
一切のシーン等との関わりなく突如出現し、電子ポップ・ファンの心をわし掴みにしたShinobu OnoとDJ ObakeによるユニットHer Ghost Friendのセカンド・アルバムが完成! 緻密さを増したエレクトロニックなサウンド・プログラミングと、空想的で物語性を帯びた詩世界をふわり漂う愛らしいヴォーカルが、まだ見たことの無い宇宙へと誘います。OTOTOYでは新作より先行でフリー・ダウンロードを開始。インタビューとともにお届けします!
>>「にじ色のスニーカー」のフリー・ダウンロードはこちら(ダウンロード期間 : 7/12〜7/18)
Her Ghost Friend / るきんふぉーわんだー
2012年7月18日発売
【収録曲】
1. マジカルミステリーサークル / 2. 星キラリ、クレパス / 3. にじ色のスニーカー / 4. 雲の多い日 / 5. フォーエヴァーネヴァーモア / 6. 夏のひみつ / 7. ハニームーンで乾杯する? / 8. うたたね / 9. 風の谷のメトロウェイ / 10 ふるえるくちびる / 11 空想レジデンス / 12 日曜午前7時半 / 13 ミラクルパワフル♡ビート
Her Ghost Friend INTERVIEW
Her Ghost Friendの1st albumの1曲目「放課後のシソーラス」を聞いた時、ROMZ RECORD等がもっていた破壊的なブレイク・コアの要素と、相対性理論が持つ無機質な唄が同化した新しい世界の音楽だと思った。また、OTOTOYで連載していたヴォーカルShinobu Onoが描く漫画の世界観は、彼女達が作る音楽の世界を明確化することに成功していた。俄然興味が湧きまくっていた中での、今作『るきんふぉーわんだー』から公開されたアー写がこれまたっ! 美女と寅さん... この2人の対比はいったい? 前作から持っていた彼女達への興味は遂に爆発し、インタビューを敢行。遂に謎に包まれた彼女達の全貌があきらかに!?
インタビュー&文 : 飯田 仁一郎(Limited Express (has gone?))

自分が良いと思えていれば、足りないところも問題ない
ーーふたりの出会いは?
DJ obake(以下、Obake) : 元々僕は一人で音楽を作っていたんですけど、共通の友達に「声の可愛い女の子がいるから、歌わせてみれば? 」と紹介してもらったのがきっかけです。
ーーobakeさんはどんな音楽活動をされていたんですか?
Obake : 今よりももっとダークめのクラブ・トラックを家で作っていました。頭がおかしくなる感じの(笑)。
Shinobu Ono(以下、Shinobu) : 私が絵や歌詞をつけるようになってキラキラしたサウンドも作りはじめたけど、obakeが一人でやっているときは、もっとクラブ・ミュージック的な格好良さがあったよね。Her Ghost Friend(以下、HGF)の最初の頃は、歌詞もobakeが書いていたんですけど、なんか悪夢みたいな感じで…(笑)。今よりもわかりやすく毒が強かったんですよね。
ーーダークから一転してポップなサウンドになるにはどんないきさつがあったのでしょう?
Obake : 今回収録されている「にじいろのスニーカー」は、実は1stを出す前にあった曲で、初めてOnoが歌詞を書いたんです。「いい歌詞だな」と思って、これにどんなトラックをつけたら合うかを考えていくうちに、今のサウンドになっていきましたね。
ーーこの曲、ヴォーカルのコード感が絶妙ですよね。合っていないように聴こえるのに、コードはきちんとはまっている。音が外れていないから気持ち悪くはないんだけど、不思議な感じがします。
二人 : ありがとうございます。
ーーサウンドが変化することで、obakeさん自身変わったことはありましたか?
Obake : ダークな音を作っていたときは、ひとつひとつの音を作るのに時間をかけていて、ごちゃごちゃしていたんです。それを一回やめて、もっと単純な音の組み合わせにした時に「これでいいじゃん! 」と思うようになったんですよね。そんなにかっちり作り込まなくても、自分が良いと思えていれば、足りないところも問題なかった。

ーーなるほど。Shinobuさんは、自分の歌詞の世界に合うサウンドに変わってほしいと思っていましたか?
Shinobu : そういうわけでもなかったんですけどね。1stアルバムの曲が彼から上がってきたときに雰囲気が変わっていて、「なんでobakeの音楽変わったのかな? 」と思っていたら共通の友人が「Shinobuちゃんがこういう音だったら喜んでくれるんじゃないかな、って思って作ってるんじゃない? 」って言っていて。私は特に要望を出したりしていないんですけど、彼が聴く人のことをもっと考えるようになったんだろうなって思いますね。
ーー誰かの為に曲を書くっていうのは、プロデューサー的な目線ですよね。
Obake : そうですね。初めての経験でした。それまでは今時の音をこまめにチェックして、自分の立ち位置を探りながら、ただ自分の作りたいものを作っていただけだったんですけど、そういうのはHGFではやめようと。
ーー1stを経て今作を制作する中で、新たにobakeさんの中でやりたいことはありましたか?
Obake : 「Onoにもっと歌わせたい」というのがありましたね。1stの時は、1週間くらいでまとめてつくったデモを一気に渡して、1日に3曲くらいずつ歌ってもらったんです(笑)。だんだんうまくなってきたし、次はもっとしっかり歌わせたいなと。
ーーShinobuさんはHGFの前に音楽活動をしたことは?
Shinobu : なかったです。歌は好きで普通に口ずさんだりしていましたけど、「歌手になりたい」って思ったことはなくて。誘ってもらったのでやってみようかなと。それまではずっと絵を描いていました。私は美大に通っていたので、「何かをつくる」ということに違和感がないんですよね。音楽も、「面白そうだから作ってみよう」と思ったのがきっかけです。
ーーShinobuさん的には歌がメインになってきているのは目指すところだったのでしょうか?
Shinobu : そうですね。1stは手探りな状態のままレコーディングをした部分もあって。色んな意見をもらう中で、次は「どうしたら届くかな」とか「こういう風に歌いたい」ということを意識するようになりました。最近は歌もうまくなりたいと思っています。
ーー今回は、ラップ(「フォーエバーネバーモア」)とかもありますよね。
Shinobu : 歌詞はobakeがやってくれたんですけど、普通に歌うと音に声が合わないから、こういう感じにしてみたんです。今回はすごく声を研究していて、録り直したりもしています。歌を「うたう」って意識するより「しゃべる」感じでやると、思い通りのヴォーカルが取れたりするんですよね。
登場人物を通して「君に会えて嬉しい」と思えるようになればいい
ーーHGFの曲はどのように作っているのでしょうか。
Obake : 様々ですね。僕が書いた曲に歌詞を乗せてもらったり、彼女から上がってきた歌詞に僕が曲をつけたり。あとは歌を入れた後にトラックのアレンジを変えたりもします。完成版でレコーディング時の形をとどめているものは少ないですね(笑)。
ーーレコーディングのときから変わる? トラックがあって、それに合わせてShinobuさんが歌って、でも最終的な仕上がりは全く別の曲になるんですか?
Shinobu : そうなんですよ。「(前の)曲に合わせて歌ったのにー!」って。むちゃくちゃですよね(笑)。でも不思議と、アレンジを変えたほうが歌入れの前のものより気に入るんですよね。生き物みたいにかわっていく(笑)。
ーーへえ、面白い!
Obake : ある程度作ってからアルバム全篇を通して聴くことを考えたときに、今回は曲のスタイルがバラバラだったので変えようと思ったんです。もう、リズムもウワモノも全部。
Shinobu : アレンジががらっと変わるので、最終的なトラックに歌を乗せたものを聴かせてもらってます(笑)。でも技術的なところはわからないので、感覚的に聴かせてもらって、歌の乗り方とかをきいて、あとはobakeくんにお任せです。
Obake : これまで慌ただしい制作の仕方をしてきたので、Onoは曲づくりにタッチしてこなかったんです。これからはもう少し穏やかに、Onoがメロディーや曲に口出しできるように、曲の作り方を模索していきたいなと思っています。

ーー今回は、録音/マスタリングもすべて自分達でやられているんですよね。いかがでした?
Obake : 技術面では得るものが多かったですけど、作品を客観的には見られなかったですね。アレンジが途中で変な方向にいってしまったら、レーベル・スタッフにアドバイスをもらったり。
ーーそれはShinobuさんも立ち会ったんですか?
Shinobu : 音のことは全部任せっぱなしですね。obakeさんが過酷なときはふわふわ~っと待ってました。
Obake : まあ、僕は絵を描かないのでね。その後には絵を描く大変な仕事が待っていますから。
ーーいいバランスですね(笑)。歌詞にテーマはありますか?
Obake : 基本的には「BOY MEETS GIRL」の話だよね。「人と人との出会い」っていうシンプルなことも、見方を変えれば最終的には宇宙的なことに結びつくんじゃないかと思っていて。小さなことと大きなことを結びつけて捉える見方を描きたいのかもしれないです。
Shinobu : 歌詞に出てくる登場人物は男の子と女の子なんですけど、その登場人物を通してそこからもっと広がっていってほしくて。対象はおばあちゃんでも友達でもよくて、「君に会えて嬉しい」と思えるようになればいいなと思っています。

ーーShinobuさんはアートワークも手掛けていますよね。絵と音楽で、表現したいことに違いはありますか?
Shinobu : あんまり違いはないし、考えないですね。ただ「表現したい」っていう気持ちは昔からあったけど、今は歌も絵もないと駄目というか、両方あって伝えたいことが伝えられていると思います。私は何かを作るときに「希望」みたいなものを凄く大事に思っているんです。HGFもそうなんですけど、「自分が興味を持ったことに飛び込んでみよう」というほんのちょっとした勇気や行動で色んなことが形になってきたんですよね。そういうことを作品を通して皆に伝えたいんです。
ーー遂に2012年の4月からライヴ活動もはじめられましたね。きっかけは?
Obake : 友達が主催したイベントに呼んでもらったんです。この間映像を見ていたんですけど、最初のライブは学芸会だったよね(笑)。
Shinobu : 恥ずかしかったね(笑)。1st発売当初からオファーは頂いていたんですけど、ライヴもやったことなかったし、私も上がり症なので、いつ出よう… って思ってたんですよね。そこで友達からお誘いをもらって、「このチャンスは逃したらいけない! 」と思って、初ライヴをやってみたんです。そしたら緊張したけど面白くて。人前でやると、聴いてもらっている人がみえるから、跳ね返ってくるものがある。私が歌っているだけなのに会話しているみたいだなあと。音源を作ることと人に向けて歌うことって全然違うんだなあと思いましたね。HGFのやりたいことって、意外とライブに合うのかなと思っていて、だからもっとやりたいし、色んなことをできるようになりたいですね。
ーーなるほど! ライヴ絶対見に行きますね!
二人 : ぜひぜひー。
Shinobu Onoの不定期まんが「Shinobu in the world」
Her Ghost Friendのアートワークを自身で手掛け、絵描きシンガーとして活動する彼女の漫画「SHINOBU in the world」。音源の外にある彼女の世界の中をどうぞ覗いてみてください。
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LIVE SCHEDULE
2012年7月15日(日)@恵比寿BATICA
w / Language / She is a Postman / OVERROCKET / DJ Jaermulk Manchester
2012年7月16日(月・祝)@渋谷WOMB
kilk records presents DEEP MOAT FESTIVAL ’12
PROFILE
Shinobu Onoと、DJ Obakeによる空想電子ポップ・ユニット。
2011年9月、cosmic counterpoint(アートユニオン)より1stアルバム『Her Ghost Friend』をリリース。都内大型店などで大展開され話題を呼び、2012年5月に2.5Dにて行われた「#ELECTRONIC_ENSEMBLES」にてMOTION±のtickles、elegantdiscのhirotecらと共演、初ライブを披露。1st アルバム収録の「放課後のシソーラス」は、日本テレビ「恋する地球ものがたり」のオープニングにも使用されるなどして注目を集めた。また、ヴォーカルのShinobu OnoはHer Ghost Friendのアートワークも手掛けており、昨年、渋谷パルコにて行われた「シブカル祭」でも作品展示を行った。トラック制作を担当するDJ Obakeは、原宿のセレクト・ショップLamp harajukuのクリスマス・イベント“Lamp harajukuの哀愁の3days”のBGMを担当するなど、その活動は多岐にわたる。チャイルディッシュなボーカルと、夜空に輝く星々のようにキラキラと無数に散りばめられたられた電子音が、はるかな宇宙の物語を届ける。
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