30代になって5人で集まってやれるんだ
福尾:でも、たまたま集まって、何か一緒にやろうよみたいな機運が生まれることは感覚として分かるんだけど、5人って多くない? っていう(笑)。飲み会とかで「なんか一緒にやろうよ」みたいになるのって、2、3人が上限じゃないのかな。 5人が同世代でそれぞれやってて、一致するって、めっちゃ稀有なケースなんじゃないかなと思うんだけど。しかも30歳くらいになって。
一同笑
田嶋:言われてみて思ったけど、仲間になるために、カウボーイというフィクションで包む必要があったのかも。もともと通じ合う部分はもちろんあると思うけどーーー。
没:なんかnulが言いたそうだよ(笑)。
nul:いや、そんなことはないよって思って(笑)。包まなくても仲良くなれたよ。
田嶋:良かった(笑)。
没:例えば、Wu-Tang Clanっていうヒップホップグループが俺はすごい好きなんですけど、あれは9人ぐらい。まあ9人って本当に稀有だと思うんだけど。 5人でさえ、いまの日本のシーンにいないなと思って。
10,:ポッセだと、5人は少ないぐらい。やりたかったことが、やっぱりちょっとわちゃわちゃ系ではあるので。
没:わちゃわちゃ系を表現できる最低限の人数かも。5は。
福尾:「大人になってから友達作るのは難しい」みたいな話はあるけど。30代になって、5人で集まってやれるんだって、単純にめっちゃ希望がある話だなって。
没:30代のアルバムとは思えないですもんね(笑)。現象としてウケるな。なんでなんだろう...まあ欲していたから...?
福尾:それはどういうものを欲してたんですか?
田嶋:没さん自身が、こういうもの聞きたいんだ、みたいなこと言ってましたよね?
没:言ってたと思う。「World Peace」で(福尾さんが)びっくりしちゃったみたいなものを、普通に聞きたいなという気持ちがあって。 でも、最初にやろうと思ったのは、2020年ぐらい。自分1人で住んでて、凝り固まっちゃったときに、そういうのを思いついてた気がしますね。
10,:30歳になって、寝るとき布団のなかで「あれやらなかったな、人生で」ってことを考えた時に、ポッセって結局やったことないなって。Powerっていう当時自分がやっていたクルーはあったけど。それをやらないと、悲しいなみたいな気持ちはずっとあったんで。間に合った。
福尾:でも、確かに、そこら辺がデッドラインって感じしますね。
10,:それを超えると企画になっちゃうっていうか。
没:ギリ間に合ったんだ(笑)。
福尾: いろんな私生活も含め、完全に落ち着いちゃう前のギリギリの何かって感じはありますよね。すごい羨ましい。僕らの業界だと、集まって何かやるってなっても雑誌作るの? とかそういう話になっちゃうから。
没:共著とかは?
福尾: 共著はやっぱむずいっすね。 一緒に1つの文章を書くってなると、なかなか...。
田嶋:編集者みたいな人が必要になっちゃいそうですね。雑誌なり共著なり、文章とかでそういうことをしようとすると。
福尾:そうなんですよね。
田嶋:プロデューサーとかがいないわけじゃないですか、我々は。セルフプロデュース的な。ってか、セルフプロデュースという意識もなく、ごちゃごちゃやっている感じなのかな。
没:そう。これって、誰かコントロールしてるのかな?
田嶋:いないよね、僕はそれが結構嬉しいんですけど。自然に何かができるみたいなことをしたことなかった。
福尾:うん、音楽はそこが一番羨ましい。集まってワチャワチャやってるうちに、なんか出来上がっていくみたいなものが。僕らは集まってもPodcastやる? みたいな、それぐらいしかないから。それはそれで楽しいし、やってるけど。
10,:ドゥルーズみたいになっちゃいますもんね。
福尾:ドゥルーズもね、ガタリっていう人と、2人で本作ったりしてるけど、あれも不思議な作り方で。ガタリが何でも思いついちゃう人なんだけど、まとまった文章とかは書けなくて。ガタリが思いついたことをドゥルーズに手紙で送りまくって、それをドゥルーズがなんかこう型にはめていくっていうか、システムとして成り立つようにしていって本にするみたいな。 だから、共著なんだけど、2人で話し合って作るっていうよりは、割と一方通行。
没:戻しとかないんですか? ドゥルーズがやったものに、ガタリが文句いったりしないのかな。
福尾:いや、多分あまりなかったと思う。
没:いつの人たちですか?
福尾:70−80年代。
没:そんな最近なんだ。物理的に戻せないとか、そういう話じゃないと。おもしれーな。俺らも、別に人がやったことにそんな文句言わないよね?
一同頷く。
没:まあ、エディターはいますけど、最終的にこの曲はこの人がやるっていう。
nul:エディターはいるけど、プロデューサーはいないかもしれない。
福尾:エディターとプロデューサーって、どういう役割の違いがあるの?
nul: プロデューサーがいたら、多分「ここはこうしたほうがいい」みたいなことを、ラッパーに言ったりすると思うんですけど。注文をつける人みたいな。 エディターは渡されたもので遊ぶみたいな感じで、多分みんなその気質が強いから、あんまそれぞれのラップにどうこう言わないし。
福尾:トラックを作った人が、基本的に最終的な形も作ってるって感じなんですか?
没:そうですね、例外があったりもするけど。
5 Star Cowboyって実は概念なんです
福尾:めっちゃ初歩的な質問になっちゃうんだけど。曲タイトルの横にフィーチャリング誰々っていうのがあるじゃん。僕、フィーチャリングってメンバー外の人が参加した時に入れるものだと思い込んでたから、フィーチャリング田嶋周造とか書いてあるのは、どういうことなんですかね?
没:システム的な理由は全然あるんですけど。 もともと、メインのアーティストの名前が、bringlife、PICNIC YOU、没 a.k.a NGSだけなんですよ。そうすると、この4人の名前はどこにも載らないことになっちゃう。でも、5人の曲っていう意識もすごくあるから、あそこにフィーチャリングの表記を入れてる。個人のページにも飛べるし。
10,10,10,:あれ心地いいよね。俺らの曖昧さをなんか結構表現しているという感じがする。
nul:僕らは5 Star Cowboyっていうアーティスト名ではないんですよね。
福尾:そうなのか!それめっちゃ面白いですね。
nul:アルバムは、普通に『5 Star Cowboy』って名前ですけど、俺らが5 Star Cowboyっていう名義でなんかを出したことはない。
没:ライブでオファーされて初めて、5 Star Cowboyになったんだよね。「5 Star Cowboy出演どうですか? 」って言われて、あ、俺ら5 Star Cowboyなんだみたいな(笑)。
福尾:5 Star Cowboyっていう、世界っていうかコンセプトっていうか…
没:まず、5人なのに複数形じゃないし。概念!5 Star Cowboyって概念なんですよ。
福尾:やっぱヒップホップ聴いてて、訳分かんなくなっちゃうところがそこで。どれが人の名前でグループの名前なのか…。外から見ると、なんか全部が暗号に見える。その感じが面白いですけどね。
没:俺はやってる側だけど、その感じも全然わかりますね。
田嶋:ジャケだけで覚える、曲だけで覚えてるみたいな状態に結局なるし。
10,:「何やってんの? この人」みたいな人が写真に写ってたりするもんね。サングラスとかみんなかけると、一気に誰が誰か分からなくなる。それは一番楽しい。
福尾:名前もね。全然人の名前に見えない名前の人が多いし。
没:10,10,10って笑
TUDA(編):福尾さんに聞いてみたいことがあって。この5人の作り方って、スタジオでトラック作ってリリックを載せあっていく、ある意味アナログなやり方で。閉鎖的じゃなく開いた状態でやり合っている、わざわざ被せるようですけど“置き配的”ではない手法だなと。
福尾:ヒップホップって、煎じ詰めれば「拾ってきたものに乗っかる」ということなんだと思うし、それはまさに“置き配的”なものからかけ離れたものだと思う。それをこの5人のなかでやり合ってると考えたら、めっちゃヒップホップっぽいことをやっているのかなと思いますけどね。
没:やっぱ拾ってきたものを使っているから、そこぐらい直接やらないとこの5人でやる意味あんまないかなって。
10,:ものができればいいというよりは、「何か作りたい」っていうのがあるから。同じ場で一緒に作るのが楽しくてやってる感じはあるかもしれないですね。



























































































