青く絡まった若き日よ、軽やかにさよなら
衒わないことこそ難しく、若いほど素直になれないものだ。いつの間にアラサーになったシャムキャッツ。人生に折り合いをつける年頃の彼らが若さを軽やかに見送るような本作には、同世代ならずとも勇気づけられるはずだ。
エレキ・ギターの煌めき、ビーチ・ボーイズのようなコーラスが彩る本作の主役は、流行歌──喩えるなら「木綿のハンカチーフ」などとも並べられそうな、すとんと腹に落ちるメロディと、芯の通ったネオアコ風のギター・ストロークだ。憑き物が落ちたかのようなそのシンプルさはもはや諦念のようでもあるが、筆者の世代が近いせいなのか、決してネガティヴには聴こえない。青き日々の走馬灯のような歌とともに、涼やかで優しい余韻が通り過ぎていく。
同じように笑いあった友達も様々に人生が枝分かれし、それを自分と比べて悩んだりもするかつての少年たち。〈カレーのライスも / 大盛りにできない〉(「31 Blues」)歳になったからこそ、もう1度衒いなく君と友達でいよう。シャムキャッツは青春の終わりを丁寧に屈託なく描き出してくれた。(井草七海)
【配信形態】
ALAC、FLAC、WAV(16bit/44.1kHz) / AAC
【配信価格】
単曲 250円(税込) / アルバム 2,400円(税込)