3000以上のダウンロードを記録した『SAITAMA LOCAL MUSIC RECONSTRUCTION』、そして1週間で5万以上のPVを獲得した埼玉音楽の未来会議の第2弾を、埼玉で勃興したフェスティバル、ぐるぐる回るの協力を元に実現することができた。ぐるぐる回るとは、埼玉スタジアム2002で行われ、そのコンコースに10以上のステージがひしめき合い、そのステージは各キュレーターがブッキング、宣伝、運営までを担当する、世界でも類をみない進化型フェスティバルである。実は、このフェスを考えだした竹内知司は、2012年2月に急死し、このフェスの存続も危ぶまれた。でも、「亡くなりました」、「終わりました」では悔しかったと言う理由で存続を決めたのが、現代表の川瀬拓で、彼が目指すぐるぐる回るに、埼玉音楽の未来会議の第一弾は大きな影響を与えたと言う。the telephones、突然段ボール、LOST IN TIME、Mountain Mocha Kilimanjaro等、あがってきたメンツは、埼玉出身のアーティストが多く、地元と県外が上手く混ざり合っている。
今回の埼玉音楽の未来会議第2弾は、埼玉に根付いた活動を行い、さらにぐるぐる回るにも関わる山崎やすひろ(MORTAR RECORD)、kussy(Fragment)、伊藤大輔(西川口 LIVE HOUSE Hearts)、野村アリマサ(NMR)、そして主催の川瀬拓をお迎えし、埼玉音楽の未来会議第1弾から変わったこと、ぐるぐる回るのこと、そして埼玉音楽シーンの未来について語ってもらった。彼らがキュレーターを務めた『SAITAMA LOCAL MUSIC RECONSTRUCTION vol.2』を聞きながら、ゆっくり、じっくりと読み進めて欲しい。
進行 : 飯田仁一郎(Limited Express(has gone?) / OTOTOY)
文 : 川瀬拓、北原史
>>>『SAITAMA LOCAL MUSIC RECONSTRUCTION Vol.2』のフリー・ダウンロードはこちらから
(配信期間 : 2012年8月11日~2012年9月11日)
埼玉のアーティストが大集結! 1ヶ月限定フリー・コンピレーション
『SAITAMA LOCAL MUSIC RECONSTRUCTION vol.2』
1. golf / Blinking Protractor(大宮)
2. mothercoat / no music_yes life(深谷)
3. キムウェイツ / BLACK SNACK(春日部)
4. 空也MC / 独走(大宮)
5. RIDDLE / COWARD(北浦和)
6. 3markets(株) / ソニー(川口)
7. codomotona / ワールドエンド(上里)
8. 芋子 / ボルシチ(上尾)
9. mother fall asleep / ホームタウン(大宮)
10. カルナロッタ / 秋空 (秩父)
11. Tsuruzoe / 濡れる太陽(北浦和)
12. ノグチツバサ / 約束の場所へ(熊谷)
13. OPQ / hachigatu(中浦和)
14. Suburban Flag / Long Live Youth(北浦和)
15. 戰車倶楽部 / トリスメギストス(南浦和)
16. cheap cheese / holiday(熊谷)
配信期間 : 2012/8/13~2012/9/13
キュレーション : 山崎やすひろ(MORTAR RECORD)、伊藤大輔(LIVEHOUSE Hearts)、kussy(術ノ穴)
マスタリング : 松本 伸一
ジャケット・デザイン : きたはらふひと
>>収録アーティスト解説はこちらから
ぐるぐる回る2012開催!!
スタジアムのコンコースに大小15のステージを配置。来場者は会場内を回遊しながらライブを楽しむことが可能だ。また、100人の出演者が入れ替わりながらライヴ・パフォーマンスを繰り広げる『100人オープンマイク』や、子供たちが自由に楽器を演奏できる来場者参加型のパフォーマンス『コドモパンクス』なども行われる。
2012年9月16日(日)
会場 : 埼玉県 さいたま 埼玉スタジアム2002
OPEN 11:00 / START 11:30
料金 : 前売3,500円 / 当日4,500円 / 埼玉限定チケット2,500円
出演 : PE'Z / the telephones / LOST IN TIME / トクマルシューゴ / 突然段ボール / Qomolangma Tomato / Mountain Mocha Kilimanjaro / ジョニー大蔵大臣(水中、それは苦しい) / ゆーきゃん / nhhmbase / 虚弱。 /ヒカシュー / 画家 / その名はスペィド / 転校生 / HARCO / BiS / フジロッ久(仮) / Fragment feat.DOTAMA / 空也MC / CARD / Limited Express(has gone?) / ウラニーノ /エイプリルズ / (M)otocompo / 魔ゼルなでこキ犬 / cryv / それでも世界が続くなら / and more...
>>>ぐるぐる回る official HP
結びつこうとしている奴は確実にいる(kussy)
——まずこの対談の趣旨を聞かせてください。
川瀬拓(ぐるぐる回る実行委員会代表)(以下、川瀬) : 前回の埼玉音楽の未来会議を読ませていただいて、我々ぐるぐる回るも埼玉で行うイベントとして色々感じるところがありまして、さらにもっと踏み込んで埼玉のシーンを話し合ってみたいなと思っています。
——ぐるぐる回るは3年目で、the telephones、突然ダンボールやMountain Mocha Kilimanjaro…、埼玉出身や埼玉で活動するバンドが非常に多いですが、ぐるぐる回るとして埼玉とコミットしたいと思っているんですよね?
川瀬 : もともと僕は高校~大学と埼玉で、さらに埼玉でバンドをやっていたというのもあって、人一倍埼玉に対する思いというものがあるんです。一昨年にぐるぐる回るが埼玉で開催することになって、これはおもしろいなと。埼玉のシーンとコミットしてやっていきたいなという想いは強くあるんです。
——OTOTOYで掲載した埼玉音楽の未来会議を読まれた時はどうでしたか?
川瀬 : Heartsの伊藤さんも加わったら、もっとおもしろくなるんだろうなと。マップも出ていたじゃないですか、ライヴ・ハウスの。(※埼玉の未来会議 vol.1ページの画像を参照)あれは極一部だったんじゃないかなという思いがあって、もっと全体に広げて考えていったらおもしろいのかなあと感じました。
山崎やすひろ(MORTAR RECORD)(以下、山崎) : あれは熊谷から見た面が強いっていうわけじゃないけど、ある意味で一部から見ていたから。所沢の市民とかね。越谷とか、他にも把握しきれていないのがあったかもしれない。でもおもしろいオムニバスだったよね。一曲目からハードコアの入りでね。
——埼玉の未来会議 vol.1のきっかけだったライヴ・ハウスBLUE FORESTは、前回から状況は変わりましたか?
山崎 : BLUE FORESTのブッキングマンに今井が正式に担当になりました。
——現在は、ちゃんと給料が発生するようになった?
山崎 : まあそこまでは… わからない(笑)。そこは発生してないのかな。本当にボランティアの延長上で。まあ、俺はそこからもっと色んなことが出来るように広げつつ、あいつはあいつなりに地元のバンドとのコミュニケーションの場としてBLUE FORESTを選んで、今は頑張れるだけ頑張るという現状です。
kussy(Fragment) : 俺、あの対談以来今井君とよく会ったり飲んだりするんですけど、BLUE FORESTの状況含め話題になるんですよ。現状を知らない人が知るきっかけになったことは大きいけど、じゃああの記事があってBLUE FORESTに一人でも客が増えたかといったら、たぶん一人も増えてないっていうのが事実みたいで。でも埼玉音楽の未来会議があったから気付けたというのもあるし、まだ模索段階だけど、ただ意識はみんな絶対変わった。
——kussyさんの現状はどんな風になっていますか?
kussy : あれがあったお陰で、結びつこうとしている奴は少数だけど確実に何人かはいて。今井君と突然段ボールのメンバーの中野善晴、そこら辺の意識の高い奴が数人はいるわけですよ。イベントを興して行こうと積極的に集まって飲んだりしながら話しています。10月13日には航空公園で「野外fesやっちゃおーぜ」と大宮more recordsに集まってミーティングしたり。アーティスト同士の活気は出てきてます。
一同 : うんうん。
kussy : もうちょっと長い目で見れば、「あの一回目の対談がきっかけだったね」ってなるようなことも起きてくるんじゃないかと。この前もmore recordsでグダグダ飲んでるときに西川口Heartsの伊藤さんがぐるぐる回るのフライヤーを持ってきて、みんなで久々に話して。
——その西川口Heartsですが、どんなライヴ・ハウスで、伊藤さんはどんな関わり方をしていているんですか? ライヴ・ハウスの現状とか。
伊藤大輔(西川口 LIVE HOUSE Hearts)(以下、伊藤) : Heartsはもともと大宮にあったんですけど、5年くらい前に移転をしなくてはならなくて、西川口という川口市の風俗街に移転して、僕は西川口に移ったタイミングからブッキングとして勤務しています。
——若いバンドはどんどん出てきていますか?
伊藤 : やっぱり年々減ってきているかなと正直思いますね。
——年々減ってきているっているのは、そこでやりたいって言ってくるバンド?
伊藤 : いや、やりたいって来てくれる若いバンドもそうですけど、バンドの数が全体的に減ってますよね。若い子が早い段階で辞めてしまったり。それぞれ事情があってしょうがないと思うんですけど。才能あるのになーって。
kussy : Heartsから出てきたような奴らは居るんですか?
伊藤 : まあ出てきたと言っていいのか、ちゃんと活動しているバンドは結構います。去年ぐるぐる回るに出てもらったgolf、3markets(株)、戰車倶楽部はとても大好きなバンドですね。あと今年出演してもらうウラニーノも。
kussy : もともと凛として時雨は、大宮Heartsから出てきたっていうか、大宮Heartsが軸だったなっていう印象はありますもんね。
伊藤 : ちょうど僕と同じ世代が凛として時雨とか、the telephonesとかですね。
kussy : the telephonesは全国どこへ行っても埼玉とか北浦和って単語出すんですよ。それが僕らからしてみれば埼玉広めてもらったな、みたいな。感謝が生まれてると思うんですよね。
——そういうバンドはthe telephonesだけですか?
野村アリマサ(NMR) : 凛として時雨のピエール中野君もそうですよね。あと、dustboxとか。自分が越谷の店舗にいたときはよく顔出してくれてましたよ。
川瀬 : 自分達もメインで誰を呼ぼうかって話をするときに、埼玉のバンドって意外と居ないなって思うところがあって、知らないだけなのかもしれないですけど。
kussy : それは居るんでしょうけど、埼玉でイメージできるヤツラがちょっと限られているのかもしれないですね。
野村 : まあ、東京近いんでね。たぶん草加とか川口の連中はメンドくさくなって「東京出身」って言っちゃうと思うんですよ(笑)。
——その劣等感的なものはあるんですか?
野村 : 若干… まあ…。
一同 : (笑)。
野村 : ダサイタマのイメージは若干あるかもしれないですね…。
——埼玉のCD屋のシーンはどうですか? 人が来るのかとか。
野村 : お客さんはいますよ。ただ、最近のCD屋はショッピング・センターに入ってるんです。最近たくさん出来てる、○○○モールとか。昔からあるような駅前のCD屋は廃れてきてますね。それに在庫枚数も決まってますから、必然的にメジャーなものばかりになっちゃいますよね。コアな音楽はなかなか置けない。
——音楽が好きな店員さんが好きに売り場を作れる土壌あるのでしょうか?
野村 : ショッピング・センターの店舗だと、ある程度マニュアル化されていてあんまり色んな事ができないのが実情ですね。例えば埼玉のお店といっても、浦和の店舗に術ノ穴(Fragment主催のレーベル)のカタログ商品があまり置いてないとか。なぜかと言うと、他の土地から異動してきたベテラン社員と地元の若いスタッフしかいないから、地元に根を張って活動してるアーティストをあまり知らない。
kussy : やっぱりショッピング・センターの店舗だと融通がきかないですよね。俺らもそんなに売れてるわけではないからしょうがないんだけど。むずかしいなーと。
——現状のローカル・シーンとして、山崎さんは逆に地元コミット命でやっているじゃないですか。お客さんはショッピング・センター型とコアな音楽好きがいる店員さんのお店どっちを利用してるんでしょうか?
山崎 : お客さんも情報を得れていれば、どちらでもCDを手にすることもあるかなと思う。例えば大型店舗だと視聴機に入っているとかがあれば、知名度がなかろうとチャンスはあるんじゃないかな。どっちにも良い部分、可能性は必ずあるし。
——なるほど、なるほど。
山崎 : ちゃんとやってる人はやってるから、本当に聞いて欲しい音楽を聴いてもらえるなら、別にMORTAR RECORDじゃなくてもどこでも買ってくれればいい。売りたいんだ、届けたいんだって思うんだったら、ギャラが出なくても熊谷にくるバンドもいるし…。この前もLOST IN TIMEの海北大輔が店前で地元埼玉の印象を強めるべく弾き語りをしに来たりしてくれたりね。
一同 : へー。
山崎 : 8月にもう1回弾き語りするんでよかったら来てくださいって告知しに来てくれたりして。
——凄いですねー。
kussy : 店の前でやるんですか?
山崎 : そう店の前で。路上でイヴェントしてて。(※その日はちょうど熊谷でうちわ祭りでした)
——声がでかいのに(笑)。
山崎 : イベント自体は警察に3回止められましたよ(苦笑)。
——熱いですね〜。
山崎 : しかも、彼は地元の先輩バンドの歌を歌うと言って、Stardust Revueを歌ってました。その場で思いつきで(笑)。
一同 : へー。
山崎 : おじちゃん、おばちゃんが見ているって感じも面白かったし。フェスもそうなんだけど、知らない人たちが見てくれるシチュエーションも大事だなーと。違うプラスアルファが垣間見れるというか。
埼玉の音楽シーンをもっと盛り上げなくてはいけないと思っていた(伊藤)
——ここからはみなさんがぐるぐる回るに関わった理由を聞きたいです。その前に、2012年2月に亡くなった竹内知司さんのことを聞かせてください。
川瀬 : 僕は亡くなる1週間前に竹内さんと飲んでいて、今年のぐるぐる回るの構想を熱く語っていました。僕らスタッフも気持ちを切らさないでやっていきますよって盛り上がっていたら、その1週間後に訃報を聞きました。
——突然のことだったんですよね?
川瀬 : 本当に突然の出来事でしたね。竹内さんの訃報を聞いて僕がぐるぐる回るをなんとかやれないかと思ったのですが、引き継ぎたいけど出来るかなという不安が正直ありました。でも、スタッフや去年のキュレーターに声をかけたら、みんなやろうって言ってくれたんです。あともうひとつ思ったのは、「亡くなりました」、「終わりました」では悔しかったんです。やらなくては行けないと思ったし、「あの頃は楽しかったね」みたいな飲み会とかはしたくなかったんです。自分たちでもう1回やろうよって、それで失敗してもいいじゃないかって。
——代表を引き受けたのはなぜですか?
川瀬 : 引き受けたっていうか、単純に僕が埼玉スタジアムでぐるぐる回るをやりたかったから。僕がやるから手伝って欲しいっていう言い方をしてました。で、もう一人の代表の北原史がいるんですけど、相談をしたらやりましょうって言ってくれたので。単純な話なんですけど。
——伊藤さんが参加しようと思ったのは?
伊藤 : ぐるぐる回るへの参加はキュレーター募集からなんですけど。埼玉は生まれ育った街だし、バンドマンとしてもライヴ・ハウス店員としても埼玉の音楽シーンをもっと盛り上げなくてはいけないなとずっと思っていて、そのためには何か中心となるお祭りみたいなものがないといけないなと。そんな中、埼玉にぐるぐる回るが来て、「これだ! 」と思って。