ATAK過去作配信第6弾、レジェンド、刀根康尚のライフ・ワーク集、そしてサウンドトラック三部作へ
2017年9月11日より、渋谷慶一郎の主宰レーベルATAKの過去作品が毎月11日に配信リリースされる。OTOTOYでは各作品に関して、毎回、ライター、八木皓平による渋谷慶一郎本人へのインタヴューを行い解説とともに配信をお送りします。第6弾は、2011年のリリースを中心に3作品を配信。まずはフルクサスへの参加など、まさにエクスペリメンタル・ミュージックのレジェンドとして長らく活動を続ける刀根康尚による1996年から2010年まで14年の歳月をかけて制作された『万葉集』をテーマにしたライフワーク的作品をコンパイルした『ATAK016 MUSICA SIMULACRA』。伊勢谷友介監督作品『セイジ 陸の魚』のサウンドトラックとして制作され、渋谷プロデュースのもと、Oval、真鍋大度、ミカ・ヴァイニオ、Ametsub、そして朋友evalaらが参加したコンピレーション形式の作品『ATAK017 Sacrifice Soundtrack for Seiji “Fish on L』。そしてもう1作は太田莉菜をヴォーカルに、作詞に菊地成孔を迎えた、『セイジ 陸の魚』のメインテーマをポップにビルドアップした『ATAK101 サクリファイス 渋谷慶一郎 feat. 太田莉菜』。
インタヴュー : 八木皓平
『万葉集』に書かれている文字をどんどんノイズに変換していく
2011年1月27日オリジナル・リリース
Yasunao Tone / ATAK016 MUSICA SIMULACRA
01. Book1-1
02. Book2-95
03. Book3-313
04. Book5-897-903
05. Book6-1040
06. Book9-1715
07. Book11-2833
08. Book14-3348
09. Book16-3803
10. Book17-4016 他、全11曲収録
【配信形態 / 価格】
16bit/44.1kHz WAV / FLAC / ALAC
AAC
アルバムまとめ購入 1,050円(税込)
ATAKの公式ショップにCDの僅少在庫あり
──はじめていいでしょうか。
大丈夫です。
──刀根康尚さんの『ATAK016 MUSICA SIMULACRA』のリリースの話は?
いや、これはどちらかというと僕からですね。
──あ、そうなんですね!
そうそう。
──タイミング的には刀根さんも参加されていた〈ATAK NIGHT4〉(2009年)のときですよね。
〈ATAK NIGHT4〉のツアーが日本とヨーロッパであって。刀根さんも一緒にいる時間が結構長かったんですよね。
──なるほど。
僕的には刀根さんは偉人というか(笑)。もともとファンだったので、最初は緊張したんだけどすぐに打ち解けました。〈Tzadik〉から出てたCDとかよく聴いてたし、憧れの人だったわけです。で、なぜか僕は好きなアーティストとか尊敬してるアーティストは、音楽に限らず、ほとんど会ったり友だちになったりしてるんですよね。
──刀根さんはどんな感じの人なんですか? 渋谷さんとはおふたりでどういう話をしたのかなど、気になります。
それが非常に面白い人で。なにしろアメリカで活動はじめたときには…… 誰の本だっけな。
──誰の話でしょう(笑)。フルクサスの頃ですよね。
ボードリヤールじゃなくて…… 。
──哲学者ですか?
うん。
──とすると、刀根さんと繋がりそうなのは、フッサール、デリダ、ラカン……。
あ、フッサールかな。刀根さんは、フッサールのなにかを原書で読んだっていう。でもフッサールの本なんて、日本語に翻訳されたものでも読むの難しいでしょ。
──難しいですよね(笑)。
でもさ、「これくらい読めないとアメリカの知識人と渡り合えない」と当時思って、刀根さんは原書で読んだっていう。たかが英語で哲学書読むっていうけど、事実相当難しいし、その後に作品になって血肉化してるでしょ。それはすごいなと思ったな。で、同時に女の子の話も大好きという。
──まじですか!(笑)。
(話題や興味の)幅の広さが僕とすごく近くて、デリダがどうとかと言う話と女の子の話とが往復してましたね(笑)。
──すげえな。。
そんな内容で刀根さんと話をしていたので、〈ATAK NIGHT4〉のジャパン・ツアーで一緒だった池田亮司さんに呆れられた記憶がある(笑)。
──うけますね(笑)。それにしてもすごい構図だな!
刀根さんはすごく魅力的な人です。チャーミングというか。それでベルリンで〈ATAK NIGHT4〉というのをやったんですけど。これが以前この連載でも話した、mariaが死んで、僕が精神的にボロボロでノイズのツアーやったというやつなんですけどね。
──前回お話しいただいたやつですね。
ベルリンのATAK NIGHT4は僕、刀根さん、Pan sonic、evala君という組み合わせで1000人くらいお客さんが来て超満員、大成功だったのね。
──おお…… 。
で、そのあとにベルリンからケルンに移動して。ケルンではPan sonicはいなくて、出演は僕、刀根さん、evala君の3人。そこでも車中でひっきりなしに話してたわけです。
──楽しそう(笑)。
で、その頃、僕は荒川修作さんと出会った頃なんですよ(その後リリースされる『ATAK019 Soundtrack for Children who won’t die, Shusaku Arakawa』はドキュメンタリー映画「死なない子供、荒川修作」のサウンドトラックを手がける)。
──あ、そうなんですね!
荒川さんの作品が中学生くらいの頃からずっと好きで、やっとご本人に出会えて。「今度、荒川さんと一緒になにかを作れるかもしれないからすごくうれしい。でもそれは刀根さんとご一緒できるのも同じ様にうれしいんですよね」みたいな話をしたわけ。
──なるほど。
そしたらさ刀根さんが「荒川? あいつは誇大妄想だよ?」とか言い出すわけ(笑)。
──やべーーー(笑)。刀根さんのインタヴューをいくつか読んでると、けっこう色んな人のことそうやって言いますよね。
そうそう(笑)。で、刀根さんが「いや、待てよ。でも『万葉集』を全てノイズに変換するというのも、誇大妄想だよな……」とか言い出して。
──素晴らしい流れだ……。
「いや、だったら彼(荒川修作)は正しいのかもしれない」とか言って笑っていて、それがこの作品との関わりのはじまりでしたね、長いけど(笑)。
──『ATAK016』は『万葉集』に書かれている漢字のイメージを抽出して、それをスキャンしてデジタル化。そのデータをグリッチ・ノイズに変換して……と、書いてしまうと簡単ですが、こういう理解でイイんでしょうか。
と言われているんだけど、僕が聞いて覚えている範囲で言うと、たしか、まずこの作品で「レディメイド」と言うのが大事な概念なのね。
──なるほど。
で、「レディメイド」と言うのは何かっていうと、さっき、イメージを抽出してとか言ってたけど、実はそれってなんのことだかわからないじゃない?
──はい。漢字の字の由来を調べて、そこから連想されるものをイメージとして使う、みたいなことは刀根さんのインタビューかなにかで読みましたけど。
『万葉集』は当然、漢字で構成されていますよね。例えば1文字目に「空」とか書いてあったら、「空」の画像をネットからランダムに、というか恣意性を排除して拾ってくるわけ。で、その「空」の画像ファイルを音に、というかノイズに変換することを音響化と言っていたけど、そのためのプログラムをコラボレーターのプログラマーと作っていて、それで『万葉集』に書かれている文字をどんどんノイズに変換していくという話だったな。ただ、文字には意味と形の関係があるから、そこの連関を画像で探してとかいうこともあったな。
──途方もないですよね。
そうそう。文字通り『万葉集』の全てを音響化する。歌にして4500首以上になる。それをノイズに変換したという途方もない作品なんだよね(ATAK公式サイトによれば4516首!!!!)。
──さらに、これをCD化しようっていうのはすごいですよね。
というか、『ATAK016』は作品の規模としては、実はとてつもないもので。
──ほんとですよ(笑)。
もともとある、その4000首以上の歌から生まれたノイズを全て聴くと2000時間超えるのね。
──はい(笑)。
だからCDとかでは無理で、『ATAK016』はボックス仕様だったんです。CD-ROMに2000時間以上の音源を全てを収録というか収納して、そこから僕がなかばランダム、なかば恣意的に12曲をコンパイル、これをマスタリングしてCDヴァージョンとして、このCD-ROMと一緒にボックスに入れたんです。
──そのコンパイルの作業もまた大変そうですけど。
だから、今回配信するのはこのCDヴァージョンの部分ですね。
──このボックスには、刀根さんの解説も入ってたんですよね。
そう、書き下ろしてもらった。世界限定500部で直筆のナンバリングも入ってる。価格は1つ1万円。
──売れ行きとかってどうでした?
これはさ、というこかこれもさ、逸話があるんだけど。
──お、なんでしょう。すでに作業量みるだけでもどう考えても1万円でも赤字のような……。
まず、作るにあたって、仕上がりが素晴らしい箱を作る職人さんがいることを教えてもらって。で、1箱の原価で1000円するわけ(笑)。原価ね。
──すでに稼働だけでもやばいのに、さらにコストが(笑)。
そうそう(笑)。でも、絶対にこの箱がいいと思ったし、僕がいいと思っただけで実現できるのは自分でレーベルやっていることの、いいところだなと思ったな。
──アツ過ぎでは……。
だから当然、売れなかったらものすごい赤字なわけ。でも、この作品は刀根さんのライフワークじゃない?
──間違いなくそうです。思想的にも、音楽的にも。
だから僕ができる範囲で万全な状態でリリースしてあげたかった。で、僕はその1箱1000円の、職人が作った角の仕上げとかが完璧な箱、これはこの作品に本当にふさわしいと思ったのね。
──ぼく、これはちゃんとボックスの実物を持っていますが、モノとしてほんとに素晴らしいんですよね。
でしょ。
──しかし、そんなに金がかかってたとは(笑)。これは自主レーベルならではですね。
そうだよね。自分の会社だからできる判断。
──この作品の思想的な文脈って、たしかデリダの音声中心主義批判に対するリアクションでもあるんですよね?
そうだね。西洋音楽はつまりアルファベットという音声中心主義の内側にあるもので、それに対して表語文字として漢字を素材にすることで西洋音楽の外側に存在するという明確なコンセプトがあるという。
──そういうところは、高橋悠治さんの音楽ともリンクしてくる部分がありますよね。簡単に言うと、いかにして西洋の外部に立つか、という。
でも、あの二人は近いところも遠いところもある。
──あー、なるほど。
ただ、明確なのは西洋のテクスト、文字の外にある漢字から作られた音楽が西洋音楽では解釈では不能なノイズとして生まれ変わっているというのは、やはり徹底しているよね、結果に対しても。
──『万葉集』、というのはアジアというより漢字というメディアに惹かれたという感じなんでしょうかね。
あ、冒頭で話した、刀根さんが原著で読んだフッサールの本というのは『幾何学の起源』だ。今頃思い出したけど(笑)。
──あ、そうなんですね!
刀根さんの『万葉集』というのは、イコールアジアということではないと思う。音声中心主義からなるアルファベット、そこから生まれた西洋音楽批判とやはり僕は、意味の外という意味でのノイズということじゃないかなと思うんだけどね。
──なるほどです、それが聞けてすごくよくわかりました。ここ、けっこう大事かなと思いまして。やはり刀根さんや高橋悠治さんの世代の問題意識みたいなところが本作にも関係してて、そういった一貫した思想が結実しているという意味でもライフワークなのかなと。
デリダは『声と現象』とか『エクリチュールと差異』じゃないかな。
──フッサールが『幾何学の起源』なら、デリダはそれに長い序説を書いてるので、それもあるかもですね。
そう思う。
──『幾何学の起源』のデリダによる序説は、東(浩紀)さんが重要視してるテキストでもありますよね。
あの序説は、むしろ『幾何学の起源』本編よりも面白かった記憶がある。
──それはまったく同感です。そういえば、渋谷さんも東さんの文章に音楽つけた、みたいな話ありませんでしたっけ。刀根さんの話から少しずれますが(笑)。
それは「二つの手紙」という曲があってカセットテープでリリースして、僕のデビュー作ですね。A面には僕と高橋悠治さんの40分くらいの即興が入っている「酔鍵糸竹」というものですね。
──おふたりとも20代とかですよね(笑)。
僕は在学中で、東くんが大学院じゃないかな。彼が書いた後に「存在論的、郵便的」になるデリダ論のテクストを使わせてもらって、雅楽の楽器と西洋楽器と声の曲を作ったんだよね。これは初めて悠治さんとやったイベントで発表したんだ。
──え、そうなんですね!
今はなき表参道の〈Blue〉というクラブが会場で東くんにも初めて会ったんだよね。イベントに来てくれて。
──あれ、じゃあ、会う前にテキスト使ったんですね。
電話だけでやり取りしてね。
──いい話すぎです……。
『批評空間』に載ってた東くんのデリダ論がすごく良くて、テクストで使いたいからっていう電話を出版元の太田出版にして。お互い実家の電話でやり取りしてた(笑)。
──貴重なお話をありがとうございます(笑)。
ま、刀根さんのCDの話に戻るとCDバージョンの音はキムケンのマスタリングで仕上げて、もとよりも太くなっていると思う。CDバージョンを作る際にオーディオ作品ということを意識して、元のデータ・オリエンテッドな感じを遵守するよりは聴かれるものとして、という側面が強いです。
──ですです、いつものことながら音がホントに良くて、徹底的で、グリッチ音楽の一つの頂点のようなものになってますよね。
そう思います。本当のグリッチだしね。あ、ちなみにジャケットは、これも新津保さんの撮影。僕の希望でポジをプリントアウトしてます。
──へー!
つまり実際には撮影されてないヴァージョンというか。あとはなんか刀根さんはフロイトに似てるから(笑)。そういう感じにしたいと思って、
──たしかに言われてみたら似てるかも……。
僕のジル・サンダーの白いシャツ着せて撮影しました(笑)。
──〈ATAK〉の作品って黒のイメージがあったので、当時は目が覚めるような白のジャケットが刺激的だったんですよね。
とにかくこのころは、色々変えたかった時期だから。ちなみにこのボックスも本当に少しだけ、ATAKの通販で売ってます。10箱とかそういう感じだったと思う。これは100%再販とかない。だって、制作に13年とかかかってるから元のデータ形式が古すぎて。それを1つのCD-ROMに入れるのにAdobeに太田さんっていう友達がいてさ、彼に協力してもらってなんとか出来上がったんだよね。
──はい! もちろんです。13年は半端ないな。というわけで、残り10箱、購入必須です。すぐ売れそう(笑)。
そうだね。
ATAKの公式ショップにCDの僅少在庫あり
このサントラは3.11をまたいで作られた
2012年2月15日オリジナル・リリース
ATAK017 Sacrifice Soundtrack for Seiji “Fish on Land”
01. Keiichiro Shibuya / Sacrifice Seiji “Fish on Land” Opening
02. Ametsub / Cycle
03. evala / Beginning
04. Keiichiro Shibuya + Marihiko Hara / Chord
05. Daito Manabe / Triangulate
06. evala / Recall
07. Oval / Two
08. evala / Water
09. Keiichiro Shibuya / Raveling
10. Keiichiro Shibuya / Act of Love
他、原摩利彦、ミカ・ヴァイニオの楽曲など全23曲収録
【配信形態 / 価格】
16bit/44.1kHz WAV / FLAC / ALAC
AAC
アルバムまとめ購入 1,500円(税込)
──『ATAK017 Sacrifice Soundtrack for Seiji “Fish on Land”』から、渋谷さんのサントラ・シリーズがはじまるわけですよね。
ああ、確かに。
──さっき気づいたんですよね、3枚連続でサントラっていうことを。
そうなんすよ。
──これはサントラを3枚やるということではなく、映画の話が単純に順番通りにきたということですか?
そうです。リリースの順番を変えたりとかいう恣意性ないです(笑)。
──『ATAK017』はメンツはありえないですよね。なんかぼく、いつも「ありえない」って言ってますが。
いま、考えるとね。当時もそうだったかはよくわからない(笑)。
──ほんとですか? なんか当時もテンション上がったんですけどね(笑)。
当時、「告白」っていう映画の音楽をやったんです。僕はエンドロールをピアノソロで弾いたりしたんだけど、その映画音楽が僕から相対性理論、レディオヘッドとかとにかく幅広いコンピレーションで出来てたんです。で、これはやり方としてアリだなと思っていて、この映画のオファーを受けた時に、エレクトロニカというか電子音楽のコンピレーションで映画のサントラを作れたら面白いなと思ったんです。
──ああ、そういう経緯だったんですね!
映画のコンセプトとか俳優とか演出の感じをざっと見て。で、参加アーティストを僕が選んでシーンを割り振って、オファーしていったという。最初に何人かを選んでラッシュを観て配分、だったかな。
──ラッシュを観て、どの部分に音楽が必要かって直観的に決めてく感じです?
まず分量を見る。映画のボリューム感というか。「どのくらいの量の音楽が必要かな?」という。
──最初に監督の伊勢谷さんからのディレクションはなかったんですね?
コンセプトとか、ここは絶対に欲しいというのはあって。
──コンセプトっていうのは、音楽のコンセプトですか?
映画のコンセプト。で、これは忘れもしないけど、このサントラは3.11をまたいで作ったのね。
──あ、そうか。
3.11の直前に僕はフランスで〈filmachine〉というインスタレーションの展示があって、出発する前にそれぞれのアーティストにシーンごとの音楽の発注をして渡欧した。そして、3.11の3日後、つまり3月14日には日本に帰国して。
──すごいスケジュールですね。
できあがって送られてきた音楽を映画に合わせて組み合わせて、ミックスしていくという作業が3月15日からスタートする予定で。でも日本はそれどころじゃなくなっていて。
──そういう時期かー。
帰国したら「東京で空気吸うと放射能汚染で死ぬ」とかいうデマが流れていて、とはいえ僕は帰国したばかりでいまいちよく状況がわからないから。とりあえず、その時付き合ってたガール・フレンドと京都に避難して。
──いきなりガール・フレンドが登場してビックリしました(笑)。
だって、その状況で見捨てられないでしょ(笑)。だから無理矢理京都へ連れていって。僕は京都のホテルですっとこのサントラの作業をヘッドフォンでしてた。
──そんな状況だったんですね……。
だから“サクリファイス(sacrifice:生贄、犠牲の意味)”というのは、もとの映画のタイトルでもなんでもないんだけど。僕が本能的につけたタイトルなのね。同時に、ここから“サクリファイス”、“イニシエーション”、“THE END”という三部作も始まるという。これも今考えると狂ってるなと思うんだけど。
──映画の内容ともリンクしてますよね。
うん、リンクしてる。
──ぼく、この作品ではじめて、真鍋(大度)さんって音楽作れる人なんだって知ったんですよ(笑)。DJやってるのは知ってたんですけど。
僕はむしろターンテーブルで色々やってるみたいなイメージだったから。これはたしかバーでダブステップかかってるみたいな感じにしたいから作ってとお願いした曲で、いいですよね。
──あとは、オヴァルが生ドラム使ってますよね? 2曲とも。これがじつにカッコよくて。
これは当時の彼の『O』というアルバムの──たしか当時リリースされた、ひさびさのソロ・アルバムだったんだけど──あの当時の彼のスタイルだよね。で、僕はそのアルバムを聴いて、この映画に合ってるなと思って直接メールして頼んだ。
──あ、そういえば最初に聴くべきだったんですけど、みんな必ず渋谷さんのピアノ音源を使って作曲してるという認識でいいんでしょうか?
いや、そうじゃないのもあります。それはシーンによってだったな。
──ですよね。「あれ、これ使ってるかな?」という楽曲もあったので。
「このシーンはピアノなしで最初から作って欲しい」とかオファーは様々ですね。
──相対性理論の永井(聖一)さんのもよくて。そもそも渋谷さんがギタリストとコラボっていうのが、個人的には意外でした。もちろん、その前の相対性理論とのコラボがありきだったわけですけど。
これはたしか、彼とCMの音楽を作ったことがあって、その時にギターでコードとかノイズとかいくつか音素材を弾いてもらった断片というかファイルをもらっていて。それをはめたんじゃないかな(笑)。いくつか「ギュイン」とかギターの音がいってるのは絶対にそう。
──へー!
彼とこのときにスタジオに入った記憶はないから、ファイルのみのやりとりだったと思う。
──Ametsubさんの楽曲は、このサントラで最も注目すべきものですよね。
彼の音楽はこのサントラですごく大きな役目を果たしたと思う。「単なるエレクトロニカの寄せ集めにならないエレクトロニカのサントラ」という僕のコンセプトを忠実に理解していたのは彼かもとも思う。
──2曲目、Ametsubさんの「Cycle」で、この作品は微温的なエレクトロニカではないと、わかるんですよね。
そうね。メイン・テーマはピアノ・ソロだけど。それとエレクトロニクスの橋渡しにもなっている。しかもビートのような周期性も含んでいる。
──そうなんですよね。ピアノとエレクトロニカ、というと、わりとフォークトロニカ的なぬるいやつになりがちだけど。
そうなってないでしょ。
──本作はそういうものとは全く違うんですよね。
フォークトロニカとか死ぬほど嫌いだったので(笑)。
──でしょうね(笑)ピアノとエレクトロニカといったとき、そこにいっちゃう人たくさんいますからね。この作品はまさに「アコースティック・エレクトロニカ」といえるものになってます。
本質的な意味でね。ちなみにこのアルバム、すごく音良くないですか。
──それ、きこうとおもってました、エンジニアが凄いんですよね。
ピアノのレコーディングは葛西(敏彦)君。マスタリングはマッシヴ・アタックの『プロテクション』とかビョークの「Debut」とかやったマイク・マーシュ。この人のマスタリングは本物です、本当に。音の感触とコアというか芯の部分を出す技術が天才的で、どんなにひどいスピーカーでも音がよく通る、耳に届く。フィーも高かったけどどうしてもやってみたくてお願いしました。
──渋谷さんはこういうところで贅沢しますよね。
この時期のマスタリングは海外の素晴らしい人たちに頼んでいて、こういうレベルを知らないと、というか身をもってリスク負っても経験しないと先がないなと思ってた。CDを買ってきてこのマスタリングはいいとかミックスがどうとか言ってるのは素人でもできるけど、それを自分もしくは自分の会社のお金で高いマスタリング・フィーを払ってやってみると、そのマスタリングの効能がどうなているのかという意味でも聴くからシビアに良さとか価値がわかる。
──「サクリファイス」の歌モノのほうでも、デヴィット・アシュールですしね。方向性は違うけど、どちらもほんとにすごくて。
彼に頼むのはすごいセレクションでしょ。当時デヴィッド・ゲッタの曲をやってた。
──懐かしいですね(笑)。
デヴィッド・ゲッタの音楽は、僕の音楽とは違うけど音像の作り方とか、あとはシンセと声をリバーブとかディレイでまとめる作り方が面白いなと思っていて。
──ああ、なるほど!
で、デヴィット・アシュールは確かアナログ・マスタリングでしたね。何回かやり直してもらったんだけど。
──へー!!
トータルリコールができないからとか、ブツブツ言ってた記憶がある(笑)。
──それはたいへんだ(笑)。というか、渋谷さん、トム・コインにもやり直しさせてませんでした?
いや、やり直したのはテッド・ジャンセンです。
──あ、そうだ!
『THE END』のアルバムで。
──『ATAK017』に戻るんですけど、でき上がった音楽を実際映画につけるじゃないですか。
はい
──その段階って、監督も一緒にディスカッションしますよね?
映画によるかな。ただ、僕はあまりやり直しがないタイプです。
──あ、じゃあできたものをここに音楽をはめて、っていう感じでスムーズにいったんでしょうか?
結構ギリギリまで先方の意図を聴いてから作業に入るので、決めうちで「こういう感じ」でというのを作るかな。『ATAK017』の場合は、そもそも他人の曲もあるから修正のディレクションをしたりとかは僕の判断でやったんですよ。だから「これで良いな」と思った段階で聴かせてました。
──あ、じゃあ映画に音をつけていく過程で、なにかハードルにあたるということはなかったんですね。
ああ、ありましたよ。そこで、すごく論争というか議論になったこともあった。
──それはどういうことで議論になるんですか?
これは独特の感覚かもしれないけど、映画自体のサイズ感という意識が僕にはあってね。そこに合わせて音楽を設計しないといけないと思うんですよ。だからクライマックスだからって、映画自体のスケールが大きくないサイズの映画で壮大なオーケストラパッドみたいなものは鳴らない方がいいでしょ。ただ、そのサイズの振幅というのは監督と、音楽監督の間で齟齬がある場合が埋めていかないといけない問題なんですよね。
──なるほどですねー。色々議論を重ねて完成させたと。決裂しなくてよかったです(笑)。
それは本当にそうです(笑)
──黒澤明と武満みたいになったら悲惨ですからね(笑)。
まあ、それはそれでいいんじゃないかなとも思うけど。
──『ATAK017』は、このへんでしょうか!
このパッケージでは、すごい実験的なことをしているんです
2011年1月27日オリジナル・リリース
Keiichiro Shibuya / ATAK101 サクリファイス 渋谷慶一郎 feat. 太田莉菜
01. サクリファイス (feat. 太田莉菜)
02. サクリファイス (ピアノ+ヴォーカル バージョン) [feat. 太田莉菜]
03. サクリファイス (インストゥルメンタル バージョン) [feat. 太田莉菜]
04. サクリファイス (ダブミックス バージョン) [feat. 太田莉菜]
【配信形態 / 価格】
16bit/44.1kHz WAV / FLAC / ALAC
AAC
アルバムまとめ購入 1,050円(税込)
ATAKの公式ショップにCDの僅少在庫あり
次は「サクリファイス」についてですよね。
この作品は、ヴォーカルが太田莉菜さんで、作詞が菊地成孔さんという布陣ですけど、これはそれぞれどういった経緯でお二人に依頼することになったのか聞かせてください。
この年はすごく忙しくて、全てがうろ覚えなんですけど……まず、『ATAK017』のサクリファイス、つまり映画『セイジ 陸の魚』のサウンドトラックのメインテーマを僕が作曲した、というのがまず最初。
──はい。
で、それが思いの外、ポップというか吸引性が高いものができたので、当時、これのヴォーカル・バージョンをシングルでもいいから作りましょうということにユニバーサル・レコードとなったんです。結局色々あって配信はユニバーサル、盤は〈ATAK〉となったんですけど。
──あ、そうなんですね!あれだけポップな仕上がりだったので、最初から歌モノありきでメインテーマ作ったのかと思ってました。
全然違うんです。
──なるほど!
というか映画のエンドロールにタイアップの歌ものが流れるのは僕はいまだに断固反対です(笑)。どれだけ安っぽいんだという。
──これまたいい話ですね(笑)。
映画がブチ壊しになってることありますよね、これは日本の映画に限らずですけど。
──全くそうですね。エンディングにロック・バンドのバラードが入ってたりすると全てが吹っ飛ぶことがたまにありますよね(笑)。
だから映画のエンドロールでそのヴォーカル・トラックを使うとかいう発想は全くなかった。ただ、曲がポップだなというのは確かにそうなんで、ヴォーカル・ヴァージョンを作ろうと。で、太田梨菜さんにユニバーサルの会議室で会って、色々話して帰りに確か途中まで一緒に歩いて帰ったのかな? そこで思ったのは非常に魅力的な人だなというのと、抑圧されてる感というか不自由な魅力みたいなものがあったので(笑)。これはやってみようということで実現に至ったという感じです。
──不自由な魅力(笑)。
まあ、この「サクリファイス」というのは、元の映画でテーマになっている理不尽な運命の不可避性みたいなのとリンクしているのと同時に、当然、福島の地震と事故に対する僕なりのアンサーという部分もあったわけです。当時のあの地震に対する音楽のリアクションの多くには納得いってなかったということもあって。だからなんというか、単純な話、歌い上げ系の「黒人になりたいんです!」みたいなディーヴァ系のシンガーとかじゃ話にならないんですね(笑)。
──おもしろすぎる(笑)。
太田さんはその逆、見事にすべてが逆というのが良くてお願いしたんです。
──作詞は、震災へのリアクションと受け取れるものにもなってますよね。
それはそういう風にしたいと、菊地成孔さんとパークハイアットのカフェで打ち合わせをした時に伝えました。
──菊地さんとは、本作でやり取りする以前に親交はあったんですか?
東くんの雑誌『思想地図β』で鼎談したのが先か、前かどっちかな、忘れたな。あ、でも、初対面は違うんだ、1999年頃。
──え、20年前!
たしか明和電機のヲノサトルさんが小川範子さんをプロデュースして、その曲の影のプロデューサーが菊地さんだったんです。それで僕はそのCDでリミックスをやっていて、そのとき一度ご飯というか飲みというかよくわからない会い方をしてました。でも、そのあとはこの曲かその対談までなにもない。
──またすごい固有名詞が…… この曲の詞を菊地さんに頼もうと思った経緯を教えてください。
それは割とすんなり決まった気がします。というか特にこういうポップなプロジェクトの場合は、その時の日本なり東京なりの状況を如実に切りとれる人と一緒にやりたいという癖みたいなものが僕にはあって、これは菊地さんにお願いしたいなと思ったんじゃないかな。
──この時期の渋谷さんはとくに、そういう傾向がありますよね。『イニシエーション』の東浩紀さんも、『THE END』の岡田利規さんも独自のやり方で日本の状況を切り取ってました。
例えば今、こういうプロジェクトがあったとしてもそういう切り口になると思います。というのは、その方が絶対に面白いから。
──実際どれも成功してますからね。
ただ、意外とメディアとか批評はその辺を突っ込んでこなくて。毎回がっかりしてますね。「ダメじゃん、何も考えてないじゃん」とか思うことありますね(笑)。
──うーん、かなりある意味では言及しやすいポイントなんですけどねぇ。この曲がリリースされたときのSNS、主にTwitterでのリアクションおぼえてるんですけど。
ああ、それは知りたいな。僕は覚えてないです(笑)。
──とにかくみんなこの曲のメロディの中毒性がやばい、アディクトされる、無限に聴けるって言ってましたね。
それはそうらしくて、某メジャーで大ヒット連発してるディレクターに「この曲はメジャーで出してたら100万枚行ってたと思う」とか言われました。が、実際はそんなに売れてないです(笑)。
──作曲の段階では、実際メロディでアディクトさせようというのはありました?
いや、このメロディはたまたまできたものなんですよ。このメロディができたときのことで覚えているのは、これは僕のスタジオじゃなくて、日曜に自宅で洗濯かなんかしてたら、なんか降りてきたという感じで。自宅にもアップライトピアノがあるんですけど、それで弾いてみたら良かったから、そのまま出来たという曲で。
──やっぱりそういうものこそが強いのかもしれませんね。
それはそうでしょう。早く出来たものは強い。感動したり惹きつけられる脳のサークルというか回転数みたいなのは絶対にあると思っていて。そのスピードと同じひらめきで出来たものがアディクションするものだという確信はあるんですけどね。これ、脳科学系の人に会うたびに、解明してくださいよって言ってるんですけど(笑)。
──茂木健一郎さんにおねがいしてくださいよっ(笑)。
というか茂木(健一郎)さんに会うたびに言ってます(笑)。他にも会えば言う人がいるから脳科学系の人とか忖度しましたけど(笑)。
──あとは2曲目の生々しさが半端じゃないんですよね。この録音はDSD録音ですよね?
そうです。このパッケージでは、実は実験的なことをしていて。1曲目のタイトル・チューンは全てソフトシンセの打ち込みでアナログは一切なし。歌も当時、K-POPでKARAっていたでしょ? あの人たちの楽曲の音程を修正してる職人が天才的にうまいっていうんで、その人にバキバキに歌の音程も直してもらって、全身整形みたいに「人工性万歳!」みたいな感覚で作ったわけです。で、その逆に2曲目はそのピアノ・ヴァージョンなんだけど、自分がいつも作曲してるスタジオに莉菜ちゃんに来てもらって、ピアノとその横にマイクを立てて、DSDで完全一発録り。つまりこっちは化粧もしてないスッピンの状態という対比なんです。
──部屋鳴りもしっかりあるので、臨場感、立体感が凄いんですよね。スピーカーの前でほんとに歌ってるみたいな感じで。
僕のスタジオは部屋鳴り、すごくいいんです。
──DSDっていうテクノロジーと、太田さんのヴォーカルがバッチリとハマってますよね。彼女はメロディを手繰り寄せるような歌い方をしていて。それこそ「ディーヴァじゃないことのよさ」がある。
そうだね。このレコーディングでこのプロジェクトが終わった、というか最後の日だったんですよね。それにしても、すごい生々しさだよね。人間、というか。彼女は当然いわゆるヴォーカリストじゃないから1曲目みたいなビートがバキバキに打っているような曲は歌いづらいし、それを元のピッチのズレとかは微塵もないくらい修正されたりとかしてるじゃない?
──そうですね。
しかもこのプロジェクトはタイアップみたいな広告とかすごく多くて取材日も結構あったわけ。それで色々やって来て、このDSDの一発録りのレコーディングが終わった瞬間は「やり尽くした」みたいな空気が流れましたね。確か2テイクくらいしか録ってなくて、一切修正もしてないです。
──このパッケージは、カラオケverを挟んで、最後になんとダブ・ヴァージョンがくるわけですが、これを聴いてて改めて痛感したのが、渋谷さんの歌モノのボトムにあるのはやっぱりベースなんですよね、ドラム・トラックじゃなく。ここがすごく重要と言うか、渋谷さんが作る歌モノの最も現代的な部分でもある気がして。
日本の歌ものはドラム・トラックが鳴りすぎてると思います。いくら欧米の真似して作っても、あんなに平たくドラムがずっと鳴ってるのは根本的に作り方の違いを感じますね。メトロノームみたいに鳴ってるでしょ。
──メトロノーム(笑)。
もし次にポップというか歌モノのプロデュースとかプロジェクトやるときは、エレクトロニックだけどほとんどドラムはナシみたいなスタイルでやりたいなと思ってますけど。
──おおっ、それは面白そうですね。いま、海外における先鋭的なエレクトロニック・ミュージックの最先端は、ほんとにドラムトラック最小限ですよね。
そうです。それはスピーカーのサイズが小さくなってて──典型的なのはiPhoneとか──4つもキックが鳴ってるとメロディも歌も何も聴こえなくなるということもあると思うけど(笑)。でも、ドラムトラックは最小限にして他のディティールを生かす方向になってきてますよね。
──ベースを軸にしたとき、歌モノにとって面白い効果があるとしたらなんでしょうね。
16世紀くらいの対位法に戻る感じがあるんですけど。
──あーーーー。なるほど。
通奏低音と旋律みたいな。最小限で何ができるかという。
──一部のEDMって、もしかしたらそういうところがあったかもしれませんね。
途中から全然聴かなくなったから、よくわからないんだけど。
──ぼくもです(笑)。
EDMは結局同じだから、どれも。最初から否定的とかでは全然なかったんだけど。
───『サクリファイス』は『イニシエーション』、『THE END』に繋がっていきますよね。たしか同時進行でしたよね?
重なっていたと思います。
──だからここで話していただいたことは、それらの作品とも共通性があるのかなと。
この頃の僕の音作りの核になっていたのはイタリアのソフトシンセ、Vanguard。これはトランスとかEDM、ハードテクノ仕様なんだけど、パラメータ次第では本当に良い音がして。この頃はシンセストリングスとかリードとか、ほとんど全てにこのソフトウェアを使ってましたね。さっきあげた3つの作品ともに共通してるのはそこかもしれない。ここから始まってることはすごく多いんですよね。ちなみにこれもCDは在庫多少あります。
──今回も濃い話ありがとうございました!'
ATAKの公式ショップにCDの僅少在庫あり
第7回に続く
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PROFILE
渋谷慶一郎
音楽家。1973年生まれ。東京芸術大学音楽学部作曲科卒業。 2002年に音楽レーベルATAKを設立、国内外の先鋭的な電子音楽作品をリリースする。代表作にピアノソロ・アルバム『ATAK015 for maria』『ATAK020 THE END』、パリ・シャトレ座でのソロコンサートを収録した『ATAK022 Live in Paris』など。また、映画「はじまりの記憶 杉本博司」、ドラマ「TBSドラマSPEC」など数多くの映画・TVドラマ・CMの音楽も担当。 2012年には、初音ミク主演による世界初の映像とコンピュータ音響による人間不在のボーカロイド・オペラ「THE END」をYCAMで発表。同作品は、その後、東京、パリ、アムステルダム、ハンブルグ、オーフス、アブダビ、ジョージアなど世界数カ国で公演が行われ、現在も上演要請が絶えない。 2016年にはサティ、ピカソ、コクトーのコラボレーション作品「Parade(パラード)」のリメイク「Parade for The End of The World」をパリで発表。2017年にはパリ・オペラ座でパリ・オペラ座・エトワール、ジェレミー・ベランガールとビデオ・アーティストチームのエイドリアンM & クレアBとのコラボレーションによる「Scary Beauty」のダンスバージョンを発表。 最新作はアンドロイドとオーケストラによるモノオペラ「Scary Beauty」で今年9月に初演が決定、その後は世界巡回が予定されている。 これまでにアーティストの杉本博司、複雑系研究者の池上高志、ロボット学者の石黒浩、パリ・オペラ座・エトワールのジェレミー・ベランガールなど数多くのアーティスト、またルイヴィトンやピガール、エルメネジルド・ゼニアといったファッションブランドともコラボレーションを展開している。現在は東京とパリを拠点に活動を展開している。