矢井田 瞳とYaffleが語る、音楽家としての姿勢

――アルバムの曲について、Yaffleさんから矢井田さんに聞いてみたいことはありますか?
Yaffle:“嘘 〜DOORS ver.〜”は、どうやって生まれたんですか?
矢井田:この曲は、高橋真梨子さんのコンサートを観て帰り道に胸がキラキラして。高橋真梨子さんのような、歌はどっしりと真ん中にあって、バックの音でいろんな景色を運んでくれるようなアレンジの曲をやってみたいと思って書きました。ジャジーだったりクラシカルな雰囲気のドラムにしたかったので、工藤誠也さんにもう一度叩いてもらえないかとお願いしたんです。
Yaffle:そうだったんですね。アレンジはJIN INOUEさんですね。
矢井田:この曲は、真ん中に私の歌を据えて、その後ろに映画のような景色を感じる音を重ねていくイメージだったんです。JINさんは普段、音楽映画を手がけていて、物語に合う音楽をつけるというスタイルで、1曲が45分とかになることもあって。この曲で私がやりたかったこととJINさんのスタンスが近く感じられて、すごく素敵になるだろうなと思ったんですよね。
Yaffle:この曲、後半に印象的なフィルが入ってますよね。
矢井田:そうなんです。DOORS ver.ではフェードアウトしたけど、レコーディングした時は2分ぐらい長くなってます(笑)。そういう余韻も素敵だなと思って。
――MVも公開され、話題になった“sigh sigh sigh”はどうやってできた曲ですか?
矢井田:曲の頭にあるリフが浮かんだとき、このリフを通して弾ける曲を作りたいと思い、リフに合うテーマや歌詞を延々と考えて書いたのが“sigh sigh sigh”です。MVは栃木の竹林で撮影しました。見たことのないような大きな虫がいたり、蜘蛛の巣だらけだったりで大変でしたが、竹が放つ生命力が本当にかっこよくて。その光が束になっていて、曲にぴったりでした。
――“やってられへんわ”は関西弁の歌詞と洗練されたサウンドの組み合わせが心地よいですね。
矢井田:アルバムの最後の方で書いた曲です。アルバム全体を引き締めつつ、各曲をより光らせるにはどうしたらいいか考えて、遊び心満載の関西弁の歌詞の曲にしました。アレンジは、2023年のbillboard Liveツアーのメンバーがグルーヴィーでよかったので、私の弾き語りをもとに一緒に作っていきました。レコーディングもみんなで円になって、一発録りで。
Yaffle:クレジットに書いてあるmacaron boysはそのメンバーたちなんですね?
矢井田:そうそう(笑)。Billboard Liveツアーのときに、メンバーに色付きの服を持ってきてもらったら、薄紫、薄イエロー、薄ピンク、黄緑でマカロンみたいになったのが由来です(笑)。
――矢井田さんは今年25周年を迎えて過去を振り返ることも多かったと思いますが、これから音楽を続けていく上で大事にしたいことがあれば教えてください。
矢井田:今回のアルバムで、Yaffleさんをはじめ様々なクリエイター、プロデューサー、ミュージシャンとご一緒できて、新しい世界が見えました。これからも、常に新しい扉を開けるのを怖がらずにいきたいですね。ちょうど昨日ラジオの企画でケルト音楽について知ったんですが、そういう新しい挑戦もしていきたいです。
――Yaffleさんは音楽を作る上で大事にしていることや信念はありますか?
Yaffle:常に新しく、「前へ前へ」という姿勢です。それが音楽家としての真摯な態度だと思います。自分がチャレンジしなければ自分自身も飽きてしまうので、クリエイターとしてのモチベーションや活力を維持させるためにも毎回やりきっていきたいです。サボるのは簡単なので。
矢井田:御意です(笑)。Yaffleさん、今日はうれしかったです!ありがとうございました。
Yaffle:こちらこそ、ありがとうございました!

編集 : 石川幸穂
矢井田 瞳、デビュー25周年の新境地
PROFILE : 矢井田 瞳
通称:ヤイコ。1978年大阪生まれ大阪育ちのシンガーソングライター。19歳でギターと出会い曲作りを始める。2000年5月3日に関西限定シングル「Howling」でインディーズデビュー。同年7月12日に1stシングル「B'coz I Love You」でメジャーデビューを果たし、2ndシングル「My Sweet Darlin'」が大ヒット、サビのフレーズから“ダリダリ旋風”を巻き起こす。1stアルバム『daiya-monde』はアルバムランキング初登場1位を獲得、ミリオンセラーとなる。その後も数々のヒット曲を世に送りだし、全国ツアーの開催やイベント出演等、精力的なライブ活動を行なう。
2024年7月にデビュー満24周年を迎え、25周年イヤーに突入。
同年7月から2025年4月まで約8ヶ月間にわたり、全国25ヶ所でデビュー25周年を記念して全国弾き語りツアー『GUITAR TO UTA 24-25』を開催。
2025年7月12日、デビュー満25周年日にデジタルシングル「嘘」をリリース。8月に東京・大阪でデビュー25周年記念リクエストライブ「矢井田 瞳 25th Anniversary Live Tour『25』」を開催。
■25周年特設サイト:https://columbia.jp/yaidahitomi/25th/
■Official Site : https://yaiko.jp/
■X : @yaiko_official
■Instagram : @hitomi_yaida
■YouTube : @hitomiyaida_Official
リリース情報
◆13th Album『DOORS』
2025年8月20日発売
■初回限定盤(2DISCS:CD+DVD) COZP-2192/3 4,950円(税込)|特典DVD付
■通常盤(CD)COCP-42519 3,300円(税込)
■CMS限定盤
(「DOORS」初回限定盤 CD+DVD+Tシャツ) 8,950円(税込)
(「DOORS」 通常盤CD+Tシャツ) 7,300円(税込)
CDご購入はこちら:https://lit.link/yaiko_doors
配信はこちら:https://yaiko.lnk.to/DOORS
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PROFILE : Yaffle
アーティスト。
繊細さとダイナミズムを兼ね備えたサウンドを特徴とし、聴く人の心に鮮やかな情景を描き出す音楽を追求している。これまでに 藤井 風、米津玄師、iri、大森元貴、SIRUP、eill、adieu、ao、SEKAI NO OWARI、AI など多くのアーティストのプロデュースやアレンジを担当。国内外で高い評価を受け、現在もっとも注目される音楽プロデューサーのひとりとして活動を続けている。また、ポケモン25周年記念コンピレーション・アルバムには唯一の日本人アーティストとして参加。最新作『After The Chaos』はクラシックの名門 ドイツ・グラモフォン からリリースされ、その革新性と芸術性が評価されている。映像音楽の分野でも確かな実績を築いており、『ナラタージュ』(行定勲監督/2017年)では主題歌アレンジを担当。映画では『キャラクター』(永井聡監督/2021年)、『変な家』(石川淳一監督/2024年)、『ブルーピリオド』(萩原健太郎監督/2024年)『爆弾』(永井聡監督/2025年)など、ドラマでは『秘密〜THE TOP SECRET〜』『わかっていても』の劇伴を手がけてきた。
■X : @YAFFL3
■Instagram : @yaffl3
■YouTube : @YAFFL3
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