5 Star Cowboy × 福尾匠 ──フィクションをかませたらリアルじゃなくなる、わけではない【In search of lost night】
固有の表現/場のあり方を追求するアーティスト、パーティー…etcを取り上げる連載【In search of lost night】。今回は、bringlife、PICNIC YOU、Dos Monosで活動する5人が集合した、5 Star Cowboy。 5 on 5もとい、QN、福尾匠、Okadada、二木信、りら、の5人それぞれと対峙するデラックスな鼎談より、哲学研究者/メディア批評家の福尾匠との会話をお届けする。 また、本記事の公開にあわせてカセットテープを販売開始!リミックス3曲+インスト+アカペラ+ステッカーの特典もありますよ。
1st TALK:QN
coming soon...
3rd TALK:okadada
4th TALK:二木信
5th TALK:りら
『5 Star Cowboy Deluxe』カセットテープ+Deluxe特典 販売中
販売期間:2026年5月1日〜8月1日23:59
販売ページはこちら↓
https://ototoy.jp/_/default/i/506
特典:
ステッカー
インスト&ボーカルデータ(「5 Star Cowboy」、「Frozewn」、「Signs」、「Twin Peaks」、「心の外」、「風あざみ」)
リミックス3曲(「Twin Peaks 10,10,10 remix」、「心の外 Naked Under Leather remix」、「5 Star Cantina lazona spit on 5 star remix」)
2nd TALK:福尾匠
写真 : Julian Seslco
二人目の対談相手として迎えられたのは、昨年『置き配的』を出版した哲学研究者/メディア批評家の福尾匠。荘子it(Dos Monos)とのPodcast番組『シットとシッポ』をやられている様子からもわかるように、長くヒップホップを愛聴してきたという側面を持っている。ゆるやかで目的を設定しないお喋りのなかから立ち上がる、“イタズラ心で始めたものに巻き込まれていく”、“フィクションを入れたからリアルから遠ざかるわけではない”、“人と何かをやるときに気づいたら傷ができている”という観念と実践を反復横跳びしながら、話題が展開されていく様は心地のいいものだった。
没:福尾さんは俺以外とは初対面ですよね?
福尾:そうですね。荘子itくんとPodcastを去年からやっていて、Dos Monosの事務所に僕が毎週行ってるから、没くんはそのときにちらほら会う。
没:でも、実はちゃんと話したことないんですよね。Theater D Vol.5の宣伝回で福尾君が呼んでくれて、そこで初めて、ちゃんと長く話した感じにはなったけど。だから、今日は話せて嬉しいです。
福尾:あと、僕はちん花(10,10,10)さんのこと、15年くらい前から知っていて。当時、僕がまだ文章なんて書いてなかったときに、Twitter経由でサトウコウ君っていう、僕と全く生年月日が一緒の子と仲良くなったんですけど、ちん花さんはコウ君とすごい仲良かったんですよね?
10,:ですね、めっちゃ仲良くて。
福尾:ぼく脳さんとか、あそこら辺とやってましたよね。その時からお名前は存じ上げていて、それがいまこうやってクロスするんだっていう。
10,:当時は割と色々やっていましたね。いまは削ぎ落とされてラップの男になってるんですけど。
没:TaiTanも、5 Star Cowboyのなかで昔からちん花だけは知ってたって。soundcloudとかで、2010年代前半からちん花は聴いてたみたいな(笑)やっぱり、ちん花の存在面白いよな。
いたずら心だったものがマジになっていく時がある
福尾:それで、僕はEP『5 Star Cowboy』が出た時から聞いてて、今回のアルバムも繰り返し聞いてるから今日呼んでもらえて嬉しいです。EPが出て「World Peace」を聴いた時はびっくりして。あのサンプリングは、⚪︎⚪︎⚪︎?
没:⚪︎⚪︎⚪︎ ですね。
福尾:こんなの、まあやっちゃダメだろうけど(笑)。「ダメだけど、いいんだ」みたいなその自由さがよかった。
田嶋:もしかしたら、このアルバムは禁じ手をいっぱい使っちゃってるかもしれない。
10,:まあでも、「禁じ手をやるぞ」でやってるというよりかは、あとから「これって禁じられてたな」みたいな感じだよね。
福尾:作ってる時に「悪いことをやってやろう!」って気持ちでもないわけでしょう。
没:でも「World Peace」に関しては、ちょっと「悪いことやってやろう」みたいな気持ちがあったかも。ビートも、みんなで一緒にスタジオに入ったときに、その場で作ったんですけど、その時に「ワールドピース」みたいな言葉もすでに頭のなかに出てきていて。「あそこに、銃声かぶせたらいいんじゃない? 」みたいな。そういうのは考えてましたね。ヒップホップって、そういう対位法みたいなのが結構よくあるんですよ。
福尾:ヒーリングっぽいやつにどぎついもの被せる、みたいな?
没:そうそう、すごいメローで美しいメロディの上で、ギャングスタラップをやるみたいなのとか、銃声を鳴らしてみるみたいな。 それを俺らなりのやり方でやったみたいな感じですね。だから、悪いことしてやろうみたい気持ち、ちょっとあったかも笑
nul:イタズラ心。
没:イタズラ心、そうそう。楽しくやりたいっす。
福尾:でも、イタズラ心から始まるのは僕にもありますね…。僕も最近『置き配的』っていう本を出したんですけど、あれも東浩紀の『存在論的、郵便的』っていう本がまずあって、『置き配的』って言ったら、怒らせられるんじゃないかみたいな気持ちからきていて。
没:確かに笑
福尾:最初はただの…なんて言うんだろう。「いじってる」じゃないけど、ちょっとイタズラ心みたいなものがあって。 でも、それがいつの間にかマジになっちゃう。最初は単なる言葉遊びみたいなもので始まったものに、自分がどんどん巻き込まれていく。そういう感じはありますね、僕も。
没:さすがに先に『置き配的』って言葉が出てきたわけではないですよね? 現象というか、いま、感じていることがあって、それに名付けた?
福尾:そこはめっちゃ微妙で。『存在論的、郵便的』っていう本があったなっていう記憶と、コロナ禍以降の、Amazonの置き配が一般的になっていたり、SNS上のコミュニケーションの在り方だったりが、いつの間にか自分のなかでどんどん交差していって。で、それが1つの言葉になるみたいな感じですね。
没:めっちゃ名盤っぽいですね、成り立ち方が。あとから共時性じゃないけど、バチバチハマっていって、これしかないみたいな。
福尾:それでいうと、カウボーイっていう名前はどういう流れで...?
10,:カウボーイは、田嶋君のトラックが現実の場所っぽいっていうか。みんなのトラックのなかでは、具体的なモチーフが入っていたり、どこかの国のある場所を連想させる感じがして。
田嶋:あ、最初出会った頃「田嶋君のビートは聞いてると、風景が目に浮かんでいいね」って言ってくれましたよね
10,:しかも、抽象的な風景じゃなくて、具体的な場所…居酒屋なのか、みんなが踊ってるのか、サボテンが踊ってるのか…そういうものが浮かぶ。 その時は、カウボーイっぽいというか、西部っぽい感じがしました。
田嶋:タイトル曲(「5 Star Cowboy」)のビートですね。あれは無意識の産物っていうか、Y⚪︎⚪︎T⚪︎⚪︎に落ちてた再生回数百回ぐらいのめっちゃマイナーなファンクみたいなのを使って並べただけで。 自分にしては珍しくそういうシンプルな作り方をしたビート。でも、簡単に作ってる分無意識むき出しみたいな。説明ができるものより、自分の体質とかでなんとなくできちゃったものの方が、人が聞いたらいろいろフィールすることがあるのかも。 最初にそのビートにみんなが反応してラップを重ねてくれて、それ聞いてみたら、なんかカウボーイみたいなことになった(笑)
10,: 偶発的に仲良い人たちが集まって何か起こる…たまたま起きたラップの掛け合い、それをポッセとか言いますけど。ある意味で俺らは作為的に集まっている。そのことに対する、恥ずかしさと気まずさがあって。だから自分たちをフィクションで包んだ方が心地よかったのかも。半コスプレというか。カウボーイのイメージを出したいというよりかは、そういったものに預けたかった。
福尾:聖飢魔IIじゃないけど、そういうコンセプトとかキャラに乗っかる姿勢の方がむしろやりやすいみたいな。
10,:そうですね。その膜の1個内側で。もう荒野だし、しょうがねえよみたいな、言い訳みたいなところが、ちょっとだけあるかもしれない。





























































































