2010/11/15 00:00

原田郁子+高木正勝 一夜限りの共演!

清水靖晃+渋谷慶一郎の『FELT』、 大友良英+高田漣の『BOW』とお届けしてきたOTOTOYとサウンド&レコーディング・マガジンのDSD配信企画の第3弾が到着。今回はなんと、クラムボンの原田郁子と映像作家でもある高木正勝の夢の共演をDSDで配信します!!! これは、10月31日に東京・サウンドインスタジオにて行われた、サウンド&レコーディング・マガジン主催のPremium Studio Live Vol.2。初共演となる二人が、レコーディング・スタジオでの一発録り、そして2台のグランド・ピアノを通してどのような化学反応を起こしたのか? 贅沢な一夜の模様を、レポートと共にどうぞ。

DSDとは?
DSDとはDirect Stream Digital(ダイレクト・ストリーム・デジタル)の略称。音声をデジタル化する方式の1つで、音の細かいニュアンスの忠実な再現を目指して開発されました。DSDは通常のCDのPCM方式とはまったく違う1bitのレコーディング形式で、サンプリング周波数は2.8224MHz(CDの44.1kHzの64倍)にも及びます。奏でられた音と会場の空気が蘇るその音質は、アナログ・レコードのような滑らかさと、デジタルならではの透明度を合わせ持っています。
原田郁子+高木正勝 『TO NA RI』
1. TO NA RI - op.12 / 2. TO NA RI - op.14 / 3. TO NA RI - op.18 / 4. TO NA RI - op.20 / 5. TO NA RI - op.25 / 6. TO NA RI - op.26
参加ミュージシャン : 原田郁子(ac.p、vo)、高木正勝(ac.p、vo)、OLAibi(perc)
エンジニア : 葛西敏彦
スタジオ : サウンドイン

販売形態
1. 『TO NA RI』DSD+mp3 Ver.(※約832MB)
2. 『TO NA RI』HQD(24bit/48kHzのWAV) Ver.(※約451MB)

※DSDの聞き方は、本ページ『How to enjoy DSD?』と、ダウンロードしたファイルに同封されている資料「How_To_Enjoy_DSD2(PDF形式)」を参考にしてください。また、ダウンロードしたファイルに不備や不明点がありましたら、info(at)ototoy.jpまでお問い合わせください。

ダウンロードに関して
・windowsをご利用のお客さまは、標準の解凍設定、もしくは解凍ソフトによっては正常にファイルを解凍できない可能性がございます。その場合、お手数ですが別の解凍ツールを使用し、再度解凍をお試しくださるようお願い致します。7-Zip(フリー・ソフト)での解凍を推奨しています。
※7-zip http://sevenzip.sourceforge.jp/
・現在、Internet Explorerでのダウンロードが出来なくなっております。大変申し訳ありませんが、Internet Explorerをご利用されている方は、お手数ですが、Firefox等、別のブラウザをご利用の上、ダウンロードくださるようお願いいたします。

Premium Studio Live Vol.2 原田郁子+高木正勝 ライヴ・レポート

鍵盤が一直線になるように互い違いに並べられた2台のピアノに、原田郁子と高木正勝の2人が隣り合うように座った。2人ともごく自然にピアノの感触を確かめるように鍵盤を叩いて音を出し始めた。天板が取り外されたピアノから放たれた音が、サウンドインの高い天井まで届くほど、瞬く間にスタジオ中を埋め尽くしていく。その2台のグランドピアノを取り囲んだ50人ほどのオーディエンスが、2人の演奏をじっと固唾を飲んで見守っていた。張りつめた空気の中で原田と高木はピアノを変えたり、お互いのスケールを覗き込んだりして、随所に会話も交わしながら少しずつ音を合わせていく。

photo by 八島崇

10月31日、サウンドインスタジオBst。雑誌『サウンド&レコーディング・マガジン』が主催する『Premium Studio Live vol.2』でのことだ。レコーディング・スタジオにLIVEのようにオーディエンスを入れて演奏を一発録りするというこの企画。録音はDSDというフォーマットで行われ、オトトイで配信される。『Premium Studio Live』としては2回目、サンレコ発の音源としては第3弾にあたる原田郁子 + 高木正勝の『TO NA RI』は、3時間に及んだそのレコーディングの模様の一部をピック・アップして音源としてまとめたものだ。だが、この日のスタジオで行われていたことは、厳密に言えば、LIVEでもレコーディングでもない。既成の楽曲を演奏したわけではなく、1曲1曲の区切りも無く原田と高木によるピアノの会話は続いた。楽曲のタイトルが全て「TO NA RI」となっていることも、すでに存在している楽曲をそのままレコーディングしたものではなく、制作過程をそのままアウトプットするという意図の表れだろう。例えば「TO NA RI op.12」には、冒頭から原田と高木の言葉のやり取りがそのまま残され、制作途中のスケッチのような仕上がりになっている。

「今日は自由にやろう」。高木がそう言って2人で音を出し始めてから1時間ほどしたところで、「空気を変えよう」と言って一旦休憩に入った。それまでずっと微動だにせず原田と高木のやり取りを凝視していたオーディエンスも、ようやく緊張が解けたようだ。そして意図した通りにスタジオ内の空気は一変した。オーディエンスのリラックスした雰囲気はそのまま2人の演奏にもストレートに反映された。また、会場に居合わせたOLAibiが、急遽、原田と高木に呼ばれてセッションに参加した。ピアノの天板や側面を素手で叩いたり、箸で湯のみを叩いたり、巧みにリズムを作っていく。2人の中に新たなリズム、アイデア、流れが生まれ、どんどんとその距離は近づいていった。最初はレコーディング中のアーティストをじっと観ているという立場だったオーディエンスも、徐々に自分も2人と同じ立ち位置、同じ目線でレコーディングに参加している1人なのだ、というような意識の変化があったのだろう。アルバムのラストを飾る6曲目の「TO NA RI op.26」では、そのリズムに合わせて、オーディエンスのハンド・クラップもしっかり収められている。

当日、現場にいて感じたのは、音響面に優れたレコーディング・スタジオに響き渡る音がどれほど心地良いのかということだ。普段アーティストたちがどれだけ心地よい音の中で演奏していて、音は耳だけでなく全身で感じるものだということをこれほど思い知らされたのも珍しい。裏を返せばレコーディングからCDになる過程で消えていった音がたくさんあるということでもある。だが今回、届けられた『TO NA RI』のDSD音源には、その心地よさが当日と変わらないレベルでしっかり再現されている。むしろ現場よりも的確に音を捉えている。音は空気の振動で伝わるもの。これまでレコーディングとはあくまでも、その空気の振動による音そのもの、いわば"演奏"を記録するものだと思っていたが、DSDでのレコーディングとは、音の流れていた空間と時間をまるごと切り取ることができるものだった。そして、その切り取られた空間と時間はいつだって再現出来るのだ。アーティストはアーティストが届けたい音を、リスナーはいつだって現場の音を繰り返し聞くことができる、なんとも幸せな時代がやってきた。(text by みのしまこうじ)

photo by 八島崇

過去のDSD配信作品

第1弾 清水靖晃+渋谷慶一郎『FELT』

2010年3月1日、東京芸術劇場中ホールで行なわれたコンサートより、この日が初顔合わせだった2人の、デュオでの演奏が6曲と、それぞれのソロ・パフォーマンスが1曲ずつ収録されています。

1.Kiwa / 2.フーガの技法 コントラプンクトゥス 第1番 / 3.パルティータ 第4番 アルマンド / 4.無伴奏チェロ組曲 第2番 サラバンド / 5.Dolomiti Spring / 6.Samayoe Renga / 7.Ida / 8.Stardust

販売形態
1.『FELT』DSD+mp3 Ver.(※1.15GB)
2.『FELT』HQD(24bit/48kHzのWAV) Ver.(※617MB)
第2弾 大友良英+高田蓮『BOW』

DSD配信企画の第2弾が登場! 今回は、2010年8月27日に一口坂スタジオで行われたライヴ・レコーディング・イベント「Premium Studio Live Vol.1」の模様を高音質でお届け。

1.街の灯 / 2.It's Been A Long, Long Time / 3.教訓1 / 4.At The Airport / 5.BOW

販売形態
1.『BOW』DSD+mp3 Ver.(※1.16GB)
2.『BOW』HQD(24bit/48kHzのWAV) Ver.(※654MB)

Audio Gateフリー解禁。これで誰でもDSDが聴ける!

2010年11月15日、DSD再生&変換ソフトAudio Gateが、KORGよりフリーで提供されます。このAudio Gateは、PCMとの相互変換、SONYのPlayStation3などで再生出来るDSDディスクの作成、DSDファイルからオーディオCDも書き込め、レベルの調整、フェード編集まで、とにかくなんでも来い! の優れもの。Audio GateがあればDSD(DSF形式)ファイルをそのままパソコン上で再生出来るんです(※PCM形式に変換して出力されます)。まだDSDを体験していない方は、この機会に極上の音質を体感してみてください。

>>オーディオ・フォーマット変換ソフトウェアAudio Gateの詳細はこちら

How to enjoy DSD?

KORG MR-2を使用して鑑賞する

KORG MR-2は、mp3、WAV、そしてDSDといった幅広いフォーマットで録音・再生ができる小型レコーダー。ダウンロードしたDSDファイルをSD/SDHCカードにコピーし、それをMR-2に挿入すれば、即座にヘッドフォンで聞くことができます。(注 : SD/SDHCカードをあらかじめMR-2でフォーマットした上で、“Playback”というフォルダーにコピーしてください。)


KORG MR-2000Sを使用して鑑賞する


KORG MR-2000Sは、プロのスタジオでも使用されているラック型DSDレコーダー。内蔵されているハードディスクにダウンロードしたDSDファイルをUSB経由でコピーすれば、ヘッドフォンもしくはオーディオ・セットにつないで聞くことができます。


SONY SCD-XA5400ES、SONY SCD-XE800を使用して鑑賞する

SONY SCD-XA5400ESは、オーディオ・マニアも認める高品位なSACD/CDプレーヤー、SCD-XE800は、実売価格が3万円台とは思えない高音質なSACD/CDプレーヤー。ダウンロードしたDSDファイルを、DVD-ROMと互換性のあるDVD-R、DVD-RW、DVD+R、DVD+RWのいずれかに記録すれば、再生することが可能になります。(注 : ダウンロードしたDSDファイルを、“DSD_DISC”というフォルダーごと記録してください。)


PlayStation 3を使用して鑑賞する

「PlayStation」は株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメントの登録商標です。

SONY PlayStation 3は、どの時期に発売されたモデルにもDSDファイルをPCMにコンバートし、HDMI経由で再生する機能が搭載されています。ダウンロードしたDSDファイルを、DVD-ROMと互換性のあるDVD-R、DVD-RW、DVD+R、DVD+RWのいずれかに記録すれば、HDMI入力を持ったAVアンプとの組み合わせで再生が可能になります。(注 : ダウンロードしたDSDファイルを、“DSD_DISC”というフォルダーごと記録してください。)

この記事の筆者

[レヴュー] 原田郁子+高木正勝

TOP