2011/04/26 00:00

止まらないBiSの勢いが形になった中野heavy sick zeroのワンマン・ライブ!

今年3月に初のレコーディング・フル・アルバム『Brand-new idol Society』をリリースしたBiS。ソロ・アーティストだったプー・ルイからオーディションを経てアイドル・グループに変貌した彼女達が現時点で出した答え。それが『Brand-new idol Society』だった。何かと話題の多い彼女達だが、それなりに順風満帆にプロジェクトは進んでいた。しかし3月11日に起きた未曾有の大地震は広い範囲で影響を及ぼし、それはアイドル・グループである彼女達の活動にも影響を及ぼした。厳しい中セカンド・シーズンがスタートし、「これからどうなるのかBiS! 」と思ったが、それは先日の中野heavy sick zeroで行われた彼女達のライブを見れば、取り越し苦労であったと言わざるをえないであろう。この南波一海氏のライブ・レポートを読んでいただければ、彼女達がアイドルであってアイドルではなく、これからの新しいアイドル・アーティストの形をいかに提示しているのかご理解していただけると思う。

BiS / 『Brand-new idol Society』
ソロ・アイドルだったプー・ルイからアイドル・グループBiSへと変貌を遂げた彼女等が、初のレコーディング作品『Brand-new idol Society』を遂にリリース! OTOTOYで配信開始致します!!
サウンド・トータル・プロデューサーとして柴咲コウや中川翔子への楽曲提供で知られる松隈ケンタ氏が参加。現在活動休止中のcuneから生熊耕治氏、小林公一氏(ex.超飛行少年)が楽曲提供をする等、豪華な参加陣。

収録曲 : one day、太陽のじゅもん、パプリカ、レリビ、ティーンネイヂフレイバ、BiS、nerve、Four dimention、他

特典 : BiSアーティスト・フォト・ブックレット

PICK UP LIVE

5 月21日 (sat) @下北沢SHELTER
『BiS vs. tengal6』
OPEN 12 : 30 / START 13 : 00
ADV 2,500円 / DOOR 3,000円
e+からはこちら>>>
(番号順の入場になります)

出演 : tengal6 / BiS

Information
下北沢SHELTER : 03-3466-7430

その時プー・ルイは泣いていた。

4月24日、中野heavy sick zeroに行われたBiSの初ワンマン・ライヴ・レポートをお届けする。

チケットはソールド・アウト。会場にはこの日を待ち望んでいたファン(以下、研究員と呼ぶ)が詰め掛け、既にして異様な熱気に包まれている。そんな開演直前、メンバーが場内後方をそそくさと横切っていく。ステージ用に別の入口がない会場の仕様とはいえ、さらっと露呈される特別感のなさ… 。このあたりの詰めの甘さがBiSらしさと言えよう!

さていよいよメンバーがステージに登場すると、クライマックスはいきなり訪れる。一曲目は「nerve」。ももいろクローバー「行くぜっ! 怪盗少女」の腕を振り上げるダンスを臆面もなく取り込み、狂気の方向へと拡大解釈したあの曲だ。サウンド的にはBiSの特徴であるロック・テイストと少し古風な甘酸っぱさ、それから今のアイドルのライヴで欠かせないダンサブルなビートの三要素が奇跡的にバランスの取れたキラー・ナンバーである。これを冒頭に持ってくるあたりに並々ならぬ気合いを感じる。研究員もそれに応えるようにヒート・アップ。

二曲目、またも「nerve」。“曲出しのミスかな? ”なんて思ったが、本人たちもそして研究員も何事もなかったように踊り狂う。BiSで最もアイドル的な存在、りなはむことヨコヤマリナへ向けた“りなはむ”コールはより野性的に。

そして三曲目、まさかとは思っていたがまたしても「nerve」。やってくれた。会場には苦笑、困惑、歓喜の声が混濁する。個人的には率直に“やれやれ”と思ってしまったのだが、その印象は最後に変わることになる(後述する)。

その後、なぜ同じ曲を三連続で披露したのか理由は特に語られることもなく、粛々とライヴは進行していく。狂騒的な曲も良いが、のんちゃんことヒラノノゾミがメガネをかけ、ノート片手に詩を朗読する「ティーンネイヂフレイバ」の清涼感が光る。基本的に研究員はメンバーをいじることでコミュニケーションをとっていくのだが、のんちゃんの扱いは別。このアクトでは特にその“守ってあげたいオーラ”を爆発させていた。僕が言うまでもないがあえて書こう、のんちゃんは可愛い。ちなみに小道具を使って演出する曲はこの一曲のみ。際立つ謎感である。

MCを挟みながら(本人たちはグダグダと言っていたが、メンバーそれぞれのキャラを立たせ、ライヴのテンションを緩ませ切らずに持続させる見事なトークだったと思う)、親殺しというか親に返り討ちに遭いそうなSpank Happyのカバー「エレガントの怪物」、爽やかで疾走感溢れる曲調なのに途中“あばあば、あばばば”と奇怪な声が乗る「YELL!! 」を披露すると、メンバーは一時退出し、ステージには「パプリカ」PVの素材映像が公開される。「パプリカ」はリーダーのプー・ルイと姐御肌のUK(ゆけ)ことナカヤマユキコのキス・シーンが話題となったPVだが、その場面のメイキングである。完全に伏線、フラグだったわけだが、これが思わぬ結果を招くことになる。

メンバーが戻って来ると(ところで、何故このタイミングで衣装チェンジをしなかったんだ! 予算の足りなさがBiSっぽいぞ! )すかさず「パプリカ」を披露。呑気なラジオ体操ダンスから“泣く子も(ぽかーんとして)黙り、そして(恐くなって)再び泣く”という恐怖の全員ヘッド・バンギングへと突入。そしてやはり …プー・ルイとUKは公然ディープキスへとなだれ込む。二人はキス、残る二人はその横でひたすらヘッド・バンキングという、誰もマイクを持たない異常事態の中、盛り上がり過ぎた研究員(♂)同士も舌を絡ませるという阿鼻叫喚の地獄絵図が展開。それに対し“ナイス・ファイト”の声がかかり、互いを称え合うという状況。BiSの気合もすごいが研究員も器の大きさもすごいのだ。およそ常軌を逸していて誰得なのか皆目わからないが、それも美徳と思わせる“場”が出来上がった瞬間である。

終盤にはバラード「one day」、テンション高めのダンスとの噛み合わせが不思議な「BiS」と聴かせる曲を畳み掛ける。“無駄に完成度が高い”とも評されるアルバムは、つくづく良い曲が多いと唸らされる。そう、かなり際どい線を突っ走っている彼女たちがイロモノに成り下がらず、すんでのところで踏み止まっているのは、楽曲のクオリティが担保されているからである。グループ・アイドル数あれど、一枚を通して聴かせることのできるアルバムはまだそれほど多くは生まれてきていない。『Brand-new idol Society』は、アイドル的資質を詰め込むこと以上に音楽的なアイデアとエネルギーが注がれたアルバムだ。聴けば納得してもらえると思う。

ラストは「レリビ」。途中から研究員が大挙してステージになだれ込むカオスへ突入(もう驚かないぞー)。最後はステージ上の全員がガラガラに空いた客席に向けて指を差してキメのポーズ。何が何だか、ではあるが、これにてアルバム収録曲の全てを披露。

しかしアンコールを求める声が止まない。“アンコール! ”の声が途中から“のんちゃん! ”に変わるという珍事へと斜め上に発展する中、再び登場したメンバーは、プー・ルイのソロ曲「I'm coming」「れーぞんでーとる」をカバー。そして本当のラストに持ってきたのがなんと、「nerve」。4度目の正直である。一瞬目眩を覚えもしたが、BiSがこうして自分たちの代表曲を執拗に披露するのは、単に持ち曲の少なさからくる露悪的で挑発的な開き直りというよりも、例えばイルカが「なごり雪」を何年もかけて歌い続けるような、覚悟にも近いものを感じ取ってしまった。大袈裟かもしれない。深読みが過ぎるだろう。しかしBiS「nerve」に、メンバーがBiSに託す思いはその場にいた誰もが受け取ったはずだ。

その時プー・ルイは泣いていた。言ってしまえば鳴かず飛ばずだった彼女が、目に見える結果を残した最初の到達点である。BiSはこの先きっと大きくなるだろう。今回のワンマンなどは比にならないほどの大人数の前で歌とダンスを披露する日が必ず来る。それでもこの小さな一歩は、BiSにとって、その場を共有した人々にとって、とても大切な記憶として胸に刻まれたことは間違いない。

(text by 南波一海)

BiS Live Information

2011/05/05 (Thu) @タワーレコード新宿店7F
新宿タワーレコード インストア・イベント

2011/05/09 (Mon) @大塚DEEPA
スパナ乙 presents ANEMONE 00

2011/05/13 (Fri) @新宿TSUTAYA 6F
新宿TSUTAYAインストア・イベント

2011/05/21 (Sat) @下北沢shelter
BiS vs. tengal6

BiSプロフィール

2010 年アルバム『みんなのプー・ルイ』でデビューした、新世代アイコン「プー・ルイ」がアイドルを研究する、アイドルになりたい4人組のアイドル・グループBiS-新生アイドル研究会-なって再始動! サウンド は今回も中川翔子なども手掛ける売れっ子プロデューサー松隈ケンタ氏が担当し、よりパワフルでチャーミングなアイドル・ポップが堪能できる! 遂にデビューアルバム『Brand-new idol Society』発売!

プー・ルイの最後の作品がリリース!

プー・ルイのラスト・シングルは、なんとSpank Happyのカバー「エレガントの怪物」

■まだ誰もやってこなかった、Spank Happyをカバー!!
90年代を代表するサブ・カルチャー・ユニット、菊地成孔と岩澤瞳からなるSpank Happyの「エレガントの怪物」をカバー。今回のカバーに至ったいきさつとしては、プー・ルイ本人がライブ・パフォーマンスの参考にと、担当ディレクターから教えられ、Spank Happyのライブ映像を見るうちに岩澤瞳に自分を投影しはじめたことがきっかけとなった。Spank Happyカバーのニュース・リリースでは、Twitter等で300件以上のリツイート、コメントが書き込まれた。

■楽曲は2バージョンを用意!!
エレクトロを意識したPink ver.とミドル・スクールhip hopを意識したwhite ver.の2パターンのカバーver.が用意されている。どちらも原曲とはかなり違ったアレンジが施されている。Pink ver.ではシンセを前面に押し出し、心地よく突き刺さるビートが気持ちよい楽曲となっている。white ver.ではホーン隊とピアノが前面にフィーチャーされ、スモーキーで叙情的な楽曲となっている。

ソロだったプー・ルイを聴いてみよう!

第4回レコチョク新人杯にデビュー曲「限られた時間の中で☆」がノミネートされ、デビュー。 中川翔子「フライングヒューマノイド」柴咲コウ「ラバソー〜lover soul」やAimmy「end of the world」の作曲で注目されている松隈ケンタ氏(Buzz72+、The tod-mats)をサウンド・プロデューサーに迎え、強力タッグでJ-POPにロック・サウンドをミックスした新しい音楽の形を表現した。2010年6月23日にリリースされたデビュー・ミニ・アルバム「みんなのプー・ルイ」はタワーレコード・オンライン・セールス1位を記録MySpaceランキング2位、アメリカからのドキュメンタリー取材やフランスTV局でPVがOAされるなど、デビュー時から話題を欠くことはない。

BACK NUMBER

vol.1 アイドル・グループになりたかったプー・ルイ
アイドル・グループ・プー・ルイを結成する前代未聞のプロジェクトがついにスタート!

vol.2 アイドル・グループになりたかったプー・ルイ
プー・ルイとオトトイのアイドル・グループ構成員増殖計画 vol.2 - オーディション -

vol.3 アイドル・グループになりたかったプー・ルイ
プー・ルイとオトトイのアイドル・グループ構成員増殖計画 vol.3 - ナカヤマユキコ編 -

vol.4 アイドル・グループになりたかったプー・ルイ
プー・ルイとオトトイのアイドル・グループ構成員増殖計画 vol.4 - ヨコヤマリナ編 -

vol.5 アイドル・グループになりたかったプー・ルイ
プー・ルイとオトトイのアイドル・グループ構成員増殖計画 vol.5 - メンバー全員決定 -

vol.6 アイドル・グループになりたかったプー・ルイ
プー・ルイとオトトイのアイドル・グループ構成員増殖計画 vol.6 - 初お披露目。そして、グループ名は? -

vol.7 アイドル・グループになりたかったプー・ルイ
プー・ルイとオトトイのアイドル・グループ構成員増殖計画 vol.7 -『エレガントの怪物』-

vol.8 アイドル・グループになりたかったプー・ルイ
プー・ルイとオトトイのアイドル・グループ構成員増殖計画 vol.8 -初レコーディング作品フリー・ダウンロード開始!

vol.9 アイドル・グループになりたかったプー・ルイ
プー・ルイとオトトイのアイドル・グループ構成員増殖計画 vol.9 -BiS初のフル・アルバムが、2011年3月23日発売決定!-

vol.10 アイドル・グループになりたかったプー・ルイ
プー・ルイとオトトイのアイドル・グループ構成員増殖計画 vol.10 -1st フル・アルバム『Brand-new idol Society』先行配信開始!-

vol.11 アイドル・グループになりたかったプー・ルイ
プー・ルイとオトトイのアイドル・グループ構成員増殖計画 vol.11 -待望の初アルバム『Brand-new idol Society』配信開始!

vol.11 アイドル・グループになりたかったプー・ルイ
プー・ルイとオトトイのアイドル・グループ構成員増殖計画 vol.12 -アイドル・グループ構成員増殖計画セカンド・シーズンスタート!

[連載] BiS

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