2023/12/21 19:00

ジャングルが根幹にありつつも常に更新していく

——そしてVOL.42から大出泰士さんがトラコネに加入します。どういった理由で加入したんでしょうか?

大出泰士 (Tribal Connection) / PHOTO:Shoutaro Matsumoto

DJ YAHMAN:理由どうこうよりかは、この人と一緒にDJをしたら楽しいだろうという直感が1番大きいですね。ジャングルをよく知っているけど、DJの中身はジャングルだけではないタイプを探していて、最初に大出泰士を見つけました。何回か共演して正式に誘いましたね。

——なるほど。さらにVOL.88からTenmusさん、VOL.90からHALUさんが加入しますが、2人が加入したのはどのような経緯でしょうか?

Tenmus (Tribal Connection) / PHOTO:Shoutaro Matsumoto

DJ YAHMAN:コロナ禍以降のことを考えたときに、パーティーとしての厚みをつけないとって感覚的に思ったんです。JUNGLE ROCKが、ジャマイカのベテラン・サウンドシステムは、新世代のイケてる人を仲間に入れて存続して、バトンをつないでいってるということを話してくれて。トラコネもそのような方式を取り入れようと話し合って、それぞれのスキルやカラーを持つ新たな2人に声をかけました。2人ともよくトラコネのパーティーに遊びに来てくれてましたし、一緒にDJしたら面白そうだなという気持ちがありつつですけどね。

——現在は5人体制のトラコネですが、かけたい曲が被ることはあるんでしょうか?

DJ YAHMAN:もちろんありますよ。5人いるのでそれぞれの趣味趣向を反映した個々のDJスタイルはありますが、タイミングが合致することはやっぱりありますね。もし被ったら、「じゃあ自分はこう面白くしてやろう」と思います。

——そうですよね、自分もクルーでDJをする機会があるので非常に気になりました。さて、かつてのトラコネパーティーの中には、「JUNGLE vs FUNKOT」(VOL.17)、「JUNGLE vs JUKE」(VOL.35)、「JUNGLE vs GQOM」(VOL.75)といったジャンル異種格闘技回があったそうで。サウンドクラッシュのようなパーティーだったんでしょうか?

Tribal Connection VOL.17

Tribal Connection VOL.35 (〈Tribal Connection〉Tumblrより)

Tribal Connection VOL.75 (〈Tribal Connection〉Tumblrより)

DJ YAHMAN:フライヤーの表記上、「vs」と書いてありますが、実際は「meets」の意味合いが強いです。「ジャングルと親和性があるとこちらが思う音楽をやっているパーティーを、トラコネのパーティーの中に呼ぶと、一体どうなるのか」という実験ですね。

——実際パーティーをしてみてどうでしたか?

DJ YAHMAN:面白かったです。普段自分たちのパーティーに来てくれないようなお客さんが来て、なかには初めてジャングルを体験する人もいたと思うんですよ。そうした光景を見たときに、ジャングルという音楽や、自分の立ち位置について考えさせられました。パーティーの構成として、プレイヤーが交互にDJするんですけど、そうすると「ジャングルのパーティーでかかるとこういう聞こえ方がするんだ」とか「ジャングルの要素がこっちにもこういう形で入っているんだ」と感覚的にわかるんですね。ただ一瞬音を聴くだけではなくて、交流するとわかることもありましたよ。

——なるほど。そして2023年11月11日に、記念すべき〈Tribal Connection VOL.100 -14th ANNIVERSARY-〉が開催されました。自分も現場で楽しみましたが、〈虎子食堂〉が人で溢れかえっていましたね。

Tribal Connection VOL.100

DJ YAHMAN:「人がたくさん来てくれたらいいよね」という話はしていたんですけど、オープンしてものの1時間くらいで100人超えでした。

——過去最高の入りでしたか?

DJ YAHMAN:新記録どころじゃないです。朝まで帰らない人も多かったですね。トラコネの力というより、ジャングルの力を感じました。

(PHOTO:BOTTOM SOUND SERVICE)

——100回目で特段変更した事項はありましたか?

DJ YAHMAN:DJブースを通常のバー側から入口側に設置して、お客さんがドバッときてもいいようにバー側を広げたんですが、広げたものの……という感じでした。

——お酒を買いに行くのにも一苦労でした(笑)。

DJ YAHMAN:そうですよね(笑)。あとは、eastaudio SOUNDSYSTEMに動いてもらったのと、ロゴを新調したくらいです。今回、あえてDJはクルー5人のみにしました。

——トラコネのロゴには、アイコニックな手のモチーフが描かれています。そして、そのライターを掲げている手がVOL.100から5つに増えていますよね。5つに増えたのには、どのような意味が込められているのでしょうか?

Tribal Connection 新ロゴ (PHOTO:Tribal Connection)

DJ YAHMAN:そもそも、あのロゴにはクルーとお客さんが同じ目線でライターを着火しているという意味が込められています。認知している人も多いロゴなので、あのロゴはすでに完全体なんですよ。でも100回記念で、ロゴを新調しようと決めて。メンバーが5人になったこともあり、デザイナーのREくんに、オリジナルを踏襲しつつ新しいものを作ってほしいとお願いしました。「ジャングルが根幹にありつつも常に更新していく」というトラコネの姿勢に見事に応えてくれましたね。

——100回のトラコネパーティーの中で、特に印象的な回はありますか?

DJ YAHMAN:2016年9月に開催したVOL.57 ですかね。家庭の事情で1年くらいDJを休んでいて、このときがDJ復帰のタイミングでのパーティーでした。自分が休んでいる間もJUNGLE ROCKと大出泰士の2人がずっとパーティーを続けてくれていたので感慨深かったです。

Tribal Connection VOL.57 (〈Tribal Connection〉Tumblrより)

この記事の筆者
Kusaka. Ryu

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