ツジコノリコの名曲「penguin2009」をオトトイ・オリジナル・リミックス
10月にHQDによる高音質で配信された、“エレクトロニカの歌姫”と、MASのヤマダタツヤのソロ・ユニットTyme.によるコラボ・ナンバー「penguin2009」を、、、という気鋭の3組が24bit/48KHzでの高音質リミックス! の作品としては珍しい、ポップでスペーシーな原曲を、それぞれのアーティストがどう解体・再構築したのか? ちょっとずつ紹介しよう。
今年2nd『The Nothings Of The North』をから発表したは、3組の中では最もTyme.との親和性があるシネマティックなエレクトロニカを紡ぎ出すトラック・メーカー。実際彼のリミックスが最も原曲に近い雰囲気を持っているが、繊細かつ複雑に織り込まれた様々な音色・位相の上ものが、きっとあなたのテクノ耳を満足させてくれるだろう。
後に挙げるの作品にもリミックスを提供しているのが、レーベル“”の主宰者としても知られ、昨年はとのコラボ作も話題になったプロデューサー・ユニット。ヒップ・ホップを軸としながらも、今様のエレクトロともリンクする強烈なビートを伴ったノイジーな作風で、今回の3曲の中では最もド派手なリミックスとなっている。詳細は聴いてみてのお楽しみということで明記は避けるが、印象的なブレイクからのiLLで遊び心たっぷりな展開が実に楽しい。
最後は今年1st『Re.PEAT』をから発表した名古屋の。ポスト・ロックから発展して、Flying LotusやHudson MohawkeといったWARP勢、日本ではらと共振する、いわゆる“ポスト・J.ディラ”なエレクトロニック・ヒップ・ホップを鳴らす3ピースである。今回のリミックスでもよれたビートや、コズミックな上ものといった“らしい”要素を盛り込み、スモーキーに仕上げている。
このようにポスト・ロック〜エレクトロニカ〜ヒップ・ホップ〜エレクトロを横断するそれぞれのリミックスは、曲単体で聴いてももちろん楽しめるが、併せて聴くことで、現在のカッティング・エッジなエレクトロニック・ミュージックを様々な角度から体験することができ、ショーケース的な楽しみ方もできると言えよう。そして、それぞれのリミックスがの印象的なボーカルを軸にしており、改めて“歌姫”の存在感を確認できるリミックスとも言える。さあ、つべこべ言うのはこのあたりにして、あとはじっくり聴いて、楽しんでほしい。(text by 金子厚武)
「penguin2009」の原曲をチェック!
【penguin2009 / ツジコノリコ + Tyme.】
この曲は毎年1曲、Tyme.ことヤマダタツヤ(MAS)とツジコノリコとイラストレーターの木村敏子の3人で作っているギフト曲。今年で4曲目。今年のtaico clubでも演奏された楽曲です。浮遊感のあるスペーシーなバック・トラックとツジコノリコの澄んだ歌声が融合し、見事な高揚感を生み出している名曲です! 原曲を聴いてリミックス音源との違いを是非聴き比べてみてください。
「penguin2009」のリミキサーを紹介
Ametsub (nothings66/PROGRESSIVE FOrM)
東京を拠点に活動する音楽家。2003年、PROGRESSIVE FOrMのコンピ「forma 2.03」に20歳で参加、2006年、1st Album 「Linear Cryptics」をリリース、sonarsound tokyo 2006に出演する。その後、Vladislav DelayやBlue Foudation、Calm、竹村延和、Numb、AOKI takamasa等との競演も重ねる。2007年には渚音楽祭、また野外フェスティヴァルSense Of Wonderにも出演、多くのオーディエンスを魅了したライブはスペースシャワーTVの放映に選出される。d.v.dのJimanica(drum)とのコラボレーションも始まり、Jimanica × Ametsubとしてのアルバムが2007年にリリース。初ライブではPARA、クラムボン、toeと共演、同年秋には渚音楽祭への出演も果たす。2008年夏にはアイスランドでのライブも敢行。美しい独自の世界観と、壮大な情景を描写する様な音楽性は、今後の活動に期待が高まる。2009年2月、待望の2nd Albumをリリースする。
fragment (術ノ穴)
kussyとdeiiによるトラック・メイカー・デュオ。ヒップ・ホップを根底に様々な音楽要素を自由な発想で還元し、独自の音を生み出す。自主レーベル「術ノ穴」より3枚のアナログEPとCDアルバムを発表。それらの楽曲は坂本龍一氏のラジオ番組での放送や全国のEDWINショップの店内BGMに起用されるなど大きな反響を呼んでいる。近年様々なMCへの楽曲提供をはじめ、2007年ワールド・カップ・バレーのCM音楽や映画音楽を製作するなどクロス・オーバーな活動を展開。2008年にリリースした環ROYとの共作盤『MAD POP』はiTunes storeやタワー・レコードの年間ベスト・ディスクに選ばれるなどシーンに強烈なインパクトを与えた。今後は自身の2ndアルバムやプロデュース、トラック提供、ジャンルを問わないリミックス・ワークなど様々なプロジェクトが控えている。
SU: (JUNK Lab Records)
2002年結成、from名古屋。Su+3(Sampler、FaderBoard) 、masa44 (Bass) 、01 (Drum)からなる3ピース。07年にtoeの美濃氏をマスタリング・エンジニアに迎え1st EP『Rank e.p.』を発表。その後、メンバー・チェンジ等と共に音楽性も変化。現在は、J.ディラ以降のトレンドである、コズミックな音色のシンセを随所に取り入れたトラックに、ボーカル・サンプリングや生演奏の挿入を試みたスタイルを取っている。昨今のビート・ミュージックにさえ収まらない、ハイブリッドかつハイエンドなフューチャー・ミュージック。09年8月、1stアルバム『Re.PEAT』リリース。