
台湾版ナンバーガール!? 台湾の音楽シーンでひときわ異彩を放つ4ピース・オルタナティヴ・ロック・バンド、その名も透明雑誌が、アルバム『僕たちのソウルミュージック』を引っ提げ堂々の日本デビュー! アドレナリンが爆発するギター、ストレートなベース・ライン、軽快に跳ねるドラムス、そしてヴォーカルの洪申豪が紡ぐ歌詞の、10代的怒り、感傷、詞的なトーンで綴られる性的衝動。アジア・オルタナティヴ・シーンに彗星のごとく現れた期待のニュー・バンド!!!!
パンク・ロックの息吹、ヒップ・ホップへのオマージュ、様々な音楽要素が全て詰まった快作!
透明雑誌 / 僕たちのソウルミュージック
【TRACK LIST】
01. DE FITTED BEAT / 02. ANORAK / 03. 時速160kmのギター、ベースとドラム
04. 性的地獄 / 05. SOUL BLAST / 06. 九月教室 / 07. 夜明け晩餐
08. 師大公園裏司令 / 09. 時にお前の顔に一発殴りたい / 10. ILLMAGA
11. 少女 / 12. 僕たちのソウルミュージック / 13. YOUNG HEART GUITAR
14. 世界はやはり滅びたらいい / 15. 夜明け晩餐(EP version)
16. 君は僕が見た自殺回数最も多い女の子 / 17. DICTATOR GIRL
18. YOUNG HEART GUITAR(EP version)
影響源だけでは説明がつかない「ヘンな感じ」
台湾のナンバーガール。そんなキャッチコピーとともに透明雑誌の名前を初めて見たのはTwitterのタイムライン上でだった。そのときは存在が気になりつつも、「ふーん」とバンド名を頭の片隅に記憶した程度。2回目は確か、それこそナンバーガールを発掘した加茂啓太郎氏のツイートだったと思う。「ナンバーガールのファンはチェックの価値ありです」とあって、そこまで言うのならと実際に聴いてみることにした。トクマルシューゴが以前話していたのだけれど、あるアーティストの情報を雑誌やwebなどで目にしても最初のタイミングではスルーする。その後、何かのきっかけで再び出くわしたときに初めてYouTubeやMyspaceで音源をチェックするのだそうだ。透明雑誌との出会いはまさにそんな感じだった。
透明雑誌は2006年に台湾で結成された4人組ロック・バンドであり、その存在はいよいよ日本のリスナーにも浸透してきている。実際、都内の大型CDショップで彼らの輸入盤CDが平台展開されていたのを何度か見かけたものだ。2011年8月には待望の来日ツアーが決定したわけだが、ツアー1ヵ月前の絶好のタイミングに彼らはアルバム『僕たちのソウルミュージック』で日本デビューを果たす。邦題も素敵な本作は2010年のデビュー・アルバムに2007年リリースの完全自主制作EPをセットした日本限定エディションで、これまでの公式音源がライヴさながらの騒やかな演奏で収められている。

冒頭のように言われるだけあって、サウンド的にはナンバーガールの面影が強く、中にはもろにその色が出ている曲も少なくない。さらに自分たちのプロフィールにあるとおり、他にもPixies、Weezer、Sonic Youth、Superchunk、Cap'n Jazzなどからの影響も彼らは公言している。しかしながら、そうした主にいわゆる洋楽のオルタナが根っこにあるのにもかかわらず、どうしてもどこか異質で変わったサウンドに聞こえるのはなぜだろうか。そして、それは奇しくもナンバーガールを初めて聴いたときの感覚に近い。おそらく、その「ヘンな感じ」は単純に影響源だけでは説明できない「何か」なのだろう。かのバンドが博多で純粋培養された「何か」を持ち合わせていたとするならば、透明雑誌にもまた台湾ならではの強い「ソウル」が間違いなくある。歌い回し、語感、メロディ、コード進行といったすべてが実は独特なのだ。
たとえば、リード曲の「性的地獄」を聴いてほしい。ナンバーガールの「DESTRUCTION BABY」のようなコード感がベースにありながら、中盤ではTelevisionの「Marquee Moon」のギター・リフが雪崩れ込んできて、Rage Against The Machineの「Know Your Enemy」みたいな歌い回しまで登場する。だが、その無邪気な混成感が嫌味に思えるだろうか。いや、思えない。それどころかむしろ新鮮ですらあり、彼らのセンスが窺えるのはまさにそこだ。また、このように影響源を惜しげもなく晒した上で自身のサウンドに昇華させることこそ、真にオマージュと呼ぶべき表現なのではないかとも思う。

きっかけはナンバーガールで大いに結構。しかし、透明雑誌を彼らとの類似性だけで済ませてしまうのはやはり違うと思うし、このバンドはこれから独自の成長を遂げていくことだろう。だいたい、ナンバーガールが解散したのはもう10年も昔の話なのだから。それにサウンド面でもう少し付け加えれば、このアルバムにはHi-STANDARDっぽい爆走パンク・チューンやヒップホップ要素のある曲だって収録されている。そういった振れ幅を考えても、ここからどう転がっていくのかが非常に楽しみなバンドなのだ。そして、透明雑誌を聴いて台湾の音楽シーン、アジアのオルタナティヴ事情がもっと知りたくなった。そのためにも、まずは真夏の来日公演を目撃したい。 (text by 田山雄士)
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2007年、夏の熱狂のほとぼりが冷め切らないボーカル波多野と、ギター松本を中心に結成。その後何回かのメンバー・チェンジを経て、2008年6月ドラム小野寺が加入。同年秋、Less Than TV谷口順と出会い活動が加速。2009年9月ベースがーすーが加入し、現在のラインナップとなる。同年10月、台湾ツアーを敢行。友達に会いにいくために、バンドをやるというスタンスで活動を続けるV/ACTIONのファースト・アルバム!
70、80 年代の韓国ロック/フォークのエッセンスを受け継ぎつつ新たに発展させたユニークな音楽性、日常の出来事と心象風景の間を往き来しながら独自の言語感覚で綴られる歌詞、さらには視覚的なインパクトも強いライヴ・パフォーマンスが爆発的な人気を呼び、近年の韓国インディーズでは異例の大ヒットを記録したチャン・ギハと顔たちによるデビュー・アルバム(2009 年発表)が遂に国内盤リリース!
マッカーサーアコンチ待望の1stフル・アルバムは、ライヴで人気の楽曲をまとめた、まさにベスト・オブ・マッカーサーアコンチ的内容。プロデュースは8otto、モーモールルギャバンや海外アーティストを多く手がけるヨシオカトシカズ。
透明雑誌 来日公演決定!
2011年8月23日(火) @地下一階 <大阪>
2011年8月24日(水) @今池 HUCKFINN <名古屋>
2011年8月25日(木) @タワーレコード新宿 <東京>
2011年8月26日(金) @2.5 D <東京>
2011年8月27日(土) @WOMB shibuya <東京>
2011年8月28日(日) @早稲田 ZONE-B <東京>
透明雑誌 PROFILE
台湾で 2006年に結成された、洪申豪 (Gt./Vo.) 、唐世杰 (Dr.) 、張盛文 (Gt.) 、薛名宏 (Ba.)による4ピース・オルタナティブ・ロック・バンド、透明雑誌。Pixies、Weezer、Sonic Youth、Superchunk、Cap’n Jazz、日本では NUMBER GIRL等 からの影響を公言している。
2011年7月13日、ファースト・アルバム『僕たちのソウルミュージック(原題:我們的靈魂樂)』が、2007年に完全自主制作で販売されていたデビューE.P 4曲を追加した日本限定仕様盤としてリリースされ、 オルタナティブロックシーンからの注目をさらに集めている。
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