圧倒的“イズム”が貫く世界観、最後に送った最大の「YES」── Poet-type.M、4部作最終章配信

門田匡陽(BURGER NUDS、Good Dog Happy Men)のソロ・プロジェクト、Poet-type.Mによる「A Place, Drak & Dark」──夜しかない街の物語をコンセプトにした春夏秋冬の4部作。この最終章となる冬盤『A Place, Dark & Dark -永遠の終わりまでYESを-』がついにリリースとなった。春に「旅立ち」、夏に「出会い」、秋に「別れ」、そして冬に掲げるのは「廃退」と「再生」。全6曲のうち、前半3曲はこれまでと同様、楢原英介(VOLA & THE ORIENTAL MACHINE / YakYakYak)を共同サウンド・プロデュースに、後半3曲は完全セルフ・プロデュースによって楽曲を制作。

「A Place, Drak & Dark」の世界とリンクする、Good Dog Happy Menでの作品『the GOLDEN
BELLCITY』(2007年発表)が、時を越えて2015年、「festival M.O.N-美学の勝利-」にて、"ついに"世に受け入れられたように、もしかすると「A Place, Drak & Dark」も少し時間をかけるのかもしれない。でもその"世"に受け入れられるのを待つ前に"あなた"が聴くべきだ。そして聴いたあなたならば必ずわかるだろう、この大作の先見性と、彼が送る「YES」の意味を。

さて、その1年をかけて描いた作品の終わりに何を思うのか。門田匡陽に話を訊いた。

Poet-type.M、「夜しかない街の物語」コンセプトにした春夏秋冬4部作最終章

Poet-type.M / A Place, Dark & Dark -永遠の終わりまでYESを-

【トラックリスト】01. もう、夢の無い夢の終わり(From Here to Eternity)
02. 氷の皿(Ave Maria)
03. 接続されたままで(I can not Dance)
04. 快楽(Overdose)
05. 「ただいま」と「おやすみ」の間に (Nursery Rhymes ep1)
06. 永遠の終わりまで、「YES」を(A Place, Dark & Dark)

【配信形態】
16bit/44.1kHz(WAV / ALAC / FLAC) / AAC / MP3

【配信価格】
アルバム価格 1,620円(税込) / 単曲 270円(税込)

「氷の皿(Ave Maria)」MV

INTERVIEW : 門田匡陽

昨年の1月に開催された独演会『A Place, Dark & Dark -prologue-』を皮切りにスタートした、Poet-type.Mの一大プロジェクト「A Place, Dark & Dark=夜しかない街の物語」。春夏秋冬4部作の最終章にあたる冬盤『A Place, Dark & Dark –永遠の終わりまでYESを-』が2月17日に発表され、その2か月後に開催される「A Place, Dark & Dark Public Performance『God Bless, Dark & Dark』」にて、物語はいよいよ完結を迎える。2014年の1年間を物語の構想と音楽のブラッシュアップに費やし、満を持してスタートしたプロジェクトだったが、ここに至るまでの道のりは決して平坦ではなかった。春盤で「NO」を突きつけ、夏盤では「追悼」の季節を過ごす。秋盤ではいくつもの「別れ」が襲い掛かり、その後に行われた「festival M.O.N-美学の勝利-」によって、門田は初めて自らのルーツを探求する旅に出た。そして、当初思い描いていた構想からは大きく姿を変えながら、それでも冬盤のラストナンバー「永遠の終わりまで、「YES」を(A Place, Dark & Dark)」には、特大の「YES」が刻み込まれている。Good Dog Happy Menの『the GOLDENBELLCITY』からはや10年。門田に旅の軌跡をもう一度振り返ってもらった。

インタヴュー&文 : 金子厚武
写真 : 雨宮透貴

圧倒的に全肯定してるんだってことを表現できない限り、このプロジェクトは失敗しちゃうから

──秋盤のインタヴューの際には、冬盤について「終わるのか終わらないのか、終わらせるのか終わらせないのか、正直まだ答えは自分でも出てないんです」とおっしゃっていました。それは秋盤の制作中に経験した「別れ」によって、「A Place, Dark & Dark」の中に自身のパーソナルが深く刻まれてしまったことが理由のひとつだったかと思うのですが、実際そこからどのように冬盤へと向かったのでしょうか?

秋盤は自分にとってすごくヘビーな作品だったんです。そもそも1番最初の春盤では「全肯定」をテーマに挙げてて、それって冬盤でちゃんとそれを提示できるように、春盤で布石を置いてたんです。ただ、自分がそういうテンションではなくなってしまって、冬盤に「YES」を置けないなって思い悩んじゃって。そこから門祭り(「festival M.O.N-美学の勝利-」)の準備で制作が一時中断して、BURGER NUDSとGood Dog Happy Menっていう自分のルーツを振り返ることになるわけですけど、名古屋と大阪が終わった時点では、まだ冬盤用の曲は2曲しかなかったんですよ。

──それはどの曲ですか?

1曲目の「もう、夢の無い夢の終わり(From Here to Eternity)」と5曲目の「「ただいま」と「おやすみ」の間に(Nursery Rhymes epⅠ)」。この2曲は「A Place, Dark & Dark」っていうプロジェクトを考えた2年前に作った曲で、これが最後の冬盤に入るってことは見えていたんです。で、実際にプロジェクトが動き出してからは、冬盤に収録するべき曲っていうのが他には見当たらなくて。候補曲はあったんですけど、秋盤を作り終えた後、「冬盤」に入れたいのはどの曲もなんか違うな… って。そしたら門祭りが始まって…(笑)。門祭りの合間を縫って、ギリギリの進行でした。ずっとYESを言うための理由を探してましたね。

──順番に訊くと、まず「もう、夢の無い夢の終わり(From Here to Eternity)」はどのようにしてできた曲なのでしょうか?

この曲は「A Place, Dark & Dark」の24曲の中で1番最初にできた曲で、この曲ができた段階で、「A Place, Dark & Dark」の1番最後に置く曲だと思っていたんです。曲ができたときに、「これは何か物語が終わってるな」って思って、「じゃあ、この終わった物語って何なんだろう?」って考えていくと、「夜しかない街」の物語の終わりで、つまり、この曲はスタートでありゴールだったんです。

門田匡陽

──しかし、結果的には冬盤の1曲目になっています。

秋盤を作り終わった後に、この曲が絶対的なYESだってみんなに思われないかもしれないなって思ってしまったんです。圧倒的に全肯定してるんだってことを表現できない限り、このプロジェクトは失敗しちゃうから、この曲で終われないってなると、非常に困ってしまったんですよね。そこで大阪から東京までの1か月間でやったのは、自分の1番プリミティヴな音楽に対する感情を取り戻すこと。具体的に何をやったかっていうと、「ミュージシャンになりたい」って思ったころに好きだったアーティストのアルバムを時系列で聴くってことを1日中してたんです。デヴィッド・ボウイ、プリンス、トム・ウェイツ、ジェフ・バックリー…… 僕がホントに憧れたアーティストの歴史を、もう1度遡っていったんです。

──もちろん、ボウイが亡くなる以前の話ですよね。

そうですね。何でそういうことをやったかっていうと、僕はずっとルーツがないミュージシャンだって公言してたんです。どこかに属してはいないアーティストだっていう自覚があって、「〜系」っていう言葉の中に自分の置き場所はなかったんですよ。なので、僕はいつか自分が帰る家を探してるんじゃないかって、音楽活動自体をそう捉えてたんですけど、もうそろそろ、それをやってもいいタイミングなのかなって。それはやっぱり、門祭りがあったからだと思うんですよね。

自分の世界観を押し付けてくる、そのやり方、イズム。そっちに全振りするべきだって、勇気づけられた

──ボウイが『★』という作品を残して本当に星になったっていうのも出来すぎた話でしたけど、門田さんがそのタイミングでボウイを見つめ直していたっていうのも、音楽の神秘性を感じさせる話ですね。実際、そのルーツ探しの結果として、どんなことが見えましたか?

ひとつはっきりしたことがあって、僕の好きな音楽っていうのは「これはあなたの人生のサウンドトラックですよ」とは言わないんです。そうじゃなくて、「これに触れて何か感じることができるなら、お前がこっちに来い」って言ってくれる音楽。それが僕の憧れたデヴィッド・ボウイでありプリンスだったんですよ。それって秋盤のときに言った、「だんだんアーティストとしてわがままになってる」っていう話ともすごく密着してて、じゃあ、そっちに全振りだと。それでいいじゃないかって、自分で踏ん切りをつけられたんです。

──やはり「〜系」とかジャンルがどうじゃなくて、強力な「個」としての存在感みたいなものが、自分のルーツにあったと。

そう、だからデヴィッド・ボウイやプリンスの見た目を真似しようと思ったことは一度もなくて、大事なのはアーティスト性だってことですよね。めちゃくちゃセルフィッシュで、めちゃくちゃふり幅が広い。自分の世界観を押し付けてくる、そのやり方、イズム。そっちに全振りするべきだって、勇気づけられました。

──ボウイっていう人は、まさにそういう存在ですもんね。

ただ、ひとつジャンル的なことを言うと、僕の中の引き出しの中に「デヴィッド欄」っていうのがあるんですよ(笑)。デヴィッド・ボウイしかり、デヴィッド・シルヴィアンしかり……。

──デヴィッド・バーンしかり。

そうそう(笑)。で、その「デヴィッド欄」って、冬を表現するのにすごく適してたんです。例えば、「快楽(Overdose)」は、「デヴィッド・シルヴィアンがソロの後でもう一度JAPANの曲を作ったらどうなるか?」だったり、「永遠の終わりまで、「YES」を(A Place, Dark & Dark)」だったら、「Space Oddity」のAメロの雰囲気を4つ打ちにしたらどうなるか?」とか、そういうレシピが入ってるんですよ。

──なるほどなあ。僕は冬盤を聴いて、サウンドは同時代的なものなんだけど、どこか懐かしさを感じたんですね。それって「冬」っていう季節感がノスタルジーを喚起したっていう部分もあると思うけど、そのルーツ感の影響なのかもしれないですね。

あとはやっぱり門祭りがでかいですよね。今回の曲を作りながら、BURGER NUDSやGood Dog Happy Menの曲を演奏していたわけだから。秋盤までって、今の音楽しか聴いてなかったんですよ。いまニューヨークやロンドンで流行ってる音楽しか聴いてなかった人間が、いきなり秋盤以降自分のルーツを振り返ってるわけで、だから冬盤はすごく特殊な1枚ですね。

──前半の3曲が楢原(英介)さんとの共同プロデュースであるのに対し、後半の3曲がセルフ・プロデュースで、演奏に参加してるのが(伊藤)大地さんと(内田)武瑠さんの2人っていうのも、ここまでの話と関係してそうですね。

そうですね。最後の「永遠の終わりまで、「YES」を(A Place, Dark & Dark)」ができたときに絶対的な答えが出たというか、楢やんに入ってもらえばもっといいギターが入ったと思うけど、今回はそういうことじゃなかった。重要なのは、『the GOLDENBELLCITY』(2007年発表 Good Dog Happy Men 1stアルバム)にいた人と終わること。それが1番重要で、それ以外の要因は入れたくなくて。じゃないと先に進めないんですよ。ちゃんとここで終わりにしないと。

──それはアウトロにも表れていますね。

「the GOLDENBELLCITY」にいたmuseの楽団が「the GOLDENBELLCITY」を去って、時間軸はわからないけど、「A Place, Dark & Dark」に寄って、また街から去っていく。そこまでをちゃんと表現しないと、「A Place, Dark & Dark」は終われなかったんです。

言葉は伝わってるんだから、説明しなくていいのに。日和っちゃダメ

──「永遠の終わりまで、「YES」を(A Place, Dark & Dark)」はまさに「全肯定」の曲で、この曲ができたからこそ、「A Place, Dark & Dark」を完結させることができたわけですよね。

「もうこれが最後になってもいい」っていう曲を作りたかったんです。それくらい「A Place, Dark & Dark」には賭けてたので、もし不慮の事故で僕が亡くなったとしても、最後に残る作品がこれだったらいいなって思える曲、最後にここに到達したんだって思える曲にしたくて、変な話、ここでやめられるんだったらやめたいですよ。それくらいの曲を作ったつもりで、20歳からCDを出し始めて、今に至るまでの人生のハッピーエンドですよね。この曲をレコーディングしてたときに、おもしろい会話があったんですよ。

──というと?

この曲は僕と大地でリズムを録った後、地下のスタジオに潜ってずっと一人で作ってたんですけど、あるディレクターの人が遊びに来たときに聴いてもらったら、「自分の音楽の聴き方の根本を揺さぶられた」って言ったんです。「今までは、音楽に似顔絵を求めてた」って。誰かが「人生は辛い」って歌うことで、自分も「そうだよな」って思える、それは聴き手の似顔絵を描いてくれてるってことで、それが音楽がみんなに愛される要因だと思ってた。でも、門田くんの音楽は誰かの似顔絵じゃなくて、完全な門田匡陽の自画像だと。門田匡陽の音楽を好きになるってことは、自分も門田匡陽になるってことで、それが非常に気持ちいいんだって。その話を聞いて、この曲は成功だなって思いましたね。

──序盤で話した「誰かの人生のサウンドトラック」じゃなくて「こっちに来させる」っていう、まさにその話とリンクしますよね。もう少し言えば、そもそも「A Place, Dark & Dark」っていうのは外側の世界として描かれていたと思うんですけど、それってその人が観てる世界だから、その人の内側にも同じような世界があるってことでもあって、冬盤はその内側にある「A Place, Dark & Dark」について歌った作品とも言えるのかなって。

それはその通りで、おそらく、春盤に入ってた「救えない。心から。(V.I.C.T.O.R.Y.)」が冬盤に入るかっていうと、入らないんですよ。あの曲は攻撃対象がはっきりと外なんですよね。でも、だんだんと自分の内側に潜って行って、今回の「接続されたままで(I can not Dance)」とか「快楽(Overdose)」とかは、歌ってることは一見他者なんですけど、その中には批判される対象として自分も入っちゃってるんですよね。この1年を通じて、表現の度合いが他人事じゃなくなったというか(笑)、こんなセルフィッシュな音楽は他にないと思う。

──でも、今はそういう音楽こそが力を持つなって思います。2015年はケンドリック・ラマーが圧倒的で、あれはやはり強力な「個」の作品だったし、年明けにボウイが亡くなって、それをもう一度突きつけられたような気がしました。

僕もそれは日常的に感じてますね。僕の場合は日本語で曲を作っていて、日本でCDを売ってるから、みんな日本語がわかるわけで、絶対に伝わるんですよ。今って多くのミュージシャンが人に対して歌い過ぎだと思う。言葉は伝わってるんだから、説明しなくていいのに。曲で説明しちゃったら、全て瓦解しちゃう。僕からするとそういう音楽って、「1+1=2」って終始言われてるようなもので、それはもうわかってるんですよ。だから、みんなに言いたいのは、日和っちゃダメだってこと。「A Place, Dark & Dark」を作れてよかったなって思うのは、これから先、僕が迷ったり、日和ったりしたときに、「何やってんだ? 『A Place, Dark & Dark』をやった人間だろ? 迷わず行けよ」って、言ってくれる作品ができたってことなんですよね。

僕という存在そのものが何かに対するアンチである。「僕を見れば全部わかるでしょ?」ってところまで持って行きたい

──「A Place, Dark & Dark」のテーマのひとつとして、現代の全体主義に対する違和感があったと思うのですが、スタートから1年が経過して、どんなことを感じていますか?

いま僕がすごく危惧しているのは、音楽が雰囲気で成立しちゃってるんですよね。流行ってる音楽を聴くと、何も言ってないんですよ。だから、ヒーロー不在の世の中なんです。運動会で順位をつけるのをやめてしまう、平等という名の全体主義の中で育ってきた結果だと思うんですけど、ぬべーっとした共有をみんなでしてる感じ。ホントに心の中の楔になるような音楽って、ここ何年もないんですよ。僕はそこに対する危惧がすごくあって、それが若い子たちならまだ分かるけど、同じ世代のミュージシャンもそうなってきてる気がする。僕ら世代がそれをやんないといけないのに、周りを見渡すと何も言ってないバンドばっかり。とんでもない世の中になってることに誰も反旗を翻さないから、自分ははっきり反旗を翻したいって思いがあります。

──今の若い人にとっては90年代がクールで、だからこそそこで青春期を過ごしてきた30代半ばのミュージシャンは頑張りどころだなって思うんですよね。

ホントそうですよ。マスのアーティストがダサいのはしょうがないけど、そこに対するカウンターがあまりにもこじんまりとしてる。そういう意味では、90年代はよかったんです。小室哲哉がいて、つんくがいて、メインカルチャーが巨大な敵になっていたからこそ、ロックシーンが盛り上がった。そこに対するカウンターとして、コーネリアスにしろ、ブランキーにしろ、理由があって尖ってた。だから、僕は「A Place, Dark & Dark」をやるにあたって、中二病臭いことをあえてブーストしてやろうと思ったんですよ。「舞台装置作り」って、僕からすると完全に中二病なんですけど、それを思い切ってやるっていうのがひとつの目標でしたね。

──今ってカウンターを打つにしてもどこに打っていいのか不明瞭な時代で、だからこそ、その人自身が「個」として大きくなることの方が重要だと思うんですよね。

僕はそうありたいと思ってます。僕という存在そのものが何かに対するアンチである。そういう風になれば、それを曲でどうこうする必要はないので、「僕を見れば全部わかるでしょ?」ってところまで持って行きたい。今って表現の刺激に対してみんながパンチドランカー状態になってて、行間や隙間にこそ何かがあるってことを、ミュージシャンが最初から無視してしまってるから、そうじゃない音楽をちゃんとやらないとって思います。そこに初めて批評性が生まれてくる。戦ってない音楽をロックって呼んではいけないですよ。その意味で僕はロック・アーティストなんだって、「A Place, Dark & Dark」ではっきりと感じました。

──4月17日には今回のプロジェクトを締めくくる「A Place, Dark & Dark Public Performance『God Bless, Dark & Dark』」の開催が決まっています。

今年はライヴをしっかりやりたいと思ってます。僕がいいなって思うライヴって、会場を出た瞬間に違和感を感じるライヴなんですよ。例えば、WWWを出たときに「あれ? ここ渋谷なんだ」って思うようなライヴ。つまり、ちゃんとライヴが異世界だったってことですよね。それが僕にとってのいいライヴなんで、「A Place, Dark & Dark」っていう舞台装置を作った以上、みんながそう思えないと、4月17日のライヴは失敗ってことになるから、まずはそこをしっかりとやりたい。みんなにはリラックスしつつ、緊張感を持って観てもらいたいので、一人一人の空間がちゃんと確保された会場がいい。僕のライヴで重要なのは一体感ではないので、ちゃんと独りが独りであることを認識したうえで、音楽を聴いてほしい。椅子もスペースも用意するから、そこであなたの「A Place, Dark & Dark」に行ってほしいなって。

──日常では味わえない感覚を味わうことで、現実との差異から想像力を広げる。そういう場であればいいですよね。

そういう意味で言うと、僕の中の理想形って、楽しい茶室なんです。

──茶室?

僕の親父が山口県の萩で茶室を持ってるんですよ。茶室の文化って、子供心に背筋が伸びるというか、異空間なんですよね。さっきまで普通に会話してた人たちが、茶室に入ると急に緊張感が生まれる(笑)。で、そこを出るとちょっと違和感を感じるっていうのは、今振り返ると僕がライヴに求めるものに非常に近いんです。なので、4月17日以降のライヴは、より緊張感のある、研ぎ澄まされたものにしていきたいと思いますね。

──なるほど。「日常の中の異次元」っていう意味で、確かにライヴと茶室は近いかもしれないですね。そうだ、最後にもう一個訊きたいんですけど、「もう、夢の無い夢の終わり(From Here to Eternity)」は2年前にできてたんですよね?「From Here to Eternity」って、ジョルジオ・モロダーの曲名でもあるから、これもある意味ボウイ絡みだなって思ったんですけど、これは偶然?

その副題に関して言うと、いま感度が正常なミュージシャンは、みんな架空のトポスを作ってるんですよ。ただ、僕はそれに関しては一日の長があると思ってる。だって、(Good Dog Happy Menの頃から)10年やってますからね。しかも、それを音楽だけでやってきた。「From Here to Eternity」(1曲目「もう、夢の無い夢の終わり」副題)は、そうやって僕がやってきたことに対する、ちょっとした自負の表れでもあって。結局、音楽に求めるものって、「From Here to〜」だと思うんですよ。さっき自分のルーツを探ったって話の中であえて口にはしませんでしたけど、邦楽のアーティストもいっぱいいたんです。子供の頃に憧れたミュージシャン、TM NETWORKとかB'zとかを見て、「俺もこういう大人になりたい」って思った。それも「From Here to〜」なんですよね。今回の最初の仮想ライバルも『CAROL』だったし(笑)。

──日本の物語音楽の古典ですね(笑)。

でも、僕はそれを音楽だけでやりたいんですよ。音楽だけで、あの高みにまで達したい。

──『CAROL』もそうだったように、今は小説とかメディアミックスで世界が構築されているものが多いけど、そうではなくて、音楽だけでやりたいと。

音楽は想像力の総合芸術だと思う。映画も総合芸術だけど、受動的ですよね。音楽は能動的な総合芸術なんです。だから、俺はこのやり方をやめないこと、それしかない。飽きたらやめちゃう人間だけど、そこは我慢して、何があってもこのやり方はやめちゃダメだと思ってる。3年我慢すればきっとわかる。これまでは、3年が我慢できなかったんです。Good Dog Happy Menもそう。でも、今の方が当時よりもGood Dog Happy Menを楽しんでくれてるっていうのは、門祭りではっきりわかったんですよ。だから、今回は今のやり方をちゃんと続けたいし、その価値は絶対あるはずだって思ってるんです。

過去作

Poet-type.M / A Place, Dark & Dark -性器を無くしたアンドロイド-

東京芸術大学の在学生によるカルテットが参加し、ストリングス・アレンジで仕上げられた純度の高いM1&6をはじめ、ポップでみずみずしいリード曲「あのキラキラした綺麗事(AGAIN)」など、門田ならではの言葉の美しさと音楽センスが際立つ「別れ」を描いた秋盤。

Poet-type.M / A Place, Dark & Dark -ダイヤモンドは傷つかない-

軽快なアコースティック・ギターとハンドクラップから幕を開け、水野雅昭と伊藤大地のツイン・ドラムで仕上げた「神の犬(Do Justice To?)」など、 これまでになくニューウェーブなサウンドで送る、「出会い」を描いた夏盤。

【特集】
>>BURGER NUDS、Good Dog Happy Men、Poet-type.M――門田匡陽の証言と振り返る「美学の歴史」

LIVE INFORMATION

〈独演会〉夜しかない街の物語「A Place, Dark & Dark」最終話
A Place, Dark & Dark Public Performance『God Bless, Dark & Dark』
日時 : 2016年4月17日(日)
場所 : Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
時間 : 開場 16:00 / 開演 17:00
チケット : 前売 ¥4,300(税込)
※座席指定はございません。全自由席になります。
※︎整理番号順にご入場頂きます
※4歳以上有料

一般発売開始 : 3月19日(土) AM10:00〜
※CD封入チラシにて先行チケット受付中
※本公演はContact、メール等からの取り置きは行っておりません。
【お問い合わせ】I WILL MUSIC TEL:03-5475-8280

PROFILE

Poet-type.M / 門田匡陽

1980年東京都生まれ。

1999年より3ピース・ロック・バンド「BURGER NUDS」のメンバーとして活動。新宿リキッドルームを完売させる勢いを持ちながら2004年解散。同年、ファンタジックで独創的な世界観を持つツイン・ドラムの4ピース・ロック・バンド「Good Dog Happy Men」を結成。数々の大型フェスに出演し、多くのファンを魅了させるが2010年にメンバーの脱退を受けて活動休止。

2011年、門田匡陽として初のソロ・アルバム『Nobody Knows My Name』をリリース。その後わずかな休息を経て、2013年4月1日よりソロ名義を「Poet-type.M」に変更し活動を再開。同年10月2日に初のフル・アルバム『White White White』のリリース。

2014年6月21日リキッドルームにてBURGER NUDS再結成、Poet-type.Mと並行して活動開始。

2015年1月31日に独演会「A Place, Dark & Dark -prologue-」を開催。「夜しかない街の物語」というコンセプトを掲げ演奏を披露。そして同コンセプトを反映した4部作となる『A Place, Dark & Dark』を「春夏秋冬」でリリースしていく事を発表し、四季に合わせ、春盤『A Place, Dark & Dark - 観た事のないものを好きなだけ -』(旅立ち)、夏盤『A Place, Dark & Dark - ダイヤモンドは傷つかない -』(出会い)、秋盤『A Place, Dark & Dark - 性器を無くしたアンドロイド -』(別れ)をリリース。

2015年9月~10月にかけて東名阪で門田主催「festival M.O.N - 美学の勝利 -」を開催。2016年2月、4部作最終章となる冬盤『A Place, Dark & Dark -永遠の終わりまでYESを-』をリリースする。

>>Poet-type.M Official HP

この記事の筆者
金子 厚武

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石毛輝『from my bedroom』フリー・ダウンロード第2弾&インタビュー後編

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石毛輝『from my bedroom』先行販売開始&フリー・ダウンロード! インタビュー前編

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蔡忠浩インタビュー! 初ソロ作&オトトイ限定高音質シングル配信

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世武裕子「恋するリリー」高音質で先行配信&インタビュー

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アナログフィッシュ『Life Goes On』インタビュー

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ツジコノリコ『penguin2009』remixes

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bonobos「夕景スケープ」高音質で先行配信 インタビュー

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小島麻由美『アラベスク』

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