ラッキーオールドサン、希望的な春をもたらすセカンド・アルバムリリース
ラッキーオールドサンが約2年ぶりに待望のセカンド・アルバム『Belle Époque』をリリース。70年代の豊潤なサウンドを、現代的な解釈と日常感覚で独自に消化してみせた。録音 / ミックス・エンジニアには馬場友美、マスタリング・エンジニアには木村健太郎を起用し、安部勇磨(never young beach)、夏目知幸(シャムキャッツ)、角舘健悟(Yogee New Waves)、平賀さち枝やHomecomingsら同世代のアーティストからも支持されるその瑞々しい音楽性はよりふくよかで、彩り豊かなものに更新された。そんな日常に寄り添う彼女たちの本作のレヴューを掲載。
ラッキーオールドサン、2年ぶりのセカンド・アルバム
ラッキーオールドサン / Belle Époque
【配信形態】
ALAC、FLAC、WAV(24bit/48kHz) / AAC
>>>ハイレゾとは?
【配信価格】
単曲 250円(税込) / アルバム 1,800円(税込)
【収録曲】
1. さよならスカイライン
2. ベッドサイドストリート
3. フューチュラマ
4. 写真
5. 夢でもし逢えたなら
6. ツバメ
7. I want you baby
8. すずらん通り
9. Railway
10. Tokyo City Brand New Day
REVIEW : ラッキーオールドサン
春。出会いと別れの季節。新天地へと旅立つ人々の期待がとりわけ着目されるわけだが、個人的にはそんなものよりも、その場にとどまる人の気持ちに是非焦点を当てていただきたいと思う。 というのも仕事場、アルバイト先に新たに加わったメンバーに仕事を教える立場になることの重圧である。これは新しい人間関係を構築していくことより厄介だ。 今まで自分が身につけたスキルが試され、相手のキャパシティーを考えながら自分の仕事を全うすることを考えると気持ちが沈んでいく。とにかく頭を使い、人との関わりが色濃くなる季節だからこそ、息苦しく感じる季節へと変わっていってしまう。 春の爽やかなイメージは何処。しかし、そんな憂鬱に思えた4月に男女によるポップ・デュオのメロディが耳へとなめらかに滑り込んできた。
ラッキーオールドサンが新アルバム『Belle Époque』をリリースした。前作『ラッキーオールドサン』では「街」を通して人々の生活に寄り添う作品だったが、今作はいまを生きる人々そのものを歌っていた。 「ツバメ(M6)」という季節と密接に関わる鳥を歌うことで四季を連想させ、「フューチャラマ(M3)」では“幸せ”を哲学的に解釈するわけではなく、幸せとはなんだろうかと漠然とした疑問だけが駅のホームに投げられる。 日常を実直に歌い上げ人それぞれの心象風景に触れることで、心にぽっとあかりが灯り、体を順々にじんわりとあたためて行くその様はまさに希望的な春だった。
今やカーステレオはCDを入れなくていいし、ダイヤルは回さずタップして、撮った写真はアルバムをめくるのではなくスライドして画面越しに見る時代である。しかし彼女らの音楽が今の日常感覚にカチッとはまるのは、 コンピューターで隙間なくべったり色を塗られた全美なものではなく、スケッチしたような抜け感や風通しを感じる柔らかさを人々が求めているからだ。 憂鬱な春を吹き飛ばすのは強く激しいより、人を通して歌われた優しいポップスの風だった。(text by 宮尾茉実)
過去作もチェック!
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平賀さち枝とHomecomings、お互いのライヴ企画に呼びあう等共演を通じ親睦を深めていった相思相愛の2組によるスペシャル・コラボ・アルバム。
今やインディー・ポップの枠組みを超え、飛躍的にその才能とチャームを開花させたシャムキャッツが、1年5ヶ月ぶりとなる待望のオリジナル作品『マイガール』を、バンドが新たに立ち上げたレーベルよりリリース!
LIVE SCHEDULE
〈2nd full album『Belle Époque』Release Tour〜佳き時代に生まれたね〜〉
2017年5月5日(金・祝)@京都 Live House nano
出演 : ラッキーオールドサン(BAND SET) / 西村中毒バンド / バレーボウイズ
2017年5月6日(土)@大阪 HOPKEN
出演 : ラッキーオールドサン(BAND SET)
2017年5月7日(日)@名古屋 K.D ハポン
出演 : ラッキーオールドサン(BAND SET)
2017年6月3日(土)@下北沢SHELTER
出演 : ラッキーオールドサン(BAND SET)
2017年6月24日(土)@仙台 SENDAI KOFFEE
出演 : ラッキーオールドサン / 路地裏調査隊
その他ライブ情報
〈FOREVER YOUNG BIG〉
2017年4月30日(日)@東京 上野恩賜公園野外ステージ(水上音楽堂)
出演 : ラッキーオールドサン / 石指拓郎 / 井手健介 / 内村イタル / 折坂悠太 / かみぬまゆうたろう / 谷口貴洋 and more…
〈リリース記念インストアライブ〉
2017年5月20日(土)@タワーレコード新宿店
〈Minimal Music meets the Temple〉
2017年5月27日(土)@日蓮宗 妙善寺
出演 : ラッキーオールドサン / 東京塩麹 / マーライオン(前座)
PROFILE
ラッキーオールドサン
ナナ(Vo.)と篠原良彰(Vo,Gt)による男女2人組。2人ともに作詞 / 作曲を手掛け、確かなソングライティング・セ ンスに裏打ちされたタイムレスでエヴァーグリーンなポップスを奏でる。2014年12月にkitiより1stミニ・アルバム 『I'm so sorry,mom』でデビューし、2015年7月には1stフル・アルバム『ラッキーオールドサン』をリリース。詩と歌のシンプルなデュオ編成から、個性的なサポート・メンバーを迎えたバンド編成まで、様々な演奏形態で活動を展開。輝きに満ちた楽曲の数々は多くのリスナーを魅了し、またその確かな音楽性が多くの同世代バンドからも熱烈な支持を得る。2016年4月にはカントリーやブルースといったルーツ・ミュージックの匂いを纏った2ndミニ・アルバム『Caballero』をリリース。2010年代にポップスの復権を担うべくあらわれた、注目のポップ・デュオ。