2017/08/04 18:30

SAKEROCK『ホニャララ』

レーベル カクバリズム  発売日 2008/11/05

※ 曲番をクリックすると試聴できます。

【配信形態】
MP3

【配信価格】
単曲 205円(税込) / アルバム 2,469円(税込)

ポップスターの原点

本作がリリースされた当時、僕はSAKEROCKの良さがわからなかった。しかし、今改めて向き合ってみると、その後、大人気になる星野源のスタイル、“どこにでもいそうな普通の人”という個性が既に萌芽としてここにあることに気づく。“普通の人”だからこそ、誰でも抵抗なく星野源の存在を受け入れることができるのだ、ということに。その現在の“星野源”像は、“ホニャララ”という、特に決まった意味を持たせないタイトルによって形成されたと言ってもいいだろう。どこにでもいるアノニマスな存在が、ホニャララという何にでも当てはまる言葉を纏って、言葉のない音を鳴らす。

つまり、SAKEROCKはこのアルバムで、匿名性に個性を与えたのである。ぼんやりと実態のないものに居心地の良さを感じる、その無意識という名の意識をデフォルメするという作業をポップスとして成立させたのだ。誰でも口ずさめるほどにキャッチーな曲が揃っている。だが、ここには歌詞がない。ない、のではなく残したのだ。聴き手の想像力で埋めていく余地を。本来歌詞があるはずのところにない、というその空白のスペースこそが、どこにでもいそうで、実はいない、というその後の星野源像を創出させたのではないだろうか。(鈴木征太郎)

SAKEROCK/ホニャララ
SAKEROCK/ホニャララ

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[インタヴュー] (((さらうんど))), MU-STARS, SAKEROCK, YOUR SONG IS GOOD, cero, neco眠る, イルリメ, キセル, スカート, 片想い, 鴨田潤

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