 夕凪
10. はなむけ
11. いつまでも

>>『凪』特集ページはこちら

PROFILE

キセル

辻村豪文と辻村友晴による兄弟ユニット。カセットMTR、リズムボックス、サンプラー、ミュージカル ソウ等を使用しつつ、浮遊感あふれる独自のファンタジックな音楽を展開中。これまで4枚のアルバムをスピードスターよりリリース。2006年12月にカクバリズムに移籍し、『magic hour』、『凪』、『SUKIMA MUSICS』のアルバムと10インチ・レコードやライブ会場限定のEPなど精力的にリリース。どの作品も多くの音楽好きを唸らす名盤となっており、ロングセラーを続けている。毎年の大型野外フェスへの出演や、フランス・韓国でのライブ、ジェシ・ハリスとの全国ツアー、年末恒例のワンマンライブをリキッドルームや赤坂ブリッツなどで行っている。また今夏6月1日には2人のかねてからの目標のひとつである日比谷野外大音楽堂でのライブが決定し、盛り上がりを見せている。新作アルバムの完成も待ち遠しい素敵な2人組である。

>>キセル Official HP
>>カクバリズム Official HP

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インタヴュー

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筆者について
J J (JJ)

パンク・バンドLimited Express (has gone?)のギター・ボーカル。BOROFESTAの主催者。ototoyのチーフ・プロデューサー。JUNK Lab Recordsのレーベル・オーナー。ライターやイベント・オーガナイズも多数。ototoyでは、リミエキのJJとして喋っている時は、JJ(Limited Express (has gone?))と記載しています。

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