2021/04/28 18:00

the McFaddinの音楽をもっと大きいカルチャーにしたい

最近のthe McFaddinを植野さんはいちばんみてきていると思うんですけど、そんな植野さんからみて彼らの変化はどんなところにあると思いますか?

植野:今回の4曲をリリースする前に出したアルバム『Rosy』から変わったなって思っていて。トラックメイカーが作る音楽とロック・バンドが作る音楽の境界線が曖昧というか、聴く方もジャンルを意識して聴かないようになってきているなと思うんですよね。the McFaddinもロックバンドとかR&Bとかジャンルを意識せず聴くバンドになったと思います。

ータイラさんは4曲を聴いてみていかがでしょうか。

タイラ:僕は植野さんほど昔からthe McFaddinを知っているわけではないですけど、明らかにモードが変わった4曲ですよね。全部いいなと思っていたんですけど、中でも「SHIVER」が特に好きです。最後に生声になってすごいいいメロディーを歌うところとかもうOASISじゃねえかみたいな(笑)。しかもその部分をちょっとしか聴かせないっていうその塩梅にもセンスを感じます。植野さんが言っていた通り、バンドであることってすごく曖昧なところだと思うんですけど、the McFaddinは方法論じゃなくて在り方がバンドだなってすごい思います。

ーthe McFaddinがバンドでいることに対するこだわりを教えてください。

Ryosei:そもそも僕はあまりひとりで音楽やりたいと思わないんですよね。寂しいし、ライヴにひとりで行くの嫌やし(笑)。でも裏返したら、メンバーや友達さえいてくれたらめちゃくちゃ楽しいって意味でもあって。めっちゃかっこいいソロのラッパーがひとりで出てきても、僕ら6人がおったら勝てる気がするというか、頼もしいというのがありますね。メンバーの得意なポイントがそれぞれあるから、ひとつの作品を完成させる上で全員が必要。ひとりではできないと思いますね。

Photo by replaica

ー植野さんとタイラさんは彼らに今後どうなってほしいですか?

タイラ:聴いた音楽をそのままやるっていうよりかは独特のバランスでアウト・プットできるバンドだと思うんですけど、それって当たり前のようで、難しいことじゃないですか。このバランス感覚って超スペシャルだと思うんで、ここをサウンド的にもっと突き詰めていってほしいなっていう気持ちがすごくあります。あと、the McFaddinのいちばんいいところってステージ上でかっこいいところだと思う。the McFaddinみたらバンドかっこいいって思う人がいっぱいいると思うし、誰かにもっと夢を見せるようなバンドになっていってほしい。the McFaddinは若い子にバンド・ドリームを抱かせられるバンドじゃないかなと思います。

植野:タイラさんいいこと言うなぁ(笑)。俺も今日話を聞いていて、ステージでギター弾いているバンドがいちばんかっこいいって言ってくれたのがめっちゃ嬉しかったし、なるほどって思った。 Mura Masaの「No Hope Generationthe」ってめちゃくちゃかっこいいじゃないですか?あれ聞いて「ロック、カッケー! 」ってなったので、the McFaddinにも今の時代のロックカッケー! をやってほしいです。

ーthe McFaddinは自分たちでどんな風になっていこうと思っているんでしょうか?

Ryosei:受け入れられたいと思うようにはなってきたよね。面白いよって人に伝えないとわからないような時代だっていうのも、なんとなくわかってきたので、人に面白いって伝えられるようになりたいですね。

Keisho:今も変わり続けているけど、でもまだ変わっている途中だと思うんですよ。ライヴの形態が変わってきてたりもしますし。例えば僕はもともとギターとシンセの割合の変化が面白いなって。まだまだどっちに転ぶのかわからない、けどどっちにいっても戦えるようにはなってきているので、変化を楽しみたいです。

Ryoma:ミッキーマウスってシルエットだけでわかるじゃないですか。そういうシルエット感みたいなのを目指したいです。音がいいだけではなくて、ステージに立っているだけで、かっこいいっていう、そのポテンシャルをもっとみんなに伝えたいですね。

Ando:Ryoseiがよく「オルタナティヴ・ポップをやりたい」と言ってるんですけど、僕も本当の意味でのポップなバンドになりたいっていうのを目標にしています。

Taito:最終目標的には、the McFaddinの音楽をもっと大きいカルチャーにしたい。常に面白いものを僕らは探してきているので、その感覚をみんなに共有できるバンドになりたいです。音楽を聴きに行く、踊りに行くっていうカルチャーが京都はまだまだ薄いので、それを広げたい。東京に負けじと京都を上げていきたいですね。

Photo by Pay a.k.a Wildpit¢h

この記事の筆者
梶野 有希

1998年生まれ。誕生日は徳川家康と一緒です。カルチャーメディア『DIGLE MAGAZINE』でライター・編集を担当し、2021年1月よりOTOTOYに入社しました。インディーからメジャーまで邦ロックばかり聴いています。

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.269 昨夏、あの場所で

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.269 昨夏、あの場所で

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.261 長ければ長いほどいいですからね

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.261 長ければ長いほどいいですからね

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.254 三が日はサッカーボールとともに

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.254 三が日はサッカーボールとともに

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.247 小説を読む、音楽を知る

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.247 小説を読む、音楽を知る

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.239 料理をするようになったのは

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.239 料理をするようになったのは

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.227 地上で唯一出会える神様

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.227 地上で唯一出会える神様

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.220 コレクターって最高にかっこいい

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.220 コレクターって最高にかっこいい

視覚と聴覚を往来する、ヨルシカの音楽画集『幻燈』レビュー──2名の評者が魅せられた世界観とは

視覚と聴覚を往来する、ヨルシカの音楽画集『幻燈』レビュー──2名の評者が魅せられた世界観とは

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.212 仕事の境界線を超えて

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.212 仕事の境界線を超えて

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.205 映像作品を縁取る音

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.205 映像作品を縁取る音

いい曲を作ることがいいライヴへ繋がる──神はサイコロを振らないがパフォーマンスへかける想い

いい曲を作ることがいいライヴへ繋がる──神はサイコロを振らないがパフォーマンスへかける想い

TWEEDEES『World Record』を2名の評者が徹底レビュー!──メッセージ性や音質の違いに迫る

TWEEDEES『World Record』を2名の評者が徹底レビュー!──メッセージ性や音質の違いに迫る

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.197 2022年のベストライヴ10

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.197 2022年のベストライヴ10

Half time Oldが綴る世の中へのアイロニーと希望──「成長」をテーマに制作した、フル・アルバム

Half time Oldが綴る世の中へのアイロニーと希望──「成長」をテーマに制作した、フル・アルバム

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.190 男女 “ふたり” のデュエット曲

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.190 男女 “ふたり” のデュエット曲

結成10周年を迎えた、とけた電球──待望の初フル・アルバムに込めた温もりと軌跡

結成10周年を迎えた、とけた電球──待望の初フル・アルバムに込めた温もりと軌跡

TikTokで話題のドラマー、葵がアーティスト・デビュー! "青い"プロジェクトで魅せる、本当の自分

TikTokで話題のドラマー、葵がアーティスト・デビュー! "青い"プロジェクトで魅せる、本当の自分

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.184 愛犬といつか音楽を

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.184 愛犬といつか音楽を

大幅なアップデートを遂げた、神はサイコロを振らない ── 最新シングルとライヴを通じて、その理由を探

大幅なアップデートを遂げた、神はサイコロを振らない ── 最新シングルとライヴを通じて、その理由を探

願うは、愛と平和。──希望を届ける、神はサイコロを振らない〈Live Tour 2022「事象の地平線」〉ファイナル公演

願うは、愛と平和。──希望を届ける、神はサイコロを振らない〈Live Tour 2022「事象の地平線」〉ファイナル公演

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.173 2022年前半の音楽メモリー

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.173 2022年前半の音楽メモリー

新東京──ギターレスで魅せる、バンドサウンドの新たな可能性

新東京──ギターレスで魅せる、バンドサウンドの新たな可能性

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.167 音楽からあのキャラクターを

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.167 音楽からあのキャラクターを

厄介な心との向き合い方──3人の評者が秋山黄色のサード・アルバム『ONE MORE SHABON』を徹底レビュー!

厄介な心との向き合い方──3人の評者が秋山黄色のサード・アルバム『ONE MORE SHABON』を徹底レビュー!

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.159 家族の時間

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.159 家族の時間

はじまりは劣等感の肯定から──神はサイコロを振らない、未知なる日常を彩る初のフル・アルバムをリリース

はじまりは劣等感の肯定から──神はサイコロを振らない、未知なる日常を彩る初のフル・アルバムをリリース

10年間の想いを込めた初の武道館公演──“チームSHE'S”で作りあげた〈SHE’S in BUDOKAN〉ライヴレポート

10年間の想いを込めた初の武道館公演──“チームSHE'S”で作りあげた〈SHE’S in BUDOKAN〉ライヴレポート

ひとりひとりが“need you”!──緑黄色社会が受け止めるそれぞれの多面性

ひとりひとりが“need you”!──緑黄色社会が受け止めるそれぞれの多面性

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.148 読んでほしい! 2021年のオススメ記事

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.148 読んでほしい! 2021年のオススメ記事

Sean Oshima──ノンフィクションな表現を貫くソロ・シンガー

Sean Oshima──ノンフィクションな表現を貫くソロ・シンガー

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.142 音と色が繋がるとき

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.142 音と色が繋がるとき

灰色ロジックが辿り着いたストレートな表現─CD限定の初アルバムをリリース

灰色ロジックが辿り着いたストレートな表現─CD限定の初アルバムをリリース

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.136 バンドとライヴハウス

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.136 バンドとライヴハウス

【ライヴレポート】3組が表現したそれぞれのポップ──peanut buttersレコ発ライヴ〈Peanut Night〉

【ライヴレポート】3組が表現したそれぞれのポップ──peanut buttersレコ発ライヴ〈Peanut Night〉

文藝天国──聴覚と視覚で感じる淡い共鳴

文藝天国──聴覚と視覚で感じる淡い共鳴

大切なことはフィーリング! ───“これまで”を収録したpeanut buttersの初アルバム

大切なことはフィーリング! ───“これまで”を収録したpeanut buttersの初アルバム

chilldspotは10代をどう過ごしたのか?──これまでの歩みを映した初アルバム『ingredients』

chilldspotは10代をどう過ごしたのか?──これまでの歩みを映した初アルバム『ingredients』

オンライン・ライヴ・シリーズ『The LIVE-HOUSE』独占インタヴュー──第5弾出演アーティスト・lucky Kilimanjaroのときめきの正体とは?

オンライン・ライヴ・シリーズ『The LIVE-HOUSE』独占インタヴュー──第5弾出演アーティスト・lucky Kilimanjaroのときめきの正体とは?

小玉ひかり×Tani Yuuki スペシャル対談──コラボ楽曲“more”で共鳴するふたりの想い

小玉ひかり×Tani Yuuki スペシャル対談──コラボ楽曲“more”で共鳴するふたりの想い

初作にして傑作か?──5年のキャリアの集大成、ファースト・アルバムをリリースしたNewdums

初作にして傑作か?──5年のキャリアの集大成、ファースト・アルバムをリリースしたNewdums

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.121 週末、空いていますか?

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.121 週末、空いていますか?

ネクライトーキーが向かう新たな表現とは? ───ロック・サウンドを追求した意欲作『FREAK』

ネクライトーキーが向かう新たな表現とは? ───ロック・サウンドを追求した意欲作『FREAK』

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.114 〈JAPAN JAM〉予想セット・リスト

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.114 〈JAPAN JAM〉予想セット・リスト

the McFaddin×HOLIDAY! RECORDSs×FRIENDSHIP.の座談インタヴュー──関係者が語るバンドのエモーショナルな魅力と4曲の新作について

the McFaddin×HOLIDAY! RECORDSs×FRIENDSHIP.の座談インタヴュー──関係者が語るバンドのエモーショナルな魅力と4曲の新作について

比喩根(chilldspot)──信念を歌声に乗せて。世の中へ疑問を投げかける若きシンガー

比喩根(chilldspot)──信念を歌声に乗せて。世の中へ疑問を投げかける若きシンガー

今週のFRIENDSHIP.(2021年3月17日).

今週のFRIENDSHIP.(2021年3月17日).

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.106 “さくら”ソングと一緒に!

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.106 “さくら”ソングと一緒に!

ナリタジュンヤ──Miyamotoをプロデューサーに招いた新作「Regret」。共作の魅力やふたりの音楽性に迫る

ナリタジュンヤ──Miyamotoをプロデューサーに招いた新作「Regret」。共作の魅力やふたりの音楽性に迫る

Helsinki Lambda Clubは、これからも少年と大人の間を行き来する──〈"MIND THE GAP!!"〉ファイナル公演 ライヴレポート

Helsinki Lambda Clubは、これからも少年と大人の間を行き来する──〈"MIND THE GAP!!"〉ファイナル公演 ライヴレポート

先週のオトトイ(2021年2月1日)

先週のオトトイ(2021年2月1日)

REVIEWS : 012 国内インディ・ロック(2021年1月)──梶野有希

REVIEWS : 012 国内インディ・ロック(2021年1月)──梶野有希

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.100 2018年のインディーロックを振り返る

OTOTOY EDITOR'S CHOICE Vol.100 2018年のインディーロックを振り返る

[インタヴュー] the McFaddin

TOP