10代の自然とどんどん変わっていく様子が表れている
── “Groovy night”は、シングルとして既にリリースされていましたが、リリース後の反応はいかがでしたか。
比喩根: いままで出したジャンルとはまた違うロック寄りな曲なので、どういう意見が来るか不安だったんですけど、反応があまりにもよくて、ちょっとびっくりしました。「イケている」「超かっこいい」「踊っちゃう」とかアクティヴな感じの感想も増えていて、すごく嬉しかったですね。
玲山: ギター・ソロをジャズっぽくしていたんですけど、楽曲を聴いてくれた友人から「ジャズみたいな展開になるところ、すごくかっこいい」と言われて、ジャズみたいにしても聴き入れてくれるんだっていう驚きはありましたね。
──“Groovy night”のMVでは、初の演奏シーンがありますが、ご自身はどんな印象を受けました?
ジャスティン : 演奏シーンがはじめて映る曲が“Groovynight”でよかったです。ギターソロのインパクトもありますし。撮影を最後まで見学していたんですけど、 撮影チームが納得するまで何回も撮り直してくれている姿を見てちょっと感動しました。これはもっと頑張らないといけないなって。僕にとって特に思い入れのある映像になりました。
比喩根 : すごいかっこいいよね。自分が映っているとは信じられないくらい。衣装もメイクもあるし、照明さんや色々な人の協力があって、あそこまでかっこよく映してもらったので、MVってすごいなって。
小崎 : 僕もこのMVすごく好きです。めっちゃかっこよく映っているじゃないですか。
──色々と新しい試みがあったようですが、制作はスムーズに進んだんですか?
ジャスティン : これがいちばんはやかったんじゃないかな。2時間くらいだよね。わりとスムーズに進みましたね。
比喩根 : いつも大枠を決めるのは、はやいんですけど、そこから詰めるのが時間かかる感じなんです。でもこの曲はみんなの聞いてきた音楽ジャンルの中にロックがあったから、比較的作りやすかったんじゃないかな。
──では、逆に制作にいちばん時間がかかった曲は?
比喩根 : “Kiss me before I rise”ですね。邦ロックに100%寄りきるというより、やっぱり色々なジャンルを混ぜたくて。三拍子でこういう曲調って結構多いと思うんですけど、そこに自分たちの色をどう加えるか結構悩みました。何回やってもありきたりな感じがしたし、ジャズっぽくアレンジしても、「ワルツでジャズってよくわかんないね」とか苦戦しましたね。
ジャスティン : 完成版とは別のフル尺のパターンが2つくらいあるんですけど、そのくらい試行錯誤しました。最終的には洋楽に寄せた感じになったよね。
比喩根 : うんうん。柔らかい重低音をメインにしたから、ありきたりにならず、いい感じになったのだと思います。レコーディングの2、3日前に詰め終わりました(笑)。
ジャスティン : この曲はレコーディングの録り方も違って、感情がより入るようにはじめてメンバー4人で一斉に録りました。ライヴの緊張感的なものがありましたね。
──“Kiss me before I rise “と”hold me”、このふたつはアルバム内でも近い雰囲気を持った楽曲ですが、歌い方が全く違うように感じました。
比喩根 : 録音した時期が違うんです。“hold me”は4月あたりで、“Kiss me before I rise”は7月に録りました。この3ヶ月間でも専門学校に行き始めたりして意図的な変化もあるし、自分が意図しなくても自然と変わっている部分がきっとあって。だから感情の込め方は全曲同じだけど、新しい生活の中でどんどん変わっていく様子が表れているのかなと思いますね。“hold me”は今の私じゃ出てこない歌声だし、逆に“Kiss me before I rise”は4月には出せなかった声色や力強さが出ているのかなと思います。
ジャスティン : “hold me”は一発録りだったんですよ。何回か録ったなかでも、結局最初のテイクがいちばんいいよねって話になって。
比喩根 : 私は考えすぎちゃうから、レコーディングのときに「もっとこうした方がいいよ」って言ってもらうと、考えすぎちゃって逆に力が入っちゃうんです。最近は考えないようにしようと思ってやっているから、回数を重ねるごとにいいテイクが録れたりもしますけど、“hold me”はいちばん繊細な曲なので、なにも考えずにリラックスして歌えたから一発目がよかったのかもしれません。
──ラスト11曲目の“私”の歌詞は、今作の収録曲の要素が反映されていますよね?
比喩根 : そうなんです。前作のEPに収録されている弾き語り曲“落下飛行“でも、収録曲の要素を反映させていました。"夜の探検"と"ネオンを消して"は、前作のEPにも収録されていたので、今作は"Monster"以降にリリースされた曲と今回新録された曲の要素を歌詞に入れています。
──それがひとつの曲として成立しているっていうのがすごいです。
比喩根 : 弾き語りの曲を入れるって自分で決めてはいたですけど、レコーディングの前日か前々日くらいまで全く浮かばなくて。書いては消してを繰り返していたんですけど、一緒にレコーディングをしてくれている人から「あまり考えずに、比喩根ちゃんがやりたいこと、いま書きたいことを書けばいいんじゃない」といってもらって、そこで重荷が降りた感じで書けたんです。
──では最後に、これから20代に向かっていくにあたり、どのようなバンドになりたいですか?
比喩根 : 今回のアルバムのようにまずは、みんなが楽しく活動できること。それがどれだけ大きくなったとしても変わらずにいたいです。あとは自分がライヴをみてテンションが上がるアーティストさんが好きなので、「chilldspotは音源もいいけど、ライヴもいいよね」っていってもらえるような、ライヴバンドでもありたいと思います。
小崎 : ライヴもそうですし、色々な年齢層の方や性別問わず色々な人にもっと聴いてもらえるようなバンドになりたいね。
玲山 : バンドにあったギターを弾けるようになると制作の幅も広がると思うので、個人的にギターをめちゃくちゃ上手くなりたいな。
ジャスティン : メンバー各々ソロでやってみたり、サポートで別アーティストのライヴやレコーディングなどの活動をしたりして、それを最終的にバンドに還元できたらいいなと思ってます。バンドのために個々の活動ももっと頑張っていきたいなと思っています。
編集 : 梶野有希
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PROFILE : chilldspot
chilldspotとは、chill,child,spot,potを組み合わせた造語。メンバー全員2002年生まれ。東京都出身の4人組みバンド。2019年12月に結成し活動開始。2020年11月1stEP『the youth night』を高校在学中にリリース。高校1年の頃初めて作曲した「夜の探検」を含む全7曲を収録。作詞・作曲も担当する比喩根(Vo)から自然と溢れ出すグルーヴと、異なる音楽ルーツを持つメンバー全員で形造る楽曲は、なぜか中毒性があり、一瞬で彼女らの渦に飲まれる。グルーヴとジャンルレスな感覚で自由に遊ぶネクストエージ。
■公式Twitter:https://twitter.com/chilldspot