でんぱ組.incの“愛”と“ファミリー”とは?──ねもぺろ、もふくちゃん、YGQインタヴュー

でんぱ組.incが“愛” “ファミリー“をテーマに掲げた6thアルバム『愛が地球救うんさ!だってでんぱ組.incはファミリーでしょ』をリリース。夢眠ねむが卒業した2019年以降の活動の総括でもあるアルバムとなっている。その魅力と制作の裏側と、3/25にスピンオフ・ユニットとしてシングルをリリースした”ねもぺろ”について、メンバーから鹿目凛と根本凪、プロデューサーのもふくちゃん、ディレクターのYGQにインタヴュー。
テーマはずばり“愛”と “ファミリー”!
スピンオフ・ユニット“ねもぺろ”1stシングル!
INTERVIEW : 鹿目凛、根本凪、もふくちゃん、YGQ
この春、でんぱ組.incがリリース・ラッシュとも言えるほど次々と作品を発表している。まず2019年12月8日に幕張メッセ国際展示場2・3ホールで開催されたワンマン・ライヴを収録した映像作品『幕張ジャンボリーコンサート』をリリース。さらに、2019年1月に夢眠ねむが卒業した後の現体制での初のアルバム『愛が地球救うんさ! だってでんぱ組.incはファミリーでしょ』もリリースされた。
そして、鹿目凛と根本凪は沖縄撮影の写真集「ねもぺろ」を発売した後、初のシングル「しゅきしゅきしゅきぴ♡がとまらないっ…!」をリリース。約2か月で怒涛のリリース・ラッシュを仕掛けるでんぱ組.incは、“愛“と“ファミリー“をテーマに掲げるアルバム『愛が地球救うんさ!だってでんぱ組.incはファミリーでしょ』へと到達しようとしている。それは、古川未鈴の結婚を受けて、メンバーの人生を反映した作品になっているのだ。
現在のでんぱ組.incに何が起きているのか。鹿目凛と根本凪、そしてプロデューサーのもふくちゃん(福嶋麻衣子)、ディレクターのYGQに話を聞いた。
インタヴュー : 宗像明将
ちょっとかわいくてエッチな感じの”ねもぺろ”
──今、“ねもぺろ”があって、でんぱ組.incがあって、ぺろりんだったらmeme tokyo.、ねもちゃんは虹のコンキスタドールもありますよね。なんでこんなに働かされていると思いますか?
全員 : あはは!
鹿目凛(以下鹿目) : meme tokyo.は、オリジナル・メンバーのSORIちゃんが学業の関係で活動をおやすみしないといけなくなっちゃったタイミングで、同じ黄色だし参加することになったのかな?って(笑)。でも、正直暇なほうがしんどいので……。ちゃんとお仕事があるのは必要とされている感が……(笑)。
根本凪(以下根本) : 私も同じく空白があくといろいろ考えてしまうタイプなので、ありがたいですね。”都会を歩くと人とぶつかるのがめちゃくちゃ嫌だな”みたいなことでいきなり病みはじめるんですよ(笑)。茨城に帰ろうかなとか(笑)。
──帰らなくてよかったです! 『幕張ジャンボリーコンサート』が発売されましたが、あの2019年12月のライヴの現場で私がびっくりしたのは、以前もふくちゃんはぺろりんの音痴を直すって息巻いていたけど、ぺろりんの歌が成長したと感じたことでした。
もふくちゃん : 音痴じゃなくなったね、ちょっとだけね。でもぶりっ子の曲は全面的に音痴です。大丈夫(笑)。
YGQ : かっこよく歌う曲は比較的ピッチも取れるようになったし、ニュアンスもいいんですけど……。
もふくちゃん : ぺろりんの法則を気づいたよね。
YGQ : 我々も研究して。
鹿目 : 研究者(笑)。
YGQ : 研究結果としては、ぶりっ子っぽく歌うと急激にピッチが悪くなる。
もふくちゃん : だからアイドルを意識した途端にダメですね。
鹿目 : 核心……(笑)。でんぱ組.incの“形而上学的、魔法”とか、かっこいい曲は自分も声が出しやすいとか研究してて。でも、ねもぺろですごいぶりっ子で歌う曲だと、難しくなっちゃって……。
もふくちゃん : ニュー・アルバムの曲でも、“星降る引きこもりの夜”のいちばんエモいところは今回ぺろりん。“アイノカタチ”の落ちサビがぺろりんとか、エモいところでエモい声が出せるようになってきた。
──エモぺろりん。
もふくちゃん : エモぺろは外さないですよ(笑)。
──ねもちゃんはいかがでしたか?
もふくちゃん : 「根本だなぁ」っていう感じ安定の歌唱力。
根本 : あはは。
YGQ : “愛が地球救うんさ! だってでんぱ組.incはファミリーでしょ”は、会場を走りながらめっちゃ安定してたし。
もふくちゃん : 走ってるのにCD音源みたいな感じで(笑)。
根本 : あんなに走るとは思わなかったです(笑)。
もふくちゃん : 根本は意外と体力あるなって思いますね。
根本 : 虹コンであれだけリリイベをやってれば体力つきますよ(笑)。
──あの幕張のときにねもぺろがお披露目になって、“しゅきしゅきしゅきぴ♡がとまらないっ…!”が初披露されたわけですけど、ねもぺろのアイデアはどこから生まれてきたんですか?

もふくちゃん : 幕張でソロ・コーナーをやらせようという話になって、りさちゃん(相沢梨紗)はLAVILITHとか、ピンキー(藤咲彩音)は誕生日だからソロで歌わせようとか、みりんちゃん(古川未鈴)を飛ばそうとか(笑)、えいたそ(成瀬瑛美)は「プリキュア」をやろうとか。それでねもぺろが何もないねぇ、って浮いちゃったときに、やっぱり我々はハロプロのスピンオフ・ユニット大好き世代だから。
YGQ : そうそう(笑)。
もふくちゃん : 三人祭みたいなイメージでやりたいなっていうのが最初にあって。ちょっとかわいくてエッチな感じ。絶対的に今までのでんぱ組にないことをやりたかったですね。「ねもぺろを組みあわせておっぱいを出す」というところは決まってました。その次に歌(笑)。
YGQ : とりあえずライヴだけやろうということでスタートしました。
──そのわりには3か月後にはもうCDがリリースされてますよね。
YGQ : ライヴをやって、お客さんの反応もすごくよくて。そこからすぐにカップリングを作ってって感じだった。
もふくちゃん : 光のスピードで作りました。
──ねもぺろ的にはユニットと言われていかがでしたか?
根本 : 自分が2人組や3人組のユニットを見るのが好きで。でも、自分がやらせていただけることになるって想像もしてなかったので、すっごいびっくりしたんですけど、本当に嬉しかったですね。ぺろりんとは長い付きあいなので気心も知れているし(笑)。
鹿目 : うふふ。
根本 : 面白いことをめちゃくちゃ言ってくれるから、携帯にメモをめっちゃ取ってあります(笑)。たまにえいたそさんと共有して笑ったりしてます。
鹿目 : えいちゃんが、私の加入当時から面白メモをずっとしてくれてて(笑)
──なんでぺろりんは観察されることを受けいれているんですか(笑)。
鹿目 : でも、なんか喜んでもらえて嬉しいです……(笑)。
──ねもぺろをやることについてはどう思いました?
鹿目 : お互いグラビアはもともとやっていたので、すっごいかわいい感じにしてもらって、ファンのかたからもありがたいお言葉をたくさんいただいたりして。新しいコンテンツとしてできあがっていくっていうのがすごく嬉しかったですね。
──沖縄で撮影して、写真集もMVも凝ってるなと思ったんですけど、あそこまでセッティングされてどうでした?
根本 : 売らなきゃ……売らなきゃいけない……。
鹿目 : 今回2人っていうのがあって、より責任を感じました。「予想以上の結果を出さないとな」みたいな。期間限定というよりは、長くやりたいなというのがあって、それには実力と結果が必要になっていくので、”一緒にがんばろうね”って言って。
──“しゅきしゅきしゅきぴ♡がとまらないっ…!”と“♡夜ふかし乙女のドキドキはっぴいでぃず♡”は2曲とも曲調がモータウンじゃないですか。こういう曲を歌わせてみようというのはどこからきたアイデアだったんですか?
YGQ : 大まかな構造としては、渋谷系サウンドにして、2人のかわいい感じを乗せるっていう。
もふくちゃん : モータウンをずっとイメージしてて。モータウンの名曲といえば、古川未鈴先生のいにしえのソロ曲“♥オトメトリック♥”がすごい気にいってて。それは村カワ(基成)くんが作曲だったんだけど、12年前にいちばん最初に話したときに、「モータウン、自分も好きなんすよね」みたいにお互い盛りあがって(笑)。モータウンの感じを女の子がちょっとエッチに歌う感じが、アイドルとしてはいちばんおいしいよねっていう話をして、「モータウンとエッチ」っていうのが、“スンッ!”ってきた感じですね。
YGQ : “しゅきぴ”とか“ぴえん”とかもガンガンいれたいっていう構想はありましたね。
もふくちゃん : “くちづけキボンヌ”もそうだったけど、「もう旬は過ぎてるけど今歌ったらかゆいよね」みたいな感じの歌詞にすると、エモさがでるというか。“しゅきぴ”とか“ぴえん”も、この2、3年でだんだんそうなってくるっていうのが、チーズみたいでいいよねみたいな(笑)。
鹿目 : 熟成(笑)。
──2人に熟成チーズを与えるみたいな(笑)。歌詞も村カワさんですけど、かなりコケティッシュなアイドル像ですよね。
もふくちゃん : いちばん得意なやつ。
YGQ : 村カワさんってマインドが女子じゃないですか、ぺろりんの脳内と似てるなって(笑)。
もふくちゃん : ぺろりんがおじさんなのか、おじさんが乙女なのか(笑)。
YGQ : 細かくオーダーはしないで書いてもらったけど、2人が歌っても、世界観に違和感はないんですよね。脳内が一緒だから。
──ねもぺろはこの曲をもらってどんな感想を持ちましたか?
鹿目 : 自分の脳内妄想みたいなことを歌えて嬉しいです(笑)。それを合法でねもちゃんと一緒に歌わせてもらえるっていうのが嬉しいです。
──2019年、2020年のポップスで「えっち!」っていうのはなかなかないですよね。
鹿目 : 思春期なんて終わったから(笑)、恥ずかしいとか特になくて、本当にアートとしてめちゃくちゃいいものだから、それを自分たちができるってありがたいなって思っています。
根本 : 私、“ぴえん”があんまり好きじゃなくて……。
全員 : あはは!
根本 : “ぴえん”反対派だったんですけど、歌詞にはいってて……(笑)。「言いたくない……!」と思った……。
鹿目 : しかも、ねもちゃんパートだしね。
──しかも幕張の大観衆の前で。
根本 : そう……(笑)。でも、歌ってるうちに「ぴえんっていい言葉じゃん」って(笑)
──洗脳されてないですか?(笑)
根本 : 斜に構えるのが直ったターニング・ポイントになった曲なのかわからないんですけど……。
もふくちゃん : ねもぺろはそもそも、ぺろりんがノリノリで根本が振り回されてるみたいな構図がいちばん面白いなと思うので、ぺろりんの脳内を熟成させた感じに、根本が無理やりついてこさせられてるっていうのが面白いよね(笑)。
YGQ : 連帯責任で付きあわされてる(笑)。
もふくちゃん : そのバランスやキャラ性が、ファンの方が面白いって言ってくれてるのかなって(笑)。
エッチであるコンテンツに対して恥じない
──ちなみに今回写真集も出て、ねもぺろがエッチなものを撮ることに賛否両論があったじゃないですか。でんぱは「脱いでなんぼ」っていう伝統があったと思うんですけど。
もふくちゃん : 面白いよね。写真集や雑誌ではガンガン脱いでいたけど、でもなんか当時はインスタもなかったし、携帯の写真の画質も悪かったし、SNSに水着を載せるっていう文化がなかったから、受け取られ方が当時と全然違うんだろうなって思います。
YGQ : 「そもそもでんぱ組はデビューアルバムから、水着になってますけど」って話ですよね。
鹿目 : なんか悲しいのを通り越してちょっとムカついちゃいました(笑)
根本 : 笑っちゃいました(笑)。なんだろう……なんか……わかってほしい。
鹿目 : グラビアをずっとやってるから自分の感覚がずれてるのかもしれないけど、私はずっとグラビアは芸術って思ってるから。
──ファンの世代が変わってきているんでしょうかね?
もふくちゃん : もう全然違うんじゃないんですか? でも実はねもぺろのファンってめちゃくちゃ増えてて。そっちの伸びって、大事だなって思うんですよね。「おっぱい出してけしからん!」っていう意見ももちろんわかりますが!
ねもぺろ : あはは。
もふくちゃん : 女子の中にも嫌がる子はいるけど、女子はもうすごい二分されてて。比較的若い子や新規の方は「めっちゃかわいい! おっぱいきれい!」みたいな。80年代、90年代のエロ全盛期は、「エッチなことの何が悪い」ってぐらいテレビでバンバンやってたし、パイは出すし尻は出すしみたいな、あれはやっぱり当時時代、バブルだったから許されたのかなって。今って本当に色々しがらみがあるじゃないですか。すぐに炎上したり、クレームの電話してくるみたいな。
──逆にねもぺろは80年代、90年代的なノリを出していると?
もふくちゃん : 基本的にでんぱもそうなんですけどね。80年代、90年代の文化のよさを今流にアレンジしてやっているのは変わらないので。“えっち!”って言うこと自体が80年代のおニャン子クラブじゃないですか。
──そうですね、30年くらいアイドルから“えっち!”って言葉は聞いてないですね。
もふくちゃん : だから30年前のアイドルがエッチだったときを思い出そうよ、みたいなのはあります(笑)。エッチであるコンテンツに対して恥じないというか。
YGQ : 80年代とかドラマでも“エッチー!”って言葉があった(笑)。
もふくちゃん : 「かーんち、セックスしよ!」(『東京ラブストーリー』)みたいな。
YGQ : 今そんなこと言ったらクレームの嵐で「自粛しろ!」みたいな(笑)。
もふくちゃん : コンプライアンスで「(メガネを)くいっ」みたいな(笑)。そういうのにもちょっと抗ってますよね。
──ねもぺろは今後も続いていくんですか?
もふくちゃん : まぁ人々が求める限り……答えはあなたの中に、みたいな(笑)。でんぱ組.incとはまったく違う形でいいのかなって。わたしは今のねもぺろを他の4人のメンバーが”あらあら、エッチな格好をして、かわいいわね”みたいな感じになってるところが、すごく今のでんぱ組.incとして美しいと思うので。
YGQ : でんぱ組.incを知らない世代がねもぺろだけ好きになって、その後に「あれ? なんかでんぱ組.incってユニットにも所属してるんだ」ぐらいの温度感でもいいなとは思っていて。ねもぺろはポテンシャルがあると僕は思っていて、2人とも迷いなく企画に乗りきってくれて、それはアイドルをやる上ですごく大事だと思うんですね。変に自分にこだわりがありすぎると、クリエイティヴにブレーキがかかっちゃうんですけど、それが2人はなくて、120%乗りきってくれる(笑)。
もふくちゃん : えらい(笑)。
鹿目 : 「こんな感じですかー!?」みたいな(笑)
もふくちゃん : 脱ぎすぎちゃうから(笑)。
YGQ : アイドルって、素材として面白がってくれるクリエイターの存在がすごい大きいと思ってて。ねもぺろの場合は今回はZUMIさんがヴィジュアルとかMVとか写真とかやってくれたんですけど、すごいモチベーションが高い。
もふくちゃん : ZUMIさんがねもぺろのことを大好きすぎる、みたいな。めちゃくちゃいいことじゃないですか。Tシャツを自作で作ってくれたり(笑)。
鹿目 : びっくりした、「えー、いいんですかー!?」みたいな(笑)。
根本 : 嬉しい……。
YGQ : それってすごい大事な原動力で、僕らもBOZO&YGQで“くちづけキボンヌ”のMVをお金ないけどチェキで作ったりとか。ああいう熱量というのはすごい大事だと思ってて。ねもぺろにはそれがすごいあるなっていうのは思いますね。
根本 : 今初めてそれを聞いた……(笑)。嬉しい。
鹿目 : 今言葉にしてもらえて嬉しいなみたいな……(笑)。
「やっぱりファミリーといえばスーパーじゃね?」って
──そして、息つく間もなくでんぱのアルバム『愛が地球救うんさ!だってでんぱ組.incはファミリーでしょ』が出ます。まず“もしもし、インターネット”のMVを公開しましたよね。16歳の諭吉佳作/menさんが作詞作曲で、 17歳のマルルーンさんがMV監督で、映像はヴェイパーウェイヴじゃないですか。
YGQ : 諭吉佳作/menは「形而上学的、魔法」を書いてもらってすごい手応えがあったので、もう1曲お願いしようということになって、今回のテーマの〈ラブ〉とか〈ファミリー〉を曲で表現してほしいということだけをオーダーしたんですよ。そしたら「インターネットをテーマに書いてもいいですか?」ってきて、あがってきたのがこれだったんですよね。
もふくちゃん : (清)竜人さんとか浅野(尚志)君とかヒャダインさんとかのファミリー観って、今の私たち世代とそんなに変わらないイメージだと思うんですけど、我々の世代からしてみると、諭吉佳作/menとか宇宙人ぐらいの思考の差があるわけじゃないですか(笑)。10代が“ファミリー”とか“愛”って聞いて、“インターネット”って答えを出してくるっていうのがめちゃくちゃ令和だなと思って。10代の子たちのパワーって、やっぱすごい大事だなと思って。MVも含めて世界観を壊しちゃいけないなと思って、「10代でまとめたほうがいいんじゃないか? 私たちにはわからない」って。
YGQ : Twitterで見つけた10代のクリエイターのマルルーンにDMを送って、諭吉佳作/menの曲を「お願いします」ってやってみたらやっぱりハモったんですよね。
もふくちゃん : 大人を全員老害化するパワーがあるというか(笑)。でも、この曲のMVを公開した瞬間に、今まで全然連絡してこなかったような人たちが、”でんぱ組.incのMVめちゃくちゃいいじゃん!”って連絡をくれて。やっぱり私たちにはわからないパルスが飛んでるんだなって(笑)。
──今、世界的にヴェイパーウェイヴが流行してますが、「いやいやヴェイパーウェイヴ遅いっしょ」みたいな人たちもいますよね。それを承知でOKを出したのも大きいと思います。
もふくちゃん : ヴェイパーウェイヴ論って無限にあるけど、今回はあえて深いことを考えないで、10代の子たちが出してきたんだったら正解だろうって。「もう17歳に対して私たちがあーだこーだ言うことねーわ」っていうのが、いちばん大きい。
YGQ : 彼からしたら90年代のインターネットってリアルタイムじゃないし、わからないと思うんですけど、感覚的にイケてるって思うものを取りいれてると思うから、”いや、このカルチャーはこういうストーリーがある”っていう余計なノイズをいれないほうがいいのかなって思いましたね。
──ねもぺろからしたら、年下のクリエイターが参加するのはどういう感覚なんですか?
根本 : 私、ボカロが好きなんですけど、名曲を作る人は若いかたが多かったりするんですよ。「天才だ……!」みたいな人をボカロのシーンで見ていた感覚を、アイドルになって、しかもでんぱ組.incというコンテンツで感じられるっていうのは本当にすごくいい時代だと思って。
鹿目 : 私も、大人の気持ちもなんとなくわかるようになっていって、でも10代の人の若い感覚をこうやって近くで感じて、なんかそのはざまに……(笑)。でも、私も何か思い出しました……。
もふくちゃん : 何を思い出したの(笑)?
根本 : 降りてきた、降りてきた(笑)。
鹿目 : なんか……学生時代……(笑)。
もふくちゃん : あっはっは!
YGQ : 前世かな(笑)?
もふくちゃん : でも、諭吉佳作/menの世界観をいちばん飲みこめているのはねもぺろの気がする。特に根本は今回の新曲はいちばん最初に“いいね”を押してくれた人で(笑)。
──冒頭の村カワ基成さん編曲の“ファミリーワールド”のデジタルな感じは新鮮でした。しかもいろんなSEがはいります。
YGQ : 今までのでんぱのアルバムの1曲目のインストって、豪華なオーケストラとかだったんですけど、今回「しっくりこねーな」っていうのがあって、「やっぱりファミリーといえばスーパーじゃね?」って。そこからアイデアがいろいろ出てきて、〈北関東、バイク、ヤンキー〉みたいなテーマが挙がってきて(笑)。
もふくちゃん : 若かりし頃からファミリーを形成していくイメージ、国道沿いの風景からね。
YGQ : 家路に着く頃に虫の鳴き声とか聞こえてきて。
もふくちゃん : ちょっとイキってるように見える人が、実はめっちゃ田舎にあるの家にひっそり住んでいて、早くに家族を作って、愛を見つけていくみたいな。「日本のいちばんド直球の家族像は、どこがストライクゾーンだ!?」みたいに探して(笑)。
根本 : 完全にうちの兄のことを言ってる……(笑)。
──お兄さんはもう結婚してるんですか?
根本 : 結婚して子供もいて更生しはじめてる……。
もふくちゃん : この話、めっちゃ面白くて、根本が15歳ぐらいのときに聞いたのが「兄がヤンキーで困ってるんですよ、家に鉄パイプを持って帰ってくるんですよ」って(笑)。茨城だし。「最近お兄ちゃん何してるの?」ってことあるごとに様子をうかがってたんですよ。
根本 : 今は車高の低い車に乗ってます。
もふくちゃん : 最高!! 本当に私が思い描く北関東のヤンキーの生活という感じで。めっちゃイキってたのに、いつのまにか結婚して子供も生まれて。根本のお兄ちゃんの人生を、この5、6年で勝手にずっと見てて(笑)。
YGQ : 会ったったこともないのに(笑)。
もふくちゃん : でも、たった5年でヤンキーからの結婚からの子供からのシャコタンみたいな(笑)。
──今回、ねもちゃんのお兄さんのアルバムみたいな(笑)。
もふくちゃん : そうそうそう(笑)。
根本 : 思いもよらない……。
もふくちゃん : “ファミリーワールド”の裏テーマは、日本の真ん中にいる家族像みたいなものをSEにいれたいっていうことで(笑)。
YGQ : スーパーで録音していろいろ混ぜて、実はメンバーの声も全部はいってるんですよ。
もふくちゃん : そこからパラパラが始まって、ちょっと人生の中でイキってた時代のイメージとか。その後、やっぱり家は田舎にあるから、虫の声とかが聞こえて家に帰るみたいな。そういう1分半だね。
YGQ : ひとりの人生をつなげたものでもあるし、家族それぞれ、兄ちゃんはヤンキーでパラパラを聞いてる、お母さんはスーパーに行ってる、娘は部活の帰りに歩いてる、お父さんはまだ国道沿いを歩いてるとか、そういう風にも捉えられますし。
もふくちゃん : 村カワくんには「とりあえずパラパラを作って!」って(笑)。
昔の自分に聴かせてあげたかったな
──前山田健一さん作詞、浅野尚志さん作編曲の“愛が地球救うんさ!だってでんぱ組.incはファミリーでしょ”もMVが公開されていて、これはまさに“愛”と“ファミリー”がテーマですね。驚いたのは、ニガミ17才が作った“生でんぱ”で、ファンクじゃないですか。完全に声のいれかたがジェームス・ブラウンの“セックス・マシーン”だし、それがどんどん2020年っぽくなっていく。
YGQ : これもそんなに細かくは言ってないよね。
もふくちゃん : うん、もともと私はニガミさんがすごい好きで。あんまりでんぱ組っていうのを意識しないで好きに作ってほしいみたいなオーダーだったよね。
──“生でんぱ”を受けとって、ねもぺろはどう感じましたか?
鹿目 : 今回初めてニガミさんを知って、こういう楽曲を初めて聴いて、自分の世界が広がりました。
根本 : めちゃくちゃかっこいい。初めて触れる感じの音楽だったので、すごい出会えてよかった、ニガミさんに。出会いに感謝。
──急に「マジ感謝」みたいになりましたね。
もふくちゃん : どうしても北関東の血が(笑)。
──神聖かまってちゃんのの子さんが作詞作曲したのが“星降る引きこもりの夜”ですね。
もふくちゃん : の子さんには、このアルバムの中では唯一でんぱ組.incのもともとの精神を出してほしいなってイメージしてて。今回って、まだ10代、20代前半の”家族ってなんだよ”みたいなヒリヒリした人たちを置いてっちゃってるのかな? と思って、の子さんには、でんぱの昔の精神みたいなものをうまく出してもらいつつ、ファミリーと融合できるポイントの曲にしてもらった。
──「コミュ障」や「SNS」も歌詞に出てきますしね。
もふくちゃん : そうそう。でも、すごい優しい感じのしあがりになってる。
鹿目 : すごい突き刺さる。絶対今の子にめっちゃ突き刺さるものがありますね。すごい自分に寄り添ってくれる曲だなって。
根本 : 私も〈愛〉っていう悟りを開けてない部分があって、「ちょっと置いていかれてるな」っていう気持ちがあって。めちゃくちゃ感情がはいる曲で、昔の自分に聴かせてあげたかったなっていう感じの曲ですね。
──昔の自分に聴かせてやりたい、と。
根本 : 北関東みたいな感じになっちゃった、すぐポエムみたいなこと言う(笑)。引きこもってた時代の自分に聴かせてあげたかったなっていう気持ちはありますね。の子さんが書いた“Os-宇宙人”(エリオをかまってちゃん)もめっちゃ刺さってたし、の子さんの歌詞がめっちゃ刺さるんですよね。
──“桜が咲く頃に”はLucky TapesのKai Takahashiさん作詞作曲編曲ですが、サビ以外がほぼラップですね。
YGQ : このアルバムの制作途中で、楽曲マッピング表っていうのを作って、曲の傾向を“BPMが速い”とか“エモい”、“激しい”、“明るい”とか分類して、「なんか一個ないところあるぞ!?」ってなって。
もふくちゃん : 「ガラ空きだー!」って。
YGQ : BPMが遅い、エモい。これが1曲もないってなって、作ろうよっていうことで。
もふくちゃん : BPMは指定したよね。
YGQ : Lucky Tapesさんは僕も個人的に好きだったので、“遅い”、“エモい”は絶対Lucky Tapesさんでしょってなって、ダメ元でご相談したというのが始まりです。
──ぺろりんはラップをしてみていかがでした?
鹿目 : 私はmeme tokyo.でラップをやってたけど、ゆっくりのエモいラップって今回初めてで。今回、初めて歌い始めをいただいたんですよ。だからそれがすごく嬉しくて、なんか思いいれ……(笑)。
YGQ : “桜が咲く頃に”はぺろりんがよかったですね。
──ねもちゃんはラップをしてみていかがでしたか?
根本 : BPMゆったりのちょっと空気多めのラップで、“めっちゃ大好き侍”が登場したんですけど(笑)、でんぱ組.incでこういう曲が聴けるのは、己のファン心理の中でもめちゃくちゃ嬉しくて。今回は音源をめちゃくちゃ聴きながらお風呂にはいったり、外を歩いたりしてます。
ドキュメンタリー要素が強いじゃないですか、でんぱ組.incって
──みりんちゃんが結婚を発表した2019年9月18日のZepp DiverCity(TOKYO)で歌われた「私のことを愛してくれた沢山の人達へ」、そして同じく清竜人さん作詞作曲編曲の“結婚してもMAMAになっても君は永遠にぼくのIDOL♡”へと続きます。この流れは、みりんちゃんの結婚を、でんぱのアルバムの中でエンタメにしようという強い意志を感じたんです。日本のアイドルのアルバムで、こういうものを聴いたことがないんですよ。
YGQ : ふたつの選択肢があって、ひとつは結婚しても特にそれは出さずになかったように過ごす。もうひとつは、ファンのかたたちの前で発表した以上は、覚悟を持ってそれをエンタメとしてステージに持っていく。決意も含めて、こういう曲ができたっていう感じですね。“結婚してもMAMAになっても君は永遠にぼくのIDOL♡”は、正直メンバーの中でも歌うのか歌わないのか、物議は醸したんです。
もふくちゃん : もともとでんぱ組.incって、いじめられてたとか、自分の本当のことを隠さないで出してきて、それを好いてもらうっていう開き直り(笑)がコンセプトだったじゃないですか。今考えられないけれど、結成当時はアイドルが“オタク”っていうことすら、隠さないと恥ずかしい時代だったんですよ! だから私としては、これが出てきて必然だなって思ってて。ドキュメンタリー要素が強いじゃないですか、でんぱ組.incって。なのに急に結婚のことだけ無視するっていうのは、なんか気持ち悪いな、でんぱ組のコンセプトとブレるなって個人的には思って。”やだ”っていうお客さんがいるのはめちゃくちゃわかるけど、でもそれは“W.W.D”のときもあったなって思って。「アイドルがいじめられてたことを歌うのってどうなんですか?(メガネを)くいっ」みたいなひと、マジでいたんですよ、当時はたくさん(笑)。
YGQ : いたいた。
もふくちゃん : そういう人たちにペッペッって唾を吐いてきたから。「結婚したらアイドルじゃねーよ」「MAMAになったらアイドルじゃねーよ」っていうひとたちに対して、今でんぱ組が歌わなきゃいけない曲なんですよね。そうじゃないとでんぱ組.incじゃなくなっちゃうから。私としては、女性プロデューサーとしてやっていて、大手プロダクションにはできない、使い捨てじゃなくアイドルを作ってるんだ、っていうメッセージとして令和にこれを出せてよかった。ただ若い子やルサンチマンのただ中にいる人たちにはまだ絶対飲み込めないというのもわかるんですよね。でもみんなも10年後ぐらいにわかってくれたらいいなって、10年後ぐらいに「W.W.D」から通してみたら、ものすごい一貫してるユニットだなってわかってもらえるかなと思って。やっぱり今コンテンツとしても嘘がつけない時代になってきてるなって思うんですよね。
──というと?
もふくちゃん : YouTuberの面白さのひとつが、包み隠しのなさなのかなーって。炎上しても開き直って「あっ、すいませんこれが自分なんで。キリッ」みたいな、あれが強いし面白いのかなと思うんですよね。でも、本当はでんぱ組.incやってた、やりたかったことだよみたいな。“W.W.D”以降、でんぱ組.incっぽい曲を歌うようになっちゃった時代があって、でも、「突っ走ってくぞー!」みたいなのを叫び散らしてるのって、正直時代としても本人たちのテンションとしても、もう終わってるんですよね。今のでんぱ組.incの等身大の歌ってなんだろうなと考えると、これはいれざるをえないなーと。“結婚してもMAMAになっても君は永遠にぼくのIDOL♡”は“W.W.D”なんですよ。
──でんぱ組.incとは、メンバーの人生を歌うグループなんだ、と。
もふくちゃん : 「私たちはこういうスタンスなので、それで応援してください」っていうメッセージ・ソングに対して、嫌な人は絶対いるし、“W.W.D”のときだって叩かれたんだから。その反面、”アイドルがこういうことを歌えるんだ?”って勇気づけられる人もいたからね。
──“結婚してもMAMAになっても君は永遠にぼくのIDOL♡”は、メンバー内でも波紋があったそうですが、ねもぺろはどう思いました?
もふくちゃん : 他のメンバーは巻きこまれてるからね(笑)。
鹿目 : 私の第一印象はやっぱり”大丈夫なのかな?”って、ちょっと心配だったんです。でも、ちゃんと自分でも理解ができてきて、今はライヴでも歌いたいぐらいですね。みりんちゃんにしかわからないこともたくさんあると思うけど、それを一緒に乗り越えたいというか、私も……支えたい……(笑)。
──なんで半笑いなんですか(笑)。
もふくちゃん : あはは、そうなっちゃうね。
鹿目 : 照れちゃった……すみません(笑)。
──ねもちゃんはどうですか?
根本 : まず”曲がいいな”っていうのが率直な感想で。でも、歌詞の内容をファンの人が聴いたらびっくりしちゃうかなってところは正直あったんですけれども、意味がないと曲って生まれたりしないし、人って意味がないことに労力を割かないから。「絶対やらなきゃいけないことなんだな」っていうのがあったんですけど、みりんさんだけが傷ついてしまう構図になるのは絶対に嫌だなって思ったり。モニョモニョ考えてたら、LINEでの討論というか…… その流れにも乗り遅れて何も言えなかったんですけど(笑)。ずっと5回ぐらい、文字を書いては消して(笑)。
もふくちゃん : エモいね。
根本 : レコーディングしてみて”やっぱり歌ってよかったんだな”っていうしっくり感があって。”これは必要なパーツなんだな”っていう自分の中の落ち着きみたいなものがあって。
──レコーディングまでは、ちょっと迷いがあったんですね。
根本 : ちょっと葛藤が…… ほんと「みりんさ〜ん!」ってなりました。みりんさ〜ん……。
──“結婚してもMAMAになっても君は永遠にぼくのIDOL♡”のすさまじいところは、清 竜人さんが勝手にファンの気持ちを書いていることですよね。
もふくちゃん : 竜人さんはねー……アンコントロール……。
YGQ : 一応今回のアルバムの曲を全部送って、最後の大団円になる曲を作ってほしいって送って、結果これがきたっていう。「あれ!?」って。
もふくちゃん : アルバムの最後に、“愛”と“ファミリー”をテーマにした大団円みたいな曲をオファーしたらこれがきて、「まじ何考えてんだ?」って。
YGQ : でも、「ちょっと待って? この曲……」
もふくちゃん : 「よくない?」
YGQ : ってなって(笑)。
もふくちゃん : あはは!
YGQ : 「むしろこれなんじゃない?」ってなって。
もふくちゃん : 私たちもみんなと同じく飲みこむのに時間がかかったけど、これは竜人に賭けてる感じだよね。
YGQ : そうそうそう。
もふくちゃん : “Dear☆Stageへようこそ♡”も、勝手に店に乗りこんで録音してみたいな、そのムーブがやっぱり信用信頼の清 竜人みたいなところがあるから、「これは竜人の考えに乗ろう」みたいな感じになったよね。
YGQ : 竜人もマルルーンもそうだけど、その辺ってやっぱりクリエイターのさじ加減にあえて委ねちゃっているところもある。
めちゃくちゃコンセプチュアルなアルバム
──玉屋2060%さん作詞作曲編曲の“アイノカタチ”のMVは、メンバーが三浦海岸に行って何か食ってるだけでも、見ていると泣きそうになるんですよね。
もふくちゃん : それが“もしもし、インターネット”のMVの次にくるっていうのがまた謎のムーブ(笑)。
YGQ : 振り幅が「どういう感情?」って(笑)。玉屋さんに関しては、こういう感じにしてほしいというのは言って作ってもらった感じです。
──アルバム全体で見てみると、やっぱりねむきゅんが卒業した後のでんぱのドキュメンタリーになってるんですよね。
もふくちゃん : かなり今回は意図的じゃない? 今までに比べたらめちゃくちゃコンセプチュアルなアルバムだと思うよ(笑)。
YGQ : “いのちのよろこび”をリリースしたところから、全部意識して作っていったっていう感じですね。
もふくちゃん : 一貫して言いたいことが「うるせぇよ」っていうぐらいあるから、コンセプチュアル過ぎて胃もたれする感じはあるよね(笑)。「でんぱ組.incってなんなの?」っていうのを、今逆に誰もわかってないから、「今のでんぱ組.incのタームはこういうところだよ」っていうのが、これを通して聴いたらわかるかなって。それに対して嫌いと思う人がいてもしょうがないから、もうリトマス紙だよね、これ。(笑)
YGQ : 「でんぱ組っぽいってみんなが思ってるのは何なの?」っていう挑戦状でもあると思ってるんですよ。「曲調がガチャついてて、MVもいわゆるでんぱ組っぽい感じで、それがみんながイメージするでんぱ組なんですか? でも、そうじゃないと思うんだけど」っていうことを提示するイメージではあるんです。
もふくちゃん : いろんな音楽に挑戦するのはそのうちのひとつだし、“W.W.D”みたいにメンバーのパーソナルにすごく寄り添った歌詞を出すというのもひとつだし、「でんぱ組ってこれだよ!」っていうのを一個一個、丁寧に引っぱってきて、タグ付けしたみたいな感じですね。
──ねもぺろからしたら、ねむきゅんが卒業して、みりんちゃんの結婚もあって、激動の変化をどう受け止めていたんですか?
鹿目 : 加入したてのときって本当に激動だったから、正直あんまりもう記憶が……(笑)。ねむさんってMCで回してくれたり、存在がやっぱすごく大きかったので、ねむさんが卒業するってなって、責任感がすごい増して。最初の頃とか、”自分ができることは何だろう”と必死に探して、ときには空回りもしてたんですけど、自分の立ち位置もどんどんわかってきたりして。加入したてのとき、「ねもぺろが今までのでんぱ組.incをいい意味で壊してほしい、新しい風をバンバンいれてほしい」と言われてて。当時はすごい遠慮してたし、「できるかなぁ……?」みたいな感じで。でんぱのファンの人に何か言われるのが怖かったし、傷ついてたけど、今は「えっ? 何言ってんの? ついてきてよ!」ぐらいの自信が持てるようになりました。
──ねむきゅん卒業以降のドキュメンタリーみたいなアルバムができて、感慨はありますか?
鹿目 : 今までは“W.W.D”みたいな暗い感じの、本当の自分を見せていくことにすごい泣けていたけど、今は明るい愛で満ちてるほうがすごいエモーショナルだと感じていて。だからなんか世界がこういう風になればすごい平和になる……(笑)。
もふくちゃん : だんだんでかい話に(笑)。
鹿目 : 人に優しくすると自分も優しくしてもらえるし、自分の日常生活でもいろんな愛があると思ってて。現代の人ってやっぱり、そういう感情って忘れがちじゃないですか。その人の人生の中にもきっと優しさとか愛とか、そういうのをちゃんと感じていた時期もあると思うから、今回のアルバムを聞いてそれも思い出してほしい。うふふ。
──みんなに愛を思い出せと。壮大な話になってきましたね。
鹿目 : 私が話すとすごい世界規模になっちゃう(笑)。
──ねもちゃんはどうですか?
根本 : ねむさんって、めっちゃサブカル要員というか、他のメンバーさんにない世界のものを引っ張ってくるような人で、「アイドルがこういう仕事をするんだ」みたいな第一人者だと思っていて。そういう象徴的なかたがいなくなってしまったら、めちゃくちゃ不安だったんですよね。朦朧として……(笑)。でも、不安ながらも、ありがたいことに仕事はやっぱりあるし。ねむさんがいないでんぱ組というのは想像ができてなかったんですけど、だんだんいい形になってきて、1年ぐらい経って今このアルバムができて、曲を見返していくと”ちゃんと走ってきたんだな”って。走ってきた道標が確認できてよかったです。
──最後にねもぺろに対する期待を聞かせてください。
もふくちゃん : かつてのピンもが(最上もが)は、2人がはいってゴチャゴチャッとして、全然違う仕事がはいってくることがあったから(笑)、ねもぺろも自由に動いてもらって、外からいろいろなものを連れてきてもらえたらいいなっていうのはありますね。ユニットとしては、すごくいい意味で妹感みたいな感じがあって、それが今回の“ファミリー”につながったなと思って。前までのもがちゃんねむちゃんいた時代の6人って、全員戦友みたいな感じだったんだけど、ねもぺろがはいったことによってすごくみんなが家族っぽくなったんですよね。それは今のでんぱ組のユニットとしての形として面白いところだと思うし、2人に何かを期待をしてるというよりは、のびのびとしててほしいなって(笑)。
YGQ : でんぱ組がファミリーと言ってることにはすごく必然性があると思っていて。今は、ねもぺろがはいってきて、ねもちゃんは虹コンもあって、ぺろりんはmeme tokyo.も兼任してて、りさちゃんはLAVILITHをやっていて、アメーバ状にいろんなものがつながっていて。今だと「それも含めてみんなファミリーだよね」って言える状況にようやくなった。ねもぺろに関しては、まだ本当に面白い部分を世の中に発見されてないと思うので、ねもぺろの活動を通して、もっと2人の面白さをマスに伝えられたらいいなと思っていますね。
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DISCOGRAPHY
ALBUM
SINGLE
PROFILE
でんぱ組.inc

古川未鈴、相沢梨紗、成瀬瑛美、藤咲彩音、鹿目凛、根本凪、の6人組ユニットで、ディアステージに所属し、様々な活動を展開。メンバーはもともと、アニメ・漫画・ゲームなど、自分の趣味に特化したコアなオタクでもある!
また、東京コレクションやミキオサカベをはじめとして、様々なクリエイターとのコラボレーションを活発に展開し、国内のみならず海外からも注目を集め、台北やジャカルタでのファッションイベントにも参加。さらに、2013年にはJAPAN EXPOに日本代表として出演。2014年度は東アジア文化都市2014横浜親善大使を務めた。TOY’S FACTORYの新レーベルMEME TOKYOに所属。マイナスからのスタートなめんな!というキャッチフレーズで話題になり2014年5月には日本武道館で1万人動員、2015年2月に国立競技場代々木第一体育館2days単独公演を大成功させた。シングル『あした地球がこなごなになっても』でミュージックチャート1位を獲得。2015年はワールドツアーも敢行。MTV「ワールド・ワイド・アクト賞」の日本部門「ベスト・ジャパン・アクト」のウィナーに。2016年12月21日にはベストアルバム『WWDBEST 〜電波良好!〜』をリリース。2017年1月に、アリーナツアー「幕神アリーナツアー2017 電波良好Wi-Fi完備!」6公演を開催、二度目となる日本武道館公演も行う。8月に、最上もが脱退。2017年12月30日「JOYSOUND presentsねぇもう一回きいて?宇宙を救うのはやっぱり、でんぱ組.inc!」大阪城ホール公演で、鹿目凛、根本凪が加入し、2018年4月4日に7人体制となって初のシングル「おやすみポラリスさよならパラレルワールド/ギラメタスでんぱスターズ」をリリース。2019年1月1日に7人体制初のアルバム「ワレワレハデンパグミインクダ」をリリース。1月6日と7日で日本武道館公演2days(二日間で約2万人動員)を開催。1月7日『でんぱ組.inc コスモツアー 2019 in 日本武道館 夢眠ねむ卒業公演 ~新たなる旅立ち~』で夢眠ねむはでんぱ組.incから卒業した。