渋谷慶一郎、『ATAK015 for maria』DSD版を含む過去作配信第1弾

ということで、今月から毎月11日に、半年に渡ってATAK過去作品を配信リリースしていきます。毎回、ライター、八木皓平によるインタヴューにて解説をお送りします。第1弾は過去作…… と言っても今回初めて世にでる注目音源を含む3作品。まずは初のピアノ作品として渋谷慶一郎のキャリアを語る上でも欠かすことのできない『ATAK015 for maria』。こちらはなんとその制作の起点ともなったDSDヴァージョンが初めての配信。こちらはCD音質版も配信。さらにレーベル初期の作品、『ATAK001 slipped disc』。さらに現代音楽の巨星、高橋悠治とのスリリングなセッション『ATAK002 keiichiro shibuya + yuji takahashi』を配信します。

インタヴュー : 八木皓平

要するにすごく僕を取り巻く環境が変わった──『ATAK015 for maria』

──この定期連載のためにATAK作品をここしばらく色々聴き返していて、ふと思い出したんですけど…… 。

当時から聴いてたんだっけ?

──リアルタイムで聴いたのが、『ATAK010』からなんですよ!

おお、若い。

──で、たしかその作品が本格的な電子音響〜エレクトロニカ入門だったんですよ。こんな世界があったのか! みたいな(笑)そのことを思い出しました。

何歳だったの?

──たしか19です!

いま、何歳だっけ?

──30ちょうどです。

結構いってるんですね(笑)。とはいえいきなり『ATAK010』だと話が飛ぶから、今回配信がはじまる『ATAK015 for maria』、『ATAK001 slipped disc』、『ATAK002 keiichiro shibuya + yuji takahashi』の順番でいこうか。

初のDSDリリース
Keiichiro Shibuya / ATAK015 for maria(DSD 2.8MHz)

01. for maria
02. BLUE
03. sky riders
04. Blue fish
05. angle passed
06. painful
07. open your eyes
08. Ida
09. when attitudes become form
10. one plus two 他、全14曲収録


【配信形態 / 価格】
DSD 1bit / 2.8Mhz
アルバムまとめ購入 3240円(税込)

2009年9月11日オリジナル・リリース
Keiichiro Shibuya / ATAK015 for maria

01. for maria
02. BLUE
03. sky riders
04. Blue fish
05. angle passed
06. painful
07. open your eyes
08. Ida
09. when attitudes become form
10. one plus two 他、全14曲収録


【配信形態 / 価格】
16bit/44.1kHz WAV / FLAC / ALAC
AAC
単曲購入 324円(税込) / アルバムまとめ購入 1,620円(税込)

──了解です。『ATAK015 for maria』って、渋谷さんの初のピアノ・ソロ・アルバムだったじゃないですか。

そうです。

──当時の反響ってどうでした?

それはすごく興味深かった。バリバリの電子音楽やってて、そこからだからアイツはもう終わったなみたいな電子音楽マニアがまずいて(笑)。

──良い話だな〜。

その10倍くらいのすごくいいって言ってくれる人が現れて。要するにすごく僕を取り巻く環境が変わった。

──『ATAK015 for maria』を境に客層が変わったりっていうのは、あったわけですね。

変わったというか大幅に増えた。

──あー、なるほど。ですよね。

で、それは当時の僕に必要なことだったんだよね。なぜ、ピアノ・ソロか? というのは……。

──モードを変えたかったということですか? 自分を取り巻く。

はい。結構当時からあちこちで話してきたから、ささっと説明すると…… あのアルバムは僕の妻でATAKの共同設立者でもあったmariaが2008年に死んで、そこから一年かけて作ったんです。

──1年かかってるんですね。

発売が2009年9月11日で、これは彼女の誕生日で結婚記念日でもあったわけ。で、その直前にやっていたのが〈filmachine〉というインスタレーションとそれに付随するライヴで、電子音響的にはいくところまでいった感があった。で、いきなり彼女が死んだからどうしていいかわからなくて。とりあえず音楽作っていたけど、電子音楽って作るときにループするでしょ。ずっとコンピュータで音をループさせて作るわけ。で、そのときはかなりテンション上げて「いま作ってるこれが世界で一番新しい! ヤバイ!」くらいの感じでやらないと出来ないんだけど当時の僕にはそれがきつかった。というのも部屋でmariaの声がしないというのにどうしようもない違和感があって、一番聴きたい音は彼女の声なわけね。だから、そんな状態でコンピュータでノイズをループさせてずっと作業とかできなくてさ。これはちょっとダメだなと思ったんです。

──なるほど

で、一度活動休止とかそういうの感じにしようかと思ったんだけど、それもなんか情けないなと思って「なんかないかなー」と思ったときに家の片隅にずっと弾いてないピアノがあって、久しぶりに弾いてみたらすごく以前と違う感じで弾けて。なんというか彼女の身体をマッサージしてるように弾くと「このメロディが」とか「コードが」とかどうでも良くなって響きだけがある、という感覚になったのね。で、これはいけるんじゃないかなと思ったのが『ATAK015 for maria』を作る最初のきっかけだったんです。長くなったな(苦笑)。

──いやー、いろいろクリアになってよかったです。でも、ピアノで曲を作ってそれを普通に録音して完成、というある意味シンプルなとこにはいかなかったわけですよね。DSDという技術の存在がその間にあって。

うん。というのも、彼女が死ぬ前にも、そろそろATAKでピアノを使ったなにかを作ったほうがいいねという話はしていたのね。ただ、なんか電子的なものとピアノをどう混ぜるか、とかそういう割と中途半端な思考回路で止まっていたんです。ただ、変な言い方だけど彼女がいなくなって、彼女のためにピアノでアルバムを作るんだっていうときに変なフォーク・ソングみたいなのというかしおらしいの作っても彼女は全然喜ばないだろうなと思って。というのも彼女自身がバリバリのラップトップミュージシャンだったし、それまで一緒にやってきたプロセス考えるとね。じゃあ、それでいまなにが出来るのかというときに、ピアノをあたかもそこで弾いてるように聴こえるDSDというテクノロジーがあるってことを知って「あ、これだな」と思ったんだよね。

──となると、渋谷さんがピアノに移行した時に電子音楽系のうるさ方が「あいつは死んだ」って言ってた人たちがいたって話がありましたが、音響、テクノロジーへの興味という意味では、連続性ありますよね。

死んだとは言われてないです、「終わったな」とか、まあ同じだけど(笑)。そう、連続性はすごくあった。だから、よく「こんなに美しいメロディも書けるんだ」とか言われたんだけど、それはあまり重要なことではなくて。やはり音色というか響きが中心にあって。その響きを時間的に繋ぐものとしてかろうじてメロディはあったほうがいいんだけど、どうせあるなら、良いほうがという感じだったんです。

──じゃあ、もしかして作曲した際、メロディから出発した曲って、ほとんどないんでしょうか?

ああ、そういう意味では僕はすでにすべて同時です。コードから作るとかはない。

──なるほどなー。興味深い。

全て同時に思い浮かぶんです。


──このアルバム作るのに1年かかってますけど、渋谷さんの中ではこれって長いですか? これまでのディスコグラフィーの中で。

すごく長かったような。でも、あの時は極度の鬱状態で、自殺しないように精神安定剤飲みながら作っていたからあまり作ってる最中の記憶がないんだよね。

──ギリギリの中でやってたんですね。

うん。

──そういう空気もパッケージされてますよね。

で、それは確かにそうで。いま聴くと異常に静かなアルバムなんですよね。こんな波のない海みたいなピアノソロのアルバムをもう一回作れって言われても作れないと思う。

──録音にも時間がかかったんでしょうか?

録音は1日でやった。

──うわー。このアルバムを作るまでの過程や意味合い、重さを考えると、それすごい密度ですね……。

で、いくつかの曲は前に録音したテイクが良かったからそっちを使ってる。

──けっこうエディットしてるんでしょうか? 普通に聴いてる分にはあまりそういう印象は無いんですが。

ものすごく、ありえないくらいしてる。ただ、絶対に気づかないと思うけど。このアルバムはオノセイゲンさんと作ったんだけど、結局、DSDで一発録りしてるから。そうすると波形が細かいでしょ。

──あー、なるほど。たしかに。

だから細かいエディットは無限に出来てしまうという。相模湖のベーゼンドルファーがある市民会館みたいなホールで丸一日、取り憑かれたように弾きまくって。そのデータを持って、今度はセイゲンさんのサイデラマスタリングに週に2〜3回通ってエディットし続けました。で、僕は結構な完璧主義者なのでそのエディットに1年近くかかったわけです。

──あ、じゃあ、作曲よりも全然エディットに時間かかってるわけですね。

渋谷 :曲は前から作ってあったものとか、これのために作ったものとか混ざってるから。ただ全てDSDミックス、マスタリングはしてるから質感は揃えている。

──ですよね、全く違和感ないですもんね。

渋谷 まあ、それはあったらまずいし、絶対にどこで差し替えたとか聴き分けられないです。ただ、それまでラップトップひとつでミックスまでやって、かろうじて外のスタジオでマスタリングしてるくらいだったのが、レコーディングとミックス、マスタリングにプラス、エディットに1年とかかけてるから、週に2〜3回スタジオ行って働いてるのに、飛ぶようにレーベルの貯金がなくなっていって(笑)。ものすごい状況でしたね。キャバクラとかにハマった人ってこんな感じなのかなとか思ってたりしたの覚えてる(笑)。

──(笑)ではそろそろ『ATAK001』にいきます

付け加えると。『ATAK015 for maria』は国内では初めて今回配信するんです。

──あ、それは重要な情報ですね!

もう結構前にCD盤が完全に売り切れていて、CDで再版する予定もないのと。逆にこのアルバムは国外では配信もしていて、すごく聴かれてるから、国内でもっと聴いて欲しいと思って。

──しかもDSD配信なので、作った当時の渋谷さんの感覚がそのまま表現されているってことですよね。

そうです。DSDで聴くと手の震えとかわかる。例えば「Painful」という曲は彼女が死んだ3ヶ月後くらいにやった音楽葬の1曲目に弾いたものなんだよね。レコーディングし直したんだけど、その音楽葬のテイクを超えられなかったからそっちを収録してます。セイゲンさんはこれを1曲目にするべきだと言っていたな。で、物凄い緊張感と切迫感なわけ。それはmp3でもわかるけどDSDだと手に取るようにわかると思います。

最初のATAKのリリース──『ATAK001』

2002年10月29日オリジナル・リリース
slipped disc / ATAK001

01. 1'56
02. 6'13
03. 0'58
04. 0'17
05. 2'00
06. 6'18
07. 2'35
08. 6'04
09. 7'54
10. 4'33 他、全15曲収録


【配信形態 / 価格】
16bit/44.1kHz WAV / FLAC / ALAC
AAC
単曲購入 324円(税込) / アルバムまとめ購入 1,080円(税込)

──了解です!この作品については、聞きたいことが尽きないので、名残惜しいですが。次に行きます。で、『ATAK001』ですが。

これは、最初のATAKのリリースですね。

──はい。これ、かなりひさびさに聴いたんですが、まずかなりグルーヴィーな作品だなと。四つ打ち云々というのもありますが、まずノイズが強烈にグルーヴしてますよね。ノイズで踊れる。

ノイズはグルーヴしてますね。四つ打ちはグルーヴしてないというか、グルーヴしない。四つ打ちに惹かれてた時期だったんです。トーマス・ブリンクマンみたいな。

──あー、なるほど" そういえば、彼はコメントも寄せてますよね。たしか本作を「サイバーロマンティック」と評してたような…… 。

そんなこと言ってたっけ? なんだろ、サイバーロマンティックって。

──ATAKのストアのところに書いてありました!

あ、言ってますね(笑)。

──ぼくが妄想で「サイバーロマンティック」とか言ってたらヤバいですね(笑)。

渋谷 :それは単に怖いですね(笑)。これ、ほとんどメタシンセで作ってるんじゃないかな。ソフトシンセのはしりで、確かエイフェックス・ツインが使ってた。

──当時使ってた機材のことも聞きたかったんですよね。なるほど〜。

ノードリードで弾いたものをコンピュータに取り込んでエディットしたりとか。あ、あと、当時はまだMACがOS9で、クラッシュすると変なノイズ・ファイルがゴミ箱にできたんだよね。

──へー!!

で、それが良くてわざとクラッシュさせまくって、ファイル作ってそれを取り込んだりしてました。そういうことを1日中でやってましたね。ときどき、ファッション・ショーの音楽作ったり、スタジオ・ミュージシャンとかやりながら。

──あまりなさそうですけど、mariaさんとの役割分担とかってありました?

彼女はすごくたくさんノイズ作ってて。それをもらったり、ときどきエディットが疲れたから交替してとか、やってました。

──さっきトーマス・ブリンクマンの名前が出ましたけど、当時のミニマルな音楽を巡る状況へのフィードバックみたいなのって頭にありました?

少しあったかな。最初のうちは。作っていくとそういうのは消えていくんだけど。

──すごく、全体の構造がきっちりとしてる気がするんですけど、それも作っていくうちに構造が固まっていく感じでした?

組曲みたいでしょ。

──ですね。どんどんヴァリエーションが展開されていくのが本作のポイントだと思いますが。

ほんとそうで。いや、単にアルバムの作り方がわからなかったからそうなった気もするし、ただ、変奏曲というか、ヴァリアントでいくというのは最初からあったと思う。あと、当時の電子音響でピアノだのバイオリンだのの音源が使われてるのはサムイなと思っていたので「そういうのを使わずに、しかしノイズがほぼ中心にあるけど構造的に作曲されてるものを作るんだ」みたいな気持ちはあったかな。

──渋谷さんはクラシック〜現代音楽も学んでいましたし、アレンジャーもやっていたので、そういうのを入れても良い気もしますが、徹底的にオミットしてますよね。結果的にそれは大成功だったわけですが。

あの時にピアノとかストリングスでコードみたいなの入れておいてノイズを散りばめてみたいなことやってた人は結構いたけど、本当にかっこ悪いなと思ってましたね(笑)。やはり捨てるっていうのは大事ですよ。持ってる技術とかに固執するというのは、貧しいと思う。で、そういう意識は『ATAK002』で徹底されるんだよね。''

マイクから拾ったシーツの音が中心になるという──『ATAK002』

2003年6月3日オリジナル・リリース
Keiichiro Shibuya + Yuji Takahashi / ATAK002

01. 1'07
02. 2'20
03. 3'29
04. 0'17
05. 0'06
06. 2'46
07. 1'15
08. Ida
09. 5'23
10. 4'25 他、全15曲収録


【配信形態 / 価格】
16bit/44.1kHz WAV / FLAC / ALAC
AAC
単曲購入 324円(税込) / アルバムまとめ購入 1,080円(税込)

──『ATAK002』はほんとに徹底されてますよねー、これは『ATAK001』に比べるとかなり獰猛ともいえるような作品で。音数も『ATAK001』よりかなり絞られてますよね。

うん。これを作りはじめたのにはきっかけがあって。『ATAK001』をリリースした後に僕がラップトップで出演したイベントがあって。そこに悠治さんが来てたのね。で、その頃の〈ATAK〉は本当にお金がなくて、mariaが持ってたG3のラップトップ借りてライヴやってたの(笑)。僕はデスクトップしかなかったから。

──それはすごい(笑)。

なんか本当に二人ともヒッピーみたいだったからさ。お金もなかったし。

──いまの渋谷さんからは想像もできないですね(笑)。

そういう陰りがないでしょ(笑)。

──ないっす(笑)。

彼女が広告のモデルかなんかで50万くらいギャラもらって、それが振り込まれた日に2人でG3ノート買いに行ったんだよね(笑)。で、それでライヴやったのを(高橋)悠治さんが聴いてくれて、後日にメールがきてさ。初期のクセナキスを思い出したとかなんとかすごく光栄なことが書いてあったわけ。

──悠治さんがそれ言うのはアツ過ぎますね。

そう、アツイでしょ。で、悠治さんもラップトップでやるかもみたいなこと言ってたから、じゃあ一緒にやりましょうよってなったんじゃないかな。

──じゃあ、完全にタイミングが合ってたというか、巡り合わせだったんですね。

そうそう。で、ワタリウムでカールステン・ニコライの展覧会があって、その関連イベントで悠治さんとラップトップのデュオでライヴやって。それのライヴ録音が元になってます。

──で、それもやっぱり徹底的にエディットしていくわけですよね。

うん。あと全体的にループが僕で、それにイレギュラーというかランダムに絡んでくるのが悠治さんという感じで。ループの音が特徴的でしょ?

──それについて聞きたいと思ってました(笑)。

これはさ、すごく変な話で。まず『ATAK001』のタイトルのslipped discって意味わかります?

──わかんないです!

椎間板ヘルニアのことなのね。で、実際に僕は椎間板ヘルニアになったのよ、当時セックスのしすぎで(笑)。まあ、当時は仕事がうまくいってなかったしストレスとかもあったんだけど。

──面白過ぎでは?(笑)。

で、夫婦ユニットの名前が椎間板ヘルニアってエロくていいんじゃないかとかなんとか言って、今思うとエロくもなんともなくて単なるバカなんだけど、ともかく『ATAK001』、『ATAK002』は椎間板ヘルニアとの戦いの中で作られていて(笑)、『ATAK002』の元になるノイズ作ってるときは特に酷くて椅子に座ってられないからね。だから毎日、mariaとベッドでトランプしてたという。いま考えると時間もあったんでしょう。で、トランプしてる時の会話を後でサンプリングしようとか言って、ずっとベットにマイクとコンピュータを回しっぱなしにしてたの。で、そうしたらなんがどうなったのかわからないけど、あとで聴いたら声は全然録れてなくて、ひたすらマイクで録ったシーツがこすれる音が延々と録れてて(笑)。しかし、それが結構いいから、じゃあこれで作ろうってことにしたんだよね。

──あー、その音だったんですね!

そうそう。だから『ATAK001』がメタシンセとかコンピュータ・クラッシュなのに対して、『ATAK002』はマイクから拾ったシーツの音が中心になるという(笑)。

──ヘルニアのくだりから、この話どこにいくのか不安だったので、ちゃんとオチがあって安心しました(笑)。

いやオチなかったら単におかしいやつでしょ。

──ほんとですね(笑)。でもこの作品は、『ATAK001』みたいにまず全体の構造があって、という感じじゃなく、部分がたくさんあってそれが集積している、という感じなので、いまの話聞いて、いろいろ腑に落ちましたね。

いろいろと腑に落ちる企画ですね(笑)。

──じゃあ、ある種のコンセプトを想定して、というのとは全然違うんですね。

でも、悠治さんがランダムにくるのはわかってたから差異と反復じゃないけど、反復の方のパートを僕が受け持って、そこから逸脱していくみたいな想定はライヴやる前にあったかな。

──アルバム制作の過程で、けっこう悠治さんとはやり取りしたんですか? ディスカッションとか。

途中で聴かせたりとかしたかな? ディスカッションというか、当時はよく電話で話してたから。その中で話すという感じだったかな。

──悠治さんから、こういうものにしたい、みたいな話はありました?

反復が単なる反復ではなくて、ずれていったほうがいいとかは言われたかな。でも、それは彼の一貫して言ってることですね。で、このアルバムでその後のATAKの方向性が一度決定的になるんですよね。音のマテリアル感とか今では話す人たくさんいるし、共有認識になってるけど当時それを徹底的にやっているアーティストとかレーベルはそんなになかった。で、そこをやろうという決心がついた。それは僕がもともと持っていたハーモニーとかメロディの知識とか素養と決定的に離れて行くということなんだけど。

第2回に続く

PROFILE

渋谷慶一郎

音楽家。1973年生まれ。東京芸術大学音楽学部作曲科卒業。2002年に音楽レーベルATAKを設立、国内外の先鋭的な電子音楽作品をリリースする。代表作にピアノソロ・アルバム『ATAK015 for maria』『ATAK020 THE END』、パリ・シャトレ座でのソロコンサートを収録した『ATAK022 Live in Paris』など。また、映画「はじまりの記憶 杉本博司」、ドラマ「TBSドラマSPEC」など数多くの映画・TVドラマ・CMの音楽も担当。2012年には、初音ミク主演による世界初の映像とコンピュータ音響による人間不在のボーカロイド・オペラ「THE END」をYCAMで発表。同作品は、その後、東京、パリ、アムステルダム、ハンブルグ、オーフス、アブダビ、ジョージアなど世界数カ国で公演が行われ、現在も上演要請が絶えない。2016年にはサティ、ピカソ、コクトーのコラボレーション作品「Parade(パラード)」のリメイク「Parade for The End of The World」をパリで発表。2017年にはパリ・オペラ座でパリ・オペラ座・エトワール、ジェレミー・ベランガールとビデオ・アーティストチームのエイドリアンM & クレアBとのコラボレーションによる「Scary Beauty」のダンスバージョンを発表。最新作はアンドロイドとオーケストラによるモノオペラ「Scary Beauty」で今年9月に初演が決定、その後は世界巡回が予定されている。これまでにアーティストの杉本博司、複雑系研究者の池上高志、ロボット学者の石黒浩、パリ・オペラ座・エトワールのジェレミー・ベランガールなど数多くのアーティスト、またルイヴィトンやピガール、エルメネジルド・ゼニアといったファッションブランドともコラボレーションを展開している。現在は東京とパリを拠点に活動を展開している。

ATAK Official Site

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インタヴュー

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筆者について
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