—生きて伝説となれ! ジョン・フルシアンテ
「ギター・ヒーロー」、「ロック・スター」こんな言葉が死語となりつつあるアメリカの音楽シーンで、多くの影響力と創造力を同時にもつミュージシャンはどのくらいいるだろう? どんなミュージシャンにも音楽を始めるきっかけとなるヒーローがいたはずだ。少なくとも僕のギター・ヒーローは、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ(以下RHCP)のギタリスト「ジョン・フルシアンテ」だ。
初めてソロ作を聴いたときの衝撃は今でも忘れられない。RHCPでギターを弾く姿からは想像もできないほど内省的で繊細な音楽。裸にタトゥー、チ◯ポにソックスの彼の姿はどこにもいない。奇声だかうなり声だかわからない歌声。むせび泣いているかのようなギターの音。彼のサウンドだとは到底受け入れられなかった。自分のギター・ヒーローがこんなにも弱々しい存在だと受け入れる事ができなかったのだ。それでも何枚ものソロ・アルバムを聴いたのは、孤独と悲しみにうちひしがれ歌う声がRHCPの時よりもリアルに感じたからだ。
RHCPで世界を制したギタリストは今でも創造力を失わず自らの内面を掘り下げ、実験精神を持って新たな音楽を追求し続けている。その姿勢はもちろん本作でも表れ、新たにエレクトロニカやアンビエントの手法を取り入れたサイケデリック・サウンドを生み出している。彼の新作を聴くたびに思う。死ぬ事によって伝説となったアーティストよりも、生きてなお音楽を作り続けるジョン・フルシアンテこそが本当の「ギター・ヒーロー」なのだ。
(text by 池田義文)
LINK
- John Frusciante ホームページ http://johnfrusciante.com/
- John Frusciante MySpace http://www.myspace.com/johnfrusciantemusic
- 『The Empyrean』から、収録曲「Unreachable」のMusic Videoです。 http://jp.youtube.com/watch?v=3Hj0fbzReAg
- ジョニー・デップ・プロデュースのJohn Frusciante短編ドキュメンタリー『STUFF』 http://jp.youtube.com/watch?v=Qx7oJ7-Xjpg&eurl=http://flow-clothing.com/blog/?p=1286
John Frusciante
89年12月に18歳の若さでRHCPに加入。89年『Mother's Milk(母乳)』、91年『Blood Sugar Sex Magik(ブラッド・シュガー・セックス・マジック)』をリリースするが、91年、世界ツアー中の日本で突如帰国し脱退。94年、97年にソロとして二枚の作品のリリース経て、99年の『Californication(カリフォルニケイション)』からRHCPに再加入、そして最新作『Stadium Arcadium(ステイディアム・アーケイディアム)』では、全米、日本を含む24カ国でチャート首位を獲得するなど誰もが認める世界最高のバンドとなっている。また、現在のRHCPサウンドの中核を担う存在としてバンドに不可欠な存在となっているのは誰もが認めるところであり、ローリング・ストーン誌の"現代の世界三大ギタリスト"や"最も偉大なギタリスト"に選出されるなど、もはや人気バンドのギタリストという肩書きに留まらない存在である。
CLOSE UP:MOONRIDERS
CLOSE UP:世武裕子
CLOSE UP:埋火
CLOSE UP:相対性理論