でんぱ組.incを輝かせるのは私たち──鹿目凜×天沢璃人×空野青空×高咲陽菜が描く明日
でんぱ組.incがグループ名の由来である電波ソングをテーマにしたコンセプトEP『でんぱぁかしっくれこーど』をリリース。Aiobahn×畑 亜貴、けんたあろは×サイレンジ!×玉屋2060%(Wienners)、まふまふ、FICE×ヒャダイン、ARM(IOSYS)×MOSAIC.WAVという名作家たちとの5曲が収録された、でんぱ組.incにしか描けない特濃な作品となった。今回はリリースを記念して、鹿目凜、天沢璃人、空野青空、高咲陽菜の4人にインタビュー!
INTERVIEW : 鹿目凛、空野青空、天沢璃人、高咲陽菜
〈でんぱ組.inc全国ツアー2022 『電電電電電電電電電!!!!!!!!!』〉で2022年の秋を駆け抜けてきたでんぱ組.inc 。空野青空の誕生日当日であった10月16日には、現体制で初となる日比谷野外音楽堂でのワンマン・ライブ〈でんぱ組.inc全国ツアー2022 電電電電電電電電電!!!!!!!!!+でんでん!! in 日比谷野外音楽堂〉も開催された。そして、12月14日にはEP『でんぱぁかしっくれこーど』もリリースされるなど、密度の高い日々をメンバーは過ごしている。今回は、鹿目凜、天沢璃人、空野青空、高咲陽菜を迎えて、ツアーの振り返りやEPの収録内容、そして古川未鈴の復帰と愛川こずえの卒業決定を経ての12月16日の〈でんぱ組.inc スペシャルワンマンライブ『でんぱぁかしっくれこーど』〉について話を訊いた。
インタヴュー : 宗像明将
一個一個噛みしめるみたいに長く幸せな時間
──〈でんぱ組.inc全国ツアー2022『電電電電電電電電電!!!!!!!!!』〉の中で、10月16日の日比谷野外音楽堂公演前には、2013年に開催された野音の映像が公開されましたね。初めてワンマン・ライブで野音に立った感想はいかがでしたか?
高咲陽菜(以下、高咲) : 外が暗くなってペンライトが光ってる景色を初めて見たんです。すっごい感動して、まず最初にその景色を絶対に焼きつけたいって思ってライブしてました。
鹿目凛(以下、鹿目) : 日比谷野外音楽堂って、アイドルにとってはワンマンで立ちたいっていうひとつの夢みたいなところがあるし、私もずっと立てたらいいなって夢見ていて。対バンでは立たせていただいたんですけど、ワンマンでやっと叶えられたので、なんかひとつまた魂が成仏したというか(笑)。
──まだ成仏しないでください……!
鹿目 : あはは。まだまだ叶えたい野望がたくさんあるんですけど、ひとつ達成できてよかったなと思います。
天沢璃人(以下、天沢) : 2013年の映像が公開されて、そのときの記憶が最高だったっていうみんなの声をコメント欄とかで見てたんですけど、でんぱ組はまだ終わってなくて続いているなかで、9年ぶりにまた野音でできた、その歴史の中に自分がいたっていうことがすごく誇らしくて。もしかしたら9年後に私たちの映像がYouTubeで流れてたときに「この頃、よかったよね」って言ってもらえる未来があるのかなって思うと、すごい感動して。いつもライブって一瞬なんですけど、一個一個噛みしめるみたいに長く幸せな時間を感じられました。
空野青空(以下、空野) : 新体制になった私たちをどれぐらいのひとが見にきてくれるだろうとか、どっちかっていうと不安な気持ちが大きくて。でも、いざ当日になって蓋を開けてみたら、もう序盤からサイリウムの海が本当にすごくて、「これだ!」って思ったんですよね。アイドルになった理由っていうか。それを見てすべての理性が吹っ飛ぶぐらいに暴れた日でしたね。でんでんバンドさんが背中にいてくれたっていうのがすごい心強かったし、メンバー、支えてくれるクルーのみんな、ファンのみんなと作りあげた一日だったなあっていうのをひしひしと感じられたんで、「死ぬのかもしれない」ってやりながら思ってました(笑)。
──生きていてよかったです! 高咲さん、空野、天沢さんは2021年2月16日の加入から、1年9か月以上が経ちましたが、どんな日々だったでしょうか?
高咲 : 私はもともとでんぱ組がすごい大好きだったから、見れてない部分のでんぱ組を見れるっていうオタクの喜びが毎日のようにあって。その中に自分がはいってるっていうのが負荷になるときもあったんですけど、でも今はめっちゃ楽しいし。最初は「はいらせていただいた」みたいな感じだったんですけど、ツアーとか野音とかもして、感謝するのはもちろんだけど、そのうえででんぱ組.incの自分として「みんなついてこいよ!」っていう気持ちでいないとダメだなって改めて思いました。
天沢 : 私は見た目もだけど、中身のほうがいっぱい変わってて。最初は、歴史が長いグループだからって、その歴史の通りにしようとして、自発的にやらなかったなって思ってて。でも、メンバーなんだから自分たちで言葉にして伝えてみて、自分も関わっていってみようって、最近はすごい思えるようになりました。
──こんないい話をされて、空野さんは何と言うんでしょう?
空野 : 煽るじゃないですか!(笑)最初は、でんぱ組.incに合わせた自分にならなきゃって、すごい思ってて。だからこそ、たとえばヴィジュアルにいろいろ変化を持たせてみたり、キャラクターも単独戦闘型時代+αででんぱ組に合わせたものを持っていかなきゃなってすごい思ってて。でも、1年9か月ぐらい経って、わりと等身大で表現しちゃっていいんだっていうのに気づけたんですよね。自分が好きなアイドルっていうお仕事とか、自分が好きなヴィジュアルとかを、でんぱ組.incに投影して見せていけば、それできっと好きになってくれる人はいるし、でんぱ組.incに合わせるっていうよりは一員になることの大事さみたいなのを1年9か月を経てやっと気がつけたかなっていう感じですね。
──以前の取材で相沢梨紗さんが、ソロのアイドルは弱みを見せないようにしてロボット化してくるけど、空野さんが泣けるようになってきたと話していたんですよ。
空野 : 甘えんぼになれる場所だなって。甘えんぼなんですよ!
──誰に甘えるんですか?
空野 : 話しあいとかしてても、気づいたらメンバーの太ももの上に寄るみたいな。赤ちゃん!
──最年少の高咲さんの前で赤ちゃんなんですか!? 鹿目さんはこんな新メンバーをどう見ていますか?
鹿目 : 陽菜ちゃん、璃人くんは共感する形が多くて、あおにゃん(空野青空)はまた別って感じで話していくんですけど(笑)。陽菜ちゃんは、たくさん怒られることもあるけど、くじけないでちゃんと明るい自分のポジションを積極的にやっていく姿がすごく偉いなあって思ってて。私もすごい怒られることが多かったからわかるんですけど、「もういいよ、もう何もしない」ってなると、成長もとまるし、グループ的にもやっぱりよくないし。陽菜ちゃんは怒られることがあっても、ちゃんとダメな部分は改善して、どんどん前に進んでいくっていう姿がとてもいいなって思っています。
高咲 : ありがとうございます!
──ちなみに、鹿目さんが怒られた時代というのは?
鹿目 : 私、アスペルガー症候群っていうことを今年公表したんですけど、本当に悪気なくやったことで怒られても、自分があんまり理解できないことが多くて。だから同じことで何度も怒られちゃうことが多かったんですけど、公表したことで、もふくさん(福嶋麻衣子/プロデューサー)がすごく調べてくれて、怒るのとは別に「こういうことがいけないんだよ」って、ちゃんと説明してくれるようになって。それで、すれ違ってたものが最近ちゃんと噛みあってきたのかなって。
高咲 : MCが去年のこの時期あたりからガラッと雰囲気が変わったじゃないですか。ぺろさんがセレブキャラになって(笑)。そこら辺から、私の家族もでんぱが好きだからライブを見てて「ぺろりんいいね」って。それはぺろさんしかできないものがあるんじゃないかなって。
鹿目 : 嬉しい……。
──鹿目さんに後輩メンバーの感想を聞いていたはずが、いつの間にか高咲さんが鹿目さんのフォローをしていて、これは高咲さんはやり手ですよ。
全員 : あはは!
鹿目 : 璃人くんは、私がmeme tokyo.(現ミームトーキョー)のサポート・メンバーをしてたとき、私をお姫様抱っこするとファンの人に怒られちゃうとか、すごく怖がってたイメージがあって。でも、私もでんぱに加入したときに賛否両論で、ライブ会場はホームのはずなのに全員が味方じゃないっていうのが怖かったのを思い出して、そこで急に共感を得たというか。璃人くんがnoteに自分の気持ちを綴ったりしてて、今みんながわかる形になってるけど、私は隣にいたから、その前からその璃人くんの気持ちを妄想かもしれないけど勝手に聞いてたみたいな感じがします。
天沢 : そうなんですよ、ぺろさんとけっこう話すんですよ。自分が「今日ダメな日だ」って思っちゃったら、それが出てしまうタイプの人間なんですけど、それをあんまり気にせず、チョケてくれるのがすごい助かってるし、ありがたいですね。
──空野さんはいかがでしょう?
鹿目 : 私が「自分がダメだ」っていうときにチョケてきてくれる相手が、あおにゃんみたいな。私が泣いちゃったり、弱音を吐いたりしても、「そうだよね」みたいな感じで、いい意味で流してくれる相手なのかなって思いますね。キャラクターも全然違うのに、なんか同じ香りがするところがあって。1回あおにゃんと秋葉原駅で手つないで泣くっていうことがあって(笑)。
──そんなことが。
鹿目 : お互いアイドルのポリシーみたいなのがすごくあって、弱音を世間に発信するのをすごく我慢してるからこそ、お互いに……。