ついに完成! 福岡の雄folk enoughが、ニュー・アルバム『DISCO TAPE』をドロップ。先行シングル「Mario」のフリー・ダウンロードで多くの話題を呼んでいる中で、満を持してのリリースとなる本作は、ベースに柴田剛を迎え、新体制での2年間の巡業の末に辿り着いた、雑多な音楽性を詰め込んだ極上のポップ・ミュージック集。レーベルe.g.recordの主宰、また音楽イベント「総決起集会」を10年に渡り主催するなど、名実共に福岡の音楽シーンを先導してきた彼ら。福岡が、日本が誇るオルタナティヴを、その耳で確かめてみてほしい。

folk enough『DISCO TAPE』

【TRACK】
1. Helloonanie / 2. Bach / 3. Mario / 4. Rock'n Roll Sunday / 5. New Lithm / 6. A.Y. / 7. Swingoutman / 8. Banana / 9. Elocity / 10. Mr.Bigman / 11. Folk in N.Y.C. / 12. Oh!Shine! / 13. Bomb Ahead

※アルバム購入者には、2011年1月23日(日)に下北沢THREEで行われた東京初ワンマン・ライヴ『folk enough one man show -DISCO TAPE-』から、LIVE音源(Rock'n Roll Sunday、LOVE TRAIN、mamashit)をボーナス・トラックとしてプレゼント!


SPECIAL DISC REVIEW

*本頁では、岡村詩野音楽ライター講座の受講生のお二人に寄稿いただきました。

アンサンブルとして成立するか・しないか

「解体」とは、骨をさらす作業である。虚飾にまみれ、上っ面ばかりが厚くなってしまった成れの果てから、一枚一枚その化けの皮を剥がし、本来あった姿を取り戻し、その本質を回復する。これを崩せば成立しなくなる、というギリギリの状態まで素っ裸にする。それゆえに、うまいことやりおおせれば、失われていた骨、つまり本質となるものが、純度の高い状態でその姿を現すこともある。folk enoughの新作『DISCO TAPE』。瓦解寸前の綱渡りブルース・ジャム「A.Y.」で、彼らはその瞬間を垣間見せる。

チープな音色のギターによって、古典的なブルースのフレーズがつま弾かれ、曲は始まる。のっけからリズムはよれよれで、聞き取り不能な英語の(ような)歌も投げやりだ。そこに恐る恐る近づいてくるドラム、ベース。演奏がズレようがズレまいがおかまいなし。しかし、キメるところは、キメる。一見ダラダラしているようでいて、その実、3人が緊迫した面持ちで互いの出方を探り合っている様子が浮かんでくる。アンサンブルとして成立するか・しないかの境界線上で、「絶妙な『間』こそが音楽である」と言わんばかりに、空間をスカスカにしてみせる。この危なっかしさ、そしてスリル。そこに確かに存在する骨。それは何か?
ブルース。自分の気が済むまで延々と繰り返しができる、ブルース進行という不思議な曲構造。12というただでさえ中途半端な小節数である上に、それも気分次第で一つや二つ増えたり減ったりする。当然、リズムも一定ではなく、伸びたり縮んだりする。そんな自由奔放な、文字通り「型破り」なブルースという音楽への愛が、この曲から滲み出ている。譜面に沿ってそつなく演奏するような、凝り固まった予定調和ではない、その場限りの「一回性」。その瞬間のドキュメントが「A.Y.」である。

ところで、アルバムからの先行シングル的な扱いであるフリー・ダウンロード曲は、なぜか涼しげなネオアコ・チューン「Mario」である。この曲にうっかり惹かれてしまい、アルバムを(ある意味間違えて)購入したリスナーが、中毒性の高いfolk enoughの世界にどっぷりハマってしまうか、あるいは、しかめっ面をするか。その姿を思い浮かべるのが、少し楽しくもあったりする。(text by 青野慧志郎)

全てを表現できる強度

音楽というのはムードや感情を引き起こすもので、それが伝わった時の衝撃は本当に大きい。folk enoughのアルバム『DISCO TAPE』ではロック、フォーク、ブルース等様々なジャンルを参照点とし折衷的でありつつも、そこに独自の解釈を加えて唯一無二の音楽として奏でている素晴らしい作品だ。しかし僕が本当に美しいと思った点は、冒頭のスネアの連打やアルバムの随所で見られる音程やリズムの揺れ、変拍子、そしてデモの様な質感を持つサウンドでこのバンドが伝えようとしているムードや感情にある。

最近のアーティストはサウンドに対するセンシティビティがまったくないのではないかと思う事がある。どのアーティストのどの作品を聞いても同じ様なミックスで同じようなサウンド。まるでそのアーティストや録音したスタジオの持つ素晴らしい個性、そして声や楽器の持つ美しさが持つ差異を丁寧に消し去る為にレコーディングを行っているのではないかとすら思えてくる。それらはアーティストやエンジニアの経験の無さ、主張の無さ、情熱や愛情の無さをかばう為に発展した退屈なレコーディング技術によって忘れ去られていってしまったものなのかもしれない。そして、腹が減ったという理由だけでものを食べる人もいれば、味を楽しみながら食べる人もいるように、音楽の聞き方もいろいろあると思うが、我々リスナーもいつしかそれに慣らされ、サウンドの持つ質感やアーティストの差異にすら注意を払わなくなってしまっていっているのではないか。

ビートルズを例に挙げれば僕はアンソロジー・シリーズが一番好きだ。荒削りでエネルギッシュで即興性のあるビートルズのレコーディングを聴けばジョージ・マーティンがビートルズの作品をいかにオーバー・プロデュースし、ありふれたものになってしてしまったのかを感じる事ができる。どんなに素晴らしいレコーディング・スタジオで録った音より、スタジオ・ライヴやデモでリラックスした環境の中で作った音楽が全然良かったりする。そのアーティストの本質的な美しさをダイレクトに伝えてくれる事がある。folk enoughのサウンドを聞いてまっさきに思い浮かべたのはこのアンソロジー・シリーズだった。サウンドという視点は、時にテキストやビジュアルよりも雄弁にアーティストが持つ感性や美しさを語るものであり、同時にそれらを持ち合わせていない事もダイレクトに伝えてしまう。だからこそ現代ではその視点は執拗にリスナーの目から排除され隠されている。folk enoughの作品やライヴが素晴らしいのは、サウンドを含めて全てを表現できる強度を持つ事が、「音楽というものはずっと昔からこうだったのだ」という当たり前の事をサウンドの力で語ってしまっている点にあるのではないかと思う。(text by 笹村祐介)

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Rain Dance

2008年発売のアルバム。結成10年を越え、ジャンク、変拍子、ポップ・ロック、ブルースを通過してきた彼らが本作で行き着いた先は、4ビートへのアプローチとギター・サウンドへの回帰。AMERICANAからBIG BEAT、彼ら特有の、WRIGHT WEIGHTなIN BEAT POP ROCKも健在。彼らの探求心は止まる事を知らない。

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2005年のLIVEを収録したベスト盤的ライヴ・アルバム。ホームであり、福岡インディー・シーンの聖地decadentDELUXEでのライブをはじめ、東京ツアー・秋葉原GOODMANでの名演、そしてもはや伝説になりつつある福岡ベイサイド総決起集会での「A.Y.」まで収録。全25曲の特大ヴォリュームで、彼らのライヴ・サウンドを体感できる。

ライヴ版発売決定!

1月23日に下北沢THREEにて行われた、folk enoughのワンマン・ライヴ『folk enough one man show -DISCO TAPE-』の模様を、高音質のDSDとHQD(24bit/48kHzのWAV)の完全版で配信することが決定! リリースは3月中旬を予定しています。お楽しみに!

LIVE

folk enough レコ発インストアライブ
日時:3月13日(日) 15:00-
場所:タワーレコード福岡店3Fイベントスペース
■イベント参加特典
NEW ALBUMお買い上げの方でサイン会参加
※参加券の配布はなし

『DISCO TAPE』 release party!
2011年4月10日(日)@新代田FEVER
(東京都世田谷区羽根木1-1-14 新代田ビル1F)
OPEN : 18:00 / START : 18:30
ADV. 2000円 / DOOR 2500円
【live】
folk enough
PANIC SMILE
Limited Express (has gone?)
おとぎ話
ticket : ローソン・チケット / L-77803
新代田FEVER TEL : 03-6304-7899

『DISCO TAPE』 release tour!
3月5日@黒崎MARCUS
3月12日@熊本NAVARO
3月19日@京都nano
3月26日@名古屋K・D ハポン
3月27日@京都METRO
4月24日@佐賀RAG-G
4月30日@山口印度洋
5月21日@大阪HARD RAIN
5月22日@神戸HELLUVA LOUNGE

folk enough PROFILE

福岡が生んだジャンク・ブルース・ロックンロール・バンド。そのD.I.Y.精神に富んだバンド活動は多くのバンドからの注目、リスペクトを受ける。ビクター傘下のCOLLA DISCから2枚のアルバムと2枚のミニ・アルバムをリリース。くるりやズボンズ等を虜にし、3rdアルバム『BLUES』は、ミュージック・マガジンで満点の評価を得た。その後、自主レーベルe.g.recordを立ち上げ、LIVEアルバムと4thアルバムをリリース。

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レヴュー

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by 宮尾茉実
筆者について
青野 慧志郎 (青野 慧志郎)

■ yoji & his ghost band @YojiGhostBand / No Eyes @no_eyes / Ghostlight @ghostlight_jp / 折坂悠太 @madon36 サポート (Gt, F.Mand, Cl, Banjo, Key) ■ 音楽評論文執筆 ■ インフラエンジニア

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