2026/05/01 14:00

30代になって5人で集まってやれるんだ

福尾:でも、たまたま集まって、何か一緒にやろうよみたいな機運が生まれることは感覚として分かるんだけど、5人って多くない? っていう(笑)。飲み会とかで「なんか一緒にやろうよ」みたいになるのって、2、3人が上限じゃないのかな。 5人が同世代でそれぞれやってて、一致するって、めっちゃ稀有なケースなんじゃないかなと思うんだけど。しかも30歳くらいになって。

一同笑

田嶋:言われてみて思ったけど、仲間になるために、カウボーイというフィクションで包む必要があったのかも。もともと通じ合う部分はもちろんあると思うけどーーー。

没:なんかnulが言いたそうだよ(笑)。

nul:いや、そんなことはないよって思って(笑)。包まなくても仲良くなれたよ。

田嶋:良かった(笑)。

没:例えば、Wu-Tang Clanっていうヒップホップグループが俺はすごい好きなんですけど、あれは9人ぐらい。まあ9人って本当に稀有だと思うんだけど。 5人でさえ、いまの日本のシーンにいないなと思って。

10,:ポッセだと、5人は少ないぐらい。やりたかったことが、やっぱりちょっとわちゃわちゃ系ではあるので。

没:わちゃわちゃ系を表現できる最低限の人数かも。5は。

福尾:「大人になってから友達作るのは難しい」みたいな話はあるけど。30代になって、5人で集まってやれるんだって、単純にめっちゃ希望がある話だなって。

没:30代のアルバムとは思えないですもんね(笑)。現象としてウケるな。なんでなんだろう...まあ欲していたから...?

福尾:それはどういうものを欲してたんですか?

田嶋:没さん自身が、こういうもの聞きたいんだ、みたいなこと言ってましたよね?

没:言ってたと思う。「World Peace」で(福尾さんが)びっくりしちゃったみたいなものを、普通に聞きたいなという気持ちがあって。 でも、最初にやろうと思ったのは、2020年ぐらい。自分1人で住んでて、凝り固まっちゃったときに、そういうのを思いついてた気がしますね。

10,:30歳になって、寝るとき布団のなかで「あれやらなかったな、人生で」ってことを考えた時に、ポッセって結局やったことないなって。Powerっていう当時自分がやっていたクルーはあったけど。それをやらないと、悲しいなみたいな気持ちはずっとあったんで。間に合った。

福尾:でも、確かに、そこら辺がデッドラインって感じしますね。

10,:それを超えると企画になっちゃうっていうか。

没:ギリ間に合ったんだ(笑)。

福尾: いろんな私生活も含め、完全に落ち着いちゃう前のギリギリの何かって感じはありますよね。すごい羨ましい。僕らの業界だと、集まって何かやるってなっても雑誌作るの? とかそういう話になっちゃうから。

没:共著とかは?

福尾: 共著はやっぱむずいっすね。 一緒に1つの文章を書くってなると、なかなか...。

田嶋:編集者みたいな人が必要になっちゃいそうですね。雑誌なり共著なり、文章とかでそういうことをしようとすると。

福尾:そうなんですよね。

田嶋:プロデューサーとかがいないわけじゃないですか、我々は。セルフプロデュース的な。ってか、セルフプロデュースという意識もなく、ごちゃごちゃやっている感じなのかな。

没:そう。これって、誰かコントロールしてるのかな?

田嶋:いないよね、僕はそれが結構嬉しいんですけど。自然に何かができるみたいなことをしたことなかった。

福尾:うん、音楽はそこが一番羨ましい。集まってワチャワチャやってるうちに、なんか出来上がっていくみたいなものが。僕らは集まってもPodcastやる? みたいな、それぐらいしかないから。それはそれで楽しいし、やってるけど。

10,:ドゥルーズみたいになっちゃいますもんね。

福尾:ドゥルーズもね、ガタリっていう人と、2人で本作ったりしてるけど、あれも不思議な作り方で。ガタリが何でも思いついちゃう人なんだけど、まとまった文章とかは書けなくて。ガタリが思いついたことをドゥルーズに手紙で送りまくって、それをドゥルーズがなんかこう型にはめていくっていうか、システムとして成り立つようにしていって本にするみたいな。 だから、共著なんだけど、2人で話し合って作るっていうよりは、割と一方通行。

没:戻しとかないんですか? ドゥルーズがやったものに、ガタリが文句いったりしないのかな。

福尾:いや、多分あまりなかったと思う。

没:いつの人たちですか?

福尾:70−80年代。

没:そんな最近なんだ。物理的に戻せないとか、そういう話じゃないと。おもしれーな。俺らも、別に人がやったことにそんな文句言わないよね?  

一同頷く。

没:まあ、エディターはいますけど、最終的にこの曲はこの人がやるっていう。

nul:エディターはいるけど、プロデューサーはいないかもしれない。

福尾:エディターとプロデューサーって、どういう役割の違いがあるの?

nul: プロデューサーがいたら、多分「ここはこうしたほうがいい」みたいなことを、ラッパーに言ったりすると思うんですけど。注文をつける人みたいな。 エディターは渡されたもので遊ぶみたいな感じで、多分みんなその気質が強いから、あんまそれぞれのラップにどうこう言わないし。

福尾:トラックを作った人が、基本的に最終的な形も作ってるって感じなんですか?

没:そうですね、例外があったりもするけど。

5 Star Cowboyって実は概念なんです

福尾:めっちゃ初歩的な質問になっちゃうんだけど。曲タイトルの横にフィーチャリング誰々っていうのがあるじゃん。僕、フィーチャリングってメンバー外の人が参加した時に入れるものだと思い込んでたから、フィーチャリング田嶋周造とか書いてあるのは、どういうことなんですかね?

没:システム的な理由は全然あるんですけど。 もともと、メインのアーティストの名前が、bringlife、PICNIC YOU、没 a.k.a NGSだけなんですよ。そうすると、この4人の名前はどこにも載らないことになっちゃう。でも、5人の曲っていう意識もすごくあるから、あそこにフィーチャリングの表記を入れてる。個人のページにも飛べるし。

10,10,10,:あれ心地いいよね。俺らの曖昧さをなんか結構表現しているという感じがする。

nul:僕らは5 Star Cowboyっていうアーティスト名ではないんですよね。

福尾:そうなのか!それめっちゃ面白いですね。

nul:アルバムは、普通に『5 Star Cowboy』って名前ですけど、俺らが5 Star Cowboyっていう名義でなんかを出したことはない。

没:ライブでオファーされて初めて、5 Star Cowboyになったんだよね。「5 Star Cowboy出演どうですか? 」って言われて、あ、俺ら5 Star Cowboyなんだみたいな(笑)。

福尾:5 Star Cowboyっていう、世界っていうかコンセプトっていうか…

没:まず、5人なのに複数形じゃないし。概念!5 Star Cowboyって概念なんですよ。

福尾:やっぱヒップホップ聴いてて、訳分かんなくなっちゃうところがそこで。どれが人の名前でグループの名前なのか…。外から見ると、なんか全部が暗号に見える。その感じが面白いですけどね。

没:俺はやってる側だけど、その感じも全然わかりますね。

田嶋:ジャケだけで覚える、曲だけで覚えてるみたいな状態に結局なるし。

10,:「何やってんの?  この人」みたいな人が写真に写ってたりするもんね。サングラスとかみんなかけると、一気に誰が誰か分からなくなる。それは一番楽しい。

福尾:名前もね。全然人の名前に見えない名前の人が多いし。

没:10,10,10って笑

TUDA(編):福尾さんに聞いてみたいことがあって。この5人の作り方って、スタジオでトラック作ってリリックを載せあっていく、ある意味アナログなやり方で。閉鎖的じゃなく開いた状態でやり合っている、わざわざ被せるようですけど“置き配的”ではない手法だなと。

福尾:ヒップホップって、煎じ詰めれば「拾ってきたものに乗っかる」ということなんだと思うし、それはまさに“置き配的”なものからかけ離れたものだと思う。それをこの5人のなかでやり合ってると考えたら、めっちゃヒップホップっぽいことをやっているのかなと思いますけどね。

没:やっぱ拾ってきたものを使っているから、そこぐらい直接やらないとこの5人でやる意味あんまないかなって。

10,:ものができればいいというよりは、「何か作りたい」っていうのがあるから。同じ場で一緒に作るのが楽しくてやってる感じはあるかもしれないですね。

この記事の編集者
TUDA

5 Star Cowboy × 福尾匠 ──フィクションをかませたらリアルじゃなくなる、わけではない【In search of lost night】

5 Star Cowboy × 福尾匠 ──フィクションをかませたらリアルじゃなくなる、わけではない【In search of lost night】

5 Star Cowboy × 5つ星 デラックス対談──vs QN,福尾匠,Okadada,二木信,りら 【In search of lost night】

5 Star Cowboy × 5つ星 デラックス対談──vs QN,福尾匠,Okadada,二木信,りら 【In search of lost night】

5 Star Cowboy × QN ──テンパってるくらいが面白い【In search of lost night】

5 Star Cowboy × QN ──テンパってるくらいが面白い【In search of lost night】

ピュアな心で渋谷クアトロに挑戦する──瀬藤育【In search of lost night】

ピュアな心で渋谷クアトロに挑戦する──瀬藤育【In search of lost night】

〈QUATTRO Alternative〉日韓のオルタナティヴが開いた夜──ライブ・レポート&メール・インタビュー

〈QUATTRO Alternative〉日韓のオルタナティヴが開いた夜──ライブ・レポート&メール・インタビュー

喜怒哀楽のあわいを表現する──the hatchがみせた折衷と調和の現在地 【In search of lost night】

喜怒哀楽のあわいを表現する──the hatchがみせた折衷と調和の現在地 【In search of lost night】

OTOTOY編集部が見た!フジロック2025ベストアクトは?

OTOTOY編集部が見た!フジロック2025ベストアクトは?

野田愛実が「普通」のまま贈る言葉と歌について──音楽を通して寄り添える関係になれたら

野田愛実が「普通」のまま贈る言葉と歌について──音楽を通して寄り添える関係になれたら

重なりつつある、バンドの進化と時代の波─ニーハオ!!!!、メキシコ・ツアーを振り返る

重なりつつある、バンドの進化と時代の波─ニーハオ!!!!、メキシコ・ツアーを振り返る

ライヴが一番「生きている」と思える──T字路s、結成15年目のメジャー・デビューと変わらぬ信念を語る

ライヴが一番「生きている」と思える──T字路s、結成15年目のメジャー・デビューと変わらぬ信念を語る

オルタナティヴを標榜するのはもうやめた──NOT WONKにやどる普遍性と、ある実験について

オルタナティヴを標榜するのはもうやめた──NOT WONKにやどる普遍性と、ある実験について

“終わらないパーティーを続ける”即興集団・野流が流動する理由──【In search of lost night】

“終わらないパーティーを続ける”即興集団・野流が流動する理由──【In search of lost night】

レーベル〈造園計画〉が提示する、デジタルと身体の間にある音楽──【In search of lost night】

レーベル〈造園計画〉が提示する、デジタルと身体の間にある音楽──【In search of lost night】

NOT WONK加藤発案〈FAHDAY〉に寄せて──プレ・イベント〈FAH_ver.7〉レポート

NOT WONK加藤発案〈FAHDAY〉に寄せて──プレ・イベント〈FAH_ver.7〉レポート

米津玄師やMAPA、ANORAK!のニューAL、アイマスシリーズ新作など【8月第3週】

米津玄師やMAPA、ANORAK!のニューAL、アイマスシリーズ新作など【8月第3週】

僕らの闘いは街頭で起こっているわけじゃない──PICNIC YOU『友愛』を評論家・陣野俊史が聞く

僕らの闘いは街頭で起こっているわけじゃない──PICNIC YOU『友愛』を評論家・陣野俊史が聞く

米津玄師やMAPA、ANORAK!のニューAL、アイマスシリーズ新作など【8月第3週】

米津玄師やMAPA、ANORAK!のニューAL、アイマスシリーズ新作など【8月第3週】

andymori、アルバム5タイトルがハイレゾ配信開始

andymori、アルバム5タイトルがハイレゾ配信開始

坂本龍一のコンサート音源やNegicco6年ぶりのAL、結束バンドEPなど【8月第2週】

坂本龍一のコンサート音源やNegicco6年ぶりのAL、結束バンドEPなど【8月第2週】

『進撃の巨人』楽曲ベストやジャック・ホワイト、パ音のALなど注目の新譜を紹介【8月第1週】

『進撃の巨人』楽曲ベストやジャック・ホワイト、パ音のALなど注目の新譜を紹介【8月第1週】

気持ちよさを求めて──札幌の街を吸収するGlansの音遊びと探求心

気持ちよさを求めて──札幌の街を吸収するGlansの音遊びと探求心

アジカン、9mmの周年作や、6年ぶりのトリプルファイヤーなど注目の新譜を紹介【7月第5週】

アジカン、9mmの周年作や、6年ぶりのトリプルファイヤーなど注目の新譜を紹介【7月第5週】

OTOTOY Weekly【7月第4週】

OTOTOY Weekly【7月第4週】

時と場所を超えた、「逆襲」の指南書──野中モモインタヴュー:『女パンクの逆襲──フェミニスト音楽史』

時と場所を超えた、「逆襲」の指南書──野中モモインタヴュー:『女パンクの逆襲──フェミニスト音楽史』

新たな表現へと向かう、シキドロップ4枚目のミニ・アルバム『名付け合う旅路』

新たな表現へと向かう、シキドロップ4枚目のミニ・アルバム『名付け合う旅路』

安月名莉子&nonoc──TVアニメ『ハコヅメ』スペシャル対談

安月名莉子&nonoc──TVアニメ『ハコヅメ』スペシャル対談

CROWN POPが語る、2022年の抱負──新年一発目のニュー・シングル『OMD』

CROWN POPが語る、2022年の抱負──新年一発目のニュー・シングル『OMD』

一ノ瀬響とeufoniusのコラボレーション・アルバム『Sense of』

一ノ瀬響とeufoniusのコラボレーション・アルバム『Sense of』

なぜ、水曜日のカンパネラは第二章へ進む道を選んだのか!?──メンバーそれぞれが語る、これからの野望

なぜ、水曜日のカンパネラは第二章へ進む道を選んだのか!?──メンバーそれぞれが語る、これからの野望

日常のリアルを歌い上げるシンガーソングライター近石涼

日常のリアルを歌い上げるシンガーソングライター近石涼

パピプペポは難しいは、決して型にはめられない──ミニ・アルバム『もしも君がいない世界に生まれてたら』

パピプペポは難しいは、決して型にはめられない──ミニ・アルバム『もしも君がいない世界に生まれてたら』

生きる“尊厳”を奪われるな! 未来に向かって踊れ!──ソウル・フラワー・ユニオン、新作『ハビタブル・ゾーン』

生きる“尊厳”を奪われるな! 未来に向かって踊れ!──ソウル・フラワー・ユニオン、新作『ハビタブル・ゾーン』

B.O.L.T、ファースト・シングル「Don’t Blink」

B.O.L.T、ファースト・シングル「Don’t Blink」

「うた」に重ねた表現の祈り──ゆーきゃん『うたの死なない日』

「うた」に重ねた表現の祈り──ゆーきゃん『うたの死なない日』

「アメリカ音楽」に魅了され続けた“タンテ”が提示する新解釈

「アメリカ音楽」に魅了され続けた“タンテ”が提示する新解釈

東京の新たなシーンの胎動──WOOMANの自主レーベル・コンピが捉えるいまの空気を体感せよ

東京の新たなシーンの胎動──WOOMANの自主レーベル・コンピが捉えるいまの空気を体感せよ

アイドルぽくなくても、飾らない自分たちで挑む──かみやどのファースト・アルバム『HRGN』

アイドルぽくなくても、飾らない自分たちで挑む──かみやどのファースト・アルバム『HRGN』

REVIEWS : 006 国内インディペンデント・ミュージック(2020年7月)──松島広人(NordOst)

REVIEWS : 006 国内インディペンデント・ミュージック(2020年7月)──松島広人(NordOst)

幾度目かの変換期を迎えたNOT WONK、70人限定入場のワンマンをレポート

幾度目かの変換期を迎えたNOT WONK、70人限定入場のワンマンをレポート

MELiSSA、新メンバーが想う理想のグループへの序章

MELiSSA、新メンバーが想う理想のグループへの序章

MELiSSA、1st AL『GATHERWAY』──先輩メンバーが語るこれまでの軌跡

MELiSSA、1st AL『GATHERWAY』──先輩メンバーが語るこれまでの軌跡

仮想世界配信〈AVYSS GAZE〉が探る、ライヴ体験のネクストステージ

仮想世界配信〈AVYSS GAZE〉が探る、ライヴ体験のネクストステージ

H ZETTRIO、2020年も“炸裂”宣言!!──新アルバム『RE-SO-LA』リリース & 新たな連続配信開始

H ZETTRIO、2020年も“炸裂”宣言!!──新アルバム『RE-SO-LA』リリース & 新たな連続配信開始

[連載] the hatch

TOP