
fresh!の初アルバムをHQD(24bit/48kHzのwav)で!
2004年、downyのドラマーである秋山タカヒコとベースの仲俣和宏を中心に結成され、ギターにHINTO、killing Boy、元SPARTA LOCALSの伊東真一、MUSIC FROM THE MARSの藤井友信、サックスに中村浩を迎え、現在5人で活動しているfresh!が、待望の1stアルバムをリリース。それを記念して、OTOTOYでは2012年10月に、 伊東真一、秋山タカヒコの2人を迎え、結成8年目にして初のインタビューを決行。第2弾特集となる今回は、伊東真一、秋山タカヒコに加え、藤井友信を迎えて、じっくり話を伺いました。この特集を通して、fresh!の深い部分に迫り、CDよりも音のいいHQD音源でそのサウンドの本質を探ってみませんか?
記念すべきファースト・アルバムを高音質で!
fresh! / What Are You Doing In This Confusion
【配信形態】
HQD(24bit/48kHz)
【配信価格】
単曲 250円 (5曲目「ナンジャの空」のみ300円) / まとめ購入 1,500円
【Track List】
1. やさしさサヨナラ / 2. どさくさに紛れて何すんねん / 3. YAO OH YAO
4. ハイビスカス / 5. ナンジャの空 / 6. 北の長男坊
INTERVIEW : 秋山タカヒコ、伊東真一、藤井友信
downy、SPARTA LOCALS、MUSIC FROM THE MARSといったバンドで00年代前半を大いに盛り上げ、近年もKAREN、LOVES.、killing Boy、HINTOといったバンドで様々に活躍する日本オルタナ・シーンの主要人物たちが集ったインスト・バンド、fresh!。結成8年目にして初のフル・アルバム『What Are You Doing In This Confusion』のリリースに伴い、前回のインタビューでは現在に至るfresh! の歴史を振り返ってもらったが、今回は主にアルバムや楽曲そのものについて、前回に続いて参加の秋山タカヒコ、伊東真一に、藤井友信も加えた3人から話を聞いた。
印象的だったのは、3人が何度も“ロックンロール”という言葉を口にしたこと。アルバムは全6曲で60分弱あり、メンバー自ら“組曲系”と呼ぶような壮大な楽曲からは、彼らのパブリック・イメージである“プログレ”という言葉を連想することこそ容易くても、シンプルな8ビートの“ロックンロール”を思い浮かべる人は決して多くないはず。しかし、彼らは“ロール”を重視したグルーヴにこだわり、何より大衆芸術としての音楽を志向するからこそ、“ロックンロール”という言葉を口にするのだ。かつてのロックンロールがそうであったように、それ以前のジャズがそうであったように、今で言うお笑いやアニメやスポーツと同じように、誰もが楽しめるエンタテイメントとしての音楽、それこそがfresh! の目指すものなのである。あくまで目線は低く、それでも、志と技量は常に高く。そんな彼らの8年間が凝縮されたアルバムを聴いて、ぜひ真骨頂たるライヴを目撃してほしい。
インタビュー & 文 : 金子厚武
写真 : Yukitaka Amemiya

一見関係がなさそうなところから、漠然とした部分をfresh! に置き換える(秋山)
——前回の取材ではfresh! の歴史を振り返っていただいたので、今回はアルバムや楽曲そのものの話を中心にお伺いしたいと思ってるんですけど、まずは前回いらっしゃらなかった藤井さんの加入について話をさせてください。確か、秋山さんがMUSIC FROM THE MARSのライヴを見に行って、それまで面識はなかったものの、いきなり誘ったという話だったかと思うのですが。
藤井友信(以下、藤井) : いや、mixiで…。
秋山タカヒコ(以下、秋山) : ウソ!?
伊東真一(以下、伊東) : いきなり新情報が(笑)。
秋山 : QUEかなんかで初めて会って、事情話してとかじゃなかったっけ?
藤井 : いや、最初はmixiです(笑)。
——(笑)。では、mixiでの連絡から加入に至った経緯というのは?
藤井 : スタジオに呼ばれて、(秋山と仲俣と)3人でセッションをして、「これは試験だな」と。確かライヴがもう決まってて、「北欧に行く」っていうのも、特典みたいな感じで書いてあって。
——「加入すれば、北欧に行けます」みたいな(笑)。fresh! のことはご存じだったのですか?
藤井 : いや、fresh! のことは知らなかったんですけど、その頃よく中尾憲太郎とKovacsとトラブル・ピーチ(※下北沢にあるロック・バー)で飲んでて、そこにすごいギターが上手い人がいたんですよ。ザック・ワイルドとか弾いてて最高だなあと思ってたら、それがdownyのギターの人(青木裕)で。僕54-71とかは昔からよく知ってて、54-71とdownyってよく一緒にやってましたよね?
秋山 : うん、一番多い対バン。
藤井 : ただ、54-71は知ってたんですけど、downyは怖そうじゃないですか?

——前回伊東さんも同様の印象を言ってらっしゃいました(笑)。
藤井 : でも、ザック・ワイルド入りで知り合って、そのときお互いのことをザックって呼んでました。
——お互いですか(笑)。
藤井 : だからfresh! のことまではよく知らなかったんですけど、セッションに呼ばれて、曲覚えなくていいならいいやと思って(笑)。でも、ライヴのためにfresh! の音源をもらったらガチガチに決まってて、こりゃあ大変だと。
——でも、fresh! とMUSIC FROM THE MARSっていう時点で、相性はいいだろうなっていう感じはします。
秋山 : やっぱり、競技人口の少ない世界なんで…。
——競技人口(笑)。
秋山 : できない人はホントにできないじゃないですか? 伊東くんがやれなくなって、何人かセッションしたんですけど、人によっては途中でギターから手を放しちゃうんですよ。「もう何もできないです」って。で、俺らも手を放して、「一本締めでもやるのかな? 」って。
——(笑)。藤井さんとはプログレであったりジャズであったり、音楽的な趣味の近さもあったわけですよね?
秋山 : 今もそうなんですけど、あんまりそういう話はしないんですよ。
藤井 : 秋山さんの情報量がすごいから、対等には話せない。聞いちゃうっていうか、質問するのみ(笑)。話をするのはメタルとか歌謡曲とか…。
秋山 : そういう一見fresh! とは関係がなさそうなところから、「ここは盛り上がっていい」とか、漠然とした部分をfresh! に置き換えるみたいな、そういう話はしたことがあるかもしれない。ただ、藤井くんが入る頃には「fresh! はこうじゃなきゃいけない」みたいのはすでになくて、来た人で変化していけばいいやって思ってましたね。
——では、実際の曲作りの話をお伺いすると、やっぱり基本的にはリズム隊のネタがベースになることが多いわけですか?
秋山 : 多いですけど、それも変わってきつつありますね。今回のアルバムで言えば、リズム隊のネタから始まったのは6曲中4曲とかですね。
伊東 : 一曲の中でもいろいろで、最初のモチーフはリズム隊のネタがあって、途中の展開が変わってからはセッションでできたものが組み合わさったり、サックスの中村さんが持ってきたものがベースになってたり、いろんなパターンがありますね。
——秋山さんの中では曲を作り始める時点である程度の全体像を描いているんですか? それとも、あくまでパーツからスタートするんですか?
秋山 : 作り始めは全体は見えてなくて、「あわよくば曲になればいいな」ぐらいで始めるんだと思うんですけど、いい瞬間があったとして、それがアタマから最後まで通して引っ張れるものなのか、引っ張れないのかっていう判断になりますね、次の段階としては。今回の6曲も大きく分けて2つあって、アタマから最後まで引っ張れる曲、「ワングルーヴ系」って呼んでるんですけど、そういうのはわりとパッと決まって、長い間そんなに大きく変えずにやってます。あとは「組曲系」で、それは一個で引っ張るのがきついからいろいろ足して、その足す内容もいろいろ変わっていくんです。
——なるほど。「YAO OH YAO」とかはワングルーヴ系だし、「ナンジャの空」とかは組曲系ってことですね。
秋山 : そういうことですね。
原始的に心を震わせるものができればなって(藤井)
——今回はギタリストがお二人いらっしゃるので、ギターの住み分けや絡みなどのポイントもお伺いしたいのですが。
伊東 : 大まかに言うと、僕がわりと高音で、藤井さんが低音担当みたいなのはあるんですけど、それも曲によって違うし、前はそこまで絡みとかに重点を置いてなかったんですよ。音源にするにあたって、音数も多いので、両方の音がちゃんと聴こえるように、音色とかも前より意識するようになりましたね。
藤井 : 伊東くんが抜けて僕が入った頃にやってた感じは、僕の中では白黒な感じで、リズムに乗ってえぐっていくみたいな、直に近い音とRATだけで刻んで、あとはソロを弾くみたいなイメージだったんですけど、伊東くんはそこに彩りをつけてくれたっていうか、より華やかにしてくれたと思うんですよね。
——やっぱり、ギターが一人から二人になったのは、バンドとして大きなポイントだったわけですよね?
秋山 : 1曲目の「やさしさサヨナラ」って曲が今の5人になって初めて作った曲だと思うんですけど、当初からやりたかった感じにすごく近い曲だったんですね。漠然としたイメージなんですけど、攻撃しかない、全方位ミサイルみたいな感じの曲だなって。4人だとなかなかそうならなくて、ベースとドラムが主張しながらも、「でもリズム隊だからボトムをしっかり」みたいな感じだったのが、この曲で解放されたんです。
藤井 : この曲リズムめちゃくちゃっすもんね。
秋山 : 元々もっと変拍子然としたリズムがあったんですけど、それをどんどん速くしていくと、4/4がなまったみたいな感じになるんです。そのなまったものをアジャストして、膨らませて、4/4のタイムに収めるっていう、その上にギターもサックスも4/4として乗っかってくると。だから、正しいか正しくないかって言ったら、正しくない。本来合わないものを無理やり合わせてるんで、歪なんですけど、そこに変な引っ掛かりがあって、回転してスピード感が出るというか。

藤井 : それがロックンロールですよね。
秋山 : そうそう、昔のドラマー達はカチッとした8ビートが叩けなくて、跳ねちゃうんですけど、チャック・ベリーなんかスクエアな8ビートがやりたいもんですから、無理やりスクエアにして、変なリズムになってるんですよ。本来やりたかったのはそういう、パッと聴き得体の知れない感じだったので、ギターが2人になって、リズムを刻まなければいけないっていうことから解放された、すごくエポックな曲でしたね。
——イントロのドラムのインパクトも強烈ですよね。
秋山 : あれはレコーディングなんでオーバーダビングをさせてもらって、ちょっとパーカッションみたいのを足したんですけど、ライヴはやっぱり音量がバカでかいですから、ライド・シンバルをチーンってやってる以上の音がお客さんに伝わってると思うんですね。狭い中での音の反射とかで、自分が出してる以上の音が聴こえてると思うので、それをそのままレコーディングすると物足りないかなって勝手に思って、なのでああいう風に足したんです。
——「やさしさサヨナラ」もそうだし、どの曲もやり続ける中で変化してきたんだと思うんですけど、fresh! の曲に「完成」っていう概念はあるんですか?
藤井 : ないんじゃないですかね?
秋山 : ないですね。

——今回のアルバムにしても、録音時の最新バージョンが収録されているというイメージ?
秋山 : だからと言って、新しい曲を作るつもりがないわけではないです。
——この6曲でまた8年やるわけではないと(笑)。
秋山 : 全く同じ曲でセカンド・アルバム出したりして(笑)。
——それはそれで聴いてみたいですけどね(笑)。
藤井 : 完成させるのはなんか寂しいよね。ずっと同じフレーズ弾くのも嫌だし、テーマとかはいいですけど、エンジョイ・パートは常に更新していった方が刺激になるし、ライヴごとに違っていいと思うし。同じことをやってたら安定はしてくると思うんですけど、新しい気持ち、フレッシュな気持ちはなくなると思うんですね。常にライヴは初めてやる気持ちというか、そういうバンドが好きだし、そういうバンドを見たいと思うし、このバンドもそうでありたいなって。
秋山 : お客さんも慣れてくるとあんまりビックリしなくなるんで、それはマズイなって。だから、変えるにしてもよりえぐくいこうっていう、後退はしない、よりインパクト大の方に向かっていくっていう… 非常にきついですけどね(笑)。やっぱり「もっともっと」っていう世界じゃないですか? 「もっと美味しいものを」とか、「もっと安い服を」みたいな、それに応えていかなければいけない立場だと、勝手に思っていて。
藤井 : お客さんがよく「運動会みたいでよかった」って言ってくれたりするんですけど、それすごいいいなと思ってて。オリンピックとかでも、いい走りしてる人じゃなくて、速い人を応援するじゃないですか? 人より速かったり、人より高く飛ぶのに興奮するわけで。音楽をよく知らない女の人とかが見ても、「なんか素敵」みたいな、そういう原始的に心を震わせるものができればなって。実際、圧倒的に女性の方が好感触だったりするんですよ。男泣きみたいな、「僕つらいです」みたいな感じじゃないですもんね?
秋山 : 発するメッセージとして? ないよね。
——肉食系女子の時代にピッタリですね(笑)。
藤井 : それで売れるならそれでいいです(笑)。
秋山 : 特にライヴでは、さっきの変拍子を速くしてアジャストしてっていう部分で、わざとケツからアタマにかけての折り返しのところを削って、突っ込んで演奏するようにしてるんですね。そうすることによって他の演奏陣が慌てだす、そのスリルっていうか、「難しいことを安定感抜群にやって何が面白い? 」っていう。
藤井 : たまに僕の方が速くなっちゃって、そうなると後で「速過ぎる」って言われるんですけど。
伊東 : あくまでリズム隊が舵取りなんで、僕たちが追い越しちゃいけないんです。
秋山 : どっちの立場からしてもそうだと思うんですけど、自分がコントロールして突っ込んでる分には全然平気なんで、他が突っ込みだすと、「おいおい」と。すごい身勝手な話なんですけど(笑)。でも、こっちはドタバタでも、お客さんは笑顔になっていくっていう、その感じが好きなんですよね。あんまり余裕綽々でやってもね。
藤井 : それは僕も一番嫌いなタイプ。キメキメで、「練習してきました」みたいなのも、ものすごい極めてたらそれはそれでエンタテイメントだと思うんですけど、中途半端にそんな面白くもないフレーズを「これ100回ぐらい練習したんだろうな」っていうのはつまらない。
自分たちの演奏で自分たちが高まって過剰な感じが出せればなって(伊東)
——ちなみに、アルバムの6曲の中で一番古い曲っていうとどれなんですか?
秋山 : 「ハイビスカス」だと思います。2004年にはあったので。
藤井 : この曲もロックンロールと解釈してるんですけど?
秋山 : 全部ロックンロールです。変拍子だったり、曲が長かったりするので、よくプログレって言われるんですけど、そんなプログレなんていいもんじゃないというか、やる方はホントにロックンロールだと思ってやってるんですよね。
藤井 : この曲はツッツタッツツッツタッツっていうシャッフルの感じなので、これがツツタツツツタツだとつまんない。裏が見えた方が回転していくイメージに近いんですよね。めちゃくちゃなようで、グルーヴは気にしてるんで。
——変拍子だったりしても、グルーヴ感はものすごくありますよね。
藤井 : 変拍子を「変拍子です、すごいでしょ」みたいのも全然面白くないし、意地悪してるのは嫌いなんですよ。なんか踊れる、なんか気持ちいい、そういうのがないと嫌なんで、変拍子を変拍子としてやるんじゃなくて、ひとつのグルーヴとして考えてますね。

——「ハイビスカス」ではお二人のギター・ソロも聴けますね。
伊東 : ギター・ソロが一番何も考えないというか、ライヴでも毎回違うし、レコーディングもその場のノリというか、その場の雰囲気を聴いてもらえればと思います。単純に、藤井さんと僕でタイプも違うし、変わりどころとかは面白いと思うんですけど。
——この曲は前半のソロが藤井さんで、後半が伊東さんですよね? アプローチの違いで言うと、伊東さんの方がエフェクティブなプレイという印象が強いです。
藤井 : 僕はソロっていうとメタルなんで、実際は全然メタルのソロじゃないんですけど(笑)、イメージするのがそれしかないんで、とりあえず歪みを踏んで、速く弾くのがギター・ソロっていう勘違いをしてるんです(笑)。
伊東 : fresh! の曲ってコード感とか、コード進行がすごくしっかりしてるタイプの音楽じゃないと思うんで、猛烈な雰囲気が伝わればよくて、それをギター・ソロで助長できてたら、それはいいギター・ソロなのかなって。
——曲のタイトルについても聞かせてください。パッと聴きの音のイメージを裏切るタイトルが多くて、これは秋山さんの趣向だとは思うのですが。
秋山 : やっぱり音楽だけ聴くと敬遠しがちな人もいるかもしれないので、入口として入りやすい感じ。あとはやっぱり大阪生まれ大阪育ちなので、かっこつけるのかすごい下手なんですよ。苦手っていうか、かっこいいタイトルをつけるっていうのは、自分の中で震えが来るぐらい寒い(笑)。かといって曲と全く関係ないわけではなく、曲のイメージに合ったものをチョイスしてるんですけど。
——例えば、「やさしさサヨナラ」はどんなイメージなんですか?
秋山 : 「やさしさにサヨナラする」って思ってる人がほとんどだと思うんですけど、そうじゃなくて、「やさしいからサヨナラする」っていう意味なんです。あの… マクロスっていうアニメがありまして、それに「やさしさサヨナラ」っていう回があったんですね。ヒロインのリン・ミンメイが、主人公の一条輝に別れを告げるんですけど、ホントは別れたくないんだけど、サヨナラしてあげるっていう。それは曲とは関係ないんですけど…。
——関係ないんですか(笑)。
秋山 : マクロスの戦闘シーンって、全方位ミサイルがやたら出てくるんです。ミサイルが乱れ飛ぶ中をバルキリーがそれを縫うように進んでいく、そのイメージを曲に… 言っちゃうとがっかりする人もいると思うんで、どうかなと思うんですけどね。
——(笑)。「どさくさに紛れて何すんねん」は、『What Are You Doing In This Confusion』というアルバム・タイトルの元になってますね。
秋山 : これはfresh! の決め台詞ですね(笑)。セーラームーンで言うところの「月に代わってお仕置きよ」とか、そういう感じです。アルバム・タイトルが英語なのは、日本人以外の人も聴くことを想定して、入りやすいようにっていうことですね。
——やっぱり「間口の広さ」っていうのはfresh! の重要なポイントになってますよね。途中で「音楽のことをそんなに知らない女の人でも」っていう話もありましたけど、誰にでも伝わる、盛り上がるものをっていうのは、バンドの大事な基本姿勢になってるんだなって。
伊東 : 何かよくわかんないけどすごいことをやってて面白いとか、笑ってもらえたらいいなって思うんですけど。
藤井 : 昔のジャズとか笑いどころ満載ですもんね。
秋山 : 昔のジャズはエンタテイメント性に溢れてますよね。ジーン・クルーパっていうドラマーがいるんですけど、当時のドラム・セットってハードウェアがしっかりしてなくて、やってるうちにドラムセットがどんどん崩壊していくんですよ。スタンドはどっか行くし、タムは落ちかけるし、それを直しながら凄いソロしてるんで、笑けてくるんです。CDだけ聴くと「難しそうだな」って思ったとしても、ライヴに来たら笑けるような世界があるっていうのを見せられたらいいなって。

——なるほど。
秋山 : あと80年代後半にチック・コリア・エレクトリック・バンドが来日したときに、僕最前列のど真ん中で見たんですね。CDだけ聴くと、それこそ超絶テクニックで、ものすごい繊細な音楽だし、ものすごい難しい顔してやるのかと思ったら、楽しそうに笑ってるんですよ。演奏しながら他のメンバーに近づいて、耳元で何か言って、「よせよ」みたいな(笑)。それで一気に身近なものになったんですよね。
藤井 : プライマスとかでも、映像で見て初めて納得したっていうか、CDで聴いても面白いと思ったけど、ベースの人が歌いながらやってるとかって、聴いただけじゃわかんないじゃないですか? 僕バンドは映像見て初めて納得することが多いんで、fresh! もそんな感じなのかなって。
——すご過ぎて笑っちゃうような感覚って外人のバンドを見たときに感じることが多いんですけど、fresh! はそれを感じる稀有な日本のバンドだと思います。
藤井 : 音楽って構えてやるもんじゃないし、フォーマットでやるもんでもないと思うんで、せっかくやるならオリジナルなことをやった方がいいし、僕が好きなのはやっぱりライヴな… フレッシュな音楽なんですよね(笑)。
伊東 : 自分もパフォーマンスしかり、音の部分しかり、過剰なバンドに惹かれるんですよね。昔のハードコア、フガジのライヴ映像とか、とんでもないじゃないですか? バスケットのゴールにぶら下がったり、ああいう過剰な感じ。それがポーズじゃなくて、自分たちの演奏で自分たちが高まって、そういう風になればいいなって。
藤井 : ポーズにならないって大事だよね。
伊東 : そういうのって、見てるとなんとなくわかっちゃうんですよね。逆に、この人本気だなとか、死ぬ気でやってるなっていうのも何となくわかる。だから、単純に自分たちの演奏に触発されてそうなるのが健全というか、本来のあるべき姿だと思うんです。fresh! にはそれがあるというか、いつもメンバーの音にやられる感じがあるんで、いつでも新鮮で楽しいんですよね。
>>>特集第1弾 伊東真一、秋山タカヒコへのインタビューはこちら
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出演 : fresh! / WRENCH (オープニングアクト : 虚弱。)
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fresh! Presents 「どさくさに紛れてなにすんねん レコ発編第二夜」
2012年12月6日(木) 代々木Zher the ZOO
開場 / 開演 : 18:30 / 19:00
料金 : 前売2,800円 当日3,300円 (1D別)
出演 : fresh! / unkie (オープニングアクト: O'VALENCIA!)
出店 : Natural Hi-Tech Records軒 : 角煮ライス
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結成2004年、downyのドラマー秋山、ベース仲俣を中心に 結成。ギターにHINTO、killing Boy、元Sparta Localsの伊東真一、MUSIC FROM THE MARSの藤井、サックスに中村を迎え、月1本から2本の都内のライヴで活動中。凛として時雨やLITE、NATSUMENなどと名だたる強者と共演。そして、ヨー ロッパのツアーも経験。轟音かつ一発ですべての音を包み込み攻撃するようなサウンドは他に見当たらない。そして、ライヴはエグくてどこかユーモラス。