すぐに出かけたくなる! エミ・マイヤーの新作登場!
エミ・マイヤー / LOL
Laugh Out Loud!! 声を出して笑おう! アコースティックでハート・ウォーミングなサウンドが詰め込まれたミニ・アルバム『LOL』。TOYOTAのプリウスCM曲「オン・ザ・ロード」と、キューピーライトCM曲「エル・オー・エル」を収録!
【価格】
mp3 単曲150円 / アルバム750円
WAV 単曲200円 / アルバム950円
シンガー・ソングライターとして目覚ましい飛躍を遂げた新機軸
この弾けるようなポップネスと、堂々とした風格。春の訪れとシンクロするように、シンガー・ソングライターとしての自信と喜びに溢れたエミ・マイヤーの新作が届けられた。快作である。歌のメロディーはその狙いがより明快になり、耳にした途端、思わず口からこぼれ落ちそうになる。特に、CMにも採用された「lol」と「On The Road」の2曲は、躍動感に満ちた秀逸なアレンジに心が弾む。トレード・マークであったピアノを封印し、これまで以上に歌と楽曲に焦点を当てた新たなる挑戦は、「功を奏する」といったレベルでは済まされないほどの実りをもたらした。
エミ・マイヤーというと、「一筋縄ではいかないアーティスト」というのが大きな魅力の一つである。彼女の音楽について、「ジャズ・ピアノ・トリオをベースにした、スモーキー・ヴォイスが魅惑的なジャズ・ポップ」といった偏った表現をしてしまうと、Norah Jonesを連想せざるを得ない。しかし、すでにデビュー時から、そうした位置づけには収まりきらない特異性を彼女は持っていた。たとえば、そのピアノ演奏。幼少期からクラシックに、後にはジャズにも親しんだ彼女のピアノには、左手の低音部を強調したり、少なめな音数の中に奇抜なフレーズを挿入するあたりに、Thelonious Monkの影響が感じられる。そのため、同様のバック・グラウンドを持ったクラムボンの原田郁子(特に初期の頃)に共通するところがあり、チラリと見え隠れする鋭利なナイフのように、さりげない緊張感を音の中に潜ませている。また、ジャズの知識に裏打ちされたメロディー・ラインや転調、意外と多いマイナー(短調)の楽曲。本人も「ブルースやルーツ・レゲエが好き」と語っており、特に2ndアルバム『パスポート』ではほぼ全曲がマイナーである。歌謡曲的な陰影のあるメロディーと、やや違和感のある日本語の発音から、どこか異国感・エキゾチックさを感じる危ういバランスがたまらない作品であった。
本作では、そういった要素はどれも影を潜め、着実に成長してきたシンガー・ソングライターとしての才能が見事に開花。1曲1曲のポップ・ソングとしてのクオリティは、これまでの作品の中でダントツによい。タイトル曲「lol」では、軽やかなアコースティック・ギターを中心に、羽毛のように全体を暖かく柔らかく包むペダル・スティールの多幸感が素晴らしい。演奏の細部に気を使った非常に丁寧なアレンジには、職人的なセンスが感じられる。春を謳歌するような「On The Road」は、聴けば思わず外に飛び出したくなることだろう。どちらの曲でもエミ・マイヤーの歌声は、ソングライティングの極意をつかみつつあるという充実感と、新たな出会いがもたらすケミストリーを心から楽しんでいるようだ。さらに、「Doin' Great」、「Still」、「What Kind」は、どの曲もソングライターとしての目覚ましい成長(デビューからまだ3年の24歳! )を物語るアメリカン・ポップスだが、とりわけ「What Kind」での王道感はどうだろう。Carole Kingの未発表曲と言われれば納得してしまいそうである。こうした成長の陰には、数多くのCM曲を手がけたことがあるのかもしれない。「世界最短のプレゼン」ともいえるCMで、簡潔でありながらより惹きつけられる曲を書くことを学んだ、その成果が本作に表れている。シンガー・ソングライターとして目覚ましい飛躍を遂げた新機軸。まさに百花繚乱。さあ、春が来ましたよ。(text by 青野慧志郎)
エミ・マイヤー works
RECOMMEND
Yael Naim / She was a boy
不思議ミラクル・ポップスの傑作! フランス生まれイスラエル育ち(現在パリを拠点に活動)のシンガー・ソングライター、ヤエル・ナイムの新作アルバム。前作のヒットで絶対的な自信を持ったようで、本作の完成度は抜群に高い! ジャズ、フォーク、中東、フレンチ・ポップス、カントリー、ブルースなどの要素を取り入れ、どこの国か分からない無国籍な雰囲気を持つ楽曲を、凝りに凝った素敵なアレンジで聴かせ、一度入ったら帰りたくなくなるミラクル・ポップスの森に誘ってくれます。
Harcsa Veronika / Lampafeny
妖精のようなルックス+リスト音楽院で習得した技術と知識を持つハンガリーの才女。2008、2009年とバック・バンドを率いて横浜赤レンガmotion blueやJZ Bratで好演。終演後は毎回、物販コーナーに老若男女の行列ができた。そのたくましい表現力とソング・ライティング・スキルの実力がニコラ・コンテにも認められ、イタリアン・ツアー正規ボーカリストに抜擢されたハルチャ・ヴェロニカによる、ちょっと挑戦的で可愛らしい新作。
Adele / 21
全世界セールス1600万枚突破! 第54回グラミー賞、主要3部門含む6部門でノミネート! 2011年圧倒的な世界売上第1位を誇る天才シンガー、アデルによる感涙の2ndアルバム。
LIVE SCHEDULE
Emi Meyer Tour 「On The Road」
2012年5月19日(土)@横浜 GREEN ROOM FESTIVAL'12
(※イベントは2daysですので、出演日にご注意下さい。)
2012年5月24日(木)@吉祥寺 STAR PINE'S CAFE
開場 : 19:00 / 開演 : 20:00
2012年5月25日(金)@相模原 杜のホールはしもと・多目的室
開場 : 18:30 / 開演 : 19:00
2012年5月28日(月)@京都 磔磔
開場 : 18:00 / 開演 : 19:00
2012年5月29日(火)神戸 cafe Fish!
開場 : 19:30 / 開演 : 20:00
2012年5月31日(木)@長崎 旧香港上海銀行長崎支店記念館(弾き語り)
開場 : 18:30 / 開演 : 19:00
2012年6月1日(金)@福岡 Gate's7(弾き語り)
開場 : 18:30 / 開演 : 19:00
2012年6月2日(土)@静岡 焼津文化会館(ゲスト : 永井聖一)
開場 : 18:30 / 開演 : 19:00
PROFILE
エミ・マイヤー
アメリカを拠点に活動するシンガー・ソングライター。日本人の母親とアメリカ人の父親の間に京都で生まれ、1才になる前にアメリカのシアトルに移住。幼い頃よりクラシック・ピアノを学び友人と共演したいとの理由でジャズ・ピアノも学ぶ。18才で曲を書き出し、L.A.と東京でヴォーカリストとしての活動を始める。2007年にシアトルー神戸ジャズ・ボーカリスト・コンペティションで優勝。その後、Jazztronikをはじめ国内外の著名アーティストと共演を重ね、フジロックなど各地の大型フェスにも出演。その歌声と存在感で多くの聴衆を魅了している。2009年リリースされたデビュー・アルバム『キュリアス・クリーチャー』は、多くのCDショップのJAZZ チャートで首位を獲得。iTunes StoreではJAZZカテゴリーの年間ベスト・ニュー・アーティストにも選ばれた。2010年にShingo Annen(Shing02)との共作となる全曲日本語詞の 2ndアルバム『パスポート』をリリース。数々のCM(キリンビバレッジ「午後の紅茶 アジアンストレート<無糖>」やアヲハタ55ジャムなど多数)でもその歌声を聞くことができる。