2017/06/25 00:00

猫たちの話すこと

夏目は「眼」で歌う。例えば「花草」。「コカコーラの看板」→「君」→「君の目」→「君の顔のそばの雑草」と視点は素早く切り替わっていく。その素早さに、言葉は一歩遅れてしまう。「屋上へ」と歌うところを「くじょうへ」としか歌えない。しかしその遅れによって、先を行く「君」の「スポーツ選手」のような動きは、より鮮やかに切り取られる。

対して菅原はどうだろう。彼が作詞とボーカルを担当した「Riviera」のシチュエーション(高所から街を見下ろす)は「草花」によく似ている。しかしここで彼が歌うのは「琥珀のなかの虫のつぶやき」や「海を越えて響きわたる歌」。聴覚的で、もっと言えば内省的だ。彼の内省的な声の響きはアルバムを通じてギター・プレイにも滲み出ている。

異なる有り様をする2つの声に、ビートルズの『ラバー・ソウル』を思わせるような巧みなコーラスで、さらに別の声が重なる。声たちは何を話し合っているのだろう。恋とか友情だろうか。ぼくたちはヘッドフォン越しに、そっと聞き耳を立てる。(ふくちあつし)

レーベル TETRA RECORDS  発売日 2017/06/21

01. 02. 03. 04. 05. 06. 07. 08. 09. 10. 11.

※ 曲番をクリックすると試聴できます。


【配信形態】
ALAC、FLAC、WAV(16bit/44.1kHz) / AAC

【配信価格】
単曲 250円(税込) / アルバム 2,400円(税込)

[レヴュー] シャムキャッツ

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