ANATAKIKOUが5年ぶりにアルバムをリリース! 侘び寂び的美学を感じさせる、今の彼にしか作れない音楽

2016年、様々な名曲が世に放たれた。しかしその裏で、活動休止、解散を発表するアーティストが続出したのも事実だ。WHITE ASH、DOES、HaKU、最近ではYkikiBeatが活動休止を発表。誰もが永遠的存在と考えていた、SMAPまでもが解散する衝撃的な事態となった。好きな音楽の最新が更新されないことを嘆き、永遠などなく、常に世界は流動し続けていることを気づかされた。そんな憂い嘆く空気を打破するように、5年ぶりのニューアルバムリリースと銘打って景気良く口切りをしたのがANATAKIKOUだった。

ANATAKIKOU / 3.2.1.O
【配信形態】
(24bit/96kHz) ALAC / FLAC / WAV、AAC
>>>ハイレゾとは?

【価格】
単曲 257円(税込) / まとめ価格 1,800円(税込)

【トラック・リスト】
1. november stop
2. いちいちみてみて
3. いついつであう
4. 恋はマゼンタ
5. うたになあれ(feat.YeYe)
6. 今日も明日も(2016)
7. 救世主とカンツォーネ
8. 絵に描いたモチーフ
9. 万年筆とガールフレンド
10. MY DEAR

REVIEW : ANATAKIKOU

2001年に結成され、メンバーの脱退を経て、現在は松浦正樹のソロプロジェクトとして活動しているANATAKIKOU。そんな彼が5年ぶりのアルバム『3.2.1.◯』をリリースした。なんともこのひょうきんで遊び心あるタイトルに思わず気が抜けてしまったのだが、このタイトルは、「3人でスタートしたバンドが2人になり、1人になっても、0にはならず○(=正解)を求めて生き続けよう」というANATAKIKOUの物語になぞらえて名付けられたものだという。

5曲目「うたになあれ」では、多部未華子出演CM「ヴィックスドロップ」にて作曲歌唱したことでも話題になったYeYeを迎えることにより、ほんわかあったかくムーディな歌謡曲が歌われている。10曲目「MY DEAR」ではANATAKIKOUというバンドを一人背負い続ける松浦の「劣等感で潰れそう」という語り出しから始まり、「経験なんて雪のよう」とじんわり溶け出してしまいそうな不安や危うさ、儚さを持ち合わせた表現にわびさび的美学を感じずにはいられない。シンプルでアコギのメロディが更にセンチメンタルな気分を増幅させる。彼の作りだす、熟れに熟れ、濃く甘い香りを放つ耽美なメロディラインに酔いしれ、身体が憑依されてしまう感覚に陥る。

「常在」するものはこの世にはない。川の流れが絶えず流れているように、季節が四季を持ち合わせているように、自らの細胞が動き心臓を動かしているように、常に物や人は流動し変化し続けている。それを趣深く感じられることこそ日本の価値ある美的範疇である。松浦正樹はその美しさを表現出来るセンスを持ち合わせているが故に変わりゆく自らを取り巻く状況をも取り込み、メロウなポップスとして打ち出し人々を魅了することができる。理知、人心、物質、全てが揃うべくして揃って出来上がった「時機」をまとった今の彼にしか作れない作品だと全曲聴き終わって気づかされるだろう。(Text by 宮尾茉実)

LIVE SCHEDULE

ANATAKIKOU「3.2.1.O」発売記念ミニライブ&サイン会
2017/2/5(日)@タワーレコード梅田NU茶屋町店 イベントスペース

PROFILE

2001年、大阪にて3人で結成。
メンバーの脱退を経て、現在は松浦正樹主宰によるバンド。ba&cho 杉村美奈(ex ママスタジヲ) 、key 藤井学(The Miceteeth)、dr&cho 山口実紗(ex サルバ通り)、prog クマノツヨシ(nifu)、key&cho 103CA(ANAGUMA / 印象派)と共に精力的にライブを繰り広げている。
(ライブによって編成が異なります。)

ANATAKIKOU HP

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