名前変えや
okadada: 年末に〈SPREAD〉でリリパやってたじゃないですか。行きたかったけど、出演で忙しくて行けなかった。ぜひ、また。この次は作ってるんですか?
没:作ってます。作ってるけど…。5 Star Cowboy というものが、ちょっと板についてきちゃったというか。
okadada:背負ってきてる?
没:そのよくなさあるじゃないですか?
okadada:あーよくないですね。もう名前変えや。
没:えーもう!?
nul:全然めちゃありだと思う。
没: okadadaさんはそういうのあったりします?
okadada:ない。僕は、チームアップしたことないから。マジでチーム無理なんで。
没:チームというか、“okadada”が板についてきて…みたいな。
okadada:いや、ない。告知とかで表記するときもカタカナでもローマ字でも大文字でも小文字でもそっちの好きなようにしてくれって言ってるから。別になんとも思ってない。
nul:okadadaってめっちゃいい名前ですよね。
okadada:ありがとうございます! 後悔したけどね。
没:えっそうなんですか?
okadada:適当につけすぎて。検索できたらいいやと思って、本名が岡田なんでそのままにしちゃった。恥ずかしいと思って。
没:ダダイズム的な意味あるんですか?
okadada:全くない(笑)。特にダダイズムに影響ないのにそれっぽく見られるのがいたたまれない部分もあるので、tumblrのタイトルとか「not dadaistic」っていうタイトルにしていて。…やっぱ名前背負っちゃいますか?
没:俺だけ?
10,10,10:没、背負っているよねだいぶ。
okadada:没君は社会にある程度あわせていくっていうか、セッションするタイプではあるからさ。
没:そうっすね〜。
okadada:こっち(bringlifeらを指して)が、全然しないタイプじゃないですか?
没:どうなん? しないのにしてるみたいな顔されるときある(笑)
10,10,10:本当ですよね。
没:でも、そういうふうに外から行ってもらえて嬉しいかも。正式に俺がそういうことをやるやつになるから。
okadada:両方必要っすよ。俺も社会にアピールできないタイプなので。俺は、tofubeatsとかトマドとか他にもまわりのいろんな人たちが勝手に俺をプレゼンしてくれたから、ここまで人に見られるようになってる。そうじゃなかったら、こんなことになってないと思う。感謝してます。
没:いいっすね。勝手に推したくなるみたいな。
okadada:そう言ってくれるの、ありがたいですよね。
没: 俺も、本当はそこまで気負いすぎたくないんですよね。ビートとかラップとか、「俺、5 Star Cowboyなんだ」みたいなラップになってきちゃって。だからそれをどう剥がしていくかみたいな。
10,10,10:ライブのときにみんな、「ファイブスター! 」みたいに言うけどさ、あれ、もうやめてもいい?
一同爆笑
okadada:厳しいグループやな(笑)。
10,10,10:もう知ってるよ! っていうか。
nul:全然知られてないでしょ(笑)。
okadada:bringlifeのライブのときはじゃあ「bringlife! 」って言わへんってこと?
没:めっちゃ言うよ!
10,10,10:bringlifeは「なんだよお前知らねーよ」って言うのがあるから。有名とか無名とかじゃなくて、そのイメージをめっちゃ背負いかねないから。変えたいじゃん、それは。
没:確かにね。違うこと言おうかな。
田嶋:何言えばいいんだ。
下田:でも、PICNIC YOUもbringlifeも、めっちゃショーみたいな感じではないじゃないですか。5人だから、ショーっぽいことができる面白さもあって。それで「ファイブスター!」って言っちゃう。
10,10,10:もう自分たちは場所があるから、切り口が他にもある気もする。いろんな姿になってみたい。
田嶋:『5 Star Cowboy、アメリカに行く』とか。
没:でも、映画とか撮りたいんですよ。『レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ』みたいな。
okadada:映画モチーフみたいなの多いですよね? bringlifeだってTHE MOVIEだし。
10,10,10:僕ら映画なんで。
没:それもフザけすぎでしょ。
okadada:(bringlifeは)vol.2のやつで、演技しながらクスクス笑ってるのが、子供みたいやなって(笑)。子供がラジオごっこしてるのを聞いてるような感じが。「すげーふざけて笑ってる」って思うと曲めっちゃdopeで。
没:5 Star Cowboyのスキットもそのエッセンスあるじゃん? 10,10,10が作ったんですけど。
nul:スキッターだから。
10,10,10:「スピ」ットより「スキ」ットしちゃってる。
nul:それが「好き」だから。
没:最近そういう楽しいのないなと思ってやっています。
まあ大丈夫やって、そんな。なくてもいいって、音楽
okadada:セラピー的な意識があるんですね、やっていることに。
nul:没さんはあるんじゃない?
没:俺が一番あるかもね。
okadada:俺が今日入ってきたときに最初に思ったのは、(席が)近いなって。普通対談とかってこれ机を挟んでやるけど…。
nul:カウンセリングやね。
okadada:そうそう、グループカウンセリングみたいになってるから。これが好きなんだなって思ったけど。
田嶋: 『ファイトクラブ』の冒頭みたいな。
okadada:ここ数年は“セラピー”みたいな感じで音楽やってるな人多いなって感じてましたけどね。B2Bやってる子とかも、すげえセラピーっぽいときある。僕はそういうのに入っていけないんで、好きな人が楽しんだらいいんじゃないかなって思って。僕がいきたい方向は阻害されている感じはする。別にいいんですけど。
没:okadadaさんでさえ感じるっすか?
okadada:感じる。 癒やし合ってるんだろうな、みたいな。あんまり傷ついた自分をここで労わるみたいなのを意識せずに来たから、他人事っていうか「大変そう」とか思って。
田嶋:自分たちに意識が向いてるみたいな。
okadada:そうですね。もしくはそのことに気づいてないかどっちかですよ。どっちかといえばそのことに気づいている方がいいかなと思う。
田嶋:5 Star Cowboyってセラピーなの? 僕、そんな意識なかった。
没:うーん…楽しくしたいって思ってる時点で、ちょっとそうなんじゃない?
okadada:もちろんあらゆる場所からそれを見いだすことはできるんで、大なり小なりどこでもあるんですが。大枠の傾向としてそういう雰囲気みたいなのはあるなと、僕は勝手に思ってる。いや、5 Star Cowboyはそのセラピー性みたいなのは無い方と思う。
田嶋:大人数でやったら必然的になってしまうってのはあるかも。
10,10,10:やっぱポッセをやりたかったし、場所とか欲しかったのは全然あるから。かといって内向きすぎると、見てる人は「何なんだろう」と思うだろうし、みんなを元気づけたいというのもあるし。でも、「みんなを連れていくぜ」とかいうのも、嘘っぽい…そういう約束はしたくなくて。迷ってますねその距離を。
没:そうね。常に迷ってる。
okadada:だから5 Star Cowboyを気負いすぎるとよくない、っていうのはそういうことでしょ? それはすごくわかりますよ。
没:うれしー…。外部からの意見を5人揃って聞くの初めてだから。俺、相当癒されてますね。
okadada:これ自体がセラピーになってしまう(笑)。いや、もちろんセラピー自体は悪いことじゃないんだけど。
没:全然いいっす。
okadada:内向き/外向きって簡単に言うけど、単純な「内向き」批判も違うと思うし。ある程度、音楽を作って聞かせあうっていう行為は絶対そうじゃないですか。bringlifeとPINIC YOUはコンビだけど、Dos Monosはトリオで、それもそれぞれ違うと思うから。やっぱコンビとかの方が、お互いがお互いを見てる感じはである。
没:3でもそうだと思います。
okadada: でも2(コンビ)の方が強いんじゃない? 我と汝みたいな、絶対他者みたいな感じになりがちやから。
没:3は逃げ場があるんで。
okadada: 3の方がまだ社会って感じがしますけどね。 5はちょうどいいんじゃないですか。
10,10,10:ひとりだけ休んだりできるから。
okadada: 3とかはギスギスしがちなイメージあるから。
没の思い詰めた表情に一同笑う。
nul:セラピーだ(笑)。
没:本当に今日、全部俺のセラピーかもしれない。福尾君のときもそういう話をしちゃった。黙ろうかな。
okadada:いや、いいんじゃない? セラピーだと思ってやるのは、俺は建設的だと思いますけどね。
田嶋:ああ〜そうなんだ…。
10,10,10:田嶋君はそういう意識はないんだ?
田嶋:僕は、セラピーみたいな音楽は唾棄するべきだと思ってる派なので。「ここだけで共有できる大切なものがあって、俺たちの価値はこれなんだ」っていうのは、癒やされるものがあるし、やってる意味もある。でも、そこから誰かに向かってものを言いたいと僕は思いがち。ヒップホップって、リリックとか、自己言及的になりやすいじゃないですか? 「俺はこうやってきた」「こういうストーリーが自分たちにあって」っていうのが、あんまり好きじゃなくて。大きく言えば自分語りみたいなものよりは、単純に思ったことや、人に言いたいことを言う、みたいな。 僕は「5 Star」って言葉を歌詞に使わないようにしてるし、自己言及的になるのを避けているところがあるかも。
没:俺も別にセラピーみたいな音楽を作ろうと思ってないよ。ここで音楽を作るって行為が、結果的にセラピーになるってだけで。
田嶋:たぶん発散してる感じな気がする。自分たちも作ってるなかで、何かを発散していて楽しくて、だから曲も何か「いい感じ」を発散してるんだろうな。
okadada:自分は過度にセラピーっぽい人を見ると、「重く捉えすぎんなよ」みたいな気持ちになってしまって。音楽を重く捉えすぎているというか。たとえば「自分が音楽に救われたから、音楽は必ず素晴らしいものだ」と思ってる、もっと言うと「素晴らしいものでなくては困る」という節がある人を見ると、悲しくなってくる。 「まあ大丈夫やって、そんな。なくてもいいって、音楽」みたいな。
没&田嶋&nul:めっちゃ分かる。
okadada:癒やされるのは、それ自体は別にいいと思っていて。でも、癒やされたものはその端から捨てていってもいいというか。例えば「癒し」は使用目的だから、使用した後に残ったものにも価値はあるっていう感じがあるね、音楽に関して。
没:それで言うと、5 Star Cowboyは多分大丈夫で。サンプルの使い方とかも、だから逆にいける、捨ててるみたいな(笑)。
okadada:いつなくなってもいい(笑)。
nul:しかも、完全にヒーリングミュージックを使ってる。
okadada:通るわけないやろと思って聴いてた。これは怒られるぞ〜と思って(笑)。
没:上で別のメロディ歌ってれば大丈夫だったすね。
okadada:配信以降の人は消されてもいいから、大ネタをサンプリングするみたいな人めっちゃ多いし、わかるけど。
没:捨ててる感じかもしれないですね。 というか、それはいいよね。
okadada:それがいいよね。捨てるっていうのは、別に大事にしてないわけではなくて。“泣ける音楽”みたいなものがあったときに、泣ける以外の別の価値をそこから見い出していく。泣ける映画の、泣けないところのこの撮影やばない? って言っていられるのがすごい嬉しいから。 5 Star Cowboyも、そういう感じがしますけどね。効用を広くとるというか、チームも個人個人も個体認識が最悪されなくてもいいと思ってる感じがいいなと。ラップにおいて「俺のストーリー」がもっと普遍化してほしい、みたいな。文系私大生っぽいていうか分かりやすいハードな人生とは別のヒップホップは結構そうなってくる…脚本を書くしかない/演じるしかない、というのはすごいあると思う。
自分たちのことをあぶれものだとは思いたくもない
没:誰かなんか5 Star Cowboyと近いものを感じる人います? ラップじゃなくても最悪いいんですけど。
okadada:超むずいな…。どのレベルまで抽象化していいかわかんないんですよね…。ムーブメント未満みたいな。例えば、数年前にFNMNLで書いたAltéっていう、ナイジェリアの新しい音楽みたいなことをやってる人らは、もう今は、完全に瓦解している。瓦解っていうかそもそもチームアップしてないから、なんとなく雰囲気があったみたいな。なんかそんな感じ。
没:無理やり集まったんですよね。本当は別にそれぞれでもやれているし、別に集まる必要なかったんだけど。
okadada:それがいいですよね。
没:表現として5人以上のラップとか好きだから。
okadada:憧れますよね、ポッセカット。DJはポッセブーム長く続いてて、これからも続くかなと思うんですけど、僕はあんま好きじゃなくて。DJなんてひとりでやった方が基本的にはいいに決まってるから。
一同爆笑
没:いい話だな。
okadada:個人でやるよりB2Bの方がいい場合は、事故が起きることにしか可能性がないと思う。よくないか、めっちゃいいか、どっちか。 不安だからチームでやってる人らって、お互いに好きなものをブースで確認しあって「これですよね? 」って言い合いがちっていうか。そんなことひとりで、というか、客/俺とやれって思う。
ラップグループとかも偶発的に結成されてる方が、いいと思ってて。「俺らってさ、この寂しい世界のなかで、この同じ音楽好きだよね」というのは、もちろんいいんですけど、僕は別に。まだ偶発的なグループの方が、好きがちというか。マルチネレコードとかが自分にとってよかったのは、チームですらないから。ハッシュタグで集められて、イベント一緒にやった友達みたいな感じだから。
田嶋:我々はいろんなところに馴染めなくて…っていうところは、半分正解じゃないですか。属するシーンがあまりないなっていう3組。でも、別に自分たちのことをあぶれものだとは思いたくもない、そんな自己規定は全くしたくないし、キモすぎるみたいな。
10,10,10:別に属せる気もするしね、そういう気持ちがあれば。
田嶋:俺は絶対無理です。
10,10,10:え、無理? すげー。
没:俺も属せる派かな。田嶋くんとは 歳の差あるからかもしれないけど。
田嶋:ああ、そういうこと? 年を取ったら俺も属せる?
10,10,10:年を取ってそんなこと言う人はいやだけどね(笑)。
okadada:音楽やってて1匹狼みたいなの、孤立とか本当はしてないやんって思ってまう。隣に友達いるのに嘘つくなよって。そもそも孤独とか孤立はそんなに悪いことじゃないという気が。自分の境遇を暗く演出して癒しにする人は多いけど。最近、〈Avyss Magazine〉に寄稿したんですけど、「Avyssはそういうムーブメントに反応して、いち早く紹介したけど俺はそういう感覚は合わない」って書きました。でも、そういう自らの孤独や辛さに過剰に意味を付与する人らを統合して場所を作ったのはめちゃくちゃ意義があることなんだ、と。ただ僕はそういう感じ好きじゃないです」って。
例えばわかりやすい天使と悪魔のモチーフとか、基本苦手なんですよ。善悪を二つにはっきり分ける事でその手前にある存在の根本的な不可解さを隠してるから。
10,10,10:「似てるグループある?」 って話のとき、全然自分たちを「ラップグループ」って言いたくないなって思って。自分は、“こういう感じです”って本当にしたくないんだな。5 Star Cowboyとか言ってるから、ギリなんか集まりっぽく見えるぐらいの感じっていうか。
没&下田:それでいいよね。
okadada:わかります。でも、やっぱりずっと規定しないっていうのは無理じゃないですか? だから名前変えた方がいい(笑)。
nul:毎回アルバム出すときに、名前が変わった方がいい。
okadada:売りにくい(笑)。
田嶋:それかっけー。
没:確かに変えなくてもいいかもね。
田嶋:いまの話を踏まえるとそう思う。
okadada:だってどう考えてもこの5人で「今後でっかくなって行こうよ」って感じしないじゃないですか?別に名前変えていいんじゃないの? 聴く人も増えると思うし。
10,10,10:変えなくてもいいですかね?
一同笑
okadada:もちろん変えなくてもいい(笑)。ただ名前を変えることすらも可能だというのが大事よね(笑)。
没:フジロックとかにも応募しちゃったんで。
okadada:ああ、いいじゃないですか。フジロックに出たとしても、何かが変わるわけじゃないでしょう。
没: 5 Star Cowboyって名前がもう1個流通するみたいな。
okadada:そういうの気にしないでしょ?
没:気にしないです! …いや、いま「気にしないでしょ? 」って言われたくて言ったかも。
okadada:没くんは気にしているよ。
一同笑
生来、そういう人だから。 こっち(bringlife、PICNIC YOUの4人)はなんかピンときてなさそう。俺がそうだったから。俺は出たけど「楽しかったな、雨降ってたのは嫌だったな」って記憶しかない。
nul:本当に外部への影響を気にして音楽やりたくない。そういう意識は、めっちゃある。
没:そうだよね。(okadadaさんと)年一回ぐらい話してもらってもいいですか?























































































