ニューロティカとの対バンは、やりたいようにやらせてもらいます!(小池)
――小池さんは作詞する時、例えば真っ白いノートを広げて、「う~ん」と悩んで作るタイプなのか? それとも普段からワードや発想を溜め込んでおいて、それをハメていくタイプなのか? 小池さんはどんな作詞スタイルなんですか?
小池:溜め込むことは多いんですけど、音楽を作るのがすごい好きで。メロディを作る時、日本語の正しい発音で歌えるようにというのは考えていたり。
――そこで温存していたワードがバチッとハマると、そこから発想が広がったりするんですね。あっちゃんはどんな作詞スタイルなんですか?
アツシ:俺はサビを考えてから、そこに付け足していく感じですね。タイトルはいつも最後なんだけど、前回の『ピエロイズム』ってアルバムは“猪木イズム”に対抗して付けたんだけど。タイトル先行だったのは初めてだったんじゃないかな? お客さんには悪いんだけど、タイトルはそんなにこだわってないというか。
小池:すごい分かります! 僕も一昨年、ミニ・アルバムを2枚出したんですけど。タイトルが『da』と『だ』。それはタイトルがどうでもいいかなと思っちゃった時期で、僕もお客さんに申し訳ないと思いつつ、なにか形容しなきゃいけないものって、そんな大したことじゃないなって考えがあって。だから、その気持ちは自分なりにすごい理解出来ます。
アツシ:タイトルが出来たら出来たで可愛いけど、あまりタイトルには固執してないな。あと僕は詞先で、ギターもなにも全く楽器が弾けないから。例えば、「猪木さんの歌」って猪木さんのことをガーッと書いて、まずカタル(ベース)に読んでもらって、それをなんとか曲にしてもらってて。詞先でも曲先でもなく、ネタ先って言ってるんです(笑)。
小池:僕も結構一緒で、サビからが多くて。サビだけ作っておけば、作りやすいパターンがあるので。あとはいかに音楽的に遊べるか?って感じで作ってます。
アツシ:でも、かなり練習しないとダメだよね? 「あ、こっち行っちゃうんだ」って、俺だったら覚えられないと思う(笑)。でも、あれが全部、体が動いて出来たら最高だろうね。
小池:そうですね。だから、歌を歌うというよりはスポーツをしてる感じにも近いですね。
アツシ:そこは同じだ、俺もスポーツ感覚なところがある。
――the dadadadysになって4年目ですが、現体制のメンバーや状態はいかがですか?
小池:もう十分すぎるほど魅力的な人が集まってくれてるので、甘えさせてもらおうかなっていう(笑)。僕はボーカルが引っ張るとか、バンドの顔っていう考えがいまは無いので、もっともっとみんなが主役になって欲しいと思ってます。
――魅力的なメンバーが揃ってるからというのもあると思うんですが、the dadadadysは様々な音楽をフラットに取り入れて、自分たちのモノにしてる感がありますよね。
小池:音楽に対しては偏見なくいろんな音楽を聴いた方が、引き出しも増えると思うし。例えば映画とかだったら、ジャンルで好きっていうのがあっても良いと思うんですが。自分がやってる音楽くらいは、幅広く色々な良さを理解していたいなと思ってて。
――あっちゃんの時代は、パンクならパンクみたいなジャンル分けも明確にあったと思いますが。いまの若いバンドマンはいろんな音楽に触れて育ってきてるし、様々なジャンルから自分の琴線に触れたものを吸収してっていうのが、当たり前に出来ちゃってますよね。
小池:そうですね。幅広く聴けちゃうっていうのも、目移りしちゃうしどうなんだろう?というのも思いながら、時代には抗えないというか。ヒップホップっぽいこともしちゃうのは、そういう環境で育っちゃったからというのはありますけど。やっぱり初志貫徹のパンクバンドとか、自分には一生持てないものに憧れる気持ちもありますね。
――貫き通すカッコ良さも理解した上で、自分の闘い方をするって感じですかね?
小池:言ったら、昔は不良が不良で生きてたと思うんですけど、自分は不良でもないし、優等生でもないところで育ってきて。生き切るカッコ良さってとことん不良になるか、とことん優等生になるかしかないのに、ずるずると半端なままやってきて、バンドなんかやっちゃったりして。一丁前にサングラスしたり、ネックレスしたりしてますけど、そういうことをやらないと自分が保てなくなっちゃうというのもあって。ニューロティカのライブ映像を高校生の時に見させてもらった時、ピエロのメイクをされてステージを走り回るアツシさんの姿を見て、「自分の中のロックってこういう感じなんだな」っていう気持ちが、その時からあったんです。
――自分たちのスタイルを貫いてる姿にロックを感じたと。あっちゃんも学生時代は不良でも優等生でもないタイプですよね?
アツシ:単なる相当な、バカです(笑)。地元の八王子ってのが良い街で、不良とも普通の人とも仲良くて。いわゆる番長がみんなを助けてくれるみたいな、古き良き時代だったんで。
――綺麗ごというと、そこでより自分の居心地の良い場所を見つけるって意味でも、バンドがあって、ライブハウスがあってって感じだったんですか?
アツシ:やっぱりそうですね。居心地が良いっていうよりは、学校の友達が知らないキラキラ光ってる場所、一番カッコいい場所を見つけたって感じで。テレビに出るとか、金持ちになるより、大人になってからも新宿ロフトでライブやって酒飲んで、みんなとワイワイやってるのが一番楽しかったし、それがカッコ良かったっていう。なにせ、戸籍真っ白の独身なんで、女も抱けるからね! ロックバンドを夢見てるモテない男の子達のためにも、これは言っておかないと(笑)。
――あはは。小池さんはバンドをやるにあたって、「モテたい」って気持ちはありました?
小池:モテたいって、これまでずっと言ってたんですけど、いま思うと照れ隠しで。モテたいって言った方が分かりやすいし、みんな口に出して言わないのもダサいなと思って、あえて言ってたんですけど。実はあんまり原動力では無かったかも知れないっていうのはありました。
――でもモテたいって、カッコ良くありたいとか、自分らしくありたいみたいなことでもありますよね?
小池:そういう意味では、“自分の好きな自分でいたい”っていうのはあるんですけど、それがモテるとは直結しなくて。モテてた時の自分を振り返ってみると、もっとヘンテコリンな時代だったりして(笑)。その頃の自分が好きかと思うとそうではないので、そこが直結するわけじゃないっていう結論にはたどり着きましたね。
――あっちゃんはずっとヘンテコリンだからモテるんですかね?(笑)
アツシ:ヘンテコリンなのはしょうがない、神様がやれっていうんだから(笑)。
――あはは。ちなみに自分の好きな自分というのは、どんな自分ですか?
小池:自分が納得出来る自分ですかね。でも自分のことを俯瞰で見てばっかりもつまんないので、自分のことさえ見えなくなるくらい最前線に飛び込んでいきたいなとは思うんですけど。僕はロックバンドのボーカルっていう自覚がいまだに無いし、あけすけな言い方をするとステージに立ってる意味がいまだに分かってないというか……。「そんなことより、お前ごときはお国のために働けよ!」って言う自分もいるんですけど。
アツシ:あ~、そういう言葉はウチのファンが胸キュンしちゃうよ(笑)。
――あっちゃんは自分がステージに立つ意味みたいなことで悩んだことってあります?
アツシ:悩んだことは無いんじゃない? 悩んだことはないけど、俺より先に死んじゃったヤツのことを考えて、「あいつが死んじゃったのに、俺みたいなダメな男が生きてていいのか?」ってことは思う時あるかな。
小池:あ~、それは僕もよく思います。
アツシ:「あいつはあんなに若くして死んじゃったのに、俺をこんなに長く生きさせて」って。「だったら、俺を先に殺してくれよ」って気持ちはある。そんなこと、別に人に言う話じゃないし、あんまり人に言ったことないけど。
小池:僕も初めていうんですけど、時々そういうことを言いたくなる心の弱さは僕もあります。マンガが好きなので鳥山明先生が亡くなった時、「あんなに世界に影響を与えた人が亡くなったのに、自分ごときが生きていて」って思いましたね。身内でもなんでもないから、そこまで死を悼んでよい存在ではないんですけど。
――うん、なんだか深いところで分かり合えた感がありますね。そして、16日に控えた対バンについて。これだけアルバムもしっかり聴き込んでるから、あっちゃんから聴きたい曲のリクエストをしておいた方がいいんじゃないですか?
アツシ:俺はやっぱり、あれだけ話したから、<白い歯の隙間にひじき詰める>の「モォニンググロォリィ」かな?
小池:分かりました、ライブでは毎回やってるんで。
――the dadadadysはニューロティカとの対バンに、なにか秘策はありますか?
小池:そうですね、やりたいことをやらなきゃ嘘になってしまうので。
アツシ:お、どっかで聞いたことある!(笑)
小池:あはは。なので、やりたいようにやらせてもらいます!
――ニューロティカはなにか秘策ありますか?
アツシ:まず、ウチのお客さんにもthe dadadadysのアルバムを聴いてもらって。歌詞もしっかり読んだ上で、ライブで楽しんでもらいたいですね。小池くんの歌詞は清楚さもあるし、色気もあるし、狂気もあるし。俺のツボに入るキュートさもあるし。俺、次のアルバムで絶対、オマージュしちゃうと思う。<ギリギリ・キリギリス>とか使いたいもん。<白い歯の隙間にシャケの骨が挟まって、なしゃけない>とかいいんじゃない?(笑)
――あはは。the dadadadysのお客さんにはどんなライブを見せましょうか?
アツシ:ここはゴールデンカードで、初めて観る人にも分かりやすいニューロティカで行くんじゃないか?と思いきや……いや、ごめんなさい。まだ全然決めてないです(笑)。「飛べ!コージ!!」はやろうかな。高橋浩司が初めてステージダイブをしたのが、ウチのライブだったらしくて出来た曲なんで。「飛べ!コージ!!」はやりましょう! 推しとして、the dadadadysのライブも楽しみにしてます。
小池:はい、僕らもご一緒出来るのを楽しみにしています。
アツシ:the dadadadysのお客さんにもニューロティカのライブも是非見て欲しいので、皆さんのご来店お待ちしてます。
Text:フジジュン
2025年10月30日下北沢都夏にて
ライブ情報
チョイスでdadada~ニューロティカ vs the dadadadys
【日程】
2025年11月16日(日)
【会場】
下北沢 CLUB Que
【時間】
Open 17:30 / Start 18:00
【料金】
前売4000/当日4500 [共に+1D]
【チケット】
イープラス:https://eplus.jp/sf/detail/4399900001-P0030001
PROFILE : ニューロティカ
1984年ATSUSHI(Vo)と修豚(Gt)の二人を中心に八王子で結成。
1985年、元ザ・スターリンのタムのプロデュースでソノシートを自主制作。
1988年キャプテン・レコードより『DRINKIN' BOYS』をリリース。
1990年メジャーデビュー。
その後、バンド・ブームの収束と共に、だんだんとメンバーが脱退。
1996年KATARU(Ba)、NABO(Dr)が加入。2020年RYO(Gt)が再加入。
2022年コロナ禍の中、日本武道館公演を決行。
2024年ATSUSHIの還暦を祝い、J:COMホール八王子でライブを行うなど、今日も元気に活動中。
■Official Site : https://newroteka.com/
■X : @NEW_ROTEKA
■Instagram : @photoroteka
■YouTube : @NEW_ROTEKA
ニューロティカ の作品はこちらから
PROFILE : the dadadadys
小池貞利(Vo / Gt), 儀間陽柄(Gt), 山岡錬(Gt), 佐藤健一郎(Ba), yucco(Dr)
2022年1月、tetoとして6年間の活動をしていたボーカル / ギターの小池貞利、ベースの佐藤健一郎に加え、あらたに元2のドラマー、yuccoが正式加入し、この3人でthe dadadadysを結成。同年4月、サポートギターとして参加していた山岡錬が正式メンバーとしてバンドに加入し、4人編成となる。2023年1月、儀間陽柄(ex.ヤングオオハラ)がバンドに加入し、現在5人編成で活動中。
■Official Site : https://dadadadys.com/
■X : @dadadadys_info
■Instagram : @dadadadys_info
■YouTube : @thedadadadys
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