ハウス、テクノ、ロック、レゲエ、サーフ・ミュージック等々、あらゆるシーンに音楽で彩りを加えるレーベルGrand Galleryより、豪華カヴァー・アルバムが到着! なんと、荒井由実をはじめとするアルファ・レコードの初期作品・70〜80年代の良質なボップスを、七尾旅人、曽我部恵一、Chocolat & Akito、bird、Wyolicaら13組のミュージシャンがカヴァー。様々な解釈で魅力に迫ります。
V.A. / VELVET SONGS
Label : Grand Gallery Japan
販売形式 : mp3 / wav
価格 : 共に1500円
1. ベルベット・イースター (七尾旅人)
2. 個人的メッセージ (曽我部恵一)
3. 学生街の喫茶店 (Chocolat&Akito)
4. ほうろう (HICKSVILLE)
5. ひこうき雲 (中塚武)
6. ベルベット・イースター (中島ノブユキ)
7. 雨のステイション (bird)
8. 卒業写真 (Wyolica)
9. 星降る真夜中 (Cubismo Grafico feat. 櫛引彩香)
10. 恋は流星 Part˘ (流線形)
11. ルージュの伝言 (奇妙礼太郎トラベルスイング楽団)
12. 美しすぎて (島崎ひとみ with NANASE feat. 金原千恵子)
13. ベルベット・イースター (TICA)
新たに紡がれる名曲
不朽の名曲とは時代を問わない。たとえ今が2000何年だろうが関係なく、半永久的に輝き続ける。しかし、それも聴き手がいなければ意味がない。だから、名曲は誰かの手によって語り継がれていく必要がある。名曲を橋渡しする方法のひとつとしてカヴァーは非常に有効だ。なのに、ここ2〜3年くらいのメジャーの音楽シーンには何かと辟易させられる単調なカヴァー集が蔓延。カヴァー本来の魅力は薄れ、もはやバッタものの叩き売りのようになってしまっている。
そんな中、ひさびさに素晴らしいカヴァー・アルバムと出会えた。80年代以降の日本の音楽シーンに深く携わってきた井出靖のレーベル、Grand Galleryが放つこの『VELVET SONGS』は、名曲を今に伝えるという良心的な気概が感じられ、昨今の悪習を打破するという点でもエポック・メイキングな一枚だ。選曲はアルファ・レコードのカタログからで、日本の70〜80年代のポップスの名曲をピック・アップ。カヴァーするのは独自のスタンスで活躍中の気鋭アーティストばかり。しかも、全曲が新録となっている。
全13曲中、6曲をユーミンこと荒井由実のナンバーが占め、「ベルベット・イースター」に至っては七尾旅人、中島ノブユキ、TICAがそれぞれカヴァー。この3ヴァージョンを聴くだけでも明らかだが、全アーティストが臆することなく各々の解釈で名曲に挑み、その魅力を正しく伝えている。曽我部恵一やbirdらによるハイ・ファイ・セットでは心地よいたそがれが味わえるし、中塚武や奇妙礼太郎トラベルスイング楽団によるユーミンは意表を突くアレンジがとても新鮮だ。他にもガロ、吉田美奈子、小坂忠のカヴァーを収録。まさに“ベルベット”と表現するにふさわしい柔和で豊潤な歌声とアレンジが全編で楽しめる。
当時の楽曲にあらためて感じるのは、歌詞やアレンジの奥ゆかしさ。この時代特有の感受性の豊かさがあって、風景や心の描写は機微をうがつものが多い。失恋の表現ひとつ取っても、繊細な思いを丁寧に掬い取っている。たとえば、ここでbirdが歌う「雨のステイション」の歌詞。〈雨のステイション 会える気がして いくつ人影見送っただろう〉の一節にはとてつもなく切ない哀愁がありつつ、ほろ苦さや穏やかさもほんのりと香る。今はこういう情感豊かな表現がだいぶ減ってしまっただけに、名曲を正しく伝えるこの『VELVET SONGS』が少しでも多くの人に届いてほしいと思う。そして、願わくば本作をきっかけにオリジナル曲にも触れてほしい。“J-POP”が生まれる前にだって、日本にはこんなに素敵なポップスがたくさんあったのだから。(text by 田山雄士)
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