2017/06/21 00:00

【REVIEW】《12ヶ月連続配信企画》──goodtimes、今までにない妖艶さと情熱的な愛への共感

突如、アーティスト写真もなく素性も知れない2人組ギター・ロック・バンドが現れた。彼らの名前は「goodtimes(グッドタイムス)」。まだほとんど情報がないにも関わらず、2017年3月より《12ヶ月連続音源配信》をOTOTOYで行うことになった。そんな思い切った企画をスタートさせた彼らによる第4弾音源「午前2時」を配信、レヴューを掲載する。

goodtimes12ヶ月連続配信、第4弾

午前2時

goodtimes

¥ 255

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goodtimes / 午前2時

【配信形態】
WAV、ALAC、FLAC(24bit/48kHz) / AAC
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【配信価格】
価格 250円

【収録曲】
1. 午前2時

REVIEW : 情熱的な愛への共感へと昇華する

彼らの曲はカッコ悪い。12ヶ月連続配信の第4弾目にして私がたどり着いた結論だ。今回は「午前2時」のレヴューとともにgoodtimesの音楽そのものに触れていこうと思う。

今作はあまりにも前作の心地よいギター・ロックといった楽曲とは違っており、むしろもどかしさや緊張感を感じる作品になっている。秒針の音と共にヴォーカル朝陽の妖艶な歌声が放たれた途端、一瞬で空気を張り詰めさせる。サビまで一定の緊張感を保ち続け、圧倒的存在感で聴く人を飲み込んでゆく。前作までヴォーカルと並列にいたはずのそうしのギターが一歩下がって歌を立てていることも、歯がゆさを掻き立てる要因の１つである。しかし、サビになると徐々にヒートアップしていく関係性を表現するかのごとく、情熱と切なさを兼ね備えた甘いメロディーを奏でるのだ。「浮気」は非道徳的とみなされることだが、それは社会や感覚によって位置付けられた関係性であり、根本には本能的な愛や繊細さといった人間の自然的状態なことなのかもしれない。「浮気」という当事者以外は距離を置いてしまうような内容でさえ、goodtimesのバンド・サウンドは情熱的な愛への共感へと昇華してしまう。

先述した通り、彼らの曲はカッコ悪い。正確に言うと彼らの楽曲に現れる人間像がかっこ悪くて情けないものばかりである。第1弾から今作まで聴き直してみても、気取った部分を感じることは1度もなかった。私たちは生きている中で道徳的なことや理論的なことばかりでは生きていけないことを知っているし、うまく生きれない自分を何度も嫌いになる。しかし彼らの曲をかっこいいな、なんて愛することは、情けなくてカッコ悪い自分を肯定することに繋がるのではないだろうか。