”未完成”のまま、再生する──BURGER NUDS復活作リリース記念!! 貴重な3人へのインタヴューを掲載!!
BUREGER NUDSが2014年の復活以降初、14年ぶりとなるアルバム『Act 2 或いは Act 3」をリリースした。派手な再結成劇にすることなく自らのペースでライヴをこなし、復活から3年というスパンを持ってして届けられた待望のアルバムは復活ライヴでも披露されていた「Lesson」や「NERD」などを含む全11曲を収録。今回OTOTOYでは旧譜の再発時にライナーノーツを手がけた金子厚武によるメンバーへのインタヴューを掲載。復活作を読み解くテキストとしてアルバムとともに是非とも楽しんでほしい。
復活後初となるアルバム、ついに完成!!
BURGER NUDS / Act 2 或いは Act 3
【Track List】
01. コミュニティー
02. Methods Of Dance
03. 記号化(NO NO NO)
04. NERD
05. 絶滅危惧種のペンギンたちが可哀想
06. narrow silhouette
07. 酸素
08. EVANGELIST
09. 感想文
10. Lesson
11. 言葉と心
【配信形態 / 価格】
WAV、ALAC、FLAC(16bit/44.1kHz) / AAC
単曲購入 200円(税込) まとめ購入 1,800円(税込)
※購入者にはブックレットのPDFファイルが付属いたします
INTERVIEW : BURGER NUDS
2014年6月21日に10年ぶりの復活ライヴを行ったBURGER NUDSが、実に14年ぶりのオリジナル・アルバム『Act 2 或いは Act 3』を完成させた。復活ライヴ以降は、門田匡陽のキャリアを横断した『festival M.O.N -美学の勝利-』にPoet-type.M、Good Dog Happy Menとともに出演するなど、いくつかのイベントに出演しながら、マイペースで楽曲を制作。その間、門田は自身のプロジェクトPoet-type.Mで1年に4枚の作品を発表する『A Place, Dark & Dark』を展開し、内田武瑠はショピン、あだち麗三郎クワルテット、ヒネモスなど、主に非ロック的な界隈で活躍していたが、復活ライヴからさらに3年のときを経て、ついに11曲入りのアルバムを完成させた。
とにかく、「BURGER NUDSでしかない」作品が完成したことがとても嬉しいし、彼らのファンとして誇らしい気持ちだ。表面的なサウンドをなぞれば、シューゲイザー、ハードコア・パンク、アヴァン・ポップ、フォークなど、様々なジャンルが混在していると言えるが、これはやはり、門田、内田、そして、ひさびさのバンド復帰となった丸山潤というメンバー3人の審美眼の上に成り立った、BURGER NUDSの音でしかない。解散前に発表されたラスト・アルバム『symphony』は、当時の“下北沢”という言葉に代表されるギター・ロックの枠組みから抜け出し、“BURGER NUDS”というジャンルを確立した美しいエンディングだったが、その感覚だけを引き継ぎつつ、今のバンドの姿へと見事に更新してみせた。
メンバー3人が復活以降の3年間とニュー・アルバムについて語ったインタヴューは現状このテキストのみ。それぞれの想いを胸に、ぜひじっくりと読んでみてほしい。
インタヴュー&文 : 金子厚武
写真 : 横山正人
「何かを批判するような歌詞はやめてくれ」
──実に14年ぶりのアルバムが完成したわけですが、まずは作品に対する手応えを聞かせてください。
門田匡陽(Vo,G)(以下、門田) : Poet-type.Mと比較して考えると、BURGER NUDSは自分がコントロールできない部分がすごく多いから、つくってる最中は、「俺たち一体何を作ってるんだろう?」って感じなんです(笑)。なので、いろんなところで親切心が働いてしまって、「こうした方がわかりやすいんじゃないか?」とか「こうした方が今っぽい」みたいな考えが出てきてしまうので、そこをどうセーブして、BURGER NUDSっぽいものにしていくか、そこをすごく考えながらつくった気がします。で、最終的に辿り着いた答えは、「よくわからないんだけど、とにかく生ものである」っていうこと。『symphony』みたいな作品を、またつくろうと思えば作れたと思うんですけど、そういうことじゃないなって。
内田武瑠(Dr,cho)(以下、内田) : 誤解を恐れずに言うと、ラッキー・パンチみたいな作品ができなくて良かった。ひさしぶりに「曲つくろうぜ」ってなって、新鮮だったし、関係性もすごくいい状態だったんですけど、思った以上にはならなかったというか、「やっぱり、こういう風になるんだ」って感じだったんですよね。当時と今とでは音楽体験がまったく違うはずなのに、「やっぱり、こうなるんだ」っていうのは、ホントにバンドの不思議というか。
丸山潤(B,cho)(以下、丸山) : ちゃんと3人でつくったって感じはしました。できたものがどうかっていうのはあまりわからないというか、暗いのか明るいのかとかはよくわからないんですけど、自然につくってきたものをちゃんと形にできたっていう印象は強いです。その過程では、結構門田が「こういう風にしたらどうだろう?」っていろいろ提案してくれたんですけど、僕らは響かなかったら容赦なく却下しちゃうんですよ(笑)。なので、もちろん門田のソロとは違うし、フラフラしながらも、3人が納得のいくひとつの作品を作ることができたなって。そういう姿勢とか考え方は、14年前と何ら変わりがないです。
門田 : 俺はやりたいことがすげえはっきりしてるタイプのミュージシャンだから、BURGER NUDSを改めてやるにあたっても、最初は自分の中のBURGER NUDS像があったわけ。「こうやったら、今みんなにとっていいんじゃないか」っていう、それは感謝なんだよね。10年ぶりにライヴをやるってなると、そこに対する気持ちは当然感謝なんです。でも、それをそのまま音にしてしまうと、ひさびさのアルバムがすげえハッピーなものになるわけで。
──「再会」みたいなものですよね。
門田 : そう、みんなが平和になるようなアルバムになるんだけど、でもそれは絶対つまんないと思った。やろうと思えばつくれるんだろうけど、おそらくマルジュン(丸山)と(内田)武瑠は「どうだろう?」って思うはず。そこを納得してからは、一個人としてのエゴからはきれいにスイッチできたんですよね。
──あくまでBURGER NUDSの1/3になったと。マルジュンさんにとってはひさびさのバンド活動だったわけですが、戸惑いはありませんでしたか?
丸山 : あんまりなかったですね。みんなバラバラだったので、門田はわりとソロでも近いトーンの音楽をやってるけど、武瑠はロックのフィールドじゃなくなってたし、僕は最初何していいかわからないって感じで(笑)。でも、その3人が定期的にリハをしたり、ライヴを重ねることで、徐々にベクトルが合ってきて、何となくの共通言語が生まれて、昔やってたくらいまでにはリハビリできたかなって。
内田 : 最初に「今はこういうのを聴いてる」っていうのを3人で持ち寄ったら、チンプンカンプンだったんですよ。「これ一緒にバンドできないだろ」くらいの感じ。「面白いくらい違う」じゃなくて、「笑えないくらい違う」だったから、正直不安を覚えたんですけど、さっきマルジュンが言ったみたいに、徐々に共通言語ができて行きましたね。
──実際、制作はどんなペースで進んでいたのでしょうか? 昨年前半までは、門田さんはPoet-type.Mで『A Place, Dark & Dark』のプロジェクトも進行していたわけですが。
門田 : 曲自体は、『A Place, Dark & Dark』の冬盤ができる頃にはもう揃ってたんです。で、『A Place, Dark & Dark』のリリースが一通り終わってから、録音をしました。
丸山 : なので、去年の夏にはレコーディング自体は終わってたんですけど、そこからミックスとかに時間がかかって、いまになったって感じですね。
──楽曲を作る上での何らかの方向性はありましたか?
門田 : 歌詞に関して考えてたのは、いまって歌われてることが全世界的につまらないんですよ。隙間もないし、行と行の間の景色もない、即時性の刺激物みたいな、煙草みたいな歌詞しかなくて、すごくつまんないなって。なので、そういうのにはしたくなかったんですけど、それにはリスクを伴うというか。「こいつ何言いたいのかわからない」ってなる危険性がある。でも、俺はそれでいいと思ったし、それを「いい」って言えるのは、この3人でやってることの1番のストロング・ポイントかなって。だから、作詞をする上ではすごく心強いんです。例えば、「感想文」って、他のバンドだと「は? 」ってなってるかもしれないけど、この3人だと「BURGER NUDSっぽい」ってなるんですよね。
──歌いだしの〈理想は異常な幸せでパンもあるけれどケーキ食う〉って、たしかにBURGER NUDSっぽい。文字通り「感想文」のような歌詞や、記号化された歌詞が多い中で、そうではないものをつくろうとしたわけですね。
内田 : 楽曲に関しては、あるものをとりあえずつくって行ったらこうなったって感じです。変な話、BURGER NUDSの場合、曲うんぬんはどうでもいいというか、やっぱり門田の歌詞が核にあるので、そこを大事にしたいと思いました。ただ、1個門田に言ったのは、「何かを批判するような歌詞はやめてくれ」ということで、僕は音楽が好きでやってるから、何かを批判するために自分の時間を使いたくない。それは再結成して、曲をつくり始めたくらいに言った気がします。もちろん、実際に書いてるのは門田だから、そういう部分が出てきちゃうことがあるのはしょうがないんだけど。
門田 : でも、武瑠に言われてそうだよなって思って、Poet-type.Mの『春盤』には、「救えない。心から。」っていう攻撃的な曲があったけど、ああいう表現はしてないんですよね。サウンド的にはああいう歌詞を書きやすいはずなのに、でも書いてないのは、武瑠に言われたからだと思う。
──「Methods Of Dance」の歌いだしが〈当然「NO」〉だったり、「記号化(NONONO)」という曲があったり、キーワードとして「NO」という言葉が使われていて、何かを拒否する感覚はあるんだけど、でもそれをどう表現するのかってところですよね。
門田 : センスのいいNOの言い方、品のいいNOの言い方っていうのを考えてたんですけど、Poet-type.Mの場合は、暴力的な曲を「殺してやる」くらいの気持ちでつくることがあっても、BURGER NUDSの場合は「面白くない」って気持ちで歌ったときに、どこか超越してるというか、俯瞰した視点で歌ってるから、攻撃性がなくなるっていうか。それはBURGER NUDSの不思議な特徴なんです。
丸山 : 作詞は門田の担当だから、あんまり口は出さなかったけど、Poet-type.Mでも歌詞を書いて、こっちでも書くから、その境界が1番苦しいのかなって。
門田 : BURGER NUDSの詞はホントに大変。3人で曲をつくるから、そのときに霊感と直感が働いて、ポッと出てきた言葉が曲のキーワードになるわけ。例えば、「言葉と心」だったら、〈離れ離れでも 言葉と心〉っていうのが出てきて、それを家に持ち帰ったときに、そのときのフィーリングを呼び起こすのが大変で。でも、霊感と直感に頼ってるからこそ、さっき言った「超越してる」って感じになるんだと思う。で、実際家で「あのときのあの感じって何だろう?」って反芻するんだけど、俺はそれをちゃんと再編集しようと思えばできるんだよね。でも、せっかく3人の雰囲気から、ファジーないいものが出てきたのを壊したくない。なので、「言葉と心」の歌詞を書くときは、デモを100回くらい聴いて、ちゃんとギター持って立って歌いながら歌詞を考えましたからね。そうしないと、曲の中に温度差が出ちゃうんですよ。
──順番的には、2014年の復活ライヴで披露された「NERD」と「Lesson」が最初にできたわけですか?
門田 : 「NERD」は解散前からあったよね。
丸山 : メロディーも詞も昔のものを生かしてます。解散前に1度デモを持ってきたのを僕がMDで持ってて、「これ行けるんじゃない?」って、門田が改めてデモを作ってきたんだけど……。
内田 : 俺とマルジュンが却下(笑)。
丸山 : で、スタジオでアレンジしたっていう。
──「NERD」は〈生きてくのさ〉〈終わってない〉という言葉が印象的で、てっきり復活にあたって書いた曲だと思ってたんですけど、解散前に書かれた曲だったんですね。
門田 : 「NERD」を作ったときはバンドの終わりが見えていたというか、いま受け取ることのできる意味合いとは全く違って、「こういう気持ちで始めたんだよな」って、解散前に思ってたんだと思う。そういった意味では、いまだと生まれなかった曲で、でもいまやるからいいんだろうなって気がする。いままたこういう詞の曲ができるっていうのは嬉しいですね。
初めて客観的にBURGER NUDSのことを見れた
──じゃあ、「Lesson」は復活が決まってからつくった曲?
門田 : そもそも最初はUK.PROJECTに旧譜の再販の相談をして。そのときはBURGER NUDSをもう1回やるって気持ちはなかったんです。でも、「せっかくだから、ライヴやりなよ」って言ってくれて、だから、「BURGER NUDSを再始動させよう」じゃなくて、「とりあえず、1回ライヴをしよう」っていうのが最初の目的だったんですよ。ただ、昔の曲だけやるならやらない方がいいって話になって、「じゃあ、1曲でも2曲でも作ろうか」って、それでできたのが「Lesson」。なので、この曲はまだ過程にあったというか、「BURGER NUDSってこうだよな」って頭で考えながらつくってる部分が強い。
──〈君は独りで良い〉っていう歌詞がいかにもBURGER NUDSらしいなって思ったんですけど、そこは意識的だったわけですね。でも、徐々に今の3人の共通言語を獲得するにあたって、特別「らしさ」を意識することはなくなっていったと。
門田 : そうですね。なので、このアルバムのゼロ・ポイントは、「Lesson」だと思う。やっぱり、すごく強いんですよ。この曲があって、「Methods Of Dance」や「絶滅危惧種のペンギンたちが可哀想」、「感想文」とかが成り立つんだろうなって。でも、最初に武瑠が「Lesson」のドラム叩いたときは、自分で「うるさくて嫌になる」って言ってた(笑)。
──それが最終的には、「記号化(NONONO)」のような乱れ打ちを披露するようになるとは(笑)。
内田 : 「Lesson」はすごく懐かしい歌詞があるなって思って、〈今 何も感じないで良い 何も信じないで良い 何も許さないで良い 誰も頼らないで良い 君は独りで良い〉って歌詞を聴いて、門田を体現してると思ったんですよね。すごい懐かしい気持ちになりました。
門田 : そういう歌詞って、さっき言ったようにBURGER NUDSらしさを意識してはいたんだけど、でも無理はしてなくて、どちらかというと、これが自分の素なんです。それを出していい場所を与えられた感覚っていうか、これってホントに根本的な自分の中にあるペーソスで、普段はそれを気にしちゃうんですよ。「これはいま歌うべきことじゃないんじゃないか?」とか「もう少しかっこつけた表現できるんじゃないか?」とか。でも、この曲に関しては、そういうことを考えないで済んだというか。
内田 : 3人で音を出すと、やっぱりこういうものになるって話で、逆に言うと、当時からああいうことをやろうと思ってやってはいないんですよね。「そういう風になっちゃってたんだ」というのを再確認したというか、「Lesson」の詞も素でこうなってるのが門田っぽい。昔から知ってる門田の雰囲気を感じて、安心したし、当時無理してやってなくてよかったなって、いまになってホント思いますね。
──「Lesson」をつくった段階では「1回ライヴをやること」が目的だったそうですが、実際に1回ライヴをやったことで、その先の活動も見えてきたわけですか?
門田 : いや、復活のときはそんなこと考える余裕がなくて、大きかったのは門祭(2015年の秋に開催された〈festival M.O.N -美学の勝利-〉かなあ。あれは音楽家としてはホントにターニングポイントだったんです。「同居できるんだ」っていう。BURGER NUDSを2004年までやってたときは、BURGER NUDS以外の表現を自分に許してなくて、だからこそ、BURGER NUDSで面白いものができると信じてたし、そういう時代でもありましたよね。「1人のアーティストはひとつのバンドをやるべき」っていう。いまみたいな自由はなかった。でも、門祭では一晩でBURGER NUDS、Poet-type.M、Good Dog Happy Menっていう3つのバンドをやって、そこで初めて客観的にBURGER NUDSのことを見れた。それはすごく大きな経験でした。
──他の収録曲について、それぞれ単純に好きだったり、思い入れが強い曲を挙げてもらえますか?
丸山 : 「絶滅危惧種のペンギンたちが可哀想」ができたときに、波長が合ってきたというか、共通言語みたいなのができてきたのを感じて、「これならアルバムできそうだな」っていう感触があったのを覚えてます。
──この曲でその感触があったっていうのは、ある意味非常にBURGER NUDSらしいですね。
丸山 : 特別そうは思ってないっていうのが面白いんでしょうね。あんまり客観的に見てどうかってことは考えてなくて、一通り曲が揃ったときに、門田が「これはずいぶん暗いのができたな」ってポロッと言って、「え? 全然暗くないよ」って言ったんですよ。
門田 : 俺はやべえなって思ったよ(笑)。
丸山 : 世の中的には暗いって思われるのかもしれないけど、俺はそう思わなかったから、逆に言うと、それくらい自然なものができたんだなって思いましたね。
門田 : 俺はこのダルさにみんなついてこれないんじゃないかと思った(笑)。暗いのは気にならないけど、ダルいのは気になる。BURGER NUDSは何かが起こりそうで何も起こらないっていうのがときどきあって、それがアリかナシかっていったら、おそらくナシなんだろうなってことは俺はわかってる(笑)。でも、このダルさにハマったらすごく気持ちいいっていうのもわかってたんですよね。
──武瑠さんはいかがですか?
内田 : 僕は全部の曲に対して「これからどうしよう」って感覚なんですけど、特に引っかかってるのが「感想文」で、これは面白い風に化けるんじゃないかなって。正直、最初やるの億劫だったんですよ(笑)。この曲こそダルいし、完成形がよくわからなくて。でも、それをよりよくする楽しみを取っておくっていうか、伸び白があり過ぎるので、もっと面白いアレンジが考えられるなっていう意味で、「感想文」を挙げました。あと「Methods Of Dance」は、こういうグルーヴの曲はこれまでのBURGER NUDSにはなかったと思うから、僕が他で活動してきた意味が少しはあったかなって(笑)。
──門田さんはどうでしょうか?
門田 : 個人的に思い入れが強いのは「酸素」なんですけど、今日ここに来るまでに聴きながら、「コミュニティー」がすごくいいなって思いました。非常にエバーグリーンなことを歌っていて、この歌い方じゃないと、この気持ちが伝わらないっていうのがすごく出てて、こういう歌のリアリティがあるんだって再確認できたというか。〈どうせ まぁね じゃあね〉って、一生懸命歌っても伝わるわけがない。こういうことができるようになったっていうのは、当時より少しはレベルが上がったのかなって思いました。
ホントに筋の通った、生まれながらの中二病
──『Act 2 或いは Act 3』という不思議なタイトルは、どのように決まったのでしょうか?
門田 : ひとつ確実に言えるのは、俺はこれ嫌だったんです。いくつか「これがいい」っていうのを挙げたんだけど、全部却下されて(笑)。
──例えば、他にどんな候補があったんですか?
門田 : 最初に考えたのは『究極の普通』。次が『ノームコア』。でもどっちもダメで、『Act 2 或いは Act 3』って言ったら、「意味がなくていいね」って。俺は意味を付けたがるけど、2人はそれを嫌う傾向にあるんですよ。武瑠は意味があるのが好きじゃないし、マルジュンはその意味合いがアリかナシかで判断する。
内田 : 意味がはっきりあると、その圧で引いちゃうんです。門田の歌詞もいつもすごく門田の色が出てるから、初めは圧がすごくて。
──学生時代からの付き合いでも、未だにそう感じるわけですか?
内田 : 未だにそうだし、ついこの間も新曲を送ってくれたんだけど、その歌詞の圧もすごかった(笑)。だから、意味があるのが嫌いというか、圧がすごいなって思って、もうちょっとフワッとしたものの方が、自分は好みなんです。
丸山 : 門田のことは高校のときからよく知ってて、彼がやってたバンドの曲は一通り聴いてるから、一緒にやってるプレイヤーなんだけど、僕は1人のリスナーとしての面も強くて、そういう視点も入れつつ判断してるというか、彼のいいところを引き出すのも自分の仕事かなって。もう一緒にやってた期間より離れてた期間の方が長くて、でもその間にやってたのも一通り聴いてるから、僕の思う門田の特徴を生かしたいなって思うんですよね。
──『Act 2 或いは Act 3』って、アニメとかゲームのタイトルっぽさもあって、そこは昔からそういう世界観がインスピレーション源にあったBURGER NUDSらしいなって思いました。
門田 : そこに関しては、もう血ですね。そういう出方をしてしまうんですよ。そういった意味では、ホントに筋の通った、生まれながらの中二病ですから。一見オタクなやつ、大嫌いですもん。「それホントにいいと思ってるの? 俺はホントにいいと思ってるんだよ」っていう。
──いまって当時に比べてファッション・オタクが増えましたもんね。
門田 : アニメとかと同じように、音楽のジャンルもすごく危険で、シティ・ポップとかってめちゃめちゃ危険ですよ。「これ歴史的名盤ですよね」って軽く言えちゃうけど、「ホントにいいと思ってんの?」って。
内田 : 今って世間一般の人も玄人っぽいのを好む傾向にあるじゃないですか? 僕らがやってた当時と比べて、ギター・ロックとかって、ちょっと鼻で笑われてるように感じることもあって、それは嫌だったんですよね。
門田 : ギター・ロックってジャンルはそこのアピールが下手かもね。まあ、もうジャンルで音楽やってる時点でダサいですよ。「シティ・ポップやってます」って自分で言っちゃったら、もうそこで終わり。BURGER NUDSはそういう意味では完成してるっていうか、別にギター・ロックをやろうと思ってやってないですからね。もしかしたら、昔のBURGER NUDS像が足を引っ張ってるところもあるのかもしれないけど、先入観を取っ払ってみたら、世界的に見ても、こんなバンドは絶対他にないと思いますよ。
──では最後に、今後についても聞かせてください。まず7月から東名阪のツアーがありますが、その後に関してはどういった展望を持っていますか?
門田 : ひとつはっきりしてるのは、いま俺が「こうなる」って思ってるようには絶対行かないってこと(笑)。
内田 : お休みして、ひさしぶりに復活するバンドって、「あの感じがなくなった」とか言われがちですけど、それを言われるのを恐れず、チャレンジしていきたいっていうか、自分のやりたい音楽をやるために音楽やってるわけで、そこは恐れずにいたいです。あとは音源の曲をどんどんライヴで消化していきたくて、音源至上主義ではなく、ライヴに来て初めてわかるような、そういうことをしていきたい。
──マルジュンさんはいかがですか?
丸山 : ベースを弾くのをやめようかな(笑)。
──え? BURGER NUDSをやめるってことではないですよね?
丸山 : それぐらいの変化があってもいいなって。モーサム(MO'SOME TONEBENDER)みたいに上手く変化できるかはわからないけど、それくらいの変化があってもいいとは思ってます。
内田 : 変に縛られたくはないよね。やりたいようにやるっていう。
──最後に、門田さんいかがですか?
門田 : 今1番思ってるのは、武瑠も言ったように、ライヴをやりたいってことで、ちゃんとこの音源の落とし前をつけたいなって。なので、ライヴのお誘いお待ちしてます(笑)。ホントそれくらいしか言うことないですね。ここからどうなっていくかは3人ともわからないです。ただ、俺たちがやってる以上は普通のものにはなりえないので、そこは信頼してもらっていいと思います。
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圧倒的“イズム”が貫く世界観、最後に送った最大の「YES」
── Poet-type.M、4部作最終章配信
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BURGER NUDS、Good Dog Happy Men、Poet-type.M
── 門田匡陽の証言と振り返る「美学の歴史」
https://ototoy.jp/feature/20151021
Poet-type.M 作品
Poet-type.M / A Place, Dark & Dark -ダイヤモンドは傷つかない-
「夜しかない街の物語」というコンセプトのもと制作された「春夏秋冬」4部作「夏盤」。4部作「夏盤」。VOLA & THE ORIENTAL MACHINEの楢原英介とのタッグによる1枚。
Poet-type.M / A Place, Dark & Dark -性器を無くしたアンドロイド-
4部作「秋盤」。今作も楢原英介との共同アレンジ&サウンド・プロデュースによる作品。東京芸術大学の在学生によるカルテットが2曲アルバムに参加している。
Poet-type.M / A Place, Dark & Dark -永遠の終わりまでYESを-
4部作「冬盤」。4部作の最後となる今作のコンセプトは「再生」。「氷の皿(Ave Maria)」、「接続されたままで(I can not Dance)」などを含む全6曲。
LIVE SCHEDULE
tour 2017 「Act 2 或いは Act 3」
2017年7月28日(金)@名古屋 CLUB UP SET
開場 18:00/開演 19:00
2017年7月29日(土)@大阪 ROCKTOWN
開場 17:00/開演 17:30
2017年8月5日(土)@新代田 FEVER
開場 18:00/開演 19:00
PROFILE
BURGER NUDS
門田匡陽 (vo,g)
丸山潤 (B,cho)
内田武瑠 (ds)
中・高の同級生3人により1999年に結成されたロック・バンド。2000年頃からインディーズでの活動をはじめ、UKロックからの影響が色濃いポップなギター・ロックと活発なライヴ活動で人気を確立していく。シングル、ミニ・アルバム、コンピレーションなどへの参加を経て、2003年にオリジナル・アルバム『シンフォニー』をリリース。将来が嘱望されたが、翌2004年6月に解散。その後、門田匡陽(vo,g)と内田武瑠(ds)はGood Dog Happy Menで活動をともにする。解散から10年、2014年元旦にオフィシャル・サイトを開設。廃盤となっていた5枚のオリジナル作品が、新たに3枚にパッケージしリリースすることを発表。また、復活ワンマン・ライヴ「2014.6.21」を2014年6月21日に恵比寿リキッドルームで開催、チケットは即完となる。ライヴ後はマイペースに楽曲制作期間に入り、2017年4月7日にニュー・アルバム「Act 2 或いは Act 3」をリリース。東京、名古屋、大阪の3ケ所でリリース・ツアーも開催する。
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