京都にTSUTAYAのくせに異様に充実した品揃えを展開するCD屋さんがある。一説にはタワー・レコードを押さえ、京都NO.1の売り上げを誇った時期もあるという、TSUTAYA西院店である。そこで10年も前に働いていたのが、筆者とSECOND ROYAL RECORDSの小山内信介だ。同年齢、同期入社だった僕等2人は、よく店に残ってケミカル・ブラザーズの「HEY BOY HEY GIRL」を爆音でスピンさせ踊り狂っていた。僕はオルタナティブ・ミュージックに、彼は欧米のインディーズや渋谷系以降の音楽シーンに詳しかったので、お互いに情報交換をしながら知識を蓄積していった。

その後、彼はSECOND ROYALを立ち上げる。僕はLimited Express (has gone?)の活動と平行しながら、ボロフェスタを開催する。
お互いが、メインストリームから外れた所で必死に頑張っていたので、その存在を忘れた時はない。良いライバルであり同士として、ボロフェスタにSECOND ROYAL CREWが出演する等、関係は現在まで途切れずに続いている。

TSUTAYAから10年。HANDSOMEBOY TECHNIQUEの営業で、彼が東京にやってきた。話し始めたら止まらなくなったので、インタビューをする事にした。僕等は、メインストリームじゃなかったけれど、なんとか必死にやってきた。音楽業界を変えてやるなんて大それたことは言っていないけど、自分の好きな音楽がもっとポピュラリティーを獲得すべきだと強く思っている。

質問文作成&文:JJ(Limited Express (has gone?)/Borofesta)

INTERVIEW

当時は本当にみんな何でもあり

SECOND ROYALをいつ始めたの? TSUTAYAを辞めてすぐだよね。

小山内信介(以下O):とっくに潰れてしまったけど、祇園のラブ・ホテル地下という凄いロケーションにあるクラブでオール・ナイトのイベントを始めて、LAB.TRIBEで開催していた今の前身となるイベント「SECOND UP」を経て、2000年から現在のホームであるクラブmetroに移る事になったんだよね。その際に名前を「SECOND ROYAL」に変更してイベントを行ったのが始まり。今年で9年目か! そのmetroの「SECOND ROYAL」で、一緒に活動していた仲間達と始めたレーベルがSECOND ROYAL RECORDS

—最初の仲間は?

最初のレギュラーDJは、僕とHALFBYの高橋孝博、今は別のイベントで活躍している岩崎 慎(METON MILK)の3人。

ーボロフェスタは、FUJI ROCK FESTIVALのような巨大フェスのアンチテーゼとして始めたんだけど、SECOND ROYALの動機はどんなこと? 渋谷系ムーブメントの終焉後に立ち上げたよね?

当初はボロフェスタみたいな明確なビジョンは無かったな〜(笑) その頃、京都にはPAT detectiveというデザイン・チームがいて、そこがポプシーロック!って言うファンジンを創ってた。メジャーなメディアでは取り上げられないような音楽やカルチャーを中心にした内容で、7インチ・サイズのケースに本や付録が入ってて、細部に渡って凄く魅力的だったんよね。それを高校時代に地元の青森から頑張って通販して、隅々まで読んでて。大学で京都に出てきてから、その人たちが中心になって開催している「POP MANIA!」って言うイベントがメトロであったので、毎月通ってたんだけどめちゃくちゃ楽しくて。で、僕はその後PAT detectiveが始めたインディー・レーベルでバイトするようになったんだけど、その繋がりで小西康陽さん、FPMの田中知之さん、escalator recordsの仲真史さん、CUBISMO GRAFICOのチャーベくんなど色々な先輩方にも出会って。

その先輩方や、「POP MANIA!」のイベント・カラーもそうだったんだけど、その当時は本当にみんな何でもありで、様々なジャンルの音楽をかけてたのにちゃんと一つの色になってるという空気があって断トツに楽しかった。そんなパーティを自分でもやりたい!と思ったのがきっかけかなぁ。

—立ち上げ時は大変だった?

最初はそれほどでもなかった。というのも、今思うと勢いだけでやってたから(笑) 動員あってもなくても全然気にしてなかったし。でもmetroに移って会場の規模も大きくなって、ゲストを招いたりするようになってからは大変だった。これまでのイベント・オーガナイズとは全く違うから。当時、カジヒデキさん始め先輩アーティスト達が一同に介したパーティをSECOND ROYALでオーガナイズする事になった時は凄かった。metroは京阪電車「丸太町駅」の改札から、地上に出る途中にあるんだけど、metroのキャッシャーからその改札近くまで人が並んじゃって駅員さんまで出動、結局入場規制がかかる位の人が来て。イベンターさんも居ない状況で、ゲストともまだ深い付き合いがあった訳ではなく、オーガナイズする僕達は素人同然という状態... 今思い出しても本当にキツかった思い出だったけど、そんな事を繰り返し行っていくなかで学ぶ事は多かった。

—毎月オーガナイズするのは相当大変なはず。なのにSECOND ROYALというパーティを軌道に乗せられたのは何故だと思う?

ん〜。なんでだろう(笑) 時期的に京都系ってキーワードがあった位、京都の音楽シーンが盛り上がっていた気もするし、やっぱりMETROでやっていたのは大きかったんじゃないかな。あと当時京都には大箱的なクラブがなかったから、METROには凄いディープな音楽好きと週末の遊び場を求めて来るアッパーなお客さんの両方がいたりして、バランスがとってもよかったと思う。

—転換期はあったのですか?周りでも、SECOND ROYALが立ち上がってしばらくしてから、急に名前を聞くようになった。

イベント自体はずっと続けてきたけど、転換期といえるのはやっぱりレーベルを立ち上げた時。HALFBYが、デビュー・シングルをリリースした2002年頃。HALFBYはそれまで音楽制作をした事は全くなかったんだけど、チャーベくんからCUBISMO GRAFICOのリミックス・アルバムに誘って頂いたんです。これだけDJ良いなら絶対トラックも作れるよ! って。それがきっかけでオリジナル・トラックも作り始めて、凄い良い曲が出来て(笑) これは絶対売れる! レーベルどうしようか? 自分達でレーベル作って出したら面白いんじゃない? って。

ジャンルは特定出来ないんだけどなんとなく「SECOND ROYAL」っぽい

—レーベルのオーガナイズにまわったのは何故?

SECOND ROYALは、僕がオーガナイザーとして始めたパーティだったので、その流れでなんとなく(笑) 今思えば、昔から何故かまとめ役になる機会が多かったんだけど、しかもなんとなく(笑)

HALFBYがデビューした後のSECOND ROYAL RECORDSは?

HALFBYのデビュー・シングルは、アナログ盤のみでリリースしたんだけど即完売。嬉しい事に、色々な方面の方から良い反応を頂いて。それとほぼ同時期に、レーベルのコンピレーション「V.A/SECOND ROYAL」を作った。そのコンピに収録されているのは、これまでイベントに出てくれた人たちや、HALFBYがDJで全国を回っている際に出会った人たちとか、本当に身内ばっかりで。CUBISMO GRAFICOチャーベくんの変名ユニットcbsmgrfc以外、全国的には全く無名。これが初めて世に出る曲って人ばかりが収録された売れる要素が少ないコンピなんだけど、何故か売れた(笑) この前、特集を組んでもらったHANDSOMEBOY TECHNIQUEもそのコンピに参加してもらった一人なんですよ。

—そのコンピ以降、どんどん大きくなっていったよね。

すでにDJとして全国を飛び回っていたHALFBYが中心となって、「SECOND ROYAL」の名前を使って全国でイベントができるようになった。それでどんどんつながりが広がっていって。

—その間も京都ではマンスリーでSECOND ROYALを開いていたわけだよね? それは順調だったの?

順調って思った事は少ないな〜。何度もきつい体験してるし。8割雨だし(笑) ただのクラブ・イベントから、レーベルが発信しているイベントになった時は、変化をまず自分達の中で消化していくのが大変だった。集客の波が激しくて、2007年にHALFBYがメジャー・デビューした時は、もの凄く新規のお客さんが来てくれた。逆にレーベルのリリースが少ない時期は、苦しい状況になったり。でも、そんな状況があるからこそ、イベントごとに初心に戻って色々考える事もできるのかなと。

—ボロフェスタとかみやこ音楽祭とか、色合いの違うイベントに参加する事をどう思ってるの?

どちらも誘ってもらった時は嬉しかったなぁ。ボロフェスタとかみやこ音楽祭のようなブッキングは、僕等にはできなかったから。他ジャンルとの交流はもっともっと増やしていきたい。僕等自体が、ジャンルは特定出来ないんだけどなんとなく「SECOND ROYAL」っぽい、っていう音楽を発信しているレーベルだから、色合いが違うイベントでそのカラーを見せる事ができたらおもしろいんじゃないかなと。

—カクバリズムとの交流は深いよね。どういうきっかけで彼らと知り合ったの?

FREDOという名義でCDをリリースしつつ、スタッフとしてもレーベルの動きを色々と支えてくれている松野光紀君くんが元々カクバリズムのみんなと仲が良くて。彼に最初YOUR SONG IS GOODを聴かせてもらってびっくりした。一応レーベルを運営しているってのもあるし、洋楽をメインで取り扱ってるレコード・ショップで働いてる事もあって、リスナーとして国内から発信される音楽に対して何らかの壁を作って聴いてしまうクセがあるんだけど、YOUR SONG IS GOODはその壁をブチ抜いてきた。これメチャクチャ良い! って純粋に思ったな〜。カクバリズムは、レーベルとしても凄い共感できるのと同時に、とてもリスペクトしてます。カクバリ(角張 渉)くんは同世代だし、こういう事を言うのは恥ずかしいんだけど(笑)

—京都にこだわりはあるの?

特にこだわってないです。京都に所属アーティストがたくさんいるからっていうのが、一番の理由かな。

—でも京都は京都でしんどい部分もあるよね。

そうやね。東京に比べて、音楽を好きな人口もアーティストも絶対数が少ないし、メトロでレギュラーやってる以上はイベントのターゲットはどうしても京都の人がメインになるので、やっぱり大変。地元の良いイベントに全然人が入ってない光景を良く見る中で、東京の大物DJがレギュラーを務めるようなパーティが凄い集客を誇っているのを見ると複雑な気持ちになりますね。あとこれは仕方ないけど、せっかくイベントに根付いた学生のお客さんが就職して4年で京都からいなくなってしまうのも残念だな〜と思う。

—先日のHANDSOMEBOY TECHNIQUEで何タイトル目?

CDは19タイトル目。アナログは29タイトルです。

—今後の展望は?

所属しているアーティストがそれぞれ独自の色を持っているので、そのカラーを最大限に活かす努力と動きを全力で行っていきたいなと。レーベルとして当然の事だけど。HANDSOMEBOY TECHNIQUEはアルバム出たばかりなのに、彼がセレクトしたコンピレーションCDと、自身でリミキサーを選んだリミックス・アルバムを製作中。アルバムのツアー開始と同時に、もう次のツアーの企画を立ててます(笑) あと新人! 昨年出会ったTHE NEW HOUSEってバンドなんですが、メチャクチャ若いのに凄い音楽知識と半端無いセンス。ライブを見たら衝撃を受ける事間違い無しです。いろんな意味で(笑) そして、ミニ・アルバム『POCKET FULL OF NOTHING』に続くRUFUS待望のフル・アルバムに、SATORU ONOのサード・アルバム、遂にリリースに向けて動き出すHALFBYと、今年は凄い事になりそう。また色々お世話になるかもしれないけどよろしくね、飯田くん。一緒に頑張っていきましょう!


SECOND ROYAL RECORDS カタログ・リスト





SECOND ROYAL / V.A. (SRCD-001)

セカンド・ロイヤルが贈る、ポップでキャッチーなレーベル・コンピ第1弾!





HALF WORKS / HALFBY|(SRCD-002)

高橋孝博によるソロ・ユニット。ヒップホップからブレイクビーツ、ジャズ、レゲエ、ギター・ポップまで様々なジャンルを、抜群のセンスでMIXしたファースト・アルバム。





INTRODUFUS / RUFUS(SRCD-003)

シンガー・ソング・ライター、上田修平のソロ・ユニット。聴く者の心を魅了して止まない歌心溢れるメロディーが魅力。





SECOND ROYAL VOLUME.2 / V.A. (SRCD-004)

好評のレーベル・コンピ第2弾。パーティー感をそのままコンパイルした、ジャンルレスな全16曲!





NEW ARRIVAL EP / RUFUS(SRCD-005)





FRANKENSTEIN / SATORU ONO|(SRCD-007)

小野暁によるソロ・ユニット。良質なポップ・センスとこだわりのある緻密なスタジオ・ワークが融合した作品。





SMACK! / FREDO|(SRCD-008)

テニスコーツなどのサポート・メンバーとしても活動するシンガー・ソング・ライター。宅録からバンド録音へ移行した作品。ロックの流れとメロディの美しさが際立っている。





ADELIE LAND / HANDSOMEBOY TECHNIQUE(SRCD-009)

ブレイクビーツ、オールドスクール〜ニュースクール・ヒップホップ、ソフトロック、フリーソウル、ディスコ、インディーポップ、マンチェ、サイケ、60'Sガールズポップまで、グルーヴに満ちた一枚。





GREEN HOURS / HALFBY(SRCD-010)

様々な要素を含んだ抜群のミックス・センスはそのままに、犬の鳴き声が入っているトラックがあったりと、キャッチーでポップな遊び心溢れる一枚!




LE PETIT ANGE DE COLLETTE / collette|(SRCD-011)

小堺彰夫と高見亮一によるユニットの、単独ミニ・アルバム。




LONG DISTANCE / RUFUS(SRCD-012)

ソング・ライティング・センスが光るファースト・フル・アルバム。作詞・作曲・プロデュース・アレンジ等全てを自らが出掛け、制作に2年を費やした作品。




REMACK! / FREDO|(SRCD-013)

ファースト・アルバム『SMACK!』を、国内外の人気アーティスト7組がREMIX。フレッシュなダンス・ポップ・ミュージック!




POCKET FULL OF NOTHING / RUFUS(SRCD-017)

関西で活動中の3ピース・バンド"WEDNESDAY"をバックに4人組として精力的にライブ活動を重ね、ライブ・バンドとして大きな成長を遂げた一枚。




Terrestrial Tone Cluster / HANDSOMEBOY TECHNIQUE(SRCD-019)

ファースト・アルバム『SMACK!』を、国内外の人気アーティスト7組がREMIX。フレッシュなダンス・ポップ・ミュージック!

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インタヴュー

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by 西澤 裕郎
筆者について
J J (JJ)

パンク・バンドLimited Express (has gone?)のギター・ボーカル。BOROFESTAの主催者。ototoyのチーフ・プロデューサー。JUNK Lab Recordsのレーベル・オーナー。ライターやイベント・オーガナイズも多数。ototoyでは、リミエキのJJとして喋っている時は、JJ(Limited Express (has gone?))と記載しています。

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