【REVIEW】《12ヶ月連続配信企画、第5弾》──goodtimes、十人十色は時に人を傷つける

突如、アーティスト写真もなく素性も知れない2人組ギター・ロック・バンドが現れた。彼らの名前は「goodtimes(グッドタイムス)」。まだほとんど情報がないにも関わらず、2017年3月より《12ヶ月連続音源配信》をOTOTOYで行うことになった。そんな思い切った企画をスタートさせた彼らによる第5弾音源「灰色」を配信、レヴューを掲載する。
goodtimes12ヶ月連続配信、第5弾
goodtimes / 灰色
【配信形態】
WAV、ALAC、FLAC(24bit/48kHz) / AAC
>>ハイレゾとは?
【配信価格】
価格 250円
【収録曲】
1. 灰色
REVIEW : 自分の立ち位置が不明瞭なものになってゆく
誰とでも仲良くなれて、周囲にも認められるあなたが憎たらしくてたまらない。何かを極めていたり、何かに振り切ることができる人が羨ましい。性格や容姿の系統、カースト、周りからの評価。様々な要素がその人の色を決定付ける。しかし、それを考えれば考えるほど、自分の立ち位置がむしろ不明瞭なものに思えてくる。鮮やかな色を魅せられない自分は周りを不快にさせているのではないかとまで思えて途端に怖くなる。ここまで私を落ち込ませたのは紛れもなく、goodtimesが打ち出してきた新曲「灰色」だ。
◯◯系と呼ばれる人は、周りからのイメージに沿った振る舞いをできる人なんだろうなと思う。そして、何かに振り切ったキャラクター性を持った上でうしろ指を刺されるなら、貫いた自分の道があるから落ち込むこともないのかもしれない。「自分は赤色なんだから、青色のあなたにわからなくてもいい」と。しかし、何色にも染まりきれない自分は他人にあーだこーだ言われてしまうとまともに立っていられなくなる。それが悔しくて歯がゆい。爽快なギター・ロックで魅せられるgoodtimesを知っているからこそ今作の展開はその歯がゆさを駆り立てるものになっている。絶望的な気持ちにとことんさせるてくる悲鳴のようなギターの音色。朝陽(Vo.)の歌声からも悲しみと憤りがひしひしと伝わってくる。その上、goodtimesの楽曲では珍しく、最後の最後まで希望の光を与えられることなく終わる。なんとも救いようのない1曲なのだ。聞いているこちらが行き場のない感情に呑まれて、気づけば手のひらに爪を立てていた。
十人十色という言葉は人を傷つける。誰しもに美しい色があって、それが個性として認められているわけではない。絵の具のついた筆をバケツで洗った時のようなあの薄汚れた色の自分。キャンバスには美しく彩られた様々な色。劣等感、やるせなさ、怒りは入りまじり、曇天のような「灰色」になる。人が心のどこかで気づいていながら見ないふりをしていた事実を突きつけ、たった3分半でここまで絶望に突き落とす彼らは罪深い。goodtimesはいつかこのトンネルの出口に私たちを導いてくれるのだろうか。(text by 宮尾茉実)
過去作品、記事もチェック
goodtimes / beyond
goodtimes記念すべき初の配信音源。ダサい言い回しでなんかで少し古臭い。でもでも気づけば口ずさんじゃっている。 あんまり書いたことない曲だなと思いつつ、すごく無理のない曲になったというか。(Vo.井上朝陽)
goodtimes / sunny
強引なのいいなーとか、もし思ってしまった方。ダメですよ。こんな色んなとこ雑で、そういう時そういう事言っときゃいいみたいな男はろくなもんじゃないですよ。 そうですね、私です。身勝手な男目線のどうでもいいラヴソング。これは踊らねば。って事でMVで踊ってみました。そちらも是非。(Vo.井上朝陽)
goodtimes / 君の待つ場所
らしさなんて無駄なこと考えてないで手動かせよって思うことがよくあります。周りから飛んでくる辛辣な言葉を華麗にかわせずに倒れそうにもなったり、 時にはきつい言葉で友人に背中を押されながら、君の待つ場所まで今日もなんとか歩いています。(Vo.井上朝陽)
goodtimes / 午前2時
今回は私事で皆様に多大なご迷惑をお掛けしたことをお詫び申し上げます。相手の方を傷つけ、大切な人を裏切ってしまったことを深く反省しており、一生をかけてウンタラカンタラとかいうコメントを発表する日がもし来たら後ろでこの曲流しといてください。(Vo.井上朝陽)
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2014年春『CLIMAX NIGHT e.p.』のデビュー時、シティ・ポップ・サウンドの再来と評され、新たなシーンを切り開く存在として今のこのムーヴメントの先駆けとなり夜明けとなったバンド、Yogee New Waves。フル・アルバムとしては約2年半振りとなる待望のセカンド・アルバムが遂に完成!
バンド史上もっとも長い制作期間を費やした渾身の作が遂に完成。サニーデイ・サービスの真髄が結晶化された、究極のポップ・アルバム! ジャケット・イラストレーションは永井博。アルバム全編にBREEZEが通り抜けます。
LIVE INFORMATION
〈MURO FESTIVAL 2017 “後夜祭”〉
2017年8月8日(火)@東京・渋谷TSUTAYA O-Crest
時間 : Open 13:30 / Start 14:00
〈LILY presents 二番先陣〉
2017年8月26日(土)@群馬・Club FLEEZ / Asile
時間 : Open 11:30 / Start 12:00
〈goodtimes 企画 "君が来る場所” vol.1〉
2017年9月12日(火)@大阪・福島LIVE SQUARE 2nd LINE
時間 : Open 18:00 / Start 18:30
〈goodtimes 企画 "君が来る場所” vol.2〉
2017年9月24日(日)@東京・渋谷TSUTAYA O-Crest
詳細未定
〈goodtimes ワンマンライヴ "Parking Go Away"〉
2018年3月4日(日)@TSUTAYA O-Crest
時間 : Open 18:00 / Start 18:30
PROFILE
goodtimes
2016年結成。 メロディ重視のギター・サウンドを前面に出しつつ、 音楽バブル時代の影響を感じさせる普遍性、キャッチーさを含んだ クセになる、心くすぐるポップ・ミュージックを展開。