スカート『CALL』
【配信形態】
ALAC、FLAC、WAV(16bit/44.1kHz) / AAC
【配信価格】
単曲 257円(税込) / アルバム 2,057円(税込)
あらゆる人の未練を肯定するラヴ・ソング集
例えば深夜、1人ベランダで肩を落とし外を見つめる。何かを期待して真夜中のクラブに1人ででかける。平日の昼間、道端を炭酸の抜けてしまった缶ジュースを持って、あの頃よく通った公園を散歩する。とても好きだった人を遠くに見つけて、思わず目で追ってしまう。
その、あらゆる人のあらゆる生活の何気ない日常の隣で、スカートは隠しきれない未練を歌っている。おそらく彼にとって、愛も恋も、想い続ける未練をリネームしただけの感情なのだと思う。そう聴き手に思わせるほど、彼が描写する歌詞はあの大きい体つきに似合わず優しく、暖かである。メロディは、以前よりもノスタルジーに比重がかかり、澤部本人の未練を思わせ、楽曲の優しさに澤部本人も浸っているかのような、ある種の自己愛を感じさせる。サウンドも鳴らしているというよりも、メロディに合わせて必然的に鳴っている感覚に近い。アルバムもこれで3rd。カクバリズムからの初のリリースとなる本作は、スタジオを変えたことでサウンド面が向上。多数のゲスト・プレイヤーによっても支えられている。
そしてどこかできっとスカートは、いまも誰かの未練を、はたまた自分の未練を歌っている。(高橋秀実)