シャムキャッツが吹かせる、色褪せない風
再生し終えたあと、懐かしい風が窓を吹き抜けた気がした。きっと彼らが作り出したかったのはこの風だ。彼らを中心とした新たな世代による東京のシーンのバンドが知名度を上げる中で試行錯誤を重ね彼らが出した答え、それは流行りのEDMでもヒップホップでもなく、爽やかでシンプルな青春を呼び起こす本来的な意味でのギター・オリエンテッド・ポップだった。時代に染まらず、自分達の音楽を突き通すシャムキャッツ、何と凛々しく清々しい。
夏目はエレキをアコギに持ち替え、太い音で複雑なラインを奏でていた大塚のベースは柔らかく丸い音でギターと歌を支えているなど、シンプルだが緻密に推敲を重ねた作品だということが見て取れる。また ギターの菅原が作り、自らヴォーカルをとった曲が多くあるのも特徴で、甘美で儚い歌声とメロディに涙腺が緩む「Four O`clock Flower」、夏目との合作「October Scarf」など印象に残る曲が揃っている。夏目が爽やか担当で菅原はセンチメンタル担当とでも言おうか、シャムキャッツの可能性が未知数であることを、ギタリストというポジションに甘んじることなくソングライターとしてもめきめきと才能を発揮している菅原の存在もまた、より明確に示唆している。
ビートルズのようにいつの時代も色褪せない作品を4人で作りたい、そんな彼らの願いがいま形になった。『Friends again』はいつになってもこのアルバムを聴いていた“あの時”を、風と共に運んでくれるだろう。(佐藤菜月)
【配信形態】
ALAC、FLAC、WAV(16bit/44.1kHz) / AAC
【配信価格】
単曲 250円(税込) / アルバム 2,400円(税込)